2019年1月26日(土)

「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第4章 流通市場における情報開示
1. 法定継続開示制度
(1) 継続開示義務者
(2) 継続開示制度の意義
「110〜111ページ」 

「112〜113ページ」 

 



>継続開示義務者
>B過去に募集・売出しを行った有価証券の発行者

>上場企業や過去に募集・売出しを行った有価証券の発行者が継続開示義務を負うのは、
>上場や募集・売出しを行うと、発行者の情報に精通しない多数の一般投資家が証券を保有することになるからです。

 

 



ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った39日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った38日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った37日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った36日前のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

 



「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った35日前のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について考察を行った34日前のコメント↓。

2018年12月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181223.html

 

「会計の人間にとっては非常に大きなインパクトのある出来事が、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定であったのだが、
1948年(昭和23年)の証券取引制度の根本的変更は『証券民主化』という言葉で一般的に表現されている。」、という点と、
「『絶対的な保証』とは、当局が法定書類を作成することである。そうすれば、記載事項に誤記や虚偽は絶対的に生じない。」、
という点について考察を行った33日前のコメント↓。

2018年12月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181224.html

 

「公認会計士制度は、最も元来的には(1948年当時は)『公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。』
という考え方であり、実は会計監査という考え方はなかった。」、という点と、
「監査制度という観点から言えば、証券取引制度は1966年(昭和41年)にも根本的な変更が行われたということになるのだが、
それは『有価証券報告書の作成者が公認会計士から発行者へと変更になった。』という抜本的な変更であった。」、
という点について書いた32日前のコメント↓。

2018年12月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181225.html

 

 



「会計監査の根源的限界は、証憑の確認ができないことである。」という点と、
「1948年の証券取引法の制定は、『当局は証券取引には関与しない。』という意味であるのだから、
1948年の時点で『上場審査』は証券取引所(証券会員制法人)自身が行うようにするべきだったのだ。」
という点について書いた31日前のコメント↓。

2018年12月26日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181226.html

 

「証憑から仕訳を書く。」と書いた30日前のコメント↓。

2018年12月27日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181227.html

 

「当事者であれば証拠はいらない。」と書いた29日前のコメント↓。

2018年12月28日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181228.html

 

「企業統治(コーポレート・ガバナンス)の向上のため、経営を第三者の視点で監視する会社機関を導入することを考えるならば、
『社外取締役』ではなく『監査役』の職務・権限を拡充する旨の会社法の改正が有効なのではないか。」という点と、
「会計用語としての『証憑』は『証拠』という意味合いではなく『伝票』という意味であり、
『伝票・証憑』には"memorandum"(メモ、覚え書き、備忘録)としての役割がある。
そして、会計用語としての『証憑』の英訳は、"evidence"では決してなく、"voucher"や"slip"という単語である。」
と書いた28日前のコメント↓。

2018年12月29日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181229.html

 

 


「米国で第1回公認会計士試験施行されたのは1934年だったのではないか。」という点と、
「『トラッキング・ストック』は、『本源的価値の算定ができない。』という根源的かつ致命的な問題点がある。」、
という点について書いた27日前のコメント↓。

2018年12月30日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181230.html

 

「会社が自社株を買うことは会社の残余財産の分配金額を減少させる。
この重要な財務上のインパクトは、現行の会社法下だけではなく、旧商法下においても当てはまる。」、
という点について書いた26日前のコメント↓。

2018年12月31日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181231.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について その@)
「保有議決権割合の計算は郵便配達とは違う。」と書いた25日前のコメント↓。

2019年1月1日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190101.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのA)
「日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドの発行済普通株式の7%を取得した時点では、
日本郵政株式会社の保有議決権割合は『0.747%〜7%』の間のいずれかの割合であり(他の株主の継続保有年数次第である)、
また、株式取得から4年後の時点では『7%〜42.94%』の間のいずれかの割合である(理由は取得時点の理由と同じ)。」という点と、
「極端な言い方をすれば、アフラック・インコーポレーテッドでは株主の保有議決権割合が株主名簿とは無関係なので、
株主が自分の保有議決権割合を自分で計算するのは事実上不可能である(保有議決権割合が他の株主の継続保有年数に依存する)。」
という点について書いた24日前のコメント↓。

2019年1月2日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190102.html

 

 



(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのB)
「特に海外への出資においては、出資している側が主導権を握って自社の製品や商品を出資先である外国で製造や販売していく、
という関係に出資と事業展開とがあるわけであるが、その一般的な姿とは正反対に、この事例における日本郵政株式会社には、
出資を通じて海外市場へ進出する・事業展開範囲を海外に広めるというシナリオは一切ない。」という点と、
「元来的には、保険会社は保険契約者から預かった保険料を手許に大切に保管しておかなければならなかった。」という点と、
「かの郵政民営化の際には、実は公正取引委員会は競争環境を歪めることを理由に郵便局の民営化に関する審査を行い、
承認するか否かについて十分に吟味しなければならなかったはずだ(公正取引委員会は民営化を差し止めることができたはずだ)。」
という点について書いた23日前のコメント↓。

2019年1月3日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190103.html

 

「日本国内の証券取引所に上場している日本企業は、自社の株主にどんなに外国人投資家が多かろうが、
株主総会招集通知や有価証券報告書や決算短信や適時情報開示を英文で作成する必要は一切ない。」という点と、
「日本の証券取引所とは異なり、現在のミャンマーとラオスとカンボジアの証券取引所における株式上場パターンは
『"Native Listing"or "Pure Territorial Listing"(「本来上場」もしくは「純域内上場」)』である。」
という点について書いた22日前のコメント↓。

2019年1月4日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190104.html

 

「投資家が市場に出す買い注文や売り注文や指値は同質であることが証券制度上の前提である。」
という点について書いた21日前のコメント↓。

2019年1月5日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190105.html

 

「日本企業は、日本会計基準を採用したまま、自社ADRを米国の株式市場に上場させることができる。」という点と、
「現在のミャンマーにおける外資規制の下では、『上場企業』は米国預託証券を発行できないのだが、
『非上場企業』は、ミャンマーの証券制度・証券規制とは全く無関係に、
現時点で米国預託証券を発行して米国市場に上場させることができる」、という点について書いた20日前のコメント↓。

2019年1月6日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190106.html

 

 



「米国預託証券に関して言えば、証券制度上日本における情報開示と米国における情報開示は全く別(両者は関係がない)なので、
米国における情報開示に際しては、日本企業として日本における法定開示書類を英文に翻訳するのではなく、
証券制度上の米国企業として始めから英文の法定開示書類を作成するようにしなければならない。」
という点について書いた19日前のコメント↓。

2019年1月7日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190107.html

 

「実務上も理論上も、日本の当局に提出する書類の監査と米国の当局に提出する書類の監査は全く関係がない独立した別の監査であり、
原株式の証券規制・上場制度とADRの証券規制・上場制度は全く関係がない独立した別の証券制度である。」、
という点について書いた18日前のコメント↓。

2019年1月8日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190108.html

 

「元来的には、監査に関する責任を負うのは監査法人ではなく公認会計士自身である。」、
という点について書いた17日前のコメント↓。

2019年1月9日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190109.html

 

「公認会計士は業務執行には一切関与してはならない(発行者からの独立性を保持しなければならない)という点から言っても、
内部統制の構築は明らかに受託者(取締役)が執行するべき業務の1つである以上、
公認会計士はむしろ内部統制に関しては一切意見表明をしたり判断をしたりはするべきはない。」、という点と、
「文書を書いた本人はその文書を"confirm"(確認)したりはしない。
文書を書いた本人はその文書を"look again"(見直しをする)だけである。」、という点について書いた16日前のコメント↓。

2019年1月10日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190110.html

 

 


「『確認書』にせよ"CERTIFICATION"にせよ、著名された文書に添付する文書としては明らかに『蛇足』である。」
という点について書いた15日前のコメント↓。

2019年1月11日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190111.html

 

「会社法は、株主間における議決権行使についての合意は考慮しない。」という点と、
「金融商品取引法では、投資家保護の観点から、間接保有や共同保有の考え方を広く定義している。」という点と、
「公開買付は市場外で行われるが、株式売渡請求権は株主総会外で行使される。」
という点について書いた14日前のコメント↓。

2019年1月12日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190112.html

 

「親会社による上場子会社の非公開化と昨今の『マネジメント・バイアウト』とには多くの共通点がある(概念的に非常に近い)。」、
という点について書いた13日前のコメント↓。

2019年1月13日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190113.html

 

「株式の将来の再上場が予定されているという状況下では、
会社は非公開化後も『ディスクロージャー』(情報開示)の継続義務を負うべきである。」、
という点について書いた12日前のコメント↓。

2019年1月14日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190114.html

 

 


「理論的には、証券制度は『新規上場』も『上場廃止』も前提とはしていない。」
という点について書いた11日前のコメント↓。

2019年1月15日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190115.html

 

「2種類の情報の中で、『A経済主体がおかれた特定の立場における経験や学習を通じて排他的に入手されるもの(私的情報)』
を起因として『情報の非対称性』が発生するだが、この『情報の非対称性』は本質的に解消することができない。
その理由は、『私的情報』はそもそもどのような手段を用いても他人に伝達することができない類の情報だからである。」
という点について書いた10日前のコメント↓。

2019年1月16日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190116.html

 

「訂正を行うことのメリットは上場廃止を行うことのメリットよりも大きい。」という点と、
「会計監査というのは、『確認』か何かではなく、どちらかと言えば、いわゆる『分析的手続』に主に依拠するべきである。」
という点について書いた9日前のコメント↓。

2019年1月17日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190117.html

 

「発行者は上場する前は紛れもなく非上場企業であった一方、市場の投資家は非上場株式の売買を行ったことなど
一度もない(そして事実上非上場株式の売買は行うことができない)。」という点と、
「日本とは正反対に、米国では『分析的手続』は会計監査を行う上で極めて重要な手続であると位置付けられている。」という点と、
「現行の監査制度では、実は公認会計士は真の意味の『実査』(実際に現場まで赴いて自分の目で確認をすること)すら行えない。」
という点について書いた8日前のコメント↓。

2019年1月18日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190118.html

 

 



「非常に大きな視点から見ると、自己株式の取得を行うと財務状況が悪化するが、社債の償還を行っても財務状況は悪化しない。」
という点と、「元来の商取引においても現代の商取引においても、仕入れ代金と販売代金との間に牽連性はない。」という点と、
「社債と仕入債務の違いは極めて本質的である。」という点と、
「会社が資本を払い戻してはならないのは、残りの株主が社内の現金量の減少を被るだけだからである。」という点と、
「理論上は、会社というのは予め清算期日を定めた上で設立し所定の期日まで事業を営むことが前提なのだ。」という点と、
「"terminate"の"term"は『期間』という意味のあの"term"が語源であることに辞書を読んでいて気が付いた。」
という点について書いた7日前のコメント↓。

2019年1月19日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190119.html

 

「特に、証券制度上『募集』という形で引き受け手を募って発行者が社債を発行した場合は、投資家保護の観点から、
期限前償還を行う発行者は同じく『公開された形で売却を募る』ということが証券制度上義務付けられるべきである。」
という点について書いた6日前のコメント↓。

2019年1月20日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190120.html

 

「原理的には、『手形』の支払いは銀行から受取人に対して現金で行われる。」という点と、
「『手形』用いて商取引を行っても、債務者(支払人)の支払能力それ自体(債務の弁済可能性)が向上するわけでは全くない。」
という点について書いた5日前のコメント↓。

2019年1月21日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190121.html

 

「@『手形』の決済は全国銀行データ通信システム(全銀システム)を前提としている(『手形』の支払いは銀行振り込みである)
ということと、A債務者は手形を振り出したことについて取引銀行に対して通知をしなければならないということの2点は、
実は、世界的に見れば日本特有の商慣行である。」という点と、
「手形法と電子記録債権法は実は本質的に全く異なる法律である(電子記録債権の記録原簿は公正証書という取り扱いではない)。」
という点について書いた4日前のコメント↓。

2019年1月22日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190122.html

 

 



「真の意味の銀行取引停止処分とは、債務者の銀行口座自体が全面的に凍結されることを意味する。」という点と、
「電子債権制度においても、債務不履行時に即時に銀行取引停止処分にするという制度は構築できるはずだ。」という点と、
「『手形』の不渡りが生じた場合は、理屈では、債権者は即時に取締役に対して履行を求めることができるはずであり、
債権者保護の観点に立てば、『手形』の不渡りと同時に取締役個人の銀行口座も凍結されなければならないはずである。」
という点について書いた3日前のコメント↓。

2019年1月23日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190123.html

 

「投資家保護の観点から言えば、理論上は『募集』を行った株式に譲渡制限を付けることはできない。」という点と、
「証券制度上は、有価証券報告書は『株式の本源的価値の算定』のための法定開示書類(投資判断を行うための材料)なのだから、
株式に譲渡制限が付いている状態なのであれば発行者は『募集』完了後は有価証券報告書を提出する必要はない。」という点と、
「社債の『募集』を行った場合は、発行者は社債の『募集』完了後も有価証券報告書を当局に提出し続ける必要があるのだが、
その理由は社債保有者は会社法上の『事業報告』を受け取らないからである。」という点と、
「株式に譲渡制限が付いている今の状態のままでは、公開買付が成立するだけの十分な応募自体はあるのかもしれないが、
既存株主から公開買付者への株式の譲渡ができない(会社法上、株主名簿の書き換えができない)。」
という点について書いた一昨日のコメント↓。

2019年1月24日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190124.html

 

「"exchange"(売却)は"expire"(満了)の代わりをすることができる、ということを現代の証券制度では前提としている。」
という点について書いた昨日のコメント↓。

2019年1月25日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190125.html

 

 


【コメント】
今日は、一昨日2019年1月24日(木)と昨日2019年1月25日(金)のコメントに一言だけ追記をしたいと思います。
一昨日2019年1月24日(木)のコメントでは、
オリオンビール株式会社が「募集」後も有価証券報告書を提出し続けていることについて、次のように書きました。

>仮に株式に譲渡制限が付けたままにするのであれば、有価証券報告書(証券制度上より正確には有価証券届出書)を提出するのは、
>理屈では「募集」を行う時点のみでよい、ということなります。

この点について補足をするために、金融商品取引法の教科書をスキャンして紹介しています。
日本の金融商品取引法上は、「過去に募集・売出しを行った有価証券の発行者」は継続開示義務者となっています。
その意味では、オリオンビール株式会社が「募集」後も有価証券報告書を提出し続けているのは、
金融商品取引法の規定から言えば当然のことだと言わねばなりません。
しかし、そもそもなぜ発行者が継続開示の義務を負わなければならないのかと言えば、投資家が有価証券の取引を行うからなのです。
他の言い方をすれば、投資家が有価証券の本源的価値を算定しなければならないからなのです。
発行者が継続開示義務を負うのは、有価証券が譲渡可能である場合のみである、ということになります。
他の言い方をすれば、発行者による継続開示義務は有価証券が譲渡可能であることが前提である、ということになります。
したがって、有価証券が譲渡不可能である場合は、「募集」後に投資家が有価証券の取引を行うということ自体がありませんので、
金融商品取引法の規定ではなく理論上の考え方になりますが、発行者は「募集」後に継続開示を行う必要はないのです。
有価証券が譲渡不可能である場合は、発行者は「募集」時に「発行開示」を行えばよいのであって、
「募集」後に「継続開示」を行う必要は理論上はないのです。
例えば、発行者が譲渡不可能である有価証券の「募集」を行うという時は、
発行者は結果的には「一回限りの」情報開示しか行わない、ということになります。
日本の証券制度上の用語を用いて言えば、発行者は「募集」時に有価証券届出書の提出は行うが
「募集」後に有価証券報告書の提出は行わない、ということになります(発行者は「発行開示」は行うが「継続開示」は行わない)。
発行者が「募集」後に継続的に有価証券報告書の提出を行わないと、発行者と投資家との間に情報の非対称性が生じるのではないか、
と思われるかもしれませんが、そもそも「ディスクロージャー」の目的は情報の非対称性の解消ではありません。
「ディスクロージャー」の目的は投資判断の材料を投資家に提供することです。
投資家が有価証券の本源的価値を算定できるようにすることが「ディスクロージャー」の目的です。
極論すれば、発行者と投資家との間に情報の非対称性はあってもよいですし、また、本質的に解消することもできないのです。
意外に思われるでしょうが、率直言えば、発行者と投資家との間に情報の非対称性があることは投資家の利益を害さないのです。
理論上は、「発行者に関する情報」が同一である時、投資家は投資家間で公正な取引が行えるのです。
極端な言い方になりますが、全ての投資家が発行者の情報に精通していないならば(情報の精通度は全投資家で同じであるならば)、
投資家は投資家間で公正な取引が行えるのです。
極論中の極論になりますが、投資家の全員が全く同じ様に間違えているならばそれはそれでフェアだ、という考え方になるのです。
それから、一昨日2019年1月24日(木)のコメントでは、概ね次のようなことも書きました。
”社債の「募集」を行った場合は、仮に「募集」により発行した社債の譲渡はできないとしても、発行者は社債の「募集」後も
有価証券報告書を当局に提出し続ける必要がある。なぜならば、社債保有者は会社法上の「事業報告」を受け取らないからだ。”
この記述は削除したいと思います。
確かに、いやしくも公に「募集」を行った以上、発行者は社債保有者に対する一定の報告を義務付けられるべきではありますが、
理論的には、発行者は社債保有者に対し何らの報告も必要ありません。
なぜならば、社債保有者は自動的に償還期日に(もしくは会社の清算期日に)社債の本源的価値を受け取るだけだからです。


 


The purpose of "disclosure" is not solving an asymmetry on information between an issuer an investor at all
but enabling an investor to calculate the intrinsic value of securities.

「ディスクロージャー」の目的は、発行者と投資家との間の情報の非対称性を解消することでは全くなく、
投資家が有価証券の本源的価値を算定できるようにすることなのです。

 

"Disclosure" doesn't increase solvency nor earnings.

「ディスクロージャー」を行っても支払能力も利益額も増加はしないのです。

 

Please let me take non-transferable securities only.
An investor makes an investment judegement only when he subscribes securities or purchases securities.
Either when receiving redemption of a corporate bond or when receiving a distribution of residual assets,
an investor doesn't make any investment judegements themselves at all.
For example, an investor doesn't calculate the amount of redemption of a corporate bond
nor the amount of a distribution of residual assets any longer after he buys the securities.
For those calculations don't produce any effects on cash flows of the investor.
After an investor buys non-transferable securities,
he will merely receive cash flows generated from the securities as if the cash flows fell from the sky.
In other words, in case securities are non-transferable, from a standpoint of an investor,
an investment in the securities is a kind of sunk cost
and he can't undo the investment (i.e. his investment judgement) any longer.
That's why an issuer doesn't have to submit a securities report (i.e. "continuing disclosure" is unnecessary)
after it makes "public offering" of non-transferable securities "in theory," actually.

譲渡が不可能な有価証券のみを例に上げてみましょう。
投資家が投資判断を行うのは、有価証券を引き受ける時や有価証券を購入する時だけなのです。
社債の償還を受ける時であろうが残余財産の分配を受け取る時であろうが、
投資家は投資判断それ自体を一切行わないのです。
例えば、有価証券を買った後は、投資家はもはや社債の償還金額を計算したり残余財産の分配金額を算定したりはしないのです。
というのは、それらの金額計算はその投資家のキャッシュフローに何らの影響も及ぼさないからです。
譲渡が不可能な有価証券を買った後は、投資家はその有価証券から生じるキャッシュフローを天下り的に受け取るだけなのです。
他の言い方をすれば、有価証券が譲渡不可能である場合は、投資家の立場から言えば、
有価証券への投資は一種のサンクコスト(埋没費用)であり、
投資家はもはやその投資を(すなわち、投資家自身の投資判断を)やり直すことはできないのです。
そういうわけで、「理論上は」、譲渡不可能な有価証券の「募集」を行った後は、
発行者は有価証券報告書を提出する必要はない(すなわち、「継続開示」は必要ない)のです。