2018年12月19日(水)


2018年12月19日(水)日本経済新聞
ソフトバンク きょう上場 個人投資家の動向 焦点
(記事)




2018年12月19日(水)日本経済新聞
春秋
(記事)





2018年12月19日
ソフトバンク株式会社
東京証券取引所市場第一部への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ
ttps://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2018/20181219_01/

平成31年3月期 第2四半期決算短信[IFRS](連結)(PDF形式:1.00MB/48ページ)
ttps://cdn.softbank.jp/corp/set/data/group/sbm/news/press/2018/20181219_01/pdf/20181219_01.pdf

>当社は、本日、平成30年12月19日に東京証券取引所市場第一部に上場いたしました。
>今後とも、なお一層のご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
>なお、平成31年3月期(平成30年4月1日から平成31年3月31日)における当社グループの連結業績予想は、次のとおりであり、
>また、最近の決算情報等につきまして別添のとおりであります。

 

適時開示情報閲覧サービス(Company Announcements Disclosure Service) (東京証券取引所のTDnet)
「2018年12月19日に開示された情報」

 

 



ソフトバンク上場、終値1282円 公開価格を15%下回る 宮内社長「真摯に受け止め、企業価値を向上」
(日本経済新聞 2018/12/19 8:01 (2018/12/19 17:34更新))
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO39088300Y8A211C1000000/

「ウェブページをPDF出力したファイル」




「ソフトバンク株式の値動き」

「チャート図」




ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った昨日のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

 



ソフトバンク初値1463円 公開価格割れ 東証1部上場、時価総額6兆円台

ソフトバンクグループ(SBG)の国内通信子会社ソフトバンク(SB)が19日、東京証券取引所第1部に株式を上場した。
取引開始直後から売り注文が集まり、上場後に付いた最初の株価である初値は1463円と、公開価格(1500円)を2%下回った。
国内で過去最大となった大型上場は低調な滑り出しとなった。
(日本経済新聞 夕刊 2018/12/19付)
ttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO39129570Z11C18A2MM0000/

 


ソフトバンク、「強気の値決め」裏目に 初値、公開価格下回る 悪材料も多発

19日に東証1部に新規上場したソフトバンク株の初値は1463円と、公開価格(1500円)を37円(2.5%)下回った。
上場前に大規模な通信障害や中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の問題など悪材料が相次いで出たうえ、
「公開価格が強気すぎた」との声も出ている。
(日本経済新聞 2018/12/19 12:28)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO39126150Z11C18A2SHA000/

 


日証協会長、ソフトバンクの新規上場「タイミング悪かった」

日本証券業協会の鈴木茂晴会長は19日の記者会見で、同日に新規上場したソフトバンク(SB、9434)の初値が公開価格を
下回るなど軟調な株価推移となったことについて「タイミングが悪かった」と語った。背景として、
直前に通信障害や中国の華為技術(ファーウェイ)を巡る問題が発生したこと、市場環境が不安定ななかでの上場となったことを
挙げた。そのうえで「成長戦略を実現しながら株価が上昇し、投資家が良かったと思えるようになってほしい」と期待を示した。
2018年の株式相場については「米中の貿易戦争など先行き不透明な外部要因の影響を受け、ボラティリティー(変動率)の
高かった1年間だった」と振り返った。株価は足元の調整により、企業の成長性に比べて割安感が生じているとして、
来年については「堅調さを取り戻す」との展望を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
(日本経済新聞 2018/12/19 15:26)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXLASFL19HOW_Z11C18A2000000/

 

 


【コメント】
本日2018年12月19日(水)、ソフトバンク株式会社が東京証券取引所に上場しました。
初値に関してですが、新規上場した株式は公開価格(1500円)を37円(2.5%)下回る「1463円」で初値を付けたとのことです。
初値が売出価格や募集価格を下回ることを「公開価格割れ」と言ったりするようですが、
「1500円」という売出価格が高過ぎたのではないかという指摘が記事ではなされています。
理論上は、本日株式市場でソフトバンク株式を売却したのは親会社であるソフトバンクグループ株式会社のはずだ、
と私は思いました(一般の投資家は本日株式市場でソフトバンク株式を売却してはいないはずです)。
なぜならば、一般の投資家は、つい先日(例えば、「売出し」への申し込みは14日締め切りでした)
ソフトバンク株式を「1500円」で購入したばかりだからです。
より正確に言えば、「売出し」に申し込みをした場合のソフトバンク株式の受渡期日は何と本日「2018年12月19日(水曜日)」
となっていますので、「売出し」を通じてソフトバンク株式を購入した投資家は、
本当の意味で今日ソフトバンク株式を「1500円」で購入しているわけです。
今日「1500円」で購入した株式を「1500円」未満で売却する投資家はいないわけです。
したがって、親会社であるソフトバンクグループ株式会社が朝9時から株式市場でソフトバンク株式の売り注文を出し、
一般の投資家が「1500円」未満の価格であれば購入しようということで朝9時から株式市場で買い注文を出した結果、
一番最初は「1463円」で注文が折り合った(取引が成立した)、という経緯なのだろうと推測できるわけです。
初値が付くまでの経緯に関しては基本的には上記のような推測になるわけですが、今日は驚くような情報開示を見かけました。
紹介しています「適時開示情報閲覧サービス(Company Announcements Disclosure Service) (東京証券取引所のTDnet)」
を見ていただきたいのですが、「2018年12月19日に開示された情報」を見ますと、
ソフトバンク株式会社は株式市場が開く前の本日「08:00」に最近の決算情報を開示しています。
プレスリリースのタイトルは「東京証券取引所市場第一部への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」となっており、
他社の上場事例も同じようなのですが、東京証券取引所では上場に伴い決算を開示することを発行者に求めているようです。
この時、発行者は当然のことながら直近の財務諸表を開示しなければならないわけですが、
決算期末日と「有価証券届出書(新規公開時)」の提出日や上場日との兼ね合い次第では、投資家保護上の問題が生じます。
「有価証券届出書(新規公開時)」の提出日から実際の上場日まで、5週間以上間が生じてしまうわけですが、
この時間的な間が場合によっては問題を引き起こすわけです。
ソフトバンク株式会社は、「H30.11.12 15:10」に「有価証券届出書(新規公開時)」を提出しているわけですが、
この「有価証券届出書(新規公開時)」には直近の財務諸表として2019年3月期第2四半期の財務諸表が載っているわけです。
そして、本日ソフトバンク株式会社が開示した「東京証券取引所市場第一部への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」にも、
2019年3月期第2四半期の財務諸表(決算短信)が載っているわけです。
ですので、本日上場したソフトバンク株式会社に関しては問題はあまりないと言えるわけです。
しかし、例えば、上場日が11月の中旬などで「有価証券届出書(新規公開時)」の提出日が10月上旬だったとしますと、
「有価証券届出書(新規公開時)」には2019年3月期第2四半期の財務諸表が載っていない一方、
上場日には2019年3月期第2四半期の財務諸表が開示される、という事態が起こり得るわけです。
「売出し」や「募集」に申し込んだ投資家は2019年3月期第2四半期の財務諸表を知らないまま株式を購入したことになり、
上場日以降に株式市場で株式の取引を行う投資家は2019年3月期第2四半期の財務諸表を知った上で株式の取引を行う、
という状態が生じるわけです。
「売出し」や「募集」に申し込んだ投資家は、直近の情報を欠いたまま投資判断を行うことになってしまうわけです。

 



より実務上の話をすると、例えばこのたびのソフトバンク株式会社の上場に関して言えば、
「2018年12月14日(金曜日)」までは「売出し」への申し込みを投資家はキャンセルできるのだと思いますので、
上記の情報格差は実務上はあまり生じないとも言えますが、
それでも、「2018年12月15日(土曜日)」から「2018年12月19日(水曜日)」までの間に
発行者が新たな財務情報開示を行うという場合は、上記の情報格差が問題になると思います。
「有価証券届出書(新規公開時)」の提出後に通期もしくは四半期の決算が確定した場合は、
発行者は、追加的な情報開示として、適時に有価証券報告書もしくは四半期報告書を提出しなければならない、
という考え方になると思います。
「売出し」や「募集」に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはなりません。
実務上は、「売出し」や「募集」に申し込みやそのキャンセルの締切日(このたびの事例では「2018年12月14日(金曜日)」)から
上場日までの間は発行者は一切の情報開示を行ってはならない、という考え方になると思います。
例えば、ソフトバンク株式会社が上場日である本日に初めて2019年3月期第2四半期の財務諸表を開示したとしたらどうでしょうか。
株式市場で株式の取引を開始する時のスタートライン(情報量)が投資家間で異なることになるわけです。
「売出し」や「募集」に申し込みをする投資家は2019年3月期第2四半期の財務諸表を当然知らないで株式を購入する一方、
上場日から株式市場で株式の取引を行う投資家は2019年3月期第2四半期の財務諸表を知った上で株式を売買をするわけです。
発行者が上場後初めて新たな情報開示を行うのは上場日から一定期間が経過してからでなければならない、
という考え方もあると思います(適時開示の考え方には若干反しますが)。
もしくは、「有価証券届出書(新規公開時)」の提出から上場日後数週間は発行者は情報開示してはならない、
という考え方もあるだろうかと思いました。
この論点は、他の言い方をすれば、「直近の情報はいつまで有効か?」という問いで表現されるように思います。
「投資家全体の利益の保護を鑑みると、直近の情報を開示した方が投資家保護に資するのか、それとも、
直近の情報は意図的に開示しない(開示を意図的に遅らせる)方が投資家保護に資するのか?」、という問いがあるように思います。
「たとえ直近の情報の開示を一定期間遅らせても、投資家間に情報格差は生じないのだからそれはそれでフェアだ。」
という考え方はあると思います。
「その情報を知っていれば私は『1500円』ではソフトバンク株式を買わなかった。
もしその情報を知っていれば私は『1463円』でソフトバンク株式を買ったことだろう。」
と主張をする投資家が生じることは証券制度上避けるようにするべきでしょう。
「売出し」と「募集」の手続きを鑑みると、上場日に発行者が新しい情報開示を行うのは明らかに間違いだと思いました。
続きは明日書きたいと思います。

 

Investors who have subscribed Softbank Shares through a "secondary distribution"
don't know this latest financial results disclosed by the issuer today.
They have subscribed Softbank Shares without being informed of the most important grounds for their investment judgement.
They have given their own investment judgement their uninformed consideration.

「売出し」を通じてソフトバンク株式を購入した投資家は、本日発行者が開示したこの業績を知らないのです。
投資判断を行うための最も重要な根拠を知らされないまま、その投資家達はソフトバンク株式を購入したのです。
その投資家達は、知らされていないまま検討を行い投資判断を行ったということになるのです。