2018年12月27日(木)

2018年12月27日(木)日本経済新聞
有価証券報告書に 経営計画・リスク明記 金融庁方針 投資家 分析しやすく
(記事)




2018年12月27日(木)日本経済新聞
きょうのことば 上場企業の情報開示 投資判断材料 公平に提供
(記事)





2018年12月24日(月)日本経済新聞
後継計画や報酬 企業の開示拡大 改定統治指針、今月末に対応期限 投資情報として重要視
横並び? 12月に駆け込み
(記事)


 

 



ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った8日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った7日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った6日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った5日前のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

 



「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った4日前のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について考察を行った3日前のコメント↓。

2018年12月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181223.html

 

「会計の人間にとっては非常に大きなインパクトのある出来事が、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定であったのだが、
1948年(昭和23年)の証券取引制度の根本的変更は『証券民主化』という言葉で一般的に表現されている。」、という点と、
「『絶対的な保証』とは、当局が法定書類を作成することである。そうすれば、記載事項に誤記や虚偽は絶対的に生じない。」、
という点について考察を行った一昨日のコメント↓。

2018年12月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181224.html

 

「公認会計士制度は、最も元来的には(1948年当時は)『公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。』
という考え方であり、実は会計監査という考え方はなかった。」、という点と、
「監査制度という観点から言えば、証券取引制度は1966年(昭和41年)にも根本的な変更が行われたということになるのだが、
それは『有価証券報告書の作成者が公認会計士から発行者へと変更になった。』という抜本的な変更であった。」、
という点について書いた昨日のコメント↓。

2018年12月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181225.html

 

 



「会計監査の根源的限界は、証憑の確認ができないことである。」という点と、
「1948年の証券取引法の制定は、『当局は証券取引には関与しない。』という意味であるのだから、
1948年の時点で『上場審査』は証券取引所(証券会員制法人)自身が行うようにするべきだったのだ。」
という点について書いた昨日のコメント↓。

2018年12月26日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181226.html

 

 


【コメント】
ここ数日間は、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定について理詰めで考察を行いました。
その考察の中で唖然とするような結論に辿り着きました。
その結論とは次の一言です。

最も元来的な公認会計士制度は、「公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。」であった。

現在では「公認会計士制度=監査制度」であるわけですが、実は監査という概念や用語は最も元来的にはなかったのです。
現在の常識から考えればまさに「驚くべきことに、」と言わねばなりませんが、
公認会計士は最も元来的には監査は全く行っていなかったわけです。
公認会計士は監査など行っていなかった、そう考えますと、「なるほど、それが真の有価証券報告書か。」と気付かされるわけです。
投資家の立場からすると、「公認会計士には証憑の確認まで行って欲しい。」と思うわけです。
そうでなければ、真の意味で有価証券報告書の記載事項の真正性が保証されたことにはならないからです。
「会計処理の間違いや計算間違いは全くありませんでしたが、発行者から入手した証憑に間違いがあったために、
結果として正しい表示ではない財務諸表となってしまいました。
私が発行者から入手した証憑に基づく限り、発行者が作成した財務諸表は正しい表示となっていることを確認いたしました。」、
などと公認会計士から言われて納得する投資家はいないわけです。
一言で言えば、その財務諸表には意味はないわけです。
かと言って、監査という手法では証憑が真正であることの確認はできないわけです。
「公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。」時、
公認会計士は発行者の文字通り"insider"(内部者)として有価証券報告書の真正性の保証を行います。
しかるに、「公認会計士が発行者が作成した財務諸表の監査を行う。」時、
公認会計士は発行者の文字通り"outsider"(外部者)として有価証券報告書の真正性の保証を行います。
公認会計士は発行者の"insider"(内部者)、だから、有価証券報告書の作成者は公認会計士なのです。
公認会計士は発行者の"outsider"(外部者)、だから、有価証券報告書の作成者は発行者であり監査人が公認会計士なのです。

 


記事によりますと、2021年3月期からは有価証券報告書に付される監査報告書に公認会計士は
「監査上の主要な検討事項」(Key Audit Matters、KAM)を記載しなければならない、とのことです。
監査の過程で浮かび上がった経営や財務に関するリスクへの監査人の考えを公認会計士は監査報告書に記載するようになるわけです。
しかし、監査と言っている時点で、必然的に「発行者対監査人」という構図にならざるを得ないわけです。
有価証券報告書の作成者(=投資判断の根拠の提供者)と投資家とが視線を合わせるためには、
発行者ではなく公認会計士が有価証券報告書を作成する必要があるのです。
投資判断の根拠を提供するのが発行者では中立性や客観性に問題があると言えるでしょう。
発行者から入手した証憑では始めから限界があるのです。
例えば、監査人がある事柄を「監査上の主要な検討事項」であると判断したこと自体が始めから間違っている可能性があるわけです。
財務諸表や商業帳簿と言いますが、それらは実は証憑が全てであったりするわけです。
日商簿記4級を学ぶだけで分かりますが、証憑から仕訳を書くわけですから。
帳簿記入の基は証憑なのです。
記事を読みますと、何やらKAM監査という言葉まであるようですが、
KAMとは「監査じゃ、あきまへん、まじで。」の頭文字を取ったものではないでしょうか。
真正性が保証された有価証券報告書の作成のためには、公認会計士は「"outisider"より"insider"。」であることが必要なのです。
"KAM"とは次の英文の重要な単語の頭文字を取ったものだと私は思います。


The Kernel is "Autopreparation."
Preparing a securities report is a certified public accountant Matter.

(公認会計士の立場から見ると)有価証券報告書作成の核心は「自己作成」である。
有価証券報告書の作成は公認会計士マター(公認会計士自身の問題)なのだ。


"Autopreparation"というのは私の造語なのですが、「自己作成」という意味です。
"auto-"とは、「自身の」「独自の」「自己の」という意味であり、"self-"とほとんど同じ意味なのだと思います。
"self-"には「自分だけで」という意味もあるのですが、"Autopreparation"にも「自分だけで」という意味合いを込めました。
この場合の"Autopreparation"(「自己作成」)は、発行者にとってではなく公認会計士にとってという意味です。
"autonomy"(自治(権)、自主性)という単語があるのですが、公認会計士には発行者に対する"autonomy"が必要だと思いました。
公認会計士は発行者の証憑を治めることができなければならないのです。
公認会計士は発行者の内部者として証憑に対する自治権を持って「自分だけで」有価証券報告書を作成しなければなりません。
有価証券報告書に関しては、KAM監査はやめて、KAM作成にするべきなのです。

 

A certified public accountant should be at once an independent party and an insider.

公認会計士は、独立した人物であると同時に内部者でなければなりません。