2019年1月10日(木)


2019年1月10日(木)日本経済新聞
内部統制報告書の訂正件数 不適切会計増で 昨年過去最多に
(記事)


 

2018年3月期有価証券報告書(トヨタ自動車株式会社)
ttps://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/negotiable/2018_3/

確認書
「トヨタ自動車株式会社のウェブサイト上と同じPDFファイル」

内部統制報告書
「トヨタ自動車株式会社のウェブサイト上と同じPDFファイル」

 

 



ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った23日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った22日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った21日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った20日前のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

 



「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った19日前のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について考察を行った18日前のコメント↓。

2018年12月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181223.html

 

「会計の人間にとっては非常に大きなインパクトのある出来事が、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定であったのだが、
1948年(昭和23年)の証券取引制度の根本的変更は『証券民主化』という言葉で一般的に表現されている。」、という点と、
「『絶対的な保証』とは、当局が法定書類を作成することである。そうすれば、記載事項に誤記や虚偽は絶対的に生じない。」、
という点について考察を行った17日前のコメント↓。

2018年12月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181224.html

 

「公認会計士制度は、最も元来的には(1948年当時は)『公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。』
という考え方であり、実は会計監査という考え方はなかった。」、という点と、
「監査制度という観点から言えば、証券取引制度は1966年(昭和41年)にも根本的な変更が行われたということになるのだが、
それは『有価証券報告書の作成者が公認会計士から発行者へと変更になった。』という抜本的な変更であった。」、
という点について書いた16日前のコメント↓。

2018年12月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181225.html

 

 



「会計監査の根源的限界は、証憑の確認ができないことである。」という点と、
「1948年の証券取引法の制定は、『当局は証券取引には関与しない。』という意味であるのだから、
1948年の時点で『上場審査』は証券取引所(証券会員制法人)自身が行うようにするべきだったのだ。」
という点について書いた15日前のコメント↓。

2018年12月26日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181226.html

 

「証憑から仕訳を書く。」と書いた14日前のコメント↓。

2018年12月27日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181227.html

 

「当事者であれば証拠はいらない。」と書いた13日前のコメント↓。

2018年12月28日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181228.html

 

「企業統治(コーポレート・ガバナンス)の向上のため、経営を第三者の視点で監視する会社機関を導入することを考えるならば、
『社外取締役』ではなく『監査役』の職務・権限を拡充する旨の会社法の改正が有効なのではないか。」という点と、
「会計用語としての『証憑』は『証拠』という意味合いではなく『伝票』という意味であり、
『伝票・証憑』には"memorandum"(メモ、覚え書き、備忘録)としての役割がある。
そして、会計用語としての『証憑』の英訳は、"evidence"では決してなく、"voucher"や"slip"という単語である。」
と書いた12日前のコメント↓。

2018年12月29日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181229.html

 

 


「米国で第1回公認会計士試験施行されたのは1934年だったのではないか。」という点と、
「『トラッキング・ストック』は、『本源的価値の算定ができない。』という根源的かつ致命的な問題点がある。」、
という点について書いた11日前のコメント↓。

2018年12月30日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181230.html

 

「会社が自社株を買うことは会社の残余財産の分配金額を減少させる。
この重要な財務上のインパクトは、現行の会社法下だけではなく、旧商法下においても当てはまる。」、
という点について書いた10日前のコメント↓。

2018年12月31日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181231.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について その@)
「保有議決権割合の計算は郵便配達とは違う。」と書いた9日前のコメント↓。

2019年1月1日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190101.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのA)
「日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドの発行済普通株式の7%を取得した時点では、
日本郵政株式会社の保有議決権割合は『0.747%〜7%』の間のいずれかの割合であり(他の株主の継続保有年数次第である)、
また、株式取得から4年後の時点では『7%〜42.94%』の間のいずれかの割合である(理由は取得時点の理由と同じ)。」という点と、
「極端な言い方をすれば、アフラック・インコーポレーテッドでは株主の保有議決権割合が株主名簿とは無関係なので、
株主が自分の保有議決権割合を自分で計算するのは事実上不可能である(保有議決権割合が他の株主の継続保有年数に依存する)。」
という点について書いた8日前のコメント↓。

2019年1月2日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190102.html

 

 



(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのB)
「特に海外への出資においては、出資している側が主導権を握って自社の製品や商品を出資先である外国で製造や販売していく、
という関係に出資と事業展開とがあるわけであるが、その一般的な姿とは正反対に、この事例における日本郵政株式会社には、
出資を通じて海外市場へ進出する・事業展開範囲を海外に広めるというシナリオは一切ない。」という点と、
「元来的には、保険会社は保険契約者から預かった保険料を手許に大切に保管しておかなければならなかった。」という点と、
「かの郵政民営化の際には、実は公正取引委員会は競争環境を歪めることを理由に郵便局の民営化に関する審査を行い、
承認するか否かについて十分に吟味しなければならなかったはずだ(公正取引委員会は民営化を差し止めることができたはずだ)。」
という点について書いた7日前のコメント↓。

2019年1月3日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190103.html

 

「日本国内の証券取引所に上場している日本企業は、自社の株主にどんなに外国人投資家が多かろうが、
株主総会招集通知や有価証券報告書や決算短信や適時情報開示を英文で作成する必要は一切ない。」という点と、
「日本の証券取引所とは異なり、現在のミャンマーとラオスとカンボジアの証券取引所における株式上場パターンは
『"Native Listing"or "Pure Territorial Listing"(「本来上場」もしくは「純域内上場」)』である。」
という点について書いた6日前のコメント↓。

2019年1月4日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190104.html

 

「投資家が市場に出す買い注文や売り注文や指値は同質であることが証券制度上の前提である。」
という点について書いた5日前のコメント↓。

2019年1月5日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190105.html

 

「日本企業は、日本会計基準を採用したまま、自社ADRを米国の株式市場に上場させることができる。」という点と、
「現在のミャンマーにおける外資規制の下では、『上場企業』は米国預託証券を発行できないのだが、
『非上場企業』は、ミャンマーの証券制度・証券規制とは全く無関係に、
現時点で米国預託証券を発行して米国市場に上場させることができる」、という点について書いた4日前のコメント↓。

2019年1月6日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190106.html

 

 



「米国預託証券に関して言えば、証券制度上日本における情報開示と米国における情報開示は全く別(両者は関係がない)なので、
米国における情報開示に際しては、日本企業として日本における法定開示書類を英文に翻訳するのではなく、
証券制度上の米国企業として始めから英文の法定開示書類を作成するようにしなければならない。」
という点について書いた3日前のコメント↓。

2019年1月7日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190107.html

 

「実務上も理論上も、日本の当局に提出する書類の監査と米国の当局に提出する書類の監査は全く関係がない独立した別の監査であり、
原株式の証券規制・上場制度とADRの証券規制・上場制度は全く関係がない独立した別の証券制度である。」、
という点について書いた一昨日のコメント↓。

2019年1月8日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190108.html

 

「元来的には、監査に関する責任を負うのは監査法人ではなく公認会計士自身である。」、
という点について書いた昨日のコメント↓。

2019年1月9日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190109.html

 

 

 



【コメント】
昨日は、「元来的には、監査に関する責任を負うのは監査法人ではなく公認会計士自身である。」、
という点についてコメントを書きました。
監査法人が監査を実施するわけではない(監査法人が監査資格を有するわけではない)わけですから、
実は監査法人が監査に関する無限責任を負うという考え方すらおかしいわけです。
公認会計士自身が監査に関する無限責任を負えばそれで必要十分なのです。
今日は、内部統制報告書を訂正する事例が急増している、という記事を紹介しています。
内部統制報告書については、記事には次のように説明されています。

>正しい財務諸表を作成するための社内管理体制が整っていると上場企業が投資家に向けて宣言する文書

内部統制報告書の訂正というのは、より具体的に言えば「内部統制報告書の訂正報告書」を提出するということなのだと思いますが、
内部統制報告書を作成した時点では、経営者は財務諸表を作成するための適切な管理体制が整っていると判断したのだが、
後になって、不適切な会計処理が発覚するなどして実は当時は適切な管理体制が整っていなかったことが判明したため、
今になって「内部統制報告書の訂正報告書」を提出する事例が増加している、と記事では言っているのだと思います。
発行者は、過年度に提出した内部統制報告書には内部統制が「有効」であると記載していたのだが、不適正会計の発覚後に、
それらの訂正報告書には内部統制が「有効ではない」と記載をし直して当局に提出をした、ということなのだと思います。
例えば、過年度の財務諸表に間違いがあった場合は、過年度の財務諸表そのものを修正して開示し直す(いわゆる遡及修正)、
という訂正方法も考えられるわけです(そして現行の会計基準ではそのように定められています)が、
過年度の内部統制(社内管理体制)に問題があった(当時は「有効」だと判断したが「有効ではない」ことが判明した)場合、
過年度の内部統制報告書そのものを修正して開示し直す(正確には、「有効ではない」と記載し直した訂正報告書を提出する)、
という訂正方法には全く意味がないわけです。
なぜならば、過年度の内部統制の有効性の訂正には投資家の投資判断に資する部分が全くないからです。
内部統制の有効性に関して投資家の投資判断に資するのは、今現在の内部統制の有効性だけなのです。
財務諸表の遡及修正には投資家の投資判断に資するところがあります(より正確な将来の業績予想に資するところがあります)。
しかし、過年度の内部統制の有効性の訂正には投資家にとっては意味はないわけです。
経営者による有効な内部統制(社内管理体制)の構築のみが投資家にとって意味があることなのです。
過年度に提出した内部統制報告書の記載内容は間違っていたと言えば確かに間違っていたわけですし、
「当時は実は内部統制は『有効』ではありませんでした。」と経営者が発表をすることも重要ではあるのですが、
やはり一言で言えば、「有効な内部統制を今後構築して参ります。」と経営者が表明することがさらに重要であるわけです。
そして、「このような内部統制を構築いたしました。」と経営者が報告をすることが最も重要なことであるわけです。
過年度の内部統制報告書の訂正よりも内部統制そのものの修正(つまり再構築)の方が投資家にとってははるかに重要なのです。

 



それから、発行者の内部統制の状況について経営者が報告をするのはよいと思うのですが、
これは「内部統制監査」と呼ばれている事柄になりますが、
発行者の内部統制の状況について公認会計士が監査をするというのはいくらなんでもおかしいと思いました。
内部統制の構築というのはそもそも受託者(取締役)が行うべき業務執行の1つであり、
明らかに公認会計士が遂行するべき監査の範疇外のことだと思います。
受託者(取締役)が行った業務執行についての是非を述べるが公認会計士の役割ではないはずです。
公認会計士は業務執行には一切関与してはならない(発行者からの独立性を保持しなければならない)という点でも、
むしろ内部統制に関しては一切意見表明をしたり判断をしたりはするべきはない、と私は思います。
公認会計士は、業務執行の「結果」に関してのみ関与する(すなわち、「結果」が適正に表示されていることの確認をする)、
という立ち位置のはずです。
また、これは「確認書」と呼ばれているようですが、
経営者が有価証券報告書の記載内容が適正に記載されていることを確認したと表明をするというのは、
明らかにおかしいと思いました。
有価証券報告書に限らず、当局に提出する法定開示書類の記載内容が適正に記載されていることを経営者が確認をするのは、
そもそも法定開示書類の前提ではないかと思いました。
経営者は記載内容が適正に記載されているかも確認せずに、法定開示書類を当局に提出するのでしょうか。
「書類を当局に提出したのは確かに私ですが、私は記載内容は見ておりません。」、では経営になりません。
実務上は確かに難しい部分もあるとは思いますが、
理論上は経営者自身が法定開示書類の全てを執筆する(作成する)、という考え方になります。
法定開示書類の記載内容については、経営者は、確認をするのではなく、執筆をする、という考え方が正しいのです。
一言で言えば、これは「確認」以前の話なのです。
「確認書」の文言を読みますと、何か他人事のように書かれていますが、
本来的には経営者自身が法定開示書類を執筆するのです(その意味において、「確認」そのものが不要のはずです)。
法定開示書類の記載内容については、経営者は、"confirm"(確認する)をしてはいけないのです。
法定開示書類の記載内容については、経営者は、"look again"(見直す)をするだけなのです。
敢えて言うならば、法定開示書類の記載内容について"confirm"(確認する)をするのは公認会計士の役割なのです。
1966年以前は公認会計士は"write"(執筆する)もしましたし"look again"(見直す)もしました。
しかし、1966年以降は公認会計士は"confirm"(確認する)しかしなくなったのです。
監査というのは、補完的な位置付けに過ぎないのです。
経営者には、"Don't confirm it. Look again."(確認をするのではありません。見直しをしなさい。)と言わねばならないのです。
簡単に言えば、書いた本人は"confirm"はしないのです。
経営者に対しては、「確認書」を添付してもらうのではなく("confirm"するではなく)、次のように言わねばなりません。

"Read your legal disclosure document carefully again before submit it." (提出する前に法定開示書類を見直しなさい. )


However wide the scope of an audit is defined,
a certified public accountant doesn't make an audit on "internal control."

監査の範囲をどんなに広く定義しても、公認会計士は「内部統制」については監査はしないのです。