2018年12月22日(土)



2018年12月22日(土)日本経済新聞
上場初日にストップ安 IPO株の軟調目立つ ドローン開発の自律制御シ研
(記事)





ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った4日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った3日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った一昨日のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った昨日のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

 



【コメント】
ここ数日は、売出価格や募集価格と初値との関係について考察を行ってきました。
初値が売出価格や募集価格が下回ることや、上場後の株価が売出価格や募集価格を下回って推移することは、
主幹事証券会社が決定した売出価格や募集価格が高過ぎたということを意味しているわけでは決してない、
という点についてコメントを書いてきました。
今日は、関連する事例になるのですが、上場初日にストップ安となった銘柄についての記事を紹介しています。
ある銘柄が上場初日にストップ安となったということで、ここ数日間の記事の論調を踏まえますと、
それこそ「決定した公開価格が高過ぎたからだ。」という批判が出てきそうですが、その考え方は間違っています。
決定した公開価格の高低と上場初日にストップ安となるかストップ高となるかは全く関係がありません。
敢えてこの論点について理論的に考えるならば、ある銘柄が上場初日にストップ安となったということは
そもそもその銘柄の売出しや募集に対する申し込みは極めて少なかったはずだ(応募倍率は1倍をはるかに下回っていたはずだ)、
と推測をすることができます。
その銘柄の売出しや募集に対する申し込みは極めて少なかった(応募倍率は1倍をはるかに下回っていた)という意味において
その銘柄の公開価格は高過ぎた、という言い方ができると思います。
記事の内容に即して言いますと、東証マザーズに21日に上場した自律制御システム研究所の株式に関する売出しや募集への
応募倍率は1倍をはるかに下回っていたはずですので、主幹事証券会社は応募倍率が1倍に近づくように
公開価格を下げなければならなかったはずだ、という言い方ができると思います。
上場初日にストップ安となったという事実の前に、売出しや募集への応募が著しく少なかったという事実があるはずです。
それから、2018年12月19日(水)のコメントで紹介している「ソフトバンク株式の値動き」を見ていただきたいのですが、
値幅制限が「375〜6,000」となっています(少なくとも証券取引システム上はその値幅制限であるという取扱いなのだと思います)。
しかし、2018年12月19日(水)のこの「375〜6,000」という値幅制限は明らかに間違いだと私は思います。
値幅制限の基準価格は、通常は「前日の終値」なのですが、上場初日の場合は(新規上場の場合は)「公開価格」になると思います。
その理由は、「公開価格」は買い手と売り手とが市場内ではないにしても少なくとも公の場で同意をした価格だからです。
上場初日の場合は(新規上場の場合は)、「公開価格」は公の場における直近の「成約価格」(取引成立価格)なのです。
上場初日の2018年12月19日(水)の値幅制限は、「1,500円」を基準価格とした「1,100〜1,900」であるべきだったのです。
上場に合わせた売出しと募集が行われなかった場合は、基準価格もなく値幅制限もない、という考え方・取扱いになると思います。
それから、上場に伴い発行者が直近の決算情報等を開示しなければならないのは、マザーズや福岡証券取引所等でも同じのようです↓。

適時開示情報閲覧サービス(Company Announcements Disclosure Service) (東京証券取引所のTDnet)
「2018年12月21日に開示された情報」




A share price in the market at one day has nothing to do with that at another day.

株式市場におけるある日の株価は、別の日の株価とは関係がありません。


Both a secondary distribution price and a public offering price are
a price to which a seller and a buyer give their consent at least in public, not so far as in the market.

売出価格と募集価格はどちらも、売り手と買い手とが市場内でではないにしても少なくとも公の場で同意をした価格なのです。