2019年1月14日(月)



「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第3章 プライベート・エクイティ・ファイナンスと起業
1. プライベート・エクイティ・ファイナンスの意義
(1) 非公開株式に対する専門家を仲介者とする投資
(2) プライベート・エクイティ・ファイナンスの種類
MBO
事業再生
(3) 資金の出し手から見たプライベート・エクイティ・ファイナンス
「84〜85ページ」 

「86〜87ページ」 

「88〜89ページ」 

 

 


ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った27日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った26日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った25日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った24日前のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

 



「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った23日前のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について考察を行った22日前のコメント↓。

2018年12月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181223.html

 

「会計の人間にとっては非常に大きなインパクトのある出来事が、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定であったのだが、
1948年(昭和23年)の証券取引制度の根本的変更は『証券民主化』という言葉で一般的に表現されている。」、という点と、
「『絶対的な保証』とは、当局が法定書類を作成することである。そうすれば、記載事項に誤記や虚偽は絶対的に生じない。」、
という点について考察を行った21日前のコメント↓。

2018年12月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181224.html

 

「公認会計士制度は、最も元来的には(1948年当時は)『公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。』
という考え方であり、実は会計監査という考え方はなかった。」、という点と、
「監査制度という観点から言えば、証券取引制度は1966年(昭和41年)にも根本的な変更が行われたということになるのだが、
それは『有価証券報告書の作成者が公認会計士から発行者へと変更になった。』という抜本的な変更であった。」、
という点について書いた20日前のコメント↓。

2018年12月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181225.html

 

 



「会計監査の根源的限界は、証憑の確認ができないことである。」という点と、
「1948年の証券取引法の制定は、『当局は証券取引には関与しない。』という意味であるのだから、
1948年の時点で『上場審査』は証券取引所(証券会員制法人)自身が行うようにするべきだったのだ。」
という点について書いた19日前のコメント↓。

2018年12月26日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181226.html

 

「証憑から仕訳を書く。」と書いた18日前のコメント↓。

2018年12月27日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181227.html

 

「当事者であれば証拠はいらない。」と書いた17日前のコメント↓。

2018年12月28日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181228.html

 

「企業統治(コーポレート・ガバナンス)の向上のため、経営を第三者の視点で監視する会社機関を導入することを考えるならば、
『社外取締役』ではなく『監査役』の職務・権限を拡充する旨の会社法の改正が有効なのではないか。」という点と、
「会計用語としての『証憑』は『証拠』という意味合いではなく『伝票』という意味であり、
『伝票・証憑』には"memorandum"(メモ、覚え書き、備忘録)としての役割がある。
そして、会計用語としての『証憑』の英訳は、"evidence"では決してなく、"voucher"や"slip"という単語である。」
と書いた16日前のコメント↓。

2018年12月29日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181229.html

 

 


「米国で第1回公認会計士試験施行されたのは1934年だったのではないか。」という点と、
「『トラッキング・ストック』は、『本源的価値の算定ができない。』という根源的かつ致命的な問題点がある。」、
という点について書いた15日前のコメント↓。

2018年12月30日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181230.html

 

「会社が自社株を買うことは会社の残余財産の分配金額を減少させる。
この重要な財務上のインパクトは、現行の会社法下だけではなく、旧商法下においても当てはまる。」、
という点について書いた14日前のコメント↓。

2018年12月31日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181231.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について その@)
「保有議決権割合の計算は郵便配達とは違う。」と書いた13日前のコメント↓。

2019年1月1日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190101.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのA)
「日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドの発行済普通株式の7%を取得した時点では、
日本郵政株式会社の保有議決権割合は『0.747%〜7%』の間のいずれかの割合であり(他の株主の継続保有年数次第である)、
また、株式取得から4年後の時点では『7%〜42.94%』の間のいずれかの割合である(理由は取得時点の理由と同じ)。」という点と、
「極端な言い方をすれば、アフラック・インコーポレーテッドでは株主の保有議決権割合が株主名簿とは無関係なので、
株主が自分の保有議決権割合を自分で計算するのは事実上不可能である(保有議決権割合が他の株主の継続保有年数に依存する)。」
という点について書いた12日前のコメント↓。

2019年1月2日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190102.html

 

 



(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのB)
「特に海外への出資においては、出資している側が主導権を握って自社の製品や商品を出資先である外国で製造や販売していく、
という関係に出資と事業展開とがあるわけであるが、その一般的な姿とは正反対に、この事例における日本郵政株式会社には、
出資を通じて海外市場へ進出する・事業展開範囲を海外に広めるというシナリオは一切ない。」という点と、
「元来的には、保険会社は保険契約者から預かった保険料を手許に大切に保管しておかなければならなかった。」という点と、
「かの郵政民営化の際には、実は公正取引委員会は競争環境を歪めることを理由に郵便局の民営化に関する審査を行い、
承認するか否かについて十分に吟味しなければならなかったはずだ(公正取引委員会は民営化を差し止めることができたはずだ)。」
という点について書いた11日前のコメント↓。

2019年1月3日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190103.html

 

「日本国内の証券取引所に上場している日本企業は、自社の株主にどんなに外国人投資家が多かろうが、
株主総会招集通知や有価証券報告書や決算短信や適時情報開示を英文で作成する必要は一切ない。」という点と、
「日本の証券取引所とは異なり、現在のミャンマーとラオスとカンボジアの証券取引所における株式上場パターンは
『"Native Listing"or "Pure Territorial Listing"(「本来上場」もしくは「純域内上場」)』である。」
という点について書いた10日前のコメント↓。

2019年1月4日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190104.html

 

「投資家が市場に出す買い注文や売り注文や指値は同質であることが証券制度上の前提である。」
という点について書いた9日前のコメント↓。

2019年1月5日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190105.html

 

「日本企業は、日本会計基準を採用したまま、自社ADRを米国の株式市場に上場させることができる。」という点と、
「現在のミャンマーにおける外資規制の下では、『上場企業』は米国預託証券を発行できないのだが、
『非上場企業』は、ミャンマーの証券制度・証券規制とは全く無関係に、
現時点で米国預託証券を発行して米国市場に上場させることができる」、という点について書いた8日前のコメント↓。

2019年1月6日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190106.html

 

 



「米国預託証券に関して言えば、証券制度上日本における情報開示と米国における情報開示は全く別(両者は関係がない)なので、
米国における情報開示に際しては、日本企業として日本における法定開示書類を英文に翻訳するのではなく、
証券制度上の米国企業として始めから英文の法定開示書類を作成するようにしなければならない。」
という点について書いた7日前のコメント↓。

2019年1月7日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190107.html

 

「実務上も理論上も、日本の当局に提出する書類の監査と米国の当局に提出する書類の監査は全く関係がない独立した別の監査であり、
原株式の証券規制・上場制度とADRの証券規制・上場制度は全く関係がない独立した別の証券制度である。」、
という点について書いた6日前のコメント↓。

2019年1月8日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190108.html

 

「元来的には、監査に関する責任を負うのは監査法人ではなく公認会計士自身である。」、
という点について書いた5日前のコメント↓。

2019年1月9日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190109.html

 

「公認会計士は業務執行には一切関与してはならない(発行者からの独立性を保持しなければならない)という点から言っても、
内部統制の構築は明らかに受託者(取締役)が執行するべき業務の1つである以上、
公認会計士はむしろ内部統制に関しては一切意見表明をしたり判断をしたりはするべきはない。」、という点と、
「文書を書いた本人はその文書を"confirm"(確認)したりはしない。
文書を書いた本人はその文書を"look again"(見直しをする)だけである。」、という点について書いた4日前のコメント↓。

2019年1月10日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190110.html

 

 


「『確認書』にせよ"CERTIFICATION"にせよ、著名された文書に添付する文書としては明らかに『蛇足』である。」
という点について書いた3日前のコメント↓。

2019年1月11日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190111.html

 

「会社法は、株主間における議決権行使についての合意は考慮しない。」という点と、
「金融商品取引法では、投資家保護の観点から、間接保有や共同保有の考え方を広く定義している。」という点と、
「公開買付は市場外で行われるが、株式売渡請求権は株主総会外で行使される。」
という点について書いた一昨日のコメント↓。

2019年1月12日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190112.html

 

「親会社による上場子会社の非公開化と昨今の『マネジメント・バイアウト』とには多くの共通点がある(概念的に非常に近い)。」、
という点について書いた昨日のコメント↓。

2019年1月13日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190113.html

 

 



【コメント】
昨日は、オリックス株式会社が連結子会社である株式会社大京を完全子会社化するという事例を題材にして、
親会社による上場子会社の非公開化と昨今の『マネジメント・バイアウト』とには多くの共通点がある(概念的に非常に近い)、
という点について考察を行いました。
今日は、昨日のコメントに一言だけ追記をしたいのですが、昨日紹介した教科書と同じ教科書から、
「マネジメント・バイアウト」について説明をしてある部分をスキャンして紹介していますので参考にして下さい。
特に87ページには、昨日私が書きました「マネジメント・バイアウト」の問題点が書かれています。
これは「親会社による上場子会社の非公開化とその後の再上場」と共通する問題点になるのですが、
会社の経営者は、市場の投資家よりもはるかに多くの情報を有した状態で会社の非公開化(上場株式の取得)を行い、
そしてその後、市場の投資家よりもはるかに多くの情報を有した状態で会社の再上場(所有株式の売却)を行うのです。
「事業再生」という言葉を隠れ蓑にして会社の経営者が「著しい情報の非対称性」を悪用する、
ということが株式市場で起こらないようにしなければなりません。
会社の経営者が「株式の買い手になりそしてその後その株式の売り手になる」という一連の変遷を鑑みれば、
究極的なことを言えば(絶対的な公平性を求めるならば)、「同一法人の再上場は認めない。」という証券制度しかないと思います。
また、上記の議論とは別の観点からの投資家保護策になりますが、仮に「同一法人の再上場」を制度上所与のこととするならば、
非公開化後も(より正確には、市場における株式の取引が全く行われなくなった後も)、
上場を継続した場合と全く同じ規制を法人に課し続ける(上場しているのと全く同じ状態を保つ義務を証券制度上課する)、
という手法が考えられます(例えば、毎期四半期報告書と有価証券報告書を提出し、適時開示も継続しなければならない、等)。
証券制度は、「ディスクロージャー」(情報開示)によって投資家の利益を保護するものです。
投資家保護の観点から、「事業再生」という言葉を借りた情報の非対称性の悪用を最大限抑止・防止するようにしなければなりません。
この投資家保護策では、非公開化後は、法人は上場維持コストの削減は一切できませんが、
少なくとも投資家からの圧力は避けられるのです(そして、情報の非対称性の悪用は証券制度上最大限抑止できます)。
経営改革や事業再生の障害となり得る短気な投資家からの圧力を避けたいならば、株式の取引そのものを避ければよいわけです。
他の言い方をすれば、自分達が会社の株式の全てを保有するようにすればよいわけです。
しかし同時に、市場の投資家の立場から見れば、情報の断絶のようなことは避けてもらいたいわけです。
ならならば、情報の断絶が起こると、市場の投資家は投資判断ができなくなるからです。
会社の経営者は、経営改革や事業再生を遂行しながら「ディスクロージャー」(情報開示)を行うことは、全くできるわけです。
経営改革や事業再生と「ディスクロージャー」(情報開示)は矛盾しはしない(両者は矛盾する概念のことではない)のです。
この投資家保護策では、市場の投資家は、株式の取引そのものはできないものの、
会社の経営改革や事業再生の進捗具合や達成度を「ディスクロージャー」(情報開示)を通じて知ることができるのです。
「ディスクロージャー」(情報開示)によって投資家の利益を保護するという証券制度における基本概念から言えば、
そういったことが投資家による健全で透明性のある投資判断には求められると私は思います。
株式の取引を行わないこと(株式が非上場の状態にあること)と「ディスクロージャー」(情報開示)ともまた、
矛盾はしない(両者は矛盾する概念のことではない)のです。
特に、株式の将来の再上場が予定されているという状況下では、
非公開化後の「ディスクロージャー」(情報開示)の継続は投資家保護のためには必須のことだと考えなければなりません。
この文脈においては、株式の非公開化は株式の取引を避けることのみ(短気な投資家からの圧力を避けることのみ)が目的なのです。
株式の将来の再上場を予定しているならば、非公開化後も「ディスクロージャー」(情報開示)は継続すべきなのです。
米国預託証券の米国における上場廃止では、一定の条件下では上場廃止後も発行者は米国で「ディスクロージャー」(情報開示)の
継続義務を負うことになるのですが、米国の証券制度(米国預託証券の取り扱い)を参考に考えたわけでは決してありませんが、
株式の将来の再上場が予定されているという状況下では、なおさら「ディスクロージャー」(情報開示)の継続義務を負うべきなのです。

 

 


A "management buy-out" these days should be called, if anything, a "private equity fund buy-out."
Originally, a "private equity fund" invests not in listed shares which are to go private
but in shares which have remained unlisted from the beginnig or since the foundation of a company.
From a viewpoint of the concept "entire fairness," concerning "one and the same juridical person,"
a securities system should not approve the "re-listing" itself.
For, from the view of human nature as fundamentally depraved,
an improper use of the "striking asymmetry on information" threatens to be replaced with the term "business revitalization."
In theory, "business revitalization" can be performed even if shares of a company remain listed in the market.

今日の「マネジメント・バイアウト」は、どちらかと言えば、
「プライベート・エクイティ・ファンド・バイアウト」と呼ぶべきなのです。
元来的には、「プライベート・エクイティ・ファンド」は、非公開化予定の上場株式に投資をするのではなく、
始めからすなわち会社の設立時から未上場のままである株式に投資をするのです。
「完全な公正(entire fairness)」という概念の観点から見れば、「同一の法人」に関しては、
証券制度は「再上場」それ自体を認めるべきではないのです。
というのは、性悪説に立てば、「著しい情報の非対称性」の悪用が「事業再生」という言葉で置き換えられるおそれがあるからです。
理論上は、会社の株式が株式市場に上場したままでも、「事業再生」を遂行することはできるのです。