2018年12月24日(月)

「会計学辞典 第五版」 森田哲彌、宮本匡章 編著 (中央経済社)

「確定決算主義、確定申告」

「有価証券、有価証券報告書、有価証券届出書」




注:
上記のスキャン中の「確定した決算」や「確定決算主義」の意味・解説が間違っています。
「確定した決算」とは、「勘定は最終的に決定している(勘定がその後変更になることは一切ない)。」という意味です。
「確定した決算」(「確定決算主義」)と株主総会による承認や会計監査人による意見表明は全く関係がありません。

 

 



ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った5日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った4日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った3日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

 



「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った一昨日のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った昨日のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について考察を行った昨日のコメント↓。

2018年12月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181223.html

 

 


【コメント】
昨日のコメントでは、「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について
考察を行いました(昨日作成した概念図を参照して下さい)。
「証券取引」の中でも特に「財務局の位置付け」について考察を行いました。
結論を一言で言えば、元来の証券取引制度では財務局は有価証券の取引に全面的に関与する一方、
現行の証券取引制度では財務局は有価証券の取引には一切関与しないのです。
現行の証券取引制度では財務局は有価証券の取引には一切関与しないからこそ、
当時新たに公認会計士制度が設けられたわけです。
会計の人間にとっては非常に大きなインパクトのある出来事が、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定でありました。
昨日作成した概念図を参照していただきたいのですが、1948年(昭和23年)の証券取引制度の根本的変更は、
「証券民主化」という言葉で一般的に表現されています。
「証券民主化」は、言うなれば民主的な国造りの一環であったわけです。
そして、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定と同時に、1948年(昭和23年)に公認会計士法が制定・公布されました。
翌年の1949年(昭和24年)に第1回の公認会計士試験が行われました。
1949年(昭和24年)にかの「企業会計原則」が制定・公表されました。
その頃新しい証券市場の構築が日本で始まってきたわけです。
株式市場に関して言えば、いわゆる「取引所市場」が1948年(昭和23年)に証券制度上廃止になった、と言っていいわけです。
日本の株式市場は、教科書等の説明は実は間違っており、1948年(昭和23年)からは全て「店頭市場」に変更になったのです。
なぜならば、証券投資を行う投資家は1948年(昭和23年)からは全て証券会社の店頭で株式の売買の委託を行うように
制度自体が根本的に変更になったからです。
現行の証券取引制度では、投資家は取引所(立会場)には赴かない、だから、株式市場は「店頭市場」なのです。
証券取引所に株式市場(立会場)はあると言えばあるのでしょうが、
投資家の立場から見ると「株式を売買する場所」はあくまで証券会社の店頭なのです。
現行の証券取引制度では、市場参加者は投資家ではなく証券会社なのです(だから現行の株式市場は全て「店頭市場」)。
それから、上場の可否の審査についてですが、
元来の証券取引制度では上場審査は財務局が行っていた一方、現行の証券取引制度では上場審査は証券取引所が行なっています。
現行の証券取引所は民営(証券会員制法人による運営)なのですが、このこともまた「証券民主化」の一具体例なのです。
そして、有価証券報告書の真正性の保証についてなのですが、
現行の証券取引制度では有価証券報告書の真正性の保証は公認会計士が行っている(このことも「証券民主化」の一具体例)のですが、
元来の証券取引制度では有価証券報告書の真正性の保証は財務局が行っていました。
元来の証券取引制度における有価証券報告書の真正性の保証(財務局による保証)について、昨日は次のように書きました。

>ちょうど、納税者の確定申告の真正性の保証は税務署が行っているように、です。

昨日は、実は、「虚偽記載や誤記載があった場合は有価証券報告書の作成者に刑罰を科する。」という保証方法が頭にありました。
納税者が税務署に提出した確定申告書に虚偽記載や誤記載があった場合は納税者に刑罰が科される(これが保証方法)わけです。
ただ、今日になって、より直接的でしかも絶対的な保証方法があること気付きまして、それは「賦課課税制度」の証券制度版です。
「財務局の職員が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。」、これが理論上の有価証券報告書の作成方法だと思いました。

「『絶対的な保証』とは、当局が法定書類を作成することである。そうすれば、記載事項に誤記や虚偽は絶対的に生じない。」


 


A domestic corporation must file a return, on the basis of a final settlement of accounts,
to a district director of a tax office, within two months after a day following the last day of each business year.

内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、
確定した決算に基づき申告書を提出しなければならない。

 

What you call "final settlement of accounts" ("Kakuteishita Kessan" in Japanese) means
"With reference to accounts, contents of contracts and obligations are finally settled."
or "With reference to accounts, negociations on contracts and obligations are completely finalized."
or "With reference to accounts, decisions about contracts and obligations are never subject to change afterward."
To put it simply, "Accounts are finally settled or completely finalized or never subject to change afterward."

いわゆる"final settlement of accounts"(日本語では「確定した決算」)とは、
「勘定に関して、契約や債権債務関係の内容は最終的に決定している。」という意味であったり、
「勘定に関して、契約や債権債務関係についての交渉は完全に終了している。」という意味であったり、
「勘定に関して、契約や債権債務関係についての意思決定はその後決して変更になることはない。」という意味なのです。
簡単に言えば、「勘定は最終的に決定しており、完全に終了しており、その後決して変更になることはない。」という意味なのです。

 

There are only two ways
a government guarantees the trueness of items mentioned in a legal document submitted by a person to the authorities.
The first way is that the authorities themselves prepare a legal document.
And the second way is that the authorities impose a penalty upon a person for a misentry in a legal document.
The first way is a direct guarantee and the items mentioned are always absolutely true,
but, in practice, it is can not be executed in real life in some fields.
And the second way is an indirect guarantee and the items mentioned are not so far as always absolutely true,
but, in practice, it is can be executed in real life in any field, and it actually is.

人が当局に提出をする法定書類に記載される事項の真正性を政府が保証する方法は2つしかありません。
第一の方法は、当局自身が法定書類を作成することです。
そして第二の方法は、法定書類の誤記載について当局が人に刑罰を科することです。
第一の方法は、直接的な保証であり、その記載事項は常に絶対的に真正です。
しかし、実務上は、いくつかの分野では現実には第一の方法は実施ができません。
第二の方法は、間接的な保証であり、その記載事項は常に絶対的に真正であるというわけではありません。
しかし、実務上は、第二の方法はどの分野でも現実に実施ができますし、そして実際に実施されています。