2018年12月23日(日)



2018年12月22日(土)日本経済新聞
レオス上場延期 みずほ証券が問題指摘 藤野社長「納得できない」
(記事)





2018年12月22日(土)日本経済新聞
テノHD上場 公開価格上回る 社長「九州・東京両輪で」
(記事)


 

株式会社テノ.ホールディングスの上場の承認の取消しについて書いた時のコメント↓。

2018年11月28日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181128.html

 

「1948年以降の株式市場は取引所市場ではなく実は全てが店頭市場であった。」、という点について書いた時のコメント↓。

2018年11月29日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181129.html

 

 



「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第2章 上場制度と発行開示
2. 取引所の上場制度
(1) 上場基準と上場審査
上場審査
【有価証券報告書「Uの部」】
新規公開における価格決定
「65ページ」 

「66〜67ページ」 

「68〜69ページ」 

 

 


ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った5日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った4日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った3日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った一昨日のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った昨日のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

 



【コメント】
紹介している2018年12月22日(土)付けの日本経済新聞の記事(レオス・キャピタルワークスの上場延期について)を題材にして、
また、スキャンして紹介している金融商品取引法の教科書を題材にして、一言だけコメントを書きたいと思います。
記事には、次のように書かれています。

>上場する企業に問題がある場合、投資家を保護するため主幹事証券は上場の延期や取りやめを決めることができる。

この点についてなのですが、正確に言えば、証券会社(主幹事証券会社)が上場の審査や承認をするということは一切ありません。
「上場」と「売出し」や「募集」とは証券制度上は関係がないのです。
証券会社(主幹事証券会社)が発行者のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について問題視しているというのなら、
「売出し」と「募集」は実施しないままレオス・キャピタルワークスは株式の上場だけを行えばよいのです。
証券取引所から受ける上場審査と証券会社(主幹事証券会社)から受ける引受審査は、証券制度上全く別の審査なのです。
証券会社からは、簡単に言えば「投資家保護の観点から『売出し』や『募集』の業務を請け負えない(引受業務を遂行できない)。」
という旨の連絡が発行者にあったということなのだと思います。
そうしますと、証券制度上発行者や既存株主は「募集」と「売出し」を行えない、ということになります。
しかしそれでも、「上場」と「売出し」や「募集」とは証券制度上は関係がないので、発行者は上場を行うことはできます。
スキャンして紹介している金融商品取引法の教科書には、企業の新規上場に際してはほぼ必ず募集または売出しが行われるため、
新規上場においては証券会社による引受審査は証券取引所による上場審査よりも重要である、と説明されていますが、
レオス・キャピタルワークスの上場延期の事例がよい理解のヒントになると思うのですが、
実は証券会社による引受審査と証券取引所による上場審査とお互いに全く関係がない別々の審査なのです。
次に、21日に新規上場を行った株式会社テノ.ホールディングスの初値が公開価格を25%も上回った、という事例についてなのですが、
売出しや募集への応募倍率が非常に高かった(応募倍率が何倍もあった)、ということを意味しているのではないかと思います。
主幹事証券会社は、応募倍率が1倍に最も近づく公開価格を決定すべきであったと思います。
また、現行の売出しと募集の制度では、公開価格よりも高い価格で株式を購入する意向がある投資家の考えは度外視されてしまいます。
つまり、現行の売出しと募集の制度では、より高い価格で株式を購入する意向がある投資家が株式を購入できるとは限らない、
という問題点があります(そしてその分、既存株主の売却益は小さくなり発行者の資金調達額は少なくなるのです)。
より高い価格で株式を購入することを申し出た投資家が株式を買えるような制度が求められるように個人的には思います。
それから、2018年11月29日(木)のコメントでは、「1948年以降の株式市場は取引所市場ではなく実は全てが店頭市場であった。」、
という点についてコメントを書いたわけですが、「Historical transition of the stock market.(株式市場の歴史的変遷)」
という概念図を描きました(概念図を描き、元来・戦前の株式市場と戦後の株式市場の相違点について考察を行いました)。
2018年11月29日(木)に描きましたこの概念図を「証券取引」(特に財務局の位置付けについて)の観点から精緻化してみました。

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)」

結論を一言で言えば、元来の証券取引制度では財務局は有価証券の取引に全面的に関与する一方、
現行の証券取引制度では財務局は有価証券の取引には一切関与しないのです(だから新たに公認会計士制度が設けられたのです)。
元来の証券取引制度では上場審査は財務局が行っていた一方、現行の証券取引制度では上場審査は証券取引所が行なっています。
現行の証券取引制度では有価証券報告書の真正性の保証は公認会計士が行っているのですが、
元来の証券取引制度では有価証券報告書の真正性の保証は財務局が行っていたのです。
ちょうど、納税者の確定申告の真正性の保証は税務署が行っているように、です。

 

 



An issuer can get listed in a securities exchange
even if it goes without a "secondary distribution" nor "public offering."

「売出し」や「募集」なしでも発行者は証券取引所に上場することができます。

 


In the current securities system (concerning a secondary distribution and public offering),
an investor who wants to buy the shares at 1,600 yen can't buy them at all.

現行の証券制度(売出しと募集に関して)においては、
株式を1,600円で買いたいと考えている投資家が1株も買えないことがあるのです。

 


In practice, to put it simply, a "subscription ratio" is the most critical.

実務上は、簡単に言えば、「応募倍率」が最も重要なのです。

 

 


A managing financial instruments business operator for underwriting
virtually judges whether an issuer meets the listing standards or not.
Or rather, after all, the mention above is wrong.
It is a securities exchange that judges whether an issuer meets the listing standards or not.
For a "secondary distribution" or "public offering" doesn't always go with every listing case.
An issuer can get listed in a securities exchange
even if no financial instruments business operator supports nor advises the issuer concerning the listing, actually.
A financial instruments business operator doesn't judge whether an issuer meets the listing standards or not at all.

発行者が上場基準を満たしてるか否かについては、引受幹事金融商品取引業者が実質的に審査をするのです。
というよりも、やはり、上記の記述は間違いです。
発行者が上場基準を満たしてるか否かについて審査をするのは、証券取引所です。
というのは、「売出し」や「募集」は全ての上場事例に伴うものとは限らないからです。
たとえ上場に関して発行者に支援や助言を行う金融商品取引業者が一切いなくても、
実は発行者は証券取引所に上場することができるのです。
金融商品取引業者は、発行者が上場基準を満たしてるか否かについて審査したりは一切しないのです。

 


The current securities system involves an independent party called a Certified Public Accountant
because a Local Financial Bureau isn't involved in an exchange of securities at all.
A Local Financial Bureau used to be involved in an exchange of securities comprehensively.
A Local Financial Bureau used to manage an exchange directly,
whereas, by now, a Local Financial Bureau has nothing to do with an exchage at all.

現行の証券制度では、公認会計士と呼ばれる独立した人物が必要なのです。
なぜならば、財務局は有価証券の取引に一切関与しないからです。
財務局はかつては有価証券の取引に全面的に関与していたものです。
財務局は、かつては取引所を直接的に運営していたのですが、今では証券取引所とは一切関係がないのです。