2019年1月18日(金)



「監査論の基礎知識 五訂版」 石田 三郎 編著 (東京経済情報出版)

第12章 実証テストと監査手続の完結
第1節 実証テストの実施
2 監査実施過程の分析的手続
(1) 実証テストとしての分析的手続と発見リスク
(2) 分析手続の有効性と効率性の評価基準
(3) 重要な差異の調査と評価
「148〜149ページ」 

「150〜151ページ」 

「152〜153ページ」 

 

 

監査基準委員会報告書520「分析的手続」 平成23年12月22日
日本公認会計士協会
監査基準委員会
ttps://jicpa.or.jp/specialized_field/files/2-24-520-2-20111125.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 


ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った31日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った30日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った29日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った28日前のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

 



「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った27日前のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について考察を行った26日前のコメント↓。

2018年12月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181223.html

 

「会計の人間にとっては非常に大きなインパクトのある出来事が、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定であったのだが、
1948年(昭和23年)の証券取引制度の根本的変更は『証券民主化』という言葉で一般的に表現されている。」、という点と、
「『絶対的な保証』とは、当局が法定書類を作成することである。そうすれば、記載事項に誤記や虚偽は絶対的に生じない。」、
という点について考察を行った25日前のコメント↓。

2018年12月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181224.html

 

「公認会計士制度は、最も元来的には(1948年当時は)『公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。』
という考え方であり、実は会計監査という考え方はなかった。」、という点と、
「監査制度という観点から言えば、証券取引制度は1966年(昭和41年)にも根本的な変更が行われたということになるのだが、
それは『有価証券報告書の作成者が公認会計士から発行者へと変更になった。』という抜本的な変更であった。」、
という点について書いた24日前のコメント↓。

2018年12月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181225.html

 

 



「会計監査の根源的限界は、証憑の確認ができないことである。」という点と、
「1948年の証券取引法の制定は、『当局は証券取引には関与しない。』という意味であるのだから、
1948年の時点で『上場審査』は証券取引所(証券会員制法人)自身が行うようにするべきだったのだ。」
という点について書いた23日前のコメント↓。

2018年12月26日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181226.html

 

「証憑から仕訳を書く。」と書いた22日前のコメント↓。

2018年12月27日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181227.html

 

「当事者であれば証拠はいらない。」と書いた21日前のコメント↓。

2018年12月28日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181228.html

 

「企業統治(コーポレート・ガバナンス)の向上のため、経営を第三者の視点で監視する会社機関を導入することを考えるならば、
『社外取締役』ではなく『監査役』の職務・権限を拡充する旨の会社法の改正が有効なのではないか。」という点と、
「会計用語としての『証憑』は『証拠』という意味合いではなく『伝票』という意味であり、
『伝票・証憑』には"memorandum"(メモ、覚え書き、備忘録)としての役割がある。
そして、会計用語としての『証憑』の英訳は、"evidence"では決してなく、"voucher"や"slip"という単語である。」
と書いた20日前のコメント↓。

2018年12月29日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181229.html

 

 


「米国で第1回公認会計士試験施行されたのは1934年だったのではないか。」という点と、
「『トラッキング・ストック』は、『本源的価値の算定ができない。』という根源的かつ致命的な問題点がある。」、
という点について書いた19日前のコメント↓。

2018年12月30日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181230.html

 

「会社が自社株を買うことは会社の残余財産の分配金額を減少させる。
この重要な財務上のインパクトは、現行の会社法下だけではなく、旧商法下においても当てはまる。」、
という点について書いた18日前のコメント↓。

2018年12月31日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181231.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について その@)
「保有議決権割合の計算は郵便配達とは違う。」と書いた17日前のコメント↓。

2019年1月1日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190101.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのA)
「日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドの発行済普通株式の7%を取得した時点では、
日本郵政株式会社の保有議決権割合は『0.747%〜7%』の間のいずれかの割合であり(他の株主の継続保有年数次第である)、
また、株式取得から4年後の時点では『7%〜42.94%』の間のいずれかの割合である(理由は取得時点の理由と同じ)。」という点と、
「極端な言い方をすれば、アフラック・インコーポレーテッドでは株主の保有議決権割合が株主名簿とは無関係なので、
株主が自分の保有議決権割合を自分で計算するのは事実上不可能である(保有議決権割合が他の株主の継続保有年数に依存する)。」
という点について書いた16日前のコメント↓。

2019年1月2日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190102.html

 

 



(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのB)
「特に海外への出資においては、出資している側が主導権を握って自社の製品や商品を出資先である外国で製造や販売していく、
という関係に出資と事業展開とがあるわけであるが、その一般的な姿とは正反対に、この事例における日本郵政株式会社には、
出資を通じて海外市場へ進出する・事業展開範囲を海外に広めるというシナリオは一切ない。」という点と、
「元来的には、保険会社は保険契約者から預かった保険料を手許に大切に保管しておかなければならなかった。」という点と、
「かの郵政民営化の際には、実は公正取引委員会は競争環境を歪めることを理由に郵便局の民営化に関する審査を行い、
承認するか否かについて十分に吟味しなければならなかったはずだ(公正取引委員会は民営化を差し止めることができたはずだ)。」
という点について書いた15日前のコメント↓。

2019年1月3日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190103.html

 

「日本国内の証券取引所に上場している日本企業は、自社の株主にどんなに外国人投資家が多かろうが、
株主総会招集通知や有価証券報告書や決算短信や適時情報開示を英文で作成する必要は一切ない。」という点と、
「日本の証券取引所とは異なり、現在のミャンマーとラオスとカンボジアの証券取引所における株式上場パターンは
『"Native Listing"or "Pure Territorial Listing"(「本来上場」もしくは「純域内上場」)』である。」
という点について書いた14日前のコメント↓。

2019年1月4日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190104.html

 

「投資家が市場に出す買い注文や売り注文や指値は同質であることが証券制度上の前提である。」
という点について書いた13日前のコメント↓。

2019年1月5日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190105.html

 

「日本企業は、日本会計基準を採用したまま、自社ADRを米国の株式市場に上場させることができる。」という点と、
「現在のミャンマーにおける外資規制の下では、『上場企業』は米国預託証券を発行できないのだが、
『非上場企業』は、ミャンマーの証券制度・証券規制とは全く無関係に、
現時点で米国預託証券を発行して米国市場に上場させることができる」、という点について書いた12日前のコメント↓。

2019年1月6日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190106.html

 

 



「米国預託証券に関して言えば、証券制度上日本における情報開示と米国における情報開示は全く別(両者は関係がない)なので、
米国における情報開示に際しては、日本企業として日本における法定開示書類を英文に翻訳するのではなく、
証券制度上の米国企業として始めから英文の法定開示書類を作成するようにしなければならない。」
という点について書いた11日前のコメント↓。

2019年1月7日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190107.html

 

「実務上も理論上も、日本の当局に提出する書類の監査と米国の当局に提出する書類の監査は全く関係がない独立した別の監査であり、
原株式の証券規制・上場制度とADRの証券規制・上場制度は全く関係がない独立した別の証券制度である。」、
という点について書いた10日前のコメント↓。

2019年1月8日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190108.html

 

「元来的には、監査に関する責任を負うのは監査法人ではなく公認会計士自身である。」、
という点について書いた9日前のコメント↓。

2019年1月9日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190109.html

 

「公認会計士は業務執行には一切関与してはならない(発行者からの独立性を保持しなければならない)という点から言っても、
内部統制の構築は明らかに受託者(取締役)が執行するべき業務の1つである以上、
公認会計士はむしろ内部統制に関しては一切意見表明をしたり判断をしたりはするべきはない。」、という点と、
「文書を書いた本人はその文書を"confirm"(確認)したりはしない。
文書を書いた本人はその文書を"look again"(見直しをする)だけである。」、という点について書いた8日前のコメント↓。

2019年1月10日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190110.html

 

 


「『確認書』にせよ"CERTIFICATION"にせよ、著名された文書に添付する文書としては明らかに『蛇足』である。」
という点について書いた7日前のコメント↓。

2019年1月11日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190111.html

 

「会社法は、株主間における議決権行使についての合意は考慮しない。」という点と、
「金融商品取引法では、投資家保護の観点から、間接保有や共同保有の考え方を広く定義している。」という点と、
「公開買付は市場外で行われるが、株式売渡請求権は株主総会外で行使される。」
という点について書いた6日前のコメント↓。

2019年1月12日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190112.html

 

「親会社による上場子会社の非公開化と昨今の『マネジメント・バイアウト』とには多くの共通点がある(概念的に非常に近い)。」、
という点について書いた5日前のコメント↓。

2019年1月13日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190113.html

 

「株式の将来の再上場が予定されているという状況下では、
会社は非公開化後も『ディスクロージャー』(情報開示)の継続義務を負うべきである。」、
という点について書いた4日前のコメント↓。

2019年1月14日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190114.html

 

 



「理論的には、証券制度は『新規上場』も『上場廃止』も前提とはしていない。」
という点について書いた3日前のコメント↓。

2019年1月15日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190115.html

 

「2種類の情報の中で、『A経済主体がおかれた特定の立場における経験や学習を通じて排他的に入手されるもの(私的情報)』
を起因として『情報の非対称性』が発生するだが、この『情報の非対称性』は本質的に解消することができない。
その理由は、『私的情報』はそもそもどのような手段を用いても他人に伝達することができない類の情報だからである。」
という点について書いた一昨日のコメント↓。

2019年1月16日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190116.html

 

「訂正を行うことのメリットは上場廃止を行うことのメリットよりも大きい。」という点と、
「会計監査というのは、『確認』か何かではなく、どちらかと言えば、いわゆる『分析的手続』に主に依拠するべきである。」
という点について書いた昨日のコメント↓。

2019年1月17日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190117.html

 

 



【コメント】
監査論の教科書をスキャンして紹介し、昨日のコメントに一言だけ追記をしたいと思います。
昨日紹介した2018年12月12日(水)付けの日本経済新聞の記事には、次のように書かれています。

>韓国金融当局から2015年の会計処理が「粉飾」だったと認定されたバイオ医薬品受託製造大手のサムスンバイオロジクスについて、
>韓国取引所は不正な会計処理が上場廃止に該当するかを審査し、上場を維持する決定を下した。
>過去の大手企業の粉飾問題で問題企業が上場廃止を免れた前提を踏襲したとみられる。

日本では、「粉飾決算を行った=上場廃止」というイメージがあると思います。
例えば、昨日紹介しました教科書「ゼミナール 金融商品取引法」中の東京証券取引所の上場廃止基準には、次のように書かれています。

>有価証券報告書等に「虚偽記載」を行った場合で、その影響が重大であると当取引所が認めたとき

確かにこの上場廃止基準を見ますと、基本的には「粉飾決算を行った=上場廃止」という定めになっているわけです。
しかし、より重要なことは、投資家の利益を保護することなのです。
上場廃止が死刑宣告に等しいのは、発行者にとってではなく、実は投資家にとってなのです。
なぜならば、発行者は上場する前は紛れもなく非上場企業であった一方、
市場の投資家は非上場株式の売買を行ったことなど一度もない(そして事実上非上場株式の売買は行うことができない)からです。
株式が上場廃止(株式の状態としては"go private")になった場合、発行者は"go back"(元の状態へ戻る)で済むのですが、
市場の投資家は事と次第によっては"go bankrupt"(破産する)になりかねないのです。
もちろん発行者が粉飾発覚後も有価証券報告書等を迅速に訂正しないといった場合は上場廃止もやむを得ませんが、
有価証券報告書等が迅速に訂正がなされる場合はむしろ上場を維持した方が投資家保護の趣旨に適うのです。
「投資家が投資判断を行う真正で公正な根拠は今現在あるのか否か?」という観点から、上場維持の可否を論じるべきなのです。
有価証券報告書等に「虚偽記載」があったことに関しては、発行者の経営者に一定の刑罰を科するようにするべきなのです。
発行者の株式を上場廃止にしても、「虚偽記載」の抑止・未然防止にはなりませんし、投資家の利益は何ら保護されないのです。
それから昨日は、「会計学辞典 第五版」から「分析的手続」の説明をスキャンして紹介しました。
「分析的手続」は日本では監査上の取り扱いが非常に小さい(重要な手続きであると見なされていない)のですが、
「分析的手続」は例えば米国では監査上極めて重要であると位置付けられていますし、
また、監査論の教科書にも詳細に記載があります(以前、実際に米国の監査論の教科書を見せられたことがあります)。
それから、関連する論点になりますが、
例えば「実査」は(監査制度導入以前の)公認会計士自身が財務諸表を作成する場合の手続きであるように思います。
この点は例えば「証憑突合」も「帳簿突合」も全く同様だと思います。
つまり、どの技術も本来的には実は"second look"(「見直し」)の意味合いしかないと思います。
現行の監査制度では、公認会計士は真の意味の「実査」は行えないと思います。
現金の銀行預金の残高の確認はできるかもしれませんが(銀行が残高証明を行ってくれるはずです)、
会社にある現金とは銀行の口座にある現金だけとは限りません。
公認会計士が実際に会社の金庫を自分の目で見て確認をしたところで、性悪説に立てば何の立会にも確認にもなっていないのです。
倉庫として使われている会社のバックヤード(裏庭)までたとえ公認会計士が監査のために実際に赴いても("go backyard")、
万一証憑そのものに虚偽があった場合は、市場の投資家の"go bankrupt"(破産する)は避けられないのです。

 


The purpose of an "analytical procedure" is detecting falsehoods hidden in vouchers.
I understand that, in the States, students are taught
that the center of an accounting audit is an "analytical procedure."
Even the audit procedure called the "detailed test concerning transactions and balances"
can't confirm transaction records, actually.

「分析的手続」の目的は、証憑に隠されている嘘を発見することなのです。
例えば、米国では学生達は会計監査の中心は「分析的手続」であると教わる、と聞いています。
「取引および残高に関する詳細テスト」と呼ばれる監査手続を行っても、取引記録が正しいことの確認は実はできないのです。

 


It is true that the event "delisting" is very impressive,
but notice that it doesn't lead to the "investor protection" at all.

「上場廃止」という事象が非常に大きな印象を与えるというのは確かですが、
「上場廃止」では「投資家保護」に全くつながらないということを分かって下さい。

 


All things considered, a certified public accountant should be not an auditor but an "insider" from the beginning.

やはり、公認会計士は監査人ではなく始めから「内部者」でなければならないのです。

 


I understand that any certified public accountant in Japan who doesn't know my name is a fraud.

日本の公認会計士で私の名前を知らない人はもぐりであると聞いています。