2019年1月11日(金)


「会計学辞典 第五版」 森田哲彌、宮本匡章 編著 (中央経済社)


「確認」 ("confirmation")

「経営者による確認書」 ("management representations")

「確認書」 ("letter of confirmation")




 

INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION の Form 10-K の「経営者からの確認書」に該当する部分↓


CERTIFICATION PURSUANT TO RULE 13A-14(a)/15D-14(a) OF THE SECURITIES EXCHANGE ACT OF 1934,
AS ADOPTED PURSUANT TO SECTION 302 OF THE SARBANES-OXLEY ACT OF 2002
ttps://www.sec.gov/Archives/edgar/data/51143/000104746918001117/a2233835zex-31_1.htm

CERTIFICATION PURSUANT TO RULE 13A-14(a)/15D-14(a) OF THE SECURITIES EXCHANGE ACT OF 1934,
AS ADOPTED PURSUANT TO SECTION 302 OF THE SARBANES-OXLEY ACT OF 2002
ttps://www.sec.gov/Archives/edgar/data/51143/000104746918001117/a2233835zex-31_2.htm

CERTIFICATION PURSUANT TO 18 U.S.C. SECTION 1350,
AS ADOPTED PURSUANT TO SECTION 906 OF THE SARBANES-OXLEY ACT OF 2002
ttps://www.sec.gov/Archives/edgar/data/51143/000104746918001117/a2233835zex-32_1.htm

CERTIFICATION PURSUANT TO 18 U.S.C. SECTION 1350,
AS ADOPTED PURSUANT TO SECTION 906 OF THE SARBANES-OXLEY ACT OF 2002
ttps://www.sec.gov/Archives/edgar/data/51143/000104746918001117/a2233835zex-32_2.htm

 

 



ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、有価証券の上場には4つのパターンがあるという資料を作成し、
「『米国預託証券』を通じた米国市場への上場を除いた、現在行われている外国市場への上場は全て純粋に域外上場である。」
という点について考察を行った24日前のコメント↓。

2018年12月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181218.html

 

「『売出し』や『募集』に申し込みをする投資家と株式市場で株式の取引をする投資家との間に情報格差があってはならない。」、
という点について考察を行った23日前のコメント↓。

2018年12月19日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181219.html

 

「現行の『売出し』と『募集』の制度(手続き、引受人の決定方法とその時の引受価格の決定方法)を所与のこととするならば、
『応募倍率』がちょうど『1倍』になる時、売出人の売却益と発行者の資金調達額は最大化される。」、
という点について考察を行った22日前のコメント↓。

2018年12月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181220.html

 

「証券会社が投資家から受け取るいわゆる取引手数料(株式売買委託手数料)は、
理論的には、価額(約定代金)ではなく株式数(売買株式数、最も典型的には単元数)に基づいて算定するべきである。」、
という点について考察を行った21日前のコメント↓。

2018年12月21日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181221.html

 

 



「『売出し』や『募集』への応募倍率が『公開価格』の高低の指標である。」、という点について指摘を行った20日前のコメント↓。

2018年12月22日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181222.html

 

「元来の証券取引制度(1893年〜1945年)と現行の証券取引制度(1948年〜)の相違点」について考察を行った19日前のコメント↓。

2018年12月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181223.html

 

「会計の人間にとっては非常に大きなインパクトのある出来事が、1948年(昭和23年)の証券取引法の制定であったのだが、
1948年(昭和23年)の証券取引制度の根本的変更は『証券民主化』という言葉で一般的に表現されている。」、という点と、
「『絶対的な保証』とは、当局が法定書類を作成することである。そうすれば、記載事項に誤記や虚偽は絶対的に生じない。」、
という点について考察を行った18日前のコメント↓。

2018年12月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181224.html

 

「公認会計士制度は、最も元来的には(1948年当時は)『公認会計士が発行者に常駐して有価証券報告書を作成する。』
という考え方であり、実は会計監査という考え方はなかった。」、という点と、
「監査制度という観点から言えば、証券取引制度は1966年(昭和41年)にも根本的な変更が行われたということになるのだが、
それは『有価証券報告書の作成者が公認会計士から発行者へと変更になった。』という抜本的な変更であった。」、
という点について書いた17日前のコメント↓。

2018年12月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181225.html

 

 



「会計監査の根源的限界は、証憑の確認ができないことである。」という点と、
「1948年の証券取引法の制定は、『当局は証券取引には関与しない。』という意味であるのだから、
1948年の時点で『上場審査』は証券取引所(証券会員制法人)自身が行うようにするべきだったのだ。」
という点について書いた16日前のコメント↓。

2018年12月26日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181226.html

 

「証憑から仕訳を書く。」と書いた15日前のコメント↓。

2018年12月27日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181227.html

 

「当事者であれば証拠はいらない。」と書いた14日前のコメント↓。

2018年12月28日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181228.html

 

「企業統治(コーポレート・ガバナンス)の向上のため、経営を第三者の視点で監視する会社機関を導入することを考えるならば、
『社外取締役』ではなく『監査役』の職務・権限を拡充する旨の会社法の改正が有効なのではないか。」という点と、
「会計用語としての『証憑』は『証拠』という意味合いではなく『伝票』という意味であり、
『伝票・証憑』には"memorandum"(メモ、覚え書き、備忘録)としての役割がある。
そして、会計用語としての『証憑』の英訳は、"evidence"では決してなく、"voucher"や"slip"という単語である。」
と書いた13日前のコメント↓。

2018年12月29日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181229.html

 

 


「米国で第1回公認会計士試験施行されたのは1934年だったのではないか。」という点と、
「『トラッキング・ストック』は、『本源的価値の算定ができない。』という根源的かつ致命的な問題点がある。」、
という点について書いた12日前のコメント↓。

2018年12月30日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181230.html

 

「会社が自社株を買うことは会社の残余財産の分配金額を減少させる。
この重要な財務上のインパクトは、現行の会社法下だけではなく、旧商法下においても当てはまる。」、
という点について書いた11日前のコメント↓。

2018年12月31日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201812/20181231.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について その@)
「保有議決権割合の計算は郵便配達とは違う。」と書いた10日前のコメント↓。

2019年1月1日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190101.html

 

(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのA)
「日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドの発行済普通株式の7%を取得した時点では、
日本郵政株式会社の保有議決権割合は『0.747%〜7%』の間のいずれかの割合であり(他の株主の継続保有年数次第である)、
また、株式取得から4年後の時点では『7%〜42.94%』の間のいずれかの割合である(理由は取得時点の理由と同じ)。」という点と、
「極端な言い方をすれば、アフラック・インコーポレーテッドでは株主の保有議決権割合が株主名簿とは無関係なので、
株主が自分の保有議決権割合を自分で計算するのは事実上不可能である(保有議決権割合が他の株主の継続保有年数に依存する)。」
という点について書いた9日前のコメント↓。

2019年1月2日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190102.html

 

 



(日本郵政株式会社がアフラック・インコーポレーテッドに出資をするという事例について そのB)
「特に海外への出資においては、出資している側が主導権を握って自社の製品や商品を出資先である外国で製造や販売していく、
という関係に出資と事業展開とがあるわけであるが、その一般的な姿とは正反対に、この事例における日本郵政株式会社には、
出資を通じて海外市場へ進出する・事業展開範囲を海外に広めるというシナリオは一切ない。」という点と、
「元来的には、保険会社は保険契約者から預かった保険料を手許に大切に保管しておかなければならなかった。」という点と、
「かの郵政民営化の際には、実は公正取引委員会は競争環境を歪めることを理由に郵便局の民営化に関する審査を行い、
承認するか否かについて十分に吟味しなければならなかったはずだ(公正取引委員会は民営化を差し止めることができたはずだ)。」
という点について書いた8日前のコメント↓。

2019年1月3日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190103.html

 

「日本国内の証券取引所に上場している日本企業は、自社の株主にどんなに外国人投資家が多かろうが、
株主総会招集通知や有価証券報告書や決算短信や適時情報開示を英文で作成する必要は一切ない。」という点と、
「日本の証券取引所とは異なり、現在のミャンマーとラオスとカンボジアの証券取引所における株式上場パターンは
『"Native Listing"or "Pure Territorial Listing"(「本来上場」もしくは「純域内上場」)』である。」
という点について書いた7日前のコメント↓。

2019年1月4日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190104.html

 

「投資家が市場に出す買い注文や売り注文や指値は同質であることが証券制度上の前提である。」
という点について書いた6日前のコメント↓。

2019年1月5日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190105.html

 

「日本企業は、日本会計基準を採用したまま、自社ADRを米国の株式市場に上場させることができる。」という点と、
「現在のミャンマーにおける外資規制の下では、『上場企業』は米国預託証券を発行できないのだが、
『非上場企業』は、ミャンマーの証券制度・証券規制とは全く無関係に、
現時点で米国預託証券を発行して米国市場に上場させることができる」、という点について書いた5日前のコメント↓。

2019年1月6日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190106.html

 

 



「米国預託証券に関して言えば、証券制度上日本における情報開示と米国における情報開示は全く別(両者は関係がない)なので、
米国における情報開示に際しては、日本企業として日本における法定開示書類を英文に翻訳するのではなく、
証券制度上の米国企業として始めから英文の法定開示書類を作成するようにしなければならない。」
という点について書いた4日前のコメント↓。

2019年1月7日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190107.html

 

「実務上も理論上も、日本の当局に提出する書類の監査と米国の当局に提出する書類の監査は全く関係がない独立した別の監査であり、
原株式の証券規制・上場制度とADRの証券規制・上場制度は全く関係がない独立した別の証券制度である。」、
という点について書いた3日前のコメント↓。

2019年1月8日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190108.html

 

「元来的には、監査に関する責任を負うのは監査法人ではなく公認会計士自身である。」、
という点について書いた一昨日のコメント↓。

2019年1月9日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190109.html

 

「公認会計士は業務執行には一切関与してはならない(発行者からの独立性を保持しなければならない)という点から言っても、
内部統制の構築は明らかに受託者(取締役)が執行するべき業務の1つである以上、
公認会計士はむしろ内部統制に関しては一切意見表明をしたり判断をしたりはするべきはない。」、という点と、
「文書を書いた本人はその文書を"confirm"(確認)したりはしない。
文書を書いた本人はその文書を"look again"(見直しをする)だけである。」、という点について書いた昨日のコメント↓。

2019年1月10日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201901/20190110.html

 

 


【コメント】
昨日は、発行者が過年度に当局に提出をした内部統制報告書を訂正する事例が急増している、という記事を題材にして、
経営者による内部統制の構築や公認会計士による内部統制監査について考察を行いました。
考察を行っていく中で、「内部統制の状況(有効性)について公認会計士が何か判断をするというのは根本的に間違っている。」、
という点に気が付きました。
なぜならば、内部統制の状況(有効性)について公認会計士が何か判断をするというのは、
公認会計士が受託者(取締役)の業務執行そのものに物申していることになるからです。
公認会計士が物申してよいのは、業務執行の「結果」に関してだけなのです。
より正確に言えば、公認会計士が物申してよいのは、業務執行の「結果」の表示が適正であるか否かに関してだけなのです。
公認会計士は業務執行には一切関与してはならない(発行者からの独立性を保持しなければならない)のです。
公認会計士は業務執行には一切関与しないということが、公認会計士は発行者から独立しているということだと思います。
内部統制の構築は明らかに受託者(取締役)が執行するべき業務の1つである以上、一般的な理解とは正反対に、
公認会計士はむしろ内部統制に関して一切意見表明をしたり判断をしたりはしてはならないのです。
それから、昨日は英単語"confirm"(確認する)について一言だけ書きました。
昨日も書いたことですが、文書を書いた本人はその文書を"confirm"(確認)したりはしないのです。
文書を書いた本人はその文書を"look again"(見直しをする)だけなのです。
英語の"confirm"は、「相手方に確認をする」という意味なのです。
自分が書いた文書に誤字脱字がないか確認をするという場面がありますが、
その場合の確認するは英語では"look again"や"take a second look"という表現になります。
自分が書いた文書に誤字脱字がないか確認をするという場合に"confirm"という表現は用いません。
その意味では、有価証券報告書に添付される「確認書」を"letter of confirmation"と英訳するのは間違いなのです。
例えば、金融商品取引法の公式英訳では、有価証券報告書に添付される「確認書」は"Confirmation Letter"と訳されています。
しかし、昨日も書きましたように、有価証券報告書は経営者自身が執筆をする(作成をする)のです。
したがって、私訳になりますが、有価証券報告書に添付される「確認書」は、"letter of a second look"と英訳すべきなのです。
「私は数値の間違いや誤字脱字がないか見直しまでしました。」、という経営者からの宣言書だと思えばよいと思います。
対照事例として、米国のIBMの「Form 10-K」を見てみました。
米国の証券制度においても有価証券報告書に添付される「確認書」に相当する書状が「Form 10-K」に添付されていますが、
名称としては"CERTIFICATION"(証明書)との見出しが付いています。
経営者が"I certify that..."(私は以下のことを証明いたします。)と宣言をしているわけです。
"CERTIFICATION"(証明書)の内容は有価証券報告書に添付される「確認書」の内容と法制度上の相違はありますが基本的に同じです。
昨日同様、「Form 10-K」に添付される"CERTIFICATION"の文言を読んでも、やはりどこか他人事のような印象を受けます。
経営者が"I certify that..."(私は以下のことを証明いたします。)と宣言をすること自体に何か違和感を覚えます。
ただ、米国では、このような場合、一般的に"I certify that..."という言い方をするかもしれないとも思いました。
例えば、米国の登記簿謄本では、次のような文言が登記官によって記載されるようです。
"I certify that this is a true copy." (この書類は真正の写しであることを証明する。)
もしくは、実は、登記官によってこのような文言が登記簿謄本に記載されること自体がやはり理論的にはおかしいのかもしれません。
登記簿謄本が登記簿の真正の写しであることは当たり前だからです(むしろそれは登記簿謄本の定義そのものではないでしょうか)。
執筆者が、署名捺印した文書に、"I hereby certify that I wrote this document."
(この文書は私が執筆したことに相違ないことを私はここに証明いたします。)とわざわざ書くのはおかしいと分かるでしょう。
なぜならば、文書に署名捺印したということは、その執筆者が執筆をしたということをそのまま意味するからです(それが署名です)。
「確認書」にせよ"CERTIFICATION"にせよ、著名された文書に添付する文書としては明らかに「蛇足」なのです。