2018年1月13日(土)
2017年1月26日(木)日本経済新聞 大機小機
実物投資につなげるには
(記事)
2017年8月30日(水)日本経済新聞 経済教室
上田 亮子 日本投資環境研究所主任研究員
小林 慶一郎 慶応義塾大学教授
企業統治と安定株主 持ち合い解消へ税優遇も
投資家との対話で成長を
ポイント
○日本の政策保有株主は34%と依然存在感
○ドイツは売却益非課税で政策保有が減少
○企業価値向上への政策保有には説明責任
(記事)
2017年11月22日(水)日本経済新聞 経済教室
諸富 徹 京都大学教授
内部留保課税の是非 経済成長に有効な場合も
二重課税回避へ調整必要
ポイント
○過去の内部留保課税はすべてフロー概念
○利益剰余金は自由に使える余資にあらず
○戦前米国の留保利潤税は景気回復に寄与
(記事)
銀行業の未来 上
地方や新興企業に重心を メガ・地銀の業務再編 必須
ポイント
○銀行業務を否定する議論は説得力乏しく
○明治期の伊藤博文らの発展戦略が参考に
○役割分担と長期的な時間軸政策の発想を
(記事)
2018年1月12日(金)日本経済新聞 経済教室
内田 浩史 神戸大学教授
銀行業の未来 下
フィンテックで業務改革 リストラに肯定的な面も
ポイント
○決済と貸出業務で十分な収入生み出せず
○銀行には独自性を発揮する余地なお多く
○当局は健全性保てる銀行システム設計を
(記事)
「企業自身は業績予想を行ってはならない。」という点について書いた11日前のコメント↓
2018年1月3日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180103.html
「企業は増資を行ってはならない。」という点について書いた10日前のコメント↓
2018年1月4日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180104.html
「たとえ投資家間で株式の取引を行っても、『株式の本源的価値』には何らの影響を与えることもない。」、
それが「所有と経営の分離」と呼ばれる概念の本質の1つである、という点について書いた9日前のコメント↓
2018年1月5日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180105.html
完全な「銘柄間の比較可能性」を担保することは現実には始めから不可能なことだ、という点について書いた8日前のコメント↓
2018年1月6日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180106.html
完全な「銘柄間の比較可能性」を担保することができるのは同一業界・同一業種内の銘柄間のみである、
という点について書いた7日前のコメント↓
2018年1月7日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180107.html
2018年1月8日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180108.html
「企業は負債を計上してはならない。」という点について書いた5日前のコメント↓
2018年1月9日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180109.html
「証券制度」の観点から言えば、「株式の譲渡ができない会社であれば会社は配当を支払ってもよい。」、
そして、「『有価証券報告書』の方が『営業報告書』よりも、記載内容はより詳細・豊富・正確でなければならないはずだ。」、
さらに、「会社清算時まで利益を留保することが『株主の利益の最大化』につながるとは限らない。」、
という点について書いた4日前のコメント↓
2018年1月10日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180110.html
「証券制度」から見ると、「発行者の内部留保」は全投資家に帰属している、という点について書いた3日前のコメント↓
2018年1月11日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180111.html
「証券制度」から見ると、「会社は営業費用全般を支払ってはならない。」という結論になり、また、
「会社制度」から見ると、「たとえ無賃・無給であっても会社は従業員を雇用してはならない。」という結論になる、
という点について書いた一昨日のコメント↓
2018年1月12日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180112.html
「会社を設立した出資者(会社に払い込みを行った出資者、一番最初の株主)は、
自分自身が選択し委任を行ったのだから会社の業務執行者(受託者)のことをよく知っているが、
市場の投資家は、会社の業務執行者(受託者)のことを、少なくとも会社を設立した出資者よりは知らない。」
という点について書いた昨日のコメント↓
2018年1月13日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180113.html
>Some securities systems presuppose that there is a shareholder executing
operations of a company in the market,
>and other securities systems
presuppose that there is a shareholder executing operations of a company in the
market,
コンマ以下の文中のthat節の中に、"not"を入れるのを忘れてしまっていました。
"not"がないと、全く意味が通じないかと思います。
正しくは、次のようになります。
Some securities systems presuppose that there is a shareholder executing
operations of a company in the market,
and other securities systems
presuppose
that there is not a shareholder executing operations of a company
in the market,
それから、but以下の部分についても一言だけ補足をしたいと思います。
but以下は次のような英文になります。
>no securities systems presuppose that there is not an investor who
founded a company in the
market.
>会社を設立した出資者は市場にいないことを前提とした証券制度というのは、1つもないのです。
英文も日本語訳も正しいわけですが、この日本語訳を他の言葉に言い換えると、次のようになります。
全ての証券制度は、会社を設立した出資者が市場にいることを前提としている。
この言葉の意味は、会社を設立した出資者が市場に存在しても何らの問題もない、という意味では決してありません。
それどころか、どのような証券制度であれ、会社を設立した出資者が市場に存在することは大なり小なり問題があることだ、
というふうに考えてはいる(そのことは何らかの形で対処しなければならない問題であると見なしてはいる)わけです。
しかし、会社設立時まで遡って考えてみますと、実務上の株式上場の手続きを踏まえると、新規上場時には、
会社を設立した出資者は絶対的に市場に存在する(会社を設立した出資者がいない会社は1社もない)わけです。
したがって、会社を設立した出資者は市場にいることはいるのだが、
そのことに対してどのような対処法を取るかだけが、各国が構築する証券制度により異なる、ということになるわけです。
「『会社を設立した出資者(会社に払い込みを行った出資者、一番最初の株主)』は市場にいない。」、
と言える状態に市場がなることを目指して、各国の金融当局は証券制度を構築するわけです。
少なくとも市場の投資家の利益は害されない、と判断できる状態を各国の金融当局は目指さなければならないわけです。
会社を設立した出資者は可及的速やかに全ての所有株式を売却することを要請する証券制度も考えられますし、
会社を設立した出資者については所定の一定割合未満であれば株式の継続保有を認める、という証券制度も考えられます。
ただ、いずれの証券制度にせよ、一番最初の株式の取引である「会社を設立した出資者から市場の投資家への株式譲渡」では、
情報格差が存在することだけは絶対に解決不能なことだ(必ず情報格差前提の取引となってしまう)、ということになります。
次に、紹介している記事について、一言ずつコメントをしていきたいと思います。
2017年1月26日(木)付けの日本経済新聞の記事についてですが、示唆に富む内容がたくさん書かれていると思います。
記事を引用して、一言ずつコメントを書きたいと思います。
>外国人投資家による日本株の買いという形での海外からの資金流入は、
>企業における実物投資にはつながってはいないように見える。
この文脈における「外国人投資家による日本株の買い」というのは、
「外国人投資家が日本企業の発行済み株式を株式市場で買うこと」を指している(増資の引き受けではない)のだと思います。
私のこの理解が正しいとしますと、「外国人投資家による日本株の買い」が企業における実物投資につながっていない
というのは当然ことである、ということになります。
なぜならば、株式の取引では企業活動に何らの影響も与えないからです。
投資家による株式の取引が企業の種々の投資活動に影響を与えないのは、証券制度の論理から言って当然の帰結なのです。
むしろ、投資家による株式の取引が企業の種々の投資活動に影響を与えることがないように、
「所有と経営の分離」が株式会社では行われているわけです。
その意味では、元来的・理論的には、「株主の影響力」や「投資家と企業との対話」といった概念は、
株式会社制度には存在しないものだ、と言わねばならないと思います。
そもそも「委任」というのは、経営に指示をしたり提案をしたり助言をしたり質問をしたりはしない、という意味なのです。
>株式投資が実物投資を増やす経路はいくつかある。
>企業の株式発行による資金調達に応えることは、実物資産への投資につなげる最も明らかな経路である。
>それ以外の経路はあまり明白ではない。
>株を売却した側が、その資金を実物投資に振り向けるという経路もあるが、
>それは株の買い手側の行動ではなく、売り手側の行動である。
>株を買うことが実物投資を促すという経路は自明ではない。
上記の引用文は、2018年1月10日(水)のコメントで書きました内容と関連・類似性があると思います。
2018年1月10日(水)のコメントでは、会社が株主に対し配当を支払うことは株主に「新たな投資機会」を提供することにつながる、
という意味のことを書いたわけなのですが、それは社会的な意味(新たな産業に資金が供給されること)でもそうであるし、
株主の投資収益(有望な株式に投資をしより大きな収益を得る)という意味でもそうである、と書いたわけです。
企業に有望な事業機会(将来に大きな収益を獲得する見込みや可能性)そのものがない場合は、
企業の内部に利益が留保され続けても、資金が実物投資につながることはない(また、株主にとっても利益はない)わけです。
そのような状況下では、有望な事業機会をたくさん抱えている企業が行う増資に投資家が応じることは、
その企業にとっても有益なこと(調達した資金を実物投資に振り向けることができる)ですし、
増資に応じた投資家にとっても有益なこと(企業による実物投資の結果、より大きな利益を得ることができる)であるわけです。
しかし、投資家が、発行済み株式の株式を購入することは、企業による実物投資にはつながらないわけです。
「企業による実物投資に与える影響」という意味では、投資家が増資を引き受けることと発行済み株式を購入することとは、
企業にとっても投資家にとっても、その意味は根本的に異なっている、ということになるわけです。
また、株式を売却した投資家がその資金を実物投資に振り向ける、ということについては、
一個人として実物投資を直に行う場合もあれば、自分で会社を設立してその会社が実物投資を行うという場合もあると思います。
2018年1月10日(水)のコメントで書きましたように、大きな視点で社会や制度を捉えることも大切であると思います。
次に、2017年8月30日(水)付けの日本経済新聞の記事についてです。
今日のコメントでは、「証券制度」の観点から(様々な証券制度が構築され得るという意味で)、
「会社を設立した出資者は、株式の上場後も株式を保有し続けてよいか否か?」という点について書いたわけですが、
この記事では、
「株式の政策保有は、『会社制度』の観点から見て、そして、『証券制度』の観点から見て、認められるべきか否か?」、
という点について書かれてあると言っていいと思います。
例えば、取引先企業の株式の政策保有の結果、日々の商取引によい影響が生まれており、
政策保有は大きな収益を会社にもたらしている、という場合、現実には、
政策保有は株主の利益の最大化(「株式の本源的価値」の最大化)に寄与している、ということはあり得るわけです。
株式の政策保有は、本来事業に投資をするべき資金を「株式」という事業とは無関係の勘定科目に固定させてしまっているため、
受取配当金を除けば、収益の獲得につながっていない、との見方が資本会計や「会社制度」の観点から見ると根強いわけですが、
より大きな視点から会社経営について見てみると、厳密に数値化することや詳細な金銭額で表現することは困難ではあるものの、
株式の政策保有が間接的に間違いなく会社の収益の獲得につながっている、という場面は現実にはあると思います。
記事には、株式の政策保有を解消させることを目的として税制改革を行ったドイツの事例が書かれています。
>ドイツでは、伝統的に銀行・保険会社などの金融機関における株式持ち合いや事業会社株式の政策保有が見られた。
>だが、2000年代のシュレーダー政権下で資本市場改革の一環として、株式売却時のキャピタルゲイン非課税政策が導入された。
この税制改革の結果、ドイツでは、企業間の政策保有株式の比率は低下し、機関投資家の保有比率が上昇した、とのことです。
当時のドイツ政府が、税制改革の結果、機関投資家の保有比率が上昇することまで見通していたのかどうかは分かりませんが、
企業が政策保有している株式を売るということは、市場の他の誰かが買う、ということを意味しているわけです。
理論的には、将来の業績予想(株式の本源的価値に関する判断)のみに基づいて株主構成は変動するべきであるわけですが、
将来の業績予想(株式の本源的価値)とは無関係に株主構成が変動するというのは、
「証券制度」の観点から見ると実はおかしな点があると言えるのかもしれません。
また、「証券制度」の観点から見ると、
「将来の業績予想(株式の本源的価値)とは無関係に株式を保有している」という側面があることから、
株式の政策保有は証券市場(市場の投資家)にとって望ましくないことだ、という見方も別にあると思います。
これは、「株式の政策保有をしている会社は、市場の投資家が得ることができない便益を株式の保有から得ている。」、
ということに由来する問題(「証券制度」から見た問題)であるわけです。
さらに、株式の政策保有(取引先企業の株式の保有)は、「フェア・ディスクロージャー・ルール」にも反しているのです。
株式の政策保有は、「会社制度」の観点から見ても「証券制度」の観点から見ても、問題があると言えばあるのだと思います。
それから、一般論として、企業による「株式の保有」そのものが、理論的には「会社制度」に反していると言えると思います。
その問題点は、会社の清算時に現れると言えます。
つまり、会社は、将来売却するために目的物を仕入れるわけなのですが、
そのことは、収益の獲得そのもの(日々の商取引)とももちろん関係ありますが、実は会社の清算とも関係があるのです。
会社を清算する際、残余財産の分配のため、会社は所有財産を全て現金に換えなければならないわけですが、
それが可能なのは、目的物を将来売却するために仕入れたからなのです。
簡単に言えば、売却を目的に仕入れたからこそ売却できる、という論理の流れがあるわけです。
株式の保有(特に政策保有)の場合、会社は売却することを目的に株式を購入したわけではないわけです。
したがって、理論上は、実は「会社は保有株式を売ることができない。」、という結論になるわけです。
理論的・元来的には、「会社は何を目的に資産を購入したのか?」が重要な論点となるわけです。
一言で言えば、「会社は、売却目的以外の目的を持って資産を購入することはできない。」、という結論に理論上はなります。
そして、この論点は、「株式」だけではなく、実は資産全般に当てはまります。
この文脈において最も典型的な資産が、「稼働」を目的に購入する固定資産です。
固定資産というのは、「稼働」を目的に購入するわけです。
売却目的で固定資産を購入する会社というのはないと言いますか、会社は固定資産を「自社消費」を目的に購入するわけです。
最も一般的には、「稼働」させ減価償却を行うことを目的に、会社は固定資産を購入するわけです。
現代経営・現代会計では、そのことは当たり前のこととされているわけですが、
最も元来的には、「会社は『稼働』や『自社消費』を目的に資産を購入することはできない。」、という考え方になるわけです。
会社が購入した資産を「稼働」させるとは、「会社は自分が使うことを目的に資産を購入する。」という意味です。
「現金化」という観点から見ると、会社が使用した資産を他社に売却することは現実には非常に難しいと言えます。
理論上も、会社が使用した資産を他社に売却することは全く前提とはしていないと言えますし、
もっと端的に言えば、「会社は、売却することを目的に購入した資産のみを他者に売却することができる。」、
という言い方になるわけです。
「会社制度」から考えると、会社は最後には「残余財産の分配」に行き着くと言えるわけですから、
会社は現金に換えることができる資産のみを購入・保有することができる、という結論になるわけです。
結局のところ、「会社が現金に換えることができる資産」というのは、理論上も実務上も棚卸資産だけだと言えるわけです。
率直に言えば、「会社が売却することを目的に購入した資産」のみが「会社が現金に換えることができる資産」なのです。
政策保有を目的とした株式も、「稼働」を目的とした資産も、会社は保有することはできないのです。
結論を一言で言うならば、会社は固定資産を保有することはできないのです。
Relationship between an investment of an investor in a company and an investment of the company in real assets.
投資家による会社への投資と会社による実物資産への投資との関係
Mutual holding of shares.
株式の相互保有
A transfer of a share requires "disclosure."
株式の譲渡を行う場合は、「ディスクロージャー」が求められます。
All that a company is able to hold is an asset which it purchased for the
purpose of selling the asset.
The asset is, after all, an inventory.
会社が保有することができるのは、売却することを目的に購入した資産だけなのです。
その資産とは、結局のところ、棚卸資産のことなのです。
Therefore, a company is not able to hold a fixed asset.
したがって、会社は、固定資産を保有することはできないのです。