2016年2月23日(火)


2016年2月23日(火)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
株式会社ティーガイア
売出価格等の決定に関するお知らせ
株式会社学究社
(記事)


2016年2月22日(月)日本経済新聞 公告
資本金及び準備金の額の減少公告
三菱地所レジデンス株式会社
合併公告
コニカミノルタ電子株式会社
豊橋精密工業化株式会社
(記事)



2016年2月19日(金)日本経済新聞 公告
公告
亀有信用金庫
資本金及び準備金の額の減少公告
大成建設ハウジング株式会社
(記事)


2016年2月22日
株式会社ティーガイア
自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
ttp://pdf.irpocket.com/C3738/TM54/oD9q/QWDt.pdf

 



ここ10日間のコメントに一言だけ追記します。


2016年2月13日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160213.html

2016年2月14日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160214.html

2016年2月15日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160215.html

2016年2月16日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160216.html

2016年2月17日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160217.html

2016年2月18日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160218.html

2016年2月19日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160219.html

2016年2月20日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160220.html

2016年2月21日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160221.html

2016年2月22日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160222.html

 



昨日のコメントでは、
法人税法上は寄付金となる現金支出も、経営上の態様を前提にすれば収益の実現原因になり得るので、
寄付金とは言い切れず、損金として認められるべき場面がある、
という点について書きました。
この点について、昨今何かと話題になっています「マイナス金利」を題材に、一言だけコメントします。
「マイナス金利」については、ここ3週間ほどほとんど毎日のように日本経済新聞に何らかの記事が載っているわけですが、
「マイナス金利」の理論的矛盾点についていろいろと考えさせられる記事を1つ紹介します。


2016年2月19日(金)日本経済新聞 大機小機
マイナス金利政策の効果
(記事)



紹介しておいてこんなことを言うのもなんですが、どのようなことを言わんとしているのだろうか、
と首をかしげたくなる内容が多いかとは思います。
ただ、「金利」全般についていろいろと気付かせてくれる内容になっているのかもしれないな、と思います。
この記事の内容に1点だけコメントしますと、「マイナス金利」の導入の政府に与える影響として、記事には、

>財政負担の面では、日銀による国債のマイナス金利での買いオペ拡大は、思ってもみなかったプレゼントだろう。

と書かれています。
日銀や金融政策や財政政策については特にコメントはしませんが、
日銀による国債の買いオペと聞いて、ふとあることが頭に思い浮かびました。
金利がプラスの場合、政府は「誰が国債を保有していようが国債の保有者に対し」利息を支払わなければならないわけです。
買いオペが実施する前、ある銀行が国債を保有していたとしたら、政府はその銀行に対し利息を支払わなければならないわけです。
そして、買いオペが実施された後は、日銀が国債を保有することになるわけですが、
すると今度は、政府は日銀に対し利息を支払わなければならないわけです。
では、金利がマイナスの場合は、どうなるでしょうか。

 



以下、金利がマイナスの場合について考えてみましょう。
国債の金利がマイナスの場合、
買いオペ実施前は、国債保有者である銀行が政府に利息を支払い、
買いオペ実施後は、国債保有者である日銀が政府に利息を支払う、
ということになるわけです。
これは、債務の譲渡と同じであるわけです。
正確に言えば、国債の買いオペとは、法律的には国債の譲渡であるわけですが、その国債の譲渡について、
元本部分は債権の譲渡、利息部分は債務の譲渡、という状態になっているわけです。
元本は国債の保有者に償還されますから、国債の保有者が債権者です。
と同時に、利息は国債の保有者が支払わねばなりませんから、国債の保有者は債務者です。
同一の有価証券について、取引の両方の当事者が、互いに金銭債権の債権者であると同時に債務者でもある、
という状態になっているわけです。
金利がプラスの場合は、債券の保有者は金銭債権の債権者であり、債券の発行者は金銭債権の債務者、
というだけのことであるわけですが、
金利がマイナスの場合は、債券の保有者は金銭債権の債権者(元本部分)であり債務者(利息部分)、
債券の発行者は金銭債権の債務者(元本部分)であり債権者(利息部分)、という状態になっているわけです。
このような状態が、実務上そして理論上、是なのか非なのかかは私には分かりませんが、
債権債務関係が非常に複雑になってしまうことだけは確かです。
まず、金利がプラスの場合は、「債務の履行可能性は、債務者の弁済可能性だけで決まる。」わけです。
この「債務の履行可能性は、債務者の弁済可能性だけで決まる。」という点は、金利がマイナスの場合でも局所的には同じです。
ただ、金利がマイナスの場合は、債権者は同時に債務者でもあるという状態であり、債務者は同時に債権者でもあるという状態です。
この場合、債務の履行可能性というのは、何によって決まるのだろうか、と思います。
例えば、一方が債務不履行を起こした場合、債権者は債務者に対しどのような対応を取ればよいのでしょうか。
債務者が法人の場合は清算手続きによる弁済云々になるのかもしれませんが、
ここでは法理的に考え、債務者は自然人で清算などはないとしましょう。
ここで考えなければならないことは、債務者は債権者に対して債権者である、という事実です。
債権者と債務者は、債権債務を相互に持ち合っている状態だったわけです。
すると、1つ考えられる手法は、債務者が債権者に対して有している債権の一部を放棄する、ということだと思います。
債権者としても、同じ金額の債務が免除されるなら債務が履行されたことと同じことだ、という判断になるでしょうから、
債権者は、債務者に対する債権を放棄すると同時に自分が債務者に対して負っている債務が免除されることに合意するでしょう。

 



民法の教科書を読みますと、「債権の消滅原因」として、「相殺」が書かれています。
「相殺」とは、「債権者と債務者とが相互に同種類の債権を有する場合に、それらを対当額において消滅させること」です。
現行民法上は、「相殺」は、両債権が相殺適状にあれば、一方的な意思表示で行うことができる、と定められているようですが、
法理的にはやはり、お互いの合意により「相殺」を行うようにしなければならないと思います。
経済的な話をすると、「相殺」を行うことは債権者にとって少なくとも不利ではないと思います。
なぜなら、債務者が債務不履行を起こすということは、債務者が法人であれ自然人であれ、
債権者にとって期日に債務の全額が弁済されるわけではないからです。
しかし、「相殺」の場合は、債権者にとって、債務者が期日に債務の全額を弁済したことと同じ効果を生じさせることができるわけです。
その上、債権者が債務者に対して負っていた債務に利息が付く場合などは、「相殺」によりその利息も支払わなくてよくなります。
経済的に判断すると、債務者に債務不履行を起こされるくらいなら、債権者は「相殺」に合意をした方が有利なのです。
現行民法上は、「相殺」は一方的な意思表示で行うことができる、とのことですが、
その理由は「相殺」は債権者にとって有利だからなのかもしれません。
それで、この「相殺」の考え方を参考にしますと、マイナス金利の債券というのは、始めから「相殺」を行える状態にある、
という言い方ができるように思います。
「マイナス金利の債券」を、債権と債務の複合体だと整理すれば、やはり債権と債務の「相殺」は行える、と考えられるでしょう。
「マイナス金利の債券」では、債権と債務の「相殺」は法律上は行えるのだが、
債券保有者は実際に期日に利息を支払い、そして発行者は実際に期日に元本の満額の償還を行う、ということを行うわけです。
”マイナスの金利”とだけ聞きますと、お金を貸した方が利息を支払うというのは全く意味不明だ、と思ってしまいますが、
債権と債務の複合している証券だ、というふうに整理すると、意味が分からなくはない気がします。

 


ただ、ここに1つの問題点があるようにも思えます。
「相殺」の要件は、簡単に言えば双方の債権がともに金銭債権であればよいわけです。
一方の金銭債権は売買代金債権、他方の金銭債権は貸金債権、という場合であっても相殺は行えるわけです。
ここで、「マイナス金利の債券」の場合は、元本部分に関する金銭債権と利息部分に関する金銭債権という違いこそあれ、
「同一の有価証券の発行・引受」から生じた金銭債権です。
極端に表現すれば、債権の発生原因は同じ、という言い方ができるように思います。
「ある1つの有価証券の発行・引受」が、債権の発生原因です。
それなのに、発行を行った者も債権者と債務者になり、引き受けた者も債権者と債務者になる、ということなどあるのでしょうか。
ある1つの取引の結果、一方が債権者になり、他方が債務者になる、それが取引であり債権債務関係ではないでしょうか。
考えてみますと、「相殺」を行えるのは、一方の金銭債権は売買代金債権、他方の金銭債権は貸金債権、といった具合に、
「異なる取引から生じた金銭債権」の場合だけなのではないでしょうか。
「ある1つの取引から生じた金銭債権」を相殺する、という考え方など、そもそもないのではないでしょうか。
つまり、「ある1つの取引からは債権債務関係は1つしか生じない。」、ということではないでしょうか。
別の言い方をすると、ある1つの取引からは、債権者1人、債務者1人、しか生じない、ということではないでしょうか。
「マイナス金利の債券」の場合は、1つの取引から、債権者2人、債務者2人、が生じているわけです。
ある1つの取引の結果、当事者の双方がそれぞれ金銭債権と金銭債務の両方を持つ、ということ自体がないわけです。
それは既に、「相殺」以前の話なのではないでしょうか。
この点について理解するため、昨日書きました図「会社が売り手の場合」と「会社が買い手の場合」をもう一度見てみて下さい。
「得意先や仕入先が自然の場合」が、ここでのポイントになります。
「会社が売り手の場合」、「@現金」は寄付金(損金不算入)だが、「A現金」は売上(益金)となり、
「会社が買い手の場合」、「@現金」は寄付金(損金不算入)だが、「A現金」は取得原価(損金)となるわけです。
これはどういうことかと言いますと、どちらの場合も、「@現金」と「A現金」は区別できない、ということなのです。
つまり、「商品の引渡し」という取引は1つのみであるわけですから、
どちらの場合も売買代金としては1つだけだと考えるしかないわけです。
売った側が売買代金の一部を買い手に支払うことはできませんし、買った側が売買代金を2回に分けて支払うことはできません。
仮にそのようなことを行った場合は、「@現金」と「A現金」は区別できませんので、
「商品の引渡し」以前の現金の授受は寄付金である、と見なさざるを得ないわけです。
「会社が売り手の場合」、「A現金」−「@現金」の金額が売上代金(益金)になる、という考え方はおかしいわけです。
また、「会社が買い手の場合」、「A現金」+「@現金」の金額が取得原価(損金)になる、という考え方はおかしいわけです。
「会社が売り手の場合」、差額のみを売上代金(益金)としたいのなら、会社は「@現金」を支払うべきではないのです。
また、「会社が買い手の場合」、「A現金」+「@現金」の金額を取得原価(損金)としたいのなら、
会社は「@現金」を支払うべきではなく、「商品の引渡し」の対価という形で合計金額を1度に支払うべきなのです。
そうしないと、どちらの場合も、「@現金」の位置付け・何の対価か、が明確ではなくなるわけです。
現代会計風に言うと、「会社が売り手の場合」、売上債権の金額が確定したのはいつのことでしょうか。
図で言えば、「@現金」の時ではなく、「A現金」を受け取るに至った時(商品の引渡しを行った時)ではないでしょうか。
また、「会社が買い手の場合」、仕入債務の金額が確定したのはいつのことでしょうか。
図で言えば、「@現金」の時ではなく、「A現金」を支払うに至った時(商品の引渡しを受けた時)ではないでしょうか。
どちらの場合も、「@現金」の説明が付かないわけです。

 



「@現金」の授受と「A現金」の授受との間には、商取引上時間的なズレがあるわけです。
仮に「@現金」と「A現金」が同時になら、それは販売価格の交渉(の結果)というだけのことでしょう。
ですから、合算や通算(税務上それらの差額で金額を捉えること)はできないのです。
特に「会社が売り手の場合」、「A現金」−「@現金」の金額が売上代金(益金)になる、という考え方はできないのです。
「会社が売り手の場合」、会社は「@現金」を一時的に資金繰りに困っている個人事業主に貸したのなら、
もちろんそれはそれでよいわけです。
その個人事業主は後日お金を会社に返済すればよいわけです。
そして、その場合、「A現金」のみが売上(益金)となるわけです。
しかし、「会社が売り手の場合」において、会社は「@現金」を一時的に資金繰りに困っている個人事業主に貸したではなく、
ただ単にあげたのなら、それはやはりただの寄付金であるわけです。
将来価格を上乗せする形で商品を買うことを条件にお金をあげたのだとしても、
それは収益を実現させるために必要な現金支出とみなすことは難しいでしょう。
なぜなら、それはお金を貸したこととどう違うのか、という見方になってくると思うからです。
現金支出をしたからこそ収益が実現した(収益の金額が増加した)、というふうに考えることはこの場合難しいと言いますか、
仕入先は同じ自然人である(現金を受け取る相手は同じである)がゆえに、
”寄付を行ったからこそ、個人事業主は窮地を脱し、そして商品を買うようになった。”
というふうに考えるべきなのではないでしょうか(現金の受け取りと収益実現との間に乖離があるように思えます)。
これも、経営上の態様を所与のことにすれば、判断は難しい部分はあると思いますが。
以上のような議論を踏まえますと、1つの取引で発生した債権について「相殺」を行う、ということはないのではないでしょうか。
1つの取引において、一方が債権者なら他方は債務者です。
一方は債権者でもあるし債務者でもある、他方も債権者でもあるし債務者でもある、という取引などはないわけです。

 



以上のようなことを考えますと、
1つの取引から、必然的に債権者2人、債務者2人、が生じてしまう「マイナス金利の債券」というのは、法理的にはおかしいわけです。
例えば、「マイナス金利の債券」の発行と同時に、債権と債務を「相殺」すると考えてみて下さい。
その債券とは何でしょうか。
償還金額が「元本金額−支払利息合計額」というだけの、ただの無利息の債券というだけではないでしょうか。
これが、「マイナス金利」の、法理的観点から見た場合のおかしさ・矛盾点、なのではないでしょうか。
「マイナス金利の債券」の発行に伴う債権を互いに「相殺」する、という観点から、
「マイナス金利」のおかしさについて考えてみました。
ただ、ついでに書きますと、会計上は、償還金額はやはり元本金額という見方になるとは思います。
なぜなら、会計上は、利息部分については、貸借対照表に反映させられないからです。
「相殺」を行うためには、利息部分についての債権金額(発行者)と債務金額(引受手)とを
それぞれ貸借対照表に計上しなければならない(そして元本勘定と利息部分勘定を相殺する)わけですが、
会計上は、利息部分は、債権金額や債務金額には含まれない(会計上は利息部分は債権債務として認識しない)のです。
個人事業主であれば、「マイナス金利の債券」に関する債権債務の相殺はできるのかもしれませんが、
法人の場合(いわゆる貸借対照表を作成する場合)は「マイナス金利の債券」に関する債権債務の相殺はできないと思います。
そして、債券保有者が発行者に支払う利息は、寄付金、というだけだと思います。
税務上は、債券保有者が発行者に支払う利息は支払利息(損金)にはなりません。
経済的・常識的に考えても、貸し手はお金を貸した対価として借り手から利息を受け取るわけです。
貸し手の手元から、現金がなくなった(使用できない)ことの対価として、貸し手は借り手から賃貸料(利息)を受け取るわけです。
借り手は、一体何の対価として、利息を貸し手から受け取るというのでしょうか。
貸し手が借り手から賃貸料(利息)を受け取るというのは、根源的に意味不明であるわけです。
借り手が貸し手から受け取る利息というのは、何の対価でもないのです。
ですから、借り手が貸し手から受け取る利息というのは、寄付金なのです。


 

A negative interest rate is a kind of a donation.

マイナス金利は一種の寄付金です。