2016年2月19日(金)


ここ6日間のコメントに一言だけ追記します。


2016年2月13日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160213.html

2016年2月14日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160214.html

2016年2月15日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160215.html

2016年2月16日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160216.html

2016年2月17日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160217.html

2016年2月18日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160218.html

 


昨日のコメントで、

>おそらく1981年(昭和56年)改正商法から減損の定めが盛り込まれたのではないかと思います。

>おそらく1981年(昭和56年)改正商法から引当金の定めが盛り込まれたのではないか、というふうに思います

と書きました。
正確な改正年度はいつなのか、改めて今日考えてみました。
図書館にはまだ行っていませんが、インターネットで検索できる範囲で調べましたところ、
減損の定めに関しては、次のページがヒットしました。


平成13年6月18日
金融庁
企業会計審議会第10回固定資産部会議事録について
ttp://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/gijiroku/kotei/f-20010525.html


減損処理にまつわる商法改正の経緯について、詳細に記述があります。
その中に、商法に減損の定めが盛り込まれた年について、次のように記述があります。

>昭和37年の商法改正で基本的にこういった計算の規定が整備されましたが

商法に減損の定めが盛り込まれたのは、1962年(昭和37年)改正商法からであるようです。

 



また、引当金の定めに関しては、次のページがヒットしました。


「商法第287条ノ 2の引当金」
岡山大学経済学会雑誌14(3・4),1983, 39〜58
(岡山大学学術成果リポジトリ内のPDFファイルなので、直接リンクは貼れないようです。)
ttp://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/Detail.e?id=4216920110124181737


引当金にまつわる商法改正の経緯について、詳細に記述があります。
その中に、商法に引当金の定めが盛り込まれた年について、次のように記述があります。

>昭和37年の改正商法に, 引当金に関する規定が, 次のような条文で初めて設けられた。

商法に減損の定めが盛り込まれたのは、1962年(昭和37年)改正商法からであるようです。
減損も引当金も、商法に条文で定めが初めて設けられたのは、どちらも「1962年(昭和37年)改正商法」であるようです。
昨日書いた内容は間違っていました。
改めて訂正したいと思います。

 


「1962年(昭和37年)改正商法」というのが、
商法の歴史の大きな1つのターニング・ポイントなのかもしれないな、と思います。
また、それ以前に、「1948年(昭和23年)改正商法」もまた、
商法の歴史の大きな1つのターニング・ポイントなのかもしれないな、と思います。
「1948年(昭和23年)改正商法」から、会社は法人になったのだと思います。
これ以後、商法が改正される背景には、法人税法の改正があることが非常に多いと思います。
というより、商法の中で、会社の計算に関する部分というのは、法人税法の改正と同時に改正されることがほとんどだと思います。
法人税法も、商法同様、今まで何回も改正されてきました。
商法改正の歴史も法人税法改正の歴史も、私自身勉強し整理し直さないといけないなと思っているところですが、
法人税法が日本で初めて制定されたのは、1947年(昭和22年)のことなのだと思います。
一番最初の法人税法は「法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)」というようです。
そして、次の資料には、興味深いことが書かれています。

「税法上の減価償却制度の沿革ー耐用年数を中心とした一考察−」(税務大学校論叢)
ttp://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/15/129/ronsou.pdf

>減価償却について税法上明確に規定がなされたのは、太平洋戦争後の昭和二十二年に行われた法人税法の全文改正時であるが

減価償却について税法に条文で定めが設けられたのは、まさに1947年(昭和22年)の法人税法からであるわけです。
所得税法も1947年(昭和22年)に改正されているようですが、所得税法では減価償却についての定めはこの時はまだなかったわけです。
このことは、個人で事業を行う場合は、法人で事業を行う場合に比べ、税務上不利となる、ということを端的に示しているでしょう。
税法は暗に、商行為は個人としてではなく法人で営むよう、税制度として促している、という見方もできると思います。
減価償却という手続きは、資産を譲渡しなくても、すなわち、資産を保有し続けている状態でも、取得原価の損金算入が認められる、
という手続きです。
このことは、課税の観点から言えば、他の資産の譲渡により課税所得がその人に毎期経常的に発生しているか、もしくは、
その資産を稼動させることそのことにより毎期経常的に益金が発生するか、のどちらかを減価償却手続きでは前提にしている、
という見方ができるでしょう。
資産単体で見れば、費用・収益対応の原則といった観点から、資産の稼動(収益の獲得)と取得原価の期間配分とを対応させるために
減価償却を行うのだ、という見方になるかと思いますが、課税の観点から言えば、課税は人単位(法人単位)で行うわけですから、
たとえその資産そのものは稼動その他により収益は生まなくても、その人が他に何らかの形で収益を獲得するという場合であれば、
減価償却手続きによる税務上の恩恵は十分に受けられる、ということになるわけです。
減価償却手続きにより発生した損金は、その資産から生み出された益金と通算しなければならない、とは決まっていません。
決算の内容をできる限りよく見せなければならない(赤字や累積損をできる限り避けたい)上場企業の場合は話は別かもしれませんが、
一般論としては、減価償却手続きは、税務上は納税者にとってとにかく有利だ(不利な点はない)、ということは言えると思います。
仮に、減価償却を所与のこととすれば、そして、資産の稼動により収益を獲得することを所与のこととすれば、
資産単体で見れば、確かに減価償却は費用・収益対応の原則には適うのかもしれません。
しかし、納税を行う人単位で見れば、減価償却は費用・収益対応の原則に全く適っていない、という言い方はできると思います。
元祖的な資産の譲渡と場合と同じように、減価償却手続きにより発生した損金はその資産から生み出された益金とのみ通算できる、
と考える・整理するならば、減価償却はさらに費用・収益対応の原則に適うのではないか、というふうに思います。