2016年2月17日(水)
ここ4日間のコメントに一言だけ追記します。
2016年2月13日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160213.html
2016年2月14日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160214.html
2016年2月15日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160215.html
2016年2月16日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201602/20160216.html
資産の貸借対照表価額は何を表しているのか、についてですが。
その点について考える題材となる広告がありましたので、まずその広告を紹介します
2014年12月16日(火)日本経済新聞 広告
週刊ティーアンドエーマスター 2014年12月15日号
(記事)
2016年2月16日(火)日本経済新聞 広告
週刊ティーアンドエーマスター 2016年2月15日号
(記事)
2016年2月15日号に、
>繰延税資金資産の回収可能性に関する適用指針について
という解説記事が載っているようです。
資産の貸借対照表価額と回収可能性と言いますと、減損会計が思い出されるわけですが、
繰延税資金資産の回収可能性と他の資産勘定の回収可能性とは、少し位置付けが異なるように思います。
その点について考えるために、以下のような図を書いてみました。
「貸借対照表の勘定科目は、『税引き前』の科目と『税引き後』の科目とで構成されています。」
貸借対照表と損益計算書の関係図になります。
黒色の勘定科目は「税引き前の価額」になります。
紫色の勘定科目は「法人税額そのもの」になります。
赤色の勘定科目は「法人税の調整」であり「税引き後の価額」になります。
青色の勘定科目は「税引き前の価額」になります。
ここでの「税」とは言うまでもありませんが「法人税」のことです。
貸借対照表と損益計算書のほとんど全ての勘定科目は、「税引き前の価額」になります。
これはある意味当たり前のことであると言えるでしょう。
会社は、資産を取得したり、販売を行ったり、給与を支払ったりするわけですが、「商取引の結果」に法人税は課税されるわけです。
貸借対照表の資産は、これから商取引を行う元となるわけですから、資産勘定は税引き前の価額であるわけです。
また、損益計算書の勘定科目についても同じです。、
損益計算書とは「商取引の課程」を示しているわけです。
法人税はあくまで「商取引の結果」に課税されるわけですから、「商取引の課程」は税引き前の価額を示しているわけです。
ところが、損益計算書には、その法人税額も記載されます。
法人税額には、税引き前という概念もありませんし税引き後という概念もありません。
法人税額とは法人税額そのものであるわけです。
そして、損益計算書には、当期純利益という勘定科目もあります。
当期純利益は、税引き後の価額です。
さらに、税効果会計を適用している場合は、損益計算書には法人税等調整額勘定が、
貸借対照表には繰延税金資産勘定が、それぞれ計上されます。
法人税等調整額勘定も繰延税金資産勘定も、法人税に関する価額です。
税引き前の価額でもなければ税引き後の価額でもありません。
ただ、回収可能性という観点から見ると、繰延税金資産勘定は税引き後の価額という見方になると思います。
損益計算書の側から見ると、法人税等調整額勘定は、税引き前でも税引き前でもなく、一種の法人税だという見方になるでしょう。
しかし、貸借対照表の側から見ると、繰延税金資産勘定は、
「将来その価額の益金を計上できなければならない」金額を表しているわけです。
繰延税金資産勘定の価額は、将来の益金の価額です。
それも、法人税を掛け算したあとの益金額、すなわち、税引き後の益金額です。
それだけの税引き後の益金額を獲得できない場合は、回収可能性に問題があるということで、
繰延税金資産勘定を取り崩さねばなりません。
したがって、繰延税金資産勘定は税引き後の価額なのです。
回収可能性という観点から、繰延税金資産と他の資産勘定を見てみますと、価額の意味が決定的に違うことに気づきます。
他の資産勘定の場合は、会社は少なくともその価額だけの益金を獲得できれば、赤字にはなりません。
100円の棚卸資産は、100円で売れば譲渡損(売却損)は計上されないわけです。
しかし、繰延税金資産の場合は、何らかの形で益金を獲得しなければ、勘定を取り崩さねばならないわけですが、
そこで必要となる益金の金額というのは税引き後の益金なのです。
繰延税金資産が100円計上されている場合、会社は100円の「税引き後の益金」が必要になります。
「税引き前の益金」が100円あっても、繰延税金資産を回収するのには不十分なのです。
法人税率を40%とすると、繰延税金資産100円を回収するのに必要となる「税引き前の益金」は、
100円÷0.4=250円、であるわけです。
この理由は、一時差異に法人税率を掛け算してしまっているからなのです。
もちろん、一時差異に法人税率を掛け算しなければ、法人税の調整にならないわけですが、
その結果、必要となる益金の金額まで小さくなっているわけです。
ここでの”必要となる益金の金額”とは、あくまで貸借対照表の価額が小さく見えてしまうという意味であって、
決して本当に必要となる益金の金額が小さくなるわけではありません。
一時差異に法人税率を掛け算した結果、「税引き後の益金額」が繰延税金資産の価額になってしまう、という意味です。
他の資産勘定は全て、「税引き前の益金額」さえあれば回収が可能である(譲渡損は計上されない)のに対し、
繰延税資金資産勘定だけは、「税引き後の益金額」がなければ回収が不可能である(勘定を取り崩さねばならない)、
という点において、繰延税金資産は他の資産勘定と比較し、価額の意味が決定的に違うのです。
私が作成しました上記の図でも、繰延税金資産だけは赤色で示され、他の勘定科目は全て黒色で示されています。
繰延税金資産だけがいかに特異な位置付けにあるか、この図からも視覚的に分かるかと思います。
また、私が作成しました上記の図では、矢印の向きも重要です。
繰延税金資産は、貸借対照表と損益計算書両方に矢印が向いています。
これは、税効果会計を適用すると、一時差異発生時には、法人税等調整額が計上される結果、繰延税資金資産が計上される、
という流れ(損益計算書から貸借対照表へ)がある一方、
一時差異が解消されますと、今度は逆に、繰延税金資産が取り崩される結果、法人税等調整額が計上される、
という、両科目の計上時とは逆仕訳となる流れ(貸借対照表から損益計算書へ)が財務諸表に存在しているからなのです。
それに比べ、他の勘定科目は一方通行です。
法人税から未払法人税へは、損益計算書から貸借対照表への一方通行です。
また、当期純利益から利益剰余金へも、損益計算書から貸借対照表への一方通行です。
また、他の資産勘定は、費用に関しては貸借対照表から損益計算書(棚卸資産から売上原価、など)への流れとなります。
収益に関しては、損益計算書から貸借対照表(売上から売上債権、など)への流れとなります。
債権の回収及び債務の弁済に関しては、貸借対照表内で完結します。
基本的には、勘定科目の振り替えや発生は、どちらかからどちらかへの流れとなるわけですが、
法人税等調整額と繰延税資金資産に関しては、将来の逆仕訳を前提に、仕訳を切り勘定科目を発生させる、という点において、
これらはやはり他の勘定科目とは位置付けが大きく異なる、と言わねばならないと思います。
The amendments should be published not by way of a weekly magazine but by
way of an official gazette.
改正点は、週刊誌によってではなく官報によって発表するべきです。
Accounts on a balance sheet is composed of "pre-tax" accounts and "after-tax"
accounts.
貸借対照表の勘定科目は、「税引き前」の科目と「税引き後」の科目とで構成されています。
Unlike the other accounts, the value of a deferred tax asset on a balance
sheet represets an "after-tax" value.
他の勘定科目とは異なり、貸借対照表上の繰延税金資産の価額というのは、「税引き後」の価額を表しています。