2018年6月13日(水)
2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html
から
2018年6月12日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201806/20180612.html
までの一連のコメント
現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント
2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html
「オークション方式」に関する過去のコメント
2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html
2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html
2018年6月13日(水)日本経済新聞
決算「不適正」株主説明を 金融庁、監査法人に要請
(記事)
2018年6月13日(水)日本経済新聞
会計士協、会費2割上げ 東芝問題などでコスト増 20年春から適用めざす
(記事)
2017年4月の株式会社東芝の上場廃止回避問題に関する結論↓
2017年4月13日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201704/20170413.html
2017年4月14日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201704/20170414.html
2017年4月に株式会社東芝が「意見不表明」の四半期報告書を提出した(そしてそれで上場廃止の危機を回避した気でいる)、
ということについて、「それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?」と驚き言葉を失った時のコメント↓。
2017年4月16日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201704/20170416.html
公認会計士や会計監査に関する記事が2つ今日の日本経済新聞に載っていました。
1つ目の記事について一言だけコメントをします。
記事を読みますと、私もそう思ったことがあると言いますか、金融庁の方針には確かに一理あるなと思いました。
監査意見が「不適正」である場合は、監査人が「不適正」を表明した理由について説明をするべきだと私も思ったことがあります。
記事には、監査人が監査意見について理由を説明しない理由は「守秘義務」である、と書かれています。
ただ、私は「守秘義務」が理由というのは何か違うなと感じましたので、
監査人が監査意見について理由を説明しない理由は何かないだろうかと考えてみました。
監査報告書の書式(記述する説明文の分量が不適正の程度により大きく異なり得る等)が理由であろうかと考えたり、
監査意見が「不適正」となった理由については発行者が説明をするべきだと考えられるからだろうかと考えたりしたのですが、
最も大上段に構えて有価証券報告書(財務諸表)や監査報告書を眺めてみますと、答えが見つかったように思います。
その答えは、「発行者は適正意見が付いた財務諸表を作成しなければならない。」という証券制度上の発行者に対する要請です。
要するところ、そもそも「発行者は適正意見が付いた財務諸表を作成しなければならない。」わけです。
発行者は不適正意見が付いた財務諸表を作成しても、証券制度上は何の意味もないわけです。
極めて簡単に言えば、不適正な財務諸表を開示されても投資家にとっては何の意味もないわけです。
適正意見が付されていない財務諸表が記載されている有価証券報告書や四半期報告書を発行者が提出をしても、
証券制度上は(上場廃止か否かの判断という文脈では)有価証券報告書や四半期報告書を提出していないことと全く同じです。
この論点については、2017年4月13日(木)、2017年4月14日(金)、2017年4月16日(日)のコメントで書きました。
証券制度上は提出していないことと同じ有価証券報告書や四半期報告書に対して、
監査人が監査意見について説明をするというのはおかしな話でしょう。
財務諸表を監査する監査人の立場(職務)から言えば、
「適正意見を付けられる財務諸表を作成して下さい。」と発行者に対してお願いをするだけであるわけです。
財務諸表を作成する第一の責任は経営者にある、と一般に言われるわけですが、
それは取りも直さず「経営者は適正意見が付いた財務諸表を作成しなければならない。」という意味であるわけです。
財務諸表に適正意見が付いている場合、「この財務諸表は適正です。」の一言されあればよく、
それ以上の説明は一切不要であるわけです(適正意見を付けた理由を監査人から聞きたいと思う投資家はいないわけです)。
なぜならば、投資家の立場からすると、「適正意見が付いている財務諸表」というだけで投資判断には必要十分だからです。
しかるに、財務諸表に不適正意見が付いている場合、「この財務諸表は不適正です。」という意味ではあるわけですが、
不適正の理由についてどんなに詳細に説明をされても、その財務諸表は結局は「適正意見が付いている財務諸表」にはなりません。
簡単に言えば、不適正の理由についてどんなに詳細に説明をされても、投資家の投資判断には資することがないわけです。
投資家の投資判断に資するのは、「適正意見が付いている財務諸表」のみであり、
したがって、証券制度上は投資家は「適正意見が付いている財務諸表」のみを目にする状態でなければならないわけです。
「不適正意見が付いている財務諸表」は、投資判断の上で百害あって一利なしなのです。
どちらかと言うと、監査人の立場から言えば、「不適正意見が付いている財務諸表」が記載されている有価証券報告書や
四半期報告書を発行者が提出することは控えてもらいたい(投資家の投資判断にとってマイナスなだけだ)、と思うわけです。
率直に言えば、金融商品取引法を改正し、発行者は「適正意見が付いている財務諸表」が記載されている有価証券報告書や
四半期報告書しか提出できない、と定めるべきであると思います。
2017年4月の時は思い出さなかったのですが、今日コメントを書いていて、社会人1〜2年目の頃、銀行に就職した高校の同期生から、
「昔の証券取引法では適正意見が付いた有価証券報告書しか提出できなかった。」、と聞いたような記憶があります。
「不適正意見が付いている有価証券報告書を提出できること自体がおかしい。」、と聞いた気がするなと思っているところです。
今日も理詰めで考察を進めていって自分で結論を導き出したわけですが、執筆後、当時の話を今日思い出せてよかったと思っています。
理論的には、監査意見には実は「適正意見」しかない(理論的には「不適正意見」すらない(そのような概念がない))のです。