2018年3月13日(火)



2018年1月6日(土)日本経済新聞
武田、ベルギー社を買収 700億円 新薬候補を確保
(記事)




2018年3月13日(火)日本経済新聞
クラレ 米活性炭大手の買収完了
(記事)

 

2018年1月5日     
武田薬品工業株式会社
武田薬品によるTiGenix社の買収について
ttp://www.takeda.co.jp/news/2018/20180105_7896.html

 

January 5, 2018
TiGenix NV
Takeda announces its intention to acquire TiGenix
ttp://tigenix.com/wp-content/uploads/2018/01/PR_announcement-takeover_EN__FINAL.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



February 16, 2018
TiGenix NV
Q&A in respect of Takeda’s intention to acquire TiGenix
ttp://tigenix.com/wp-content/uploads/2018/02/QA-TAK-intention-to-acquire-TIG-2018-02-16.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)


 


2017年9月21日
株式会社クラレ
米国 Calgon Carbon Corporation の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
ttp://www.kuraray.co.jp/release/2017/pdf/170925_jp.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2018年3月12日
株式会社クラレ
米国Calgon Carbon Corporationの買収(子会社化)の完了に関するお知らせ
ttp://www.kuraray.co.jp/release/2018/pdf/180312_jp.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

09/21/2017
Calgon Carbon Corporation
Calgon Carbon Corporation Announces Agreement to be Acquired by Kuraray
ttps://www.calgoncarbon.com/media/press-releases/2017-21-09/
calgon-carbon-corporation-announces-agreement-acquired-kuraray/

 

09/21/17
Calgon Carbon Corporation
DEFA14A Additional proxy soliciting materials - definitive
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

03/09/2018
Calgon Carbon Corporation
Kuraray Completes Acquisition of Calgon Carbon
ttps://www.calgoncarbon.com/media/press-releases/2018-09-03/6927/

 


香港証券取引所における「セカンダリー上場」のことを、「百貨店上場」("department listing")や
「域外上場」("extraterritorial listing")と訳した時のコメント↓

2018年2月26日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201802/20180226.html

 

京セラ株式会社による米国預託証券のニューヨーク証券取引所における上場廃止について書いたコメント↓

2018年2月27日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201802/20180227.html

 

「フォームF4」と呼ばれる開示ルールが日本企業に適用されるのは根本的に間違いである、という点について書いたコメント↓

2018年3月4日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180304.html

 

理論的には、「日本電信電話株式会社株式」そのものをニューヨーク証券取引所に上場させることはできない(ADRのみ上場可)、
という点について書いたコメント↓

2018年3月6日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180306.html

 



「自主的な上場廃止は証券制度上認められるのか?」、そして、「上場有価証券の相対取引は証券制度上認められるべきなのか?」、
という点について書いたコメント↓

2018年3月7日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180307.html

 

「マレーシア国籍のワイ・ティー・エルの株式は東京証券取引所市場第一部外国株に上場しているのだが、
株式のこの上場形態は香港証券取引所のセカンダリー上場に概念的に近いものである。」、という点について書いたコメント↓

2018年3月8日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180308.html

 

「野村総合研究所が日本国内市場で(日本国内の投資家を対象に)外貨建て(目的とするある特定の外国通貨建て)の
有価証券(社債)を発行する。」、という事例に関するコメント↓

2018年3月9日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180309.html

 

武田薬品工業株式会社の個別財務諸表の「固定資産の部」について簡略に分析した時のコメント↓

2018年3月10日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180310.html


 



【コメント】
今日は記事を2つ紹介していますが、どちらの記事も、
日本企業が米国の株式市場に上場している企業(米国の上場企業)を完全子会社化する、という事例になります。
この2つの事例を比較すると、「上場している株式に適用される法律はどの法律なのか?」
についての理解が深まるように思いました。
1つ目の記事は、武田薬品工業株式会社がユーロネクスト・ブリュッセルおよびNASDAQに上場しているTiGenix NVを完全子会社化する、
という事例(以下、「事例@」)であり、
2つ目の記事は、株式会社クラレがニューヨーク証券取引所に上場しているCalgon Carbon Corporationを完全子会社化する、
という事例です(以下、「事例A」)。
事例@についてですが、TiGenix NVは、本店所在地(設立登記を行なっている場所)がベルギーとなっています。
つまり、ベルギー企業がユーロネクスト・ブリュッセルおよびNASDAQに上場している、という状態であるわけです。
一方、事例Aについてですが、Calgon Carbon Corporationは所在地(設立登記を行なっている場所)は米国です。
つまり、米国企業がニューヨーク証券取引所に上場している、という状態であるわけです。
まず先に、事例Aについて見てみましょう。
プレスリリースを読みますと、事例Aでは、株式会社クラレの米国における買収目的子会社(以下、「特別目的会社」)が、
現金を対価とする株式交換を実施してCalgon Carbon Corporationを完全子会社化し
(特別目的会社がCalgon Carbon Corporation株式の全てを取得し)、その後、
Calgon Carbon Corporationを存続会社、特別目的会社を消滅会社とする合併を行うようです。
プレスリリースによりますと、株式会社クラレは、米国の企業再編法上「逆三角合併」と呼ばれる手続きを行うようです。
Calgon Carbon Corporation株式を直接に株式会社クラレが取得する、ということはできないのではないかと思いますので、
一旦特別目的会社がCalgon Carbon Corporationを完全子会社化しなければならないのではないかと思います。
私は以前、「子会社が親会社を吸収合併することを『逆さ合併』と呼ぶ。」という意味合いのことを書いたことがあるのですが、
今改めて「逆さ合併」について調べていますと、私のこの理解は間違っていたようです。
私はその時、「『逆さ合併』と行うと、法律上の取り扱いと会計上の取り扱いとがずれる(貸借対照表が実態と異なってしまう)。
だから、当事会社は『逆さ合併』を行うのではなく、通常の合併を行った上で商号変更を行うようにするべきだ。」、
という意味合いのことを書いたと思うのですが、
今改めて「逆さ合併」について調べていますと、私のこの理解は間違っていたようです。
今改めて「逆さ合併」について調べていますと、企業会計上は、「逆さ合併」のことは「逆取得」といったりするようですが、
結局のところ、合併の結果、存続会社の株主構成がどのように変動するのかは本質的ではないように思いました。
企業会計基準上は、ある合併が「逆取得」に該当するかどうかを会計処理に際しては判定しなければならないようですが、
合併が通常の合併なのか「逆取得」に該当なのかは全く本質的ではないと思いました。
つまり、通常の合併であろうが「逆取得」であろうが、合併の会計処理は同じでなければならないのではないかと思いました。
いずれにせよ、私が以前書きました「逆さ合併」と「逆取得」に関するコメントは間違っていましたので訂正したいと思います。
間違えてしまった言い訳ではありませんが、間違えた理由について一言だけ書きます。
合併では、当事会社の一方が存続会社であり他方が消滅会社となるわけですが、
理論上は、合併では当事会社の一方が取得企業となり他方が被取得企業となる、という考え方はないわけです。
存続会社が消滅会社の資産負債を取得したと考える(つまり、存続会社が取得企業であると考える)こともできなくはない
わけですが、いかなる合併においても、資産負債の取得の対価は消滅会社ではなく「消滅会社の株主」に支払われるわけです。
つまり、合併においては、一方が他方を取得するという考え方はないわけです(「資産負債を承継する」ならあると思います)。
たとえ通常の合併であっても、存続会社=取得企業、消滅会社=被取得企業、という考え方にはならないのです。
その意味において、実は合併に通常の合併も逆さ合併もない(理論的には、合併に取得企業も被取得企業もない)のです。

 


以前私が間違えてしまっていたために「逆さ合併」と「逆取得」に議論が脱線してしまったのですが、話を元に戻します。
事例Aについてですが、日本で言う「逆さ合併」や「逆取得」とは異なるのですが、
米国の企業再編法に規定のある「逆三角合併」の手続きでは、
完全親会社である特別目的会社が消滅会社、完全子会社であるCalgon Carbon Corporationが存続会社となる吸収合併を行う、
ということなのだと思います。
米国の企業再編法に規定のある「逆三角合併」という手続きでは、
@株式交換と、A完全子会社を存続会社、完全親会社を消滅会社とする合併とを、即時に連続して行うことなのだと思います。
「逆三角合併」という単一の行為・取引があるのではなく、
株式交換と合併の二段階の取引(2つの行為を即時に連続して行うこと)を「逆三角合併」と呼んでいるだけなのだと思います。
いずれにせよ、事例Aでは、当事会社の全てが米国法を根拠法として設立された会社ですので、
取引に適用する法律は当然に一意に決まる(取引に外国の法律を適用する余地・解釈は一切ない)わけです。
事例Aでは、特別目的会社もCalgon Carbon Corporationも、米国の会社法や企業再編法に従うだけであるわけです。
また、事例Aでは、証券規制に関しても、当事会社は米国の証券規制に従うだけであるわけです。
問題なのは事例@だと思います。
まず、武田薬品工業株式会社が完全子会社化を目指しているTiGenix NVは、ベルギーの会社ですので、
基本的にはTiGenix NVにはベルギーの会社法が適用されるわけです。
しかし同時に、TiGenix NVは、ユーロネクスト・ブリュッセルおよびNASDAQに上場しているわけです。
ユーロネクスト・ブリュッセルに上場している有価証券(普通株式)にはベルギーの会社法と証券規制が当然に適用される一方、
NASDAQに上場している有価証券(米国預託証券)には、実はどこの法律が適用されるのかは判然としません。
ただ、NASDAQに上場している有価証券(米国預託証券)の裏付けは、「ベルギーの会社法に基づき発行された普通株式」である
わけですから、この米国預託証券の取り扱いについてはベルギーの会社法の規定に左右される部分も必然的にあるわけです。
と同時に、この米国預託証券はNASDAQに上場している有価証券ですので、米国の証券規制に服する部分も必然的にあるわけです。
武田薬品工業株式会社は、ベルギー国内(ユーロネクスト・ブリュッセルに上場していますので)において公開買付を実施する
と同時に、米国内(NASDAQに上場していますので)においても公開買付を実施する、ということなのではないかと思います。
前者の公開買付はベルギーの証券規制に基づいた公開買付であり、後者の公開買付は米国の証券規制に基づいた公開買付である、
ということになるのではないかと思います(公開買付の根拠法がベルギーと米国とで異なるのではないでしょうか)。
この点については、プレスリリースを読んでも、
武田薬品工業株式会社は「任意の公開買付」("voluntary conditional takeover bid")を開始する、とだけ書かれていまして、
「任意の公開買付」("voluntary conditional takeover bid")の手続きなどいまいちはっきりとしないなと思っているのですが
「買付け価格」は「1株当たり1.78ユーロ」と書かれていることから、
実はこの「任意の公開買付」("voluntary conditional takeover bid")はベルギーの証券規制に基づいた公開買付である、
と推論しているところです(買付価格が米ドル建てではないのでそう推論しました)。
この推論が正しいとすると、武田薬品工業株式会社は2つの公開買付を同時に実施するわけではない、ということになります。
武田薬品工業株式会社は、米国内においては「米国の証券規制に基づいた公開買付」は実施しないのです。
武田薬品工業株式会社は、米国内においても「ベルギーの証券規制に基づいた公開買付」を実施する、ということになります。
米国預託証券は米国の証券市場に上場している有価証券であるにも関わらず、米国の証券規制に服していない、ということになります。
事例@では、武田薬品工業株式会社は、ベルギーにおいて公開買付を行う(ただし、補完的に米国においても同種の手続きを行う)、
ということなのだと思います(米国を中心にこの事例を見ると、本質を見誤るのだと思います)。
仮に、米国の証券規制にベルギー法の「任意の公開買付」("voluntary conditional takeover bid")と同種の規定がない場合は、
米国の投資家はどのような手続きに従って公開買付が行われているのか分からない、ということになります。
この米国預託証券の上場も「百貨店上場」("department listing")や「域外上場」("extraterritorial listing")だと思いました。