2018年11月29日(木)



2018年11月29日(木)日本経済新聞
平和不動産 悩み深き東証の賃料交渉
(記事)


 

「そもそも非上場株式を取引する投資家を保護する趣旨は証券取引法にはない。」、
という点について考察を行った4日前のコメント↓。

2018年11月25日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181125.html

 

「発行者が情報開示を行う場所、それが『市場』である。」という点と、
「証券取引法の目的は、社会正義の実現ではなく、有価証券報告書を根拠に投資判断を行う投資家を保護することである。」、
という点について書いた3日前のコメント↓。

2018年11月26日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181126.html

 

「注文通信方法も株式売買手数料も、どちらも全証券会社(取引参加者)で共通でなければならないプロトコルである。」、
という点について書いた一昨日のコメント↓。

2018年11月27日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181127.html

 

「公営という立場から見るならば、1998年に店頭市場の開設が認められたのではなく、証券取引所は戦後から店頭市場であった。」、
という点について書いた昨日のコメント↓、

2018年11月28日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181128.html

 

 



【コメント】
昨日のコメントでは、「『有価証券の取引』と『ディスクロージャー』との一体性について」、次のように書きました。

>現代のように「有価証券報告書の提出場所」と「有価証券の取引の場所」とが分かれているということ自体が、
>「ディスクロージャーによって投資家の利益を保護する。」という証券制度における基礎概念に反している、
>と言わねばならないのだと思います。

今日の日本経済新聞に、東京都中央区にある「東京証券取引所ビル」の記事が載っていました。
財務局に限らず、役場が入っている庁舎が賃貸というのは聞いたことがないなと思いました。
今日は、特に「立会場」に着目して、取引所市場と店頭市場の違いについて図を描いてみましたので参考にして下さい。


Historical transition of the stock market.
(株式市場の歴史的変遷)


この証券制度では、実は、投資家は立会場に赴かない。
投資家は必ず証券会社の店頭に赴く。
だから、店頭市場(店先でのみ株式取引を行う)。
証券会社を必ず通さなければならないからである。
板に注文を出すのは証券会社。
投資家自身は実は板に注文を出すことはできない。
本質的には、「株式の売買の委託」であろう。
投資家は店頭でしか株式の売買ができない。
証券会社が株式の取引を行う(参加者は証券会社)。


この図を見ますと、戦後(1948年以降)の株式市場は実は全て始めから「店頭市場」であった、ということが分かると思います。
戦後(1948年以降)の株式市場には、実は本来の意味の立会場はない(少なくとも投資家自身は立会場に入れない)のです。
敢えて立会場に入る人物(市場参加者)がいるとすれば、それは証券会社ということになります。
戦後の証券制度の本質は、「投資家は証券会社に株式の売買の委託を行う。」という点なのです。
オンライン証券で株式の取引を行っていますと、投資家はあたかも自分自身が注文を板に出しているかのように錯覚しますが、
実は板に注文を出しているのは投資家から委託を受けている証券会社なのです。
元来・戦前の株式市場とは異なり、戦後の株式市場は、注文から受渡から決済からそして有価証券の保管まで、
証券会社が投資家から委託を受けて安全に一連の手続きを行うという証券制度になっているのです。
これはカルテルでも何でもなく、投資家保護の観点から、証券の取引を安全に行うための手段なのです。
元来的には投資家保護の手段は「ディスクロージャー」だけなのですが、戦後は委託による証券取引と財産の保管が加わったのです。

A "securities membership corporation" is another means of investor protection.

「証券会員制法人」というのは、投資家保護のもう1つの手段なのです。