2018年3月26日(月)



ここ7日間のコメントを踏まえた上で、一言だけ追記をします。
「効率的市場仮説」についてコメントを書きたいと思いますので、
「効率的市場仮説」についての解説サイト等のリンクをいくつか紹介したいと思います。


2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

2018年3月20日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180320.html

2018年3月21日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180321.html

2018年3月22日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180322.html

2018年3月23日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180323.html

2018年3月24日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180324.html

2018年3月25日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180325.html

 

効率的市場仮説(ウィキペディア)
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B9%E7%8E%87%E7%9A%84%E5%B8%82%E5%A0%B4%E4%BB%AE%E8%AA%AC


効率的市場仮説とランダムウォーク
(経営を学ぶ〜経営学・MBA・起業〜)
ttp://keiei-manabu.com/finance/efficient_market_hypothesis.html


「Portfolioマネジメント2:効率的市場仮説」
(関西大学商学部の『企業財務論』の講義ノート)
ttp://www2.itc.kansai-u.ac.jp/~koji_ota/Lecture_Kigyouzaimuron/kigyouzaimuron2010_20.pdf

 



「効率的市場仮説」について、証券投資論の教科書の記述に対する個人的な考えということで、私見を一言だけ追記します。
「効率的市場仮説」には、「ウィーク」・「セミストロング」・「ストロング」という3つの型があるとされています。
このうち、「ストロング型」の効率的市場とは、公開情報に限らず、内部情報までも含めた利用可能なすべての情報が
即座にそして完全に証券価格に反映しているような市場を指すわけですが、このような市場では、
内部情報の所有者(インサイダー)でさえも市場平均を上回る収益率を上げることはできない、という説明がなされています。
簡単に言えば、「効率的市場仮説」に基づけば、
市場が効率的である限り証券投資を行う際に「確実に儲けられる手法」はない、という結論になるわけです。
教科書の記述を読んで、私は「証券制度上、『インサイダー取引規制』は必要なのか否か?」という点に考えが及びました。
理論上は、「効率的市場仮説」に基づけば、市場が効率的である限り、インサイダー取引規制は証券制度上は実は必要ない、
という結論になるわけです。
日本では、1988年の証券取引法の改正で初めてインサイダー取引規制が設けられました。
逆から言えば、日本では、1987年以前は、インサイダー取引規制はなく、インサイダー取引という概念もなかったわけです。
1987年以前の証券取引法にインサイダー取引規制が設けられていなかった理由が
証券投資論における「効率的市場仮説」であったのかどうかいついては分かりません。
理論上の前提としては、「証券市場は完全で効率的である。」ということを証券取引法は前提としていた、とも考えられます。
証券取引法では「ストロング型」の効率的市場が念頭に置かれていた、ということだったのかもしれないなとふと思いました。
ただ、例えば公開買付制度を鑑みますと、公開買付に関するインサイダー情報を所有していますと、
情報所有者はあからさまに確実な利益を獲得することができるわけです。
現実には、証券制度上インサイダー取引規制が求められる場面はやはりあるのだろうと思いました。
最近スキャンして紹介しています教科書「ゼミナール 金融商品取引法」の264ページには、
1987年以前でも日本市場ではインサイダー取引は実際に行われていた(規制がなかった理由は行われていなかったからではない)、
との指摘がなされてあり、1987年以前でもインサイダー取引は実際には行われていたものの、
当時はインサイダー取引による利益は一種の役得として見逃されていたという理解が正しいものと思われる、と書かれています。
投資家保護の観点から言えば、1987年以前でも証券制度上インサイダー取引規制は必要だった、と言わねばならないと思います。
それで、公開買付制度はやや特殊な取引形態になります(制度上も市場外の取引になります)ので議論の都合上度外視しますが、
通常の「市場取引」において、インサイダー情報を所有していると他の投資家よりも大きな利益を得られるのか、
という点について少し考えてみました。
結論を先に言えば、「たとえインサイダー情報を所有していても、他の投資家よりも大きな利益を得られるとは限らない。」
という考え方になると思いました。
なぜならば、インサイダー情報を所有していると、株式の「本源的価値」に関する算定(将来予想等も含む)の精度が高まる
のは確かですが、インサイダー情報を所有しても、市場内の買い注文と売り注文に影響を与えることはできないからです。
結局のところ、「市場取引」ということを考えますと、買い注文と売り注文があって初めて株式の取引が成立するわけです。
自分だけが株式の「本源的価値」に関して高い精度で算定ができても、所有株式を高く売れるようになるわけではないわけです。
高い価格で買い注文を出す投資家が市場にいて初めて、インサイダーも所有株式を高い価格で市場で売ることができるわけです。
会社に「清算期日」が定められている場合であれば、インサイダーは他の投資家よりも有利に株式の購入を進めていくことが
できる(残余財産の分配金額が多くなるであろうことが他の投資家と比較して高い精度で分かっているから)場合があるわけですが、
会社に「清算期日」が定められていない場合は、市場に買い手がいないことには、インサイダーも所有株式を売ることができず、
結果、インサイダーも投資利益を得られない、ということになるわけです。
すなわち、インサイダー情報の獲得が株式売却の機会の獲得につながらないわけです。
「会社に『清算期日』が定められていない」場合かつ「市場取引」の場合は、インサイダー情報は投資利益に結び付かないのです。