2018年3月20日(火)



昨日のコメントを踏まえた上で、昨日のコメントに一言だけ追記をします。

2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

昨日は、「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")について考察を行ったわけですが、
今日はまず、サウジアラビアの会社制度について調べてみました。
すると、日本貿易振興機構(ジェトロ)のサイトに非常に詳しい解説が載っていました。
日本貿易振興機構(ジェトロ)のサイトを見て、本当にすごいなと思ったわけですが、
個人ではとてもこのような情報収集はできないなと思い、本当にすごい時代になったなと改めて思いました。

 

サウジアラビア ビジネス関連実務情報(日本貿易振興機構(ジェトロ))
ttps://www.jetro.go.jp/world/middle_east/sa/business.html

『外国投資家が出資する事業体の形態について(それぞれの形態の特徴・違い)』
日本貿易振興機構(ジェトロ)
調査時点2010年2月10日
ttps://www.jetro.go.jp/ext_images/world/middle_east/sa/business/pdf/2.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



サウジアラビア 外国企業の会社設立手続き・必要書類(日本貿易振興機構(ジェトロ))
ttps://www.jetro.go.jp/world/middle_east/sa/invest_09.html

 

サウジアラビア ビジネス情報とジェトロの支援サービス(日本貿易振興機構(ジェトロ))
ttps://www.jetro.go.jp/world/middle_east/sa/

 

日本貿易振興機構(ジェトロ)の解説を参考にしますと、昨日書きました「サウジ・アラムコ」は、組織形態を、
「有限責任会社(Limited Liability Company)」から「株式会社(Joint Stock Company」へと変更したのだと思います。
また、日本貿易振興機構(ジェトロ)の解説では、「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")の
日本語訳は「株式会社」となっています。
サウジアラビアの「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")は、日本の「株式会社」と同じなのでしょう。

 


「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")について調べていましたら、
次のプレスリリースがヒットしました。


2017年3月30日
アース製薬株式会社
A My Gia Joint Stock Companyの全株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
ttps://www.earth-chem.com/jp/news/2017/pdf/20170330_01_01.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



ベトナムの会社法でいう「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")も、
サウジアラビアのそれと同様、日本の「株式会社」と事実上同じなのだと思います。
昨年アース製薬株式会社が買収したベトナムの「A My Gia Joint Stock Company」は上場企業ではないようですが、
サウジアラビアの会社制度と同じように、ベトナムでも「公開型」と「非公開型」があるということなのだと思います。
また、サウジアラビアの「有限責任会社(Limited Liability Company)」は、
結局のところ、日本で言う「有限会社」に非常に近いのだろうと思いました。
「サウジ・アラムコ」について調べていましたら、上場先に関する記事がヒットしましたので紹介します↓。

 



サウジアラムコのIPO、難航する上場先選び

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が国営石油会社サウジアラムコを世界最大の上場企業にする
と発表してから2年が経つ。現在、同国と顧問団はどこで上場すべきかという重要課題で行き詰っている。
 事情に詳しい複数の関係者によると、外部顧問やアラムコ幹部らは、株主や01年9月11日の米同時多発テロの犠牲者がサウジに
訴訟を起こす可能性があるとして、ムハンマド皇太子が望んだニューヨーク証券取引所(NYSE)での上場について内々に
警告してきた。幹部の中には、絶大な権力を持つ同社会長でもあるハリド・ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相も含まれる。
 アラムコとサウジは国内のタダウル証券取引所だけで上場する案についても協議しているが、
顧問団は同取引所が超巨大企業の上場に伴う取引高急増に対応できないのではないかと懸念している。
 アラムコの企業価値は1兆3000億〜2兆ドルと見込まれるが、タダウル市場全体の時価総額はわずか4510億ドルで、
外国人投資家に開放されたのも2015年からだ。世界の主要証券取引所は取引促進や株式の保管・管理のため複数の
カストディアン(保管機関)と提携しているが、タダウル市場は1社( HSBCホールディングス )としか提携していない。
 複数の関係者によると、タダウル市場のみで上場した場合、
中国、ロシア、シンガポール、アラブ首長国連邦といった国の政府系ファンド(SWF)から投資が行われる可能性が高い。
 こうした意見の相違もあって、アラムコの新規株式公開(IPO)は滞っており、上場準備のため1年以上にわたり休みなしで
作業にあたってきた多数の銀行員、弁護士、コンサルタントらはいら立ちを募らせているという。
 2018年に海外で上場する可能性は低いとみる向きもあるが、
ムハンマド皇太子が近いうちに上場場所を決めれば年内に実現する可能性もまだ残っているとの見方もある。
 先週、スイスのダボスでIPOが遅れる可能性について記者団から質問されたファリハ氏は
「2018年がIPO実施に最適となるよう望んでいるが、最終的には市場が万全であると確信する必要がある」とし、
「実現が近づくに伴い、調整を進めることになる」と述べた。
 アラムコのIPOは、サウジ経済を近代化し、石油依存から脱却させるというムハンマド皇太子の壮大でリスクの高い計画の
最重要項目となっている。ところが、取引所を選ぶというだけでこれだけ難航していることにより、
この取り組みには一層広範な地政学的、法的、行政的な問題があることが明らかになっている。
 関係者の話では、ムハンマド皇太子は昨年、上場協議のためJPモルガン・チェース、 エバーコア・パートナーズ 、
モーリス・アンド・カンパニー、 モルガン・スタンレー などの最高経営責任者(CEO)と会談しており、
より最近は、アラムコの多くの幹部と同様、ロンドンでの上場を望んでいるファリハ氏や他の閣僚とだけの協議を行っている。
彼らは英国での資本調達の方が法的リスクが小さいと考えているようだ。
関係者によると、上場に関してサウジ閣僚の意見は分かれている。
 ムハンマド皇太子は最近、政府高官、著名実業家、王族ら数百人が拘束された汚職摘発やイラン、カタール、イエメンといった
隣国との紛争に多くの時間を費やしている。
 皇太子は計画の初期段階で、多数の投資家へのアクセスのほか威信が得られるとしてNYSEでの上場を希望すると顧問団に
告げていたが、関係者によると最近、米国とサウジの外交的・経済的結び付きのほか、すでに親密な間柄にあるトランプ大統領や
娘婿で大統領上級顧問を務めるクシュナー氏との関係を強めるうえでNYSEでの上場が重要だと述べた。
 トランプ大統領は2017年11月、「アラムコのIPOがNYSEで実施されれば大いに感謝する。米国にとって重要なことだ」
とツイッターに投稿した。
 ホワイトハウスの報道官はコメントを差し控えた。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2018 年 1 月 29 日 14:11 JST)
ttp://jp.wsj.com/articles/SB10238705466860743512604584012012962454616

 


私は昨日、次のように書きました。

>各国の証券取引所は、外国の上場企業の誘致を巡り上場ルールの緩和競争をするのではなく、
>外国の投資家が自国市場へ参加することを容易にすることに注力するべきなのです。

仮に、証券規制(投資家保護)のあるべき姿である「有価証券上場規定は世界中の全ての証券取引所で共通である。」
ということを所与のこととするならば、会社が外国からも資金調達をしたい時は、
会社が株式を外国の証券取引所に上場させるのではなく、
証券制度として証券取引所が外国の投資家に自国へ訪れてもらうようにするべきだ、と昨日は書いたわけです。
この点について、紹介している記事には次のように書かれています。

>タダウル市場全体の時価総額はわずか4510億ドルで、外国人投資家に開放されたのも2015年からだ。

「タダウル証券取引所」が証券制度として(証券規制を緩和して)外国人投資家による株式の取引を容認するようになったのは、
なんとつい最近の2015年のことであった、とのことです。
これも確かに規制緩和と言えば規制緩和なのでしょうが、これは投資家保護をないがしろにする規制緩和とは異なると思います。
どちらかと言えば、この規制緩和は外資規制(外国資本の参入を制限する規制)に関連する緩和という側面が強いと思います。
安全保障上の理由だとか尊王攘夷の国民感情だといったことが外国人投資家による株式の取引を妨げていたわけですが、
それらは少なくとも「投資家保護」の観点とは全く関係がないわけです。
外国人投資家がサウジアラビア企業の株式を「タダウル証券取引所」で購入・取得し、保有をしたからと言って、
サウジアラビアの投資家の利益が害されるでしょうか。
サウジアラビア企業の大株主に外国人投資家がなったところで、サウジアラビアの投資家の利益は一切害されないわけです。
「百貨店上場」("department listing")や「域外上場」("extraterritorial listing")を認める規制緩和に比べれば、
外資規制の緩和規制は投資家の利益には何らの影響も及ぼさない規制緩和であるわけです。
例えば、「サウジ・アラムコ」が上場に際して日本の投資家を相手に日本でも「公募」(「募集」)を行いたいという場合や、
「サウジ・アラムコ」の既存株主が「サウジ・アラムコ」が上場に際して
日本の投資家を相手に日本でも「売出し」を行いたいという場合は、
日本の証券会社でも「タダウル証券取引所」に上場している銘柄の取引(「募集」や「売出し」を含む)を行えるようにする、
ということを、日本とサウジアラビア両国政府でしていかないといけないわけです。
それから、ふと気付いたのですが、先ほどの例で言いますと、日本国内で有価証券の「募集」や「売出し」を行うわけなのですから、
日本の投資家保護の観点から「サウジ・アラムコ」株式の「募集」や「売出し」に関しては日本の証券規制に服するべきだ、
という考え方も確かにあるなとは思いました(厳密に「属地主義」に基づけば確かにその考え方になるようにも思います)。
日本政府は日本人の投資家を保護するために発行者に証券規制を課している、と考えれば、その考え方になるように思います。
ただ、私が今思いますのは、その時日本の投資家は「サウジアラビア企業の株式を購入する」ということを十分に分かった上で
(つまり、「サウジアラビアの証券規制に服することになる」と理解した上で)、証券投資を行うはずだ、ということです。
日本国内における有価証券の「募集」や「売出し」だが日本の証券規制には服さない取り扱いになる、
ということさえ証券制度上投資家に周知徹底すれば、日本における「投資家保護」の観点には反さないのではと思いました。
米国政府がグランドキャニオンに柵を設置していないことを理由に、日本政府がこれから米国へ旅行する日本人観光客に対し、
米国を渡航禁止国とすることは、日本政府が日本国民に与えるべき保護扶助(aid and protection)を逸脱するものでしょう。
「グランドキャニオンに柵を設けなかったから俺は転落して大怪我したぞ。」、などと日本国民から批判されるいわれは、
日本政府にも一切ないのです(日本政府が米国を渡航禁止国とすることはもはや「過保護」というものでしょう)。

 



There are several types of organization of an enterpirse
which foreign investors can found in the Kingdom of Saudi Arabia.

サウジアラビアには、外国人投資家が設立可能な事業体の形態がいくつかあります。

 

Generally speaking, a "Joint Stock Company" is
virtually referred to as a "Stock Company" in Japan (in the Japanese Companies Act).

全般的に言って、「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")とは
事実上日本の(日本の会社法上の)「株式会社」("Stock Company")のことを指しています。

 

Only in the U.S., there is a "Joint Stock Company" in the company system,
which is certainly provided for in the U.S. Companise Act,
but it is  quite different from one in the other countries.
A "Joint Stock Company" in the U.S. is quite different from a "Stock Corporation" in the other countries
and it is not a juridical person.

米国にだけ会社制度に「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")があり、
確かに米国の会社法に規定があるわけなのですが、
米国の「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")は他国のそれとは全く異なっているのです。
米国の「ジョイント・ストック・カンパニー」("Joint Stock Company")は
他国の「株式会社」("Stock Corporation")とは全く異なっており、また、法人ではありません。


 
The Japanese poeple will not be damaged at all in foreign countries
as long as the Japanese government keeps the country in national isolation.

日本政府が鎖国しさえすれば、日本国民が外国で被害に遭うことは一切ないのです。