2018年3月25日(日)



ここ6日間のコメントを踏まえた上で、一言だけ追記をします。


2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

2018年3月20日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180320.html

2018年3月21日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180321.html

2018年3月22日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180322.html

2018年3月23日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180323.html

2018年3月24日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180324.html

 

昨日は、実務上も、「証券制度上、上場株式の相対取引は自由に認められる。」という点について考察を行いました。
そして、「理論的には、株式の売買需給を一箇所に集中させるべき理由はない。」、と書き、
学術上既に理論として確立しているとされる「市場の効率性」について、私見を次のように書きました。

>株式市場において真に求められるべきなのは、公正な価格形成などではなく、実は「公正な投資判断の形成」であると思いました。

金融経済学や証券投資論の分野において、「効率的市場仮説」と呼ばれる理論が確立しており、その理論に基づきますと、
「市場が完全で効率的である時、市場において公正な価格形成がなされる。」という結論になるわけです。
「効率的市場仮説」は、「投資家の行動と株価を説明する理論」だと(そもそもそういう意味だと)一般に捉えられていますが、
私個人の私見(「効率的市場私説」)になりますが、「効率的市場仮説」は、
より本質的には「発行者の行動と投資家の投資行動を説明する考え方」なのではないかと思います。
ここでいう「発行者の行動」とは法定開示書類の提出や適時情報開示や記者会見やその他発行者に関連する報道等を指し、
ここでいう「投資家の投資行動」とは、将来予想や株式の「本源的価値」の算定や売り注文や買い注文を指します。
他の言い方をすると、「完全で効率的な市場」とは、株式市場における株式の価格(公正な株価形成)云々は実は全く関係がなく、
「株式市場における投資家の投資判断は、その株式の価値を決定づける情報を反映している。」という状態を指すのだと思います。
「公正な(=完全で効率的な)投資行動」というのはありますが、「公正な価格」というのは実はないのです。

 


教科書や解説サイト等で「効率的市場仮説」についての説明や考え方を読みますと、「価格」を中心に議論が展開されています。
「市場の価格は公正であるか否か?」や「価格変動や株価は全ての情報を織り込んでいるか否か?」といった議論ばかりです。
しかし、真に議論せねばならないのは、実は「価格」ではなく、「投資家は完全で効率的な投資判断を行っているか否か?」
という点であるわけです(「価格」は単に、「投資家による投資判断の結果、株価が変動し得る。」というだけのことなのです)。
「効率的市場仮説」の「起源」は、現在議論の中核部分とされる「価格形成」云々ではなく、
実は「投資家による投資判断」の完全性や効率性だったのではと思います。
「効率的市場仮説」は、起源的には、「価格形成」ではなく、「投資家の投資行動」が考察の中心的対象だったのだと思います。
起源的には、「効率的市場仮説」において真に議論せねばらならないのは、
「価格形成」ではなく、「投資家の投資行動」なのだと思います。
なぜならば、「投資家の投資行動」の結果「価格形成」がなされるからです。
「価格形成」の前段階として常に「投資家の投資行動」があるわけです。
「市場の投資家の投資行動は完全で効率的であるか否か?」や「投資家は市場において完全で効率的な投資判断を行っているか否か?」
という点について考察を行うことが、「効率的市場仮説」の本質部分だと思います。
そしてさらに、意外に思うかもしれませんが、理論的には、株価と株式の「本源的価値」とは直接的には関係がないのです。
その両者の間には、常に「売り注文」と「買い注文」との"encounter"が介在するのです。
「売り注文」と「買い注文」との"encounter"なしに、株価が変動することは決してないのです。
"encounter"とは、基本的には「(偶然の)出会い」や「偶然出くわす」という意味ですが、
「敵との遭遇」や「敵と対戦する」という意味もあります。
また、"encounter"の語源は、古期のフランス語で「対立して、ぶつかって」という意味だと辞書に載っています。
株式の売買は、売り手と買い手とが自分の投資利益を巡って互いに対立して、
「この価格でなら相手は取引に応じるだろう」と自分に少しでも有利な注文を互いにぶつけ合う中で、成立するものなのです。
さらに、理論的には、株式市場に知り合いは1人もいませんので、
すなわち、取引の相手方と日時を示し合わせて立会場に(株式市場に)来場するわけではありませんので、
売り手と買い手は常に互いに偶然に立会場で(株式市場で)出会うことになるわけです。
同じ「出会う」や「出会い」でも、"encounter"は"date"の正反対の概念なのです。
株式市場において、株式の売り手は自分が予想する株式の「本源的価値」よりも高い「ある一定の価格」で「売り注文」を出し、
株式の買い手は自分が予想する株式の「本源的価値」よりも低い「ある一定の価格」で「買い注文」を出すわけです。
簡単に言えば、市場における株価形成の前段階として、「売り注文」と「買い注文」のせめぎ合いがあるわけです。
それら「売り注文」や「買い注文」や「せめぎ合い」と株式の「本源的価値」は関係がないわけです。
なぜならば、株式の売り手は自分が予想する株式の「本源的価値」で「売り注文」を出すわけではありませんし、
株式の買い手は自分が予想する株式の「本源的価値」で「買い注文」を出すわけではないからです。
むしろ、株式の売り手も株式の買い手も、どちらも「自分が予想する株式の『本源的価値』とは異なる価格」で注文を出すのです。
なぜならば、「自分が予想する株式の『本源的価値』と同じ価格」で注文を出しても、理論的には1円も儲からないからです。
売り注文も買い注文も、各投資家が予想する株式の「本源的価値」とは異なる価格です。
したがって、売り注文と買い注文との約定価格である株価は、株式の「本源的価値」とは異なる価格に収束するのです。
結論を一言で言えば、株式に「公正な価格」というのはないのです。
一般に、客観的な取引成立価格である市場価格がある資産については市場価格がその資産の「公正価値」であると言われていますが、
実は、たとえ上場株式であろうとも、株価は株式の「公正価値」を何ら表してはいないのです。
「価格」と「価値」は異なります。
「価格」とは、「価値」を手に入れるために支払う「対価」に過ぎないのです。
そして、「公正な価格」という概念はない以上、結局のところ、実は「公正な価格形成」という概念もないのです。

 



First, each investor in the market calculates the "intrinsic value" of a share,
and it is called a "value" in common parlance.
Secondly, each investor in the market pays a "consideration" for the share,
and it is called a "price" in common parlance.
From a standpoint of each investor in the market, a share has a "value" in it, whereas it has no "price" in it.
That is to say, a share has no "fair price" in it.
A "price" is different from a "value."
A "value" is what you really want to get.
What you pay for a "value" is a "price."

まず最初に、市場の各投資家は株式の「本源的価値」を算定するのですが、それを俗に「価値」と呼ぶわけです。
そして次に、市場の各投資家はその株式のために「対価」を支払うのですが、それを俗に「価格」と呼ぶわけです。
市場の各投資家の立場から見れば、株式には「価値」はあるのですが、株式に「価格」はないのです。
すなわち、株式には「公正な価格」というのはないのです。
「価格」というのは、「価値」とは異なるものです。
「価値」というのは、人が真に欲しいものです。
「価値」のために人が支払うものを「価格」というのです。

 



それから、昨日は、「@上場銘柄取引の取引所集中の原則」について次のように書きました。

>教科書を読んで、元来的には「@上場銘柄取引の取引所集中の原則」が取られていたわけですが、私はまず最初は・直感的には、
>「株式の売買需給を一箇所に集中させる目的は、投資家が所有株式を売却する機会を最大化させることである。」と思いました。

会社の株式を引き受ける投資家が不特定多数となる場合や会社に「清算期日」が定められていない場合は、
投資家の利益保護の観点から、「投資家に所有株式を売却する機会を最大限提供すること」が証券制度上求められるわけです。
この観点から言えば、特定の相手から株式を購入しようという場合(取引相手が既にいて相対取引を行える場合)であっても、
両当事者は市場にそれぞれ買い注文と売り注文を出さなければならない、という考え方になります。
この時、株式の買い手は、特定の売り手だけではなく、「市場の全投資家」に対して株式売却の機会を提供しなければならない、
という考え方になります(市場の株式売却希望者は特定両当事者が合意した価格で株式の売り手に株式を買ってもらうことができる)。
その考え方は確かに理解できる一方、「証券取引の平等性」が証券制度上求められるのは、
投資家ではなく発行者の方である(ある投資家間の証券取引が他の投資家の利益に影響を与えることはないから)、
という考え方に基づけば、上場株式の相対取引は理論上も十分に認められる(ある投資家間の相対取引が他の投資家の利益を
害することはないから)という結論になるわけです。
以上の議論と関連のあることなのですが、ミャンマーのヤンゴン証券取引所の事例が理解のヒントになると思いました。
つい最近の記事も含め、ミャンマーのヤンゴン証券取引所に関する記事をいくつか紹介したいと思います。

 


2018年3月24日(土)日本経済新聞
■ヤンゴン証券取引所 売買確定、1日4回に
(記事)

ヤンゴン証券取引所、売買1日4回に

 ■ヤンゴン証券取引所 株式売買の取引を確定するタイミングを、現在の1日2回から4回に増やす。
同証取では2017年12月にオンライン取引を開始後、取引件数が約3割増えた。売買頻度を増やせる環境が整ったと判断した。
 市場参加者が多い先進国の取引所ではリアルタイムで売買が確定するが、
ヤンゴン証取ではこれまで、午前11時と午後1時の1日2回だけ売買注文のマッチングをしていた。
月内にも証券当局の承認を得て、午前10時と正午にも取引するようにする。
 ヤンゴン証取は16年3月に株式取引をスタートしたが、上場企業数は5社。
株価は下落を続けており、市場活性化が急務となっている。同証取には大和総研や日本取引所グループが出資している。
(日本経済新聞 2018/3/23 17:30)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO28498060T20C18A3FFE000/

 



メコン圏企業の上場誘致 タイ証取が新市場 ミャンマーなど4カ国対象 基準を緩和

 タイ証券取引所は東南アジア後発国のカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの企業が上場しやすい株式市場を創設する。
ケサラ・マンチュスィ社長が日本経済新聞に明らかにした。周辺4カ国に進出するタイ企業を対象とした株価指数も開発する。
成長率が高いメコン地域への投資の玄関口としての役割を明確にし、他のアジアの証取に対する優位性を確保する。
(日本経済新聞 朝刊 2018/2/21付)
ttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO27147560Q8A220C1FFE000/

 

ヤンゴン証取に5社目上場 初めて市場から資金調達 株式取引の活性化期待

 【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーのヤンゴン証券取引所に26日、5社目となる「TMHテレコム」が上場した。
2016年3月に同証取での株取引が始まって以来、初めて市場からの資金調達を伴う新規株式公開(IPO)となった。
26日午前の取引でつけた初値は3250チャット(約260円)となり、公開価格の3000チャットを上回った。新規上場は約1年ぶり。
 市場関係者は、新銘柄の上場が証券市場の活性化につながることを期待する。
上場株式の時価総額の加重平均として算出するMYANPIX(ミャンマー株価指数)は緩やかに下がり続けており、
現在は1年前を約25%下回る水準だ。株価低迷が上場企業と投資家の伸び悩みを招く悪循環に陥っていた。
 TMHテレコムは07年、電話交換機の製造会社としてミャンマー北部のシャン州で創業。
携帯電話用の電波塔や光ファイバー網の敷設に事業を拡大している。今回の新規上場に伴う公募増資で20億チャットを調達した。
同社のティハ・ルウィン社長は26日、新規上場を記念する式典で「他の企業も後に続いてほしい」と呼びかけた。
 17年12月に外国人の株式保有規制を緩和する新会社法が成立した。
同法が施行される18年8月までに、ヤンゴン証取での外国人投資家の取引が解禁される見通しだ。
 日本の官民は、ミャンマーの資本市場育成をサポートしてきた。ヤンゴン証取には大和総研や日本取引所グループが出資。
金融庁は証券当局に専門家を派遣し、監督行政の立案を支援している。
 26日の式典に出席した内閣府の村井英樹政務官は「ミャンマーの資本市場は黎明(れいめい)期から成長期に移行する
節目を迎えている」と述べ、さらに支援を強化していくと表明した。
日本政府は、上場企業の開拓や投資家層の拡大に向けた協力計画を提示。両国で進捗状況を議論する場を設ける。
 証券会社の関係者によると、TMHテレコムのほかにも数社が上場を検討している。1月には一部証券会社でネットを通じて
株価売買ができるようになった。だが資本市場育成には、投資家を保護する企業統治の確立や、
情報公開体制の整備といった課題も残る。健全な市場環境を整備するには、息の長い支援が欠かせない。
(日本経済新聞 2018/1/26 16:21)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO26186130W8A120C1FFE000/

 

2017年12月5日(火)日本経済新聞
ミャンマー初 公募調達 TMHテレコム、来年上場
(記事)

 



ヤンゴン証取、伸び悩み 1年半で上場4社どまり

 ヤンゴン証券取引所が伸び悩んでいる。1年半前に取引を開始したものの、上場企業は4社にとどまっている。
株式指数もピークの半分以下に下落した。ヤンゴン証取はこのほど投資家向けセミナーを開催するなどで投資家を呼び込み、
取引のてこ入れを図るが、ミャンマーで株式市場が本格的に機能するまでの道は険しそうだ。
 ヤンゴン市内のホテルで開かれた「YSX EXPO」。ミャンマーで初めて開かれた投資家向けの広報(IR)フェアで、
「株式市場の役割と投資の魅力」などと題したセミナーに、合計1000人以上が参加した。
 参加者のほとんどは株式取引の経験が皆無。セミナーでは「どの会社の株を買えばいいのか」といった質問も飛び交う。
それでも証券会社6社が設けた口座開設手続きのブースには人の列が途切れることがなかった。
 投資熱が高まる一方で、株式市場は盛り上がっていない。2016年3月に取引を開始したヤンゴン証取は
当初こそ活発な取引が行われたものの、その後は低迷。株価指数のMYANPIX(ミャンマー株価指数)は半分以下に下がった。
 ヤンゴン証取に出資する日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)は10日、
上場企業が4社、証券会社が6社にとどまる現状に「十分ではないと言わざるを得ない」と語った。
 背景には投資家層の薄さがある。国内で開設済みの証券口座は約3万件にとどまる。
開設当初こそ関心をもったが、株価の下落をみて早々に引き揚げたという個人投資家も多い。
上場しても、取引が低迷し、株価も落ち込むようだと企業側も上場の利点を感じにくい。
 政府やヤンゴン証取も対応を急ぐ。8月中旬、上場企業に対して通常25%の法人税を20%に引き下げる優遇措置を発表。
株式上場の2年以上前に遡って納税状況を調査しないという制度を設けた。
ミャンマー企業への外国人の投資を認める会社法改正が成立すれば、
外国人の株式市場への参加が認められ、証券市場の活性化にもつながる。
 政府などの姿勢を評価し、年内には1〜2社が新株発行を伴う新規上場で資金調達を実施する見込みだ。
ミャンマーの経済成長にとって証券市場の育成が不可欠との認識は、取引所も、政府も、企業も共有しており、
もう一段の改革が期待されている。
(日本経済新聞 2017/9/11 19:10)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXLASDX10H1X_R10C17A9FFE000/

 


昨日スキャンして紹介した教科書の追補です↓。


「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第13章 証券市場のインフラストラクチャー
1. 金融商品取引所
「331ページ」 

「332〜333ページ」 

「334〜335ページ」 

 


まず、紹介している2018年3月24日(土)付けの日本経済新聞の記事についてですが、
ミャンマーのヤンゴン証券取引所が、株式売買の取引を確定するタイミングを現在の1日2回から4回に増やす、とのことです。
これまでは、午前11時と午後1時の1日2回だけ売買注文のマッチングをしていたのですが、
今後は午前10時と正午にも売買注文のマッチングをするようになるとのことです。
日本や米国など、市場参加者が多い先進国の取引所ではリアルタイムで売買が確定するシステムとなっているのですが、
ヤンゴン証券取引所では、上場銘柄数が非常に少ないことも理由の1つでしょうが、1日に2回のみ売買が確定するようです。
ヤンゴン証券取引所では、1日のうちで最後に売買が確定するのは「午後1時」となっているようですが、
1日の取引終了時には売買は確定させないのだろうかと疑問に思い、ヤンゴン証券取引所のウェブサイトを見てみました。

Trading procedure(Yangon Stock Exchange)
ttps://ysx-mm.com/trading/trading-procedure/

>Trading hours
>Order acceptance time  9:30 am to 1:00 pm
>Matching time               11:00 am and 1:00 pm

ヤンゴン証券取引所の取引時間(注文受付時間)は「午前9時30分から午後1時まで」である一方、
約定時間(注文の付け合せ時間)は「午前11時と午後1時」となっています。
なんとヤンゴン証券取引所では、取引時間(注文受付時間)は「午後1時」で終了することになっているとのことです。
ヤンゴン証券取引所では、今後も取引時間(注文受付時間)を延長する計画はないようなのですが、
ヤンゴン証券取引所とは対照的な事例がありましたので紹介します↓。

2017年2月22日(水)日本経済新聞
大阪取引所 夜間取引、時間延長を検討
(記事)

日本の証券取引所における取引時間は通常午後3時までであるわけですが、
大阪取引所のデリバティブ取引は、現在は午後5時30分までとなっているようです。
大阪取引所では、取引時間をさらに延長し、ニューヨーク株式市場の取引時間の全てをカバーできるようにする方針のようです。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げ発表等、米国など海外発のニュースに国内投資家が柔軟に対応し素早く取引を行うことが
できるようにすることが目的とのことです。
大阪取引所の試みは、リアルタイム性(即時性)という意味では、投資家にとって望ましい方針であると言えると思います。
ただ、「@上場銘柄取引の取引所集中の原則」の趣旨(投資家への株式売却機会の提供)を現実的に踏まれば、
取引時間(注文受付時間)は投資家にとって短い方がよい(売り注文を現実的に出しやすい)、と言えると思います。
もしくは、現在のヤンゴン証券取引所のように、約定時間(注文の付け合せ時間)を限定する、という案も理に適うと思います。

In order for a buy order and a sell order to "encounter" each other,
both a buyer and a seller must stand in the market at the same time.

買い注文と売り注文が出会うためには、買い手と売り手の両方が同時に市場にいなければなりません。

 



次に、紹介している2017年12月5日(火)付けの日本経済新聞の記事についてです。
2018年1月にミャンマーのヤンゴン証券取引所に5社目となる「TMHテレコム」が上場したのですが、
この上場は、2016年3月にヤンゴン証券取引所で株式の取引が始まって以来、初めて市場からの資金調達を伴う
新規株式公開(株式上場時に公募増資を行い一般投資家から資金を調達するミャンマーで初の事例)となった、とのことです。
これまで上場を果たした4社は、発行済みの株式をそのまま上場させただけの上場であり、
上場時に公募増資を行う(資金を調達する)ということはしていなかった、とのことです。
記事を読んでいて、日本の証券規制(証券市場のインフラストラクチャーのあり方)との相違点について気付きましたので、
記事の冒頭を引用したいと思いました。

>ミャンマーのヤンゴン証券取引所は4日、ミャンマーの通信関連会社「TMHテレコム」の新規株式公開(IPO)が
>認められたと発表した。

現在、日本では、株式の上場を認めるか否かは証券取引所自身が審査をすることになっているわけですが、
ミャンマーの証券規制では、証券当局が承認をする、という証券制度になっているようです。
この論点については、「証券取引所の組織形態」と関連がある議論になると思います。
今日紹介している教科書の334〜335ページに記載があります。
例えば、日本では、証券取引法が2000年に改正される前は、証券取引所は非営利の会員制組織に限る、とされていました。
会員制の証券取引所は営利の目的をもって業務を行ってはならない、と現在でも金融商品取引法に定められているようですが、
会員制の証券取引所であれば非営利の運営が可能なのかと言えば、答えは必ずしも明確ではないと思います。
近年になって証券取引所の間で世界的に市場間競争が激化している、との記述が教科書にあるわけですが、
非営利ということは競争は行わないということではないだろうかと思いました。
証券取引所の間で競争をしていると言っている時点で、営利を目的にしていると自分で言っているようなものだと思います。
また、証券取引所に上場する銘柄数が増えれば増えるほど、証券取引所は上場のための手数料を受け取ることができるわけです。
つまり、証券取引所には、積極的に株式の上場を認めようとするインセンティブ(動機)が自然と働くわけです。
さらに言えば、出資をして証券取引所を開設する会員はまさに証券会社であるわけです。
証券取引所に上場する銘柄数が増えれば増えるほど、証券会社は証券取引に関する手数料を受け取ることができるわけです。
つまり、出資者である証券会社にも、積極的に株式の上場を認めようとするインセンティブ(動機)が自然と働くわけです。
これでは、本来であれば上場が認められないような株式でさえも、上場が認められてしまう傾向が出てくるわけです。
真の意味で非営利とは、上場銘柄数の多寡や証券取引の活性度は自分の利益とは全く無関係である、という意味だと思います。
したがって、証券会社が会員制の証券取引所を開設すること自体は問題はないと思うのですが、
少なくとも「上場審査」は真の意味で非営利であると言える金融監督当局が行うべきだ、という考え方になると思います。
また、「上場廃止」の審査も真の意味で非営利であると言える金融監督当局が行うべきだ、という考え方になると思います。
さらに言えば、証券取引所は株式の取引を行う場に過ぎない(立会場に過ぎない)わけなのですから、
毎日の注文の集計や注文の付け合せ等の事務作業量を鑑みれば、
証券取引所の運営により収支をプラスマイナスゼロにするのは現実には非常に難しい部分もあると思いました。
証券取引所はたとえ非営利でも、証券取引所への出資者である証券会社は当然に営利を目的にしているわけです。
最も元来的には、証券取引所は国営(国の一機関)という位置付けであるべきだと思いました。
最も元来的には、証券取引所は法人である必要すらない(純粋に金融監督当局の一部局であるべきだ)と思いました。
証券会社は売買手数料で稼ぐのが本業であると思いました。
そもそも証券市場のインフラストラクチャーの構築・整備を証券会社が担うのは、国のあり方としても間違いだと思いました。

 



To begin with, the more shares are listed in a share exchange, the more the exchange can earn a fee.

まず最初に、証券取引所に株式が上場されれば上場されるほど、証券取引所は手数料を稼ぐことができるのです。

 

In case a share exchange is an organ of government or under government management,
the financial supervisory authoriies themselves judge a  share to be listed in the exchange.
An operator of a share exchange is the same one as those who judge a share, but it's no problem in this case.
For a goverment is the only non-profit organization in a true sense in this society.

証券取引所が国の一機関である場合は、すなわち、国営である場合は、
金融監督当局自身が証券取引所に上場することになっている株式を審査します。
証券取引所の運営者と株式を審査する者とが同一人物となっていますが、この場合は問題はありません。
というのは、政府はこの社会で唯一の真の意味での非営利組織だからです。

 

In case an operator of a share exchange is a more or less profit-making enterprise such as a securities company,
the financial supervisory authorities should judge a share.

証券取引所の運営者が証券会社のような大なり小なり営利を目的とした事業体である場合は、
金融監督当局が株式を審査しなければなりません。

 

All things considered, those who judge whether a share is qualified to be listed
should always be the financial supervisory authorities in theory.

あらゆることを考えてみますと、ある株式が上場する資格があるかどうかを審査するのは、
常に金融監督当局でなければならない、ということに理論上はなります。

 

The longer the market opens, the more sparsely investors stand in the market during the trading hours.
In order for sell orders and buy orders to encounter each other in the market with concentrated density,
a share exchage should shorten the trading hours, actually.

市場が長い時間開いていれば開いているほど、取引時間中に市場にいる投資家はまばらになってしまいます。
買い注文と売り注文が高い密度で市場で出会うためには、証券取引所は取引時間を実は短縮するべきなのです。