2018年6月20日(水)



最近の93日間のコメントを踏まえた上で、記事を紹介しつつ、少しずつコメントを書きたいと思います。

 


2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

から

2018年6月19日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201806/20180619.html

までの一連のコメント

 


現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント

2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html

 


「オークション方式」に関する過去のコメント

2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html

2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html

 

 


2018年6月20日(水)日本経済新聞
機関投資家など総会出席容易に 新生銀行
(記事)



2018年5月30日
株式会社新生銀行
第18期定時株主総会招集ご通知
ttp://www.shinseibank.com/corporate/stock/shareholdersmtg/pdf/18/shosyu_j.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)


第1号議案 定款一部変更の件
(5/64ページ)

 

 


株主名簿上の株主だけではなく、自己名義以外で株式を保有している株主(いわゆる実質株主)も株主総会に出席できるように、
会社が定款の変更を行う(例えば、海外の機関投資家などが議決権を代理行使できるようにする)、という事例になります。
昨年Jフロントリテイリングが同様の定款変更を行ったのですが、金融機関では初の事例ということです。
これは一般には「議決権の代理行使」と言われる議論になるのではないかと思いますが、正確に言えば、
「株主総会への代理出席」と表現するべき株主の権利の拡大であると捉えるべきだと思います。
議決権の行使は、株主総会へ出席して行うことがある意味大前提なのです(書面等による議決権行使は代替的手段に過ぎない)。
「本人もしくは代理人が株主総会へ出席すること」がこの種の議論の前提になるわけですが、記事から重要な部分を引用します。

>日本企業の多くは定款で株主総会への出席を名義上の株主に限っている。
>投資家が信託銀に株を預けると信託銀が名義上の株主となり、海外投資家らは総会に参加できなかった。

社会人1〜2年目の時に、銀行に就職した高校の同期生から、「株主総会への代理出席」についても話を聞いたことを思い出しました。
簡単に言えば、商法における通説なのだと思いますが、「株主総会には株主しか出席できない。」という趣旨であったと思います。
「株主総会には株主しか出席できない。」からこそ、判例上は「株主の代理人の資格は株主に限定される。」となるわけです。
改めて考えてみますと、株主は株主総会の構成員なのですから、株主総会の構成員以外の人物が株主総会に出席をするというのは、
会社機関やその構成員という観点から見ますと、株主以外の人物が代理人になるのは論理的には間違いなのだと思います。
例えば、株主が議決権の不統一行使をする限り、それはあくまで「株主総会の構成員」が議決権を行使していることになるわけです。
「株主総会の構成員」や「株主名簿に記載されている株主」以外の人物が議決権を行使する、という点について考えていますと、
昨日書きました「社外取締役」が頭に浮かびました。
昨今の議論では、「業務の執行をしない取締役」という役割や責任がその議論の前提になっているところがあるわけですが、
昨日も書きましたように、そのような取締役(「社外取締役」を含む)は会社法上は実はいないのです。
業務の監督をその任務とし「業務の執行はしない」という役割や責任を負った役員ということであるならば、
その人物とは、監査役設置会社であればまさに「監査役」であり、委員会設置会社であればまさに「取締役」なのです。
この文脈で言う「社外」を「業務の監督に専念する・業務の執行はしない」という意味であると捉えるならば、
監査役設置会社における「監査役」は全員が自動的に「社外監査役」であり、
委員会設置会社における「取締役」は全員が自動的に「社外取締役」なのです。
監査役設置会社における「取締役」に「業務の監督に専念する・業務の執行はしない」という役割や責任を負わせることは、
会社法上の矛盾中の矛盾なのです。
2015年5月1日に会社法が改正され、「監査等委員会設置会社」という新たな会社機関の設計方法が導入されました。
私は最初、「監査等委員会設置会社」は委員会設置会社のマイナーチェンジ版かと思いましたが、実は全く違うようです。
また、従来の委員会設置会社は現在では会社法上は「指名委員会等設置会社」という名称に変更されています。
「監査等委員会設置会社」と「指名委員会等設置会社」とでは「取締役」の役割(「執行役」の存在)が根本的に異なるため、
後者については「執行役設置会社」というような呼び方(総称・俗称)をしてはどうだろうかと思いました。
監査役設置会社における「社外取締役」の矛盾について考えていますと、「社外株主」という言葉を思い付きました。
「社外株主」は私の造語になりますが、
「社外株主」には「株主名簿に記載されてはいない株主」や「株主総会の構成員ではない株主」という意味を込めました。
「社外株主」が株主総会に出席して議決権を行使する様を思い浮かべますと、やはり矛盾しているように思いました。
また、「社外株主」を思い付いた後に思い付いたのですが、このたびの事例が銀行だけに、
「簿外株主」という言葉も思い付きました。
「簿外株主」も「社外株主」と全く同じ意味なのですが、悪いニュアンスや矛盾を上手く表現できたと思います。

 


In a company, there are a person who executes operations and another person who supervises operations.

会社には、業務を執行する人物と業務を監督する別の人物とがいるのです。

 

If there is an "outside director" in a company, then there may also be an "outside shareholder" in a company.
The definition of an "outside shareholder" is a "shareholder who is not entered in a shareholder register."

会社に「社外取締役」がいるのなら、「社外株主」も会社にいるのでしょう。
「社外株主」の定義は、「株主名簿に記載されていない株主」です。

 

In this case, from a standpoint of a company, a trust bank is a shareholder,
whereas what you call a virtual shareholder is an "outside shareholder."

この場合、会社の立場から見ると、信託銀行が株主であり、いわゆる実質株主は「社外株主」なのです。

 

An outside director is something like an unemployed employee.
It is exactly a contradiction in terms.

社外取締役というのは、非雇用被雇用者のようなものです。
まさに名辞矛盾なのです。

 

It's truly an "off-books shareholder."

これがほんとの「簿外株主」だ。

 

An "outside director" or an "off-books shareholder" accounts for a contradiction in the concept "outside director."

「社外株主」や「簿外株主」が、「社外取締役」という概念における矛盾を説明しています。