2018年6月18日(月)



最近の91日間のコメントを踏まえた上で、記事を紹介しつつ、少しずつコメントを書きたいと思います。

 


2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

から

2018年6月17日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201806/20180617.html

までの一連のコメント

 


現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント

2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html

 


「オークション方式」に関する過去のコメント

2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html

2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html

 

 


昨日は、連結会計上の「のれん」について考察を行い、その後、
富士フイルムホールディングス株式会社による米ゼロックスコーポレーション(XC)の株式取得に関してコメントを書いたわけですが、
昨日紹介した2018年6月5日(火)と2018年6月15日(金)付けの日本経済新聞の記事を題材にして、
「物言う株主(アクティビスト)」の投資行動について一言だけ追記をします。
これら2つの記事では、「オアシス・マネジメント・カンパニー」(以下、「オアシス」)という香港の投資ファンドについて、
その投資戦略や投資行動が書かれています。
オアシスは典型的な「物言う株主(アクティビスト)」として知られていると書かれています。
オアシスは現在出光興産株式を2〜3%以上保有しているのですが、昨今話題となっている経営統合を巡り、
昭和シェル石油に対して公開買付を早期に実施するようオアシスは出光興産に対して要求を行っている、とのことです。
経営陣に面会し投資先に合理化や経営改革などの要求を突きつけるのが「物言う株主(アクティビスト)」の真骨頂であるわけですが、
オアシスの出光興産に対する行動はまさに「物言う株主(アクティビスト)」のそれであるわけです。
オアシスは、今後需要が縮小する石油産業では経営統合は重要であり出光興産は早期に昭和シェル石油と経営統合を行うべきだ、
という考えを持っており、最近も最高投資責任者が出光興産と昭和シェル石油の経営陣とそれぞれ面会した、と記事には書かれています。
「物言う株主(アクティビスト)」が株式を保有し投資先に対して合理化や経営改革などの要求を突きつけている状態であり、
オアシスの出光興産に対する一連の行動(経営陣との面会や経営改善の要求等)は、一見すると、
「これぞ物言う株主(アクティビスト)。」(その種の株主の典型的な投資行動だ)、と言いたくなるような行動に思えます。
しかし、より株式市場の投資家としてと言いますか、より「株式投資」という観点からオアシスの一連の行動を見ますと、
この場合は少し違う見方をしなければならないのではないかという気もします。
その理由は、昨日書きました次の一文です。

>物言う株主(アクティビスト)は株式を売却して何ぼ、という世界であるわけです。

確かに、出光興産が昭和シェル石油と経営統合を果たしても出光興産の企業価値は増大すると思いますし株価も上昇するでしょう。
だからこそ、オアシスは出光興産に対して早期に経営統合を進めるよう要求をしているわけです。
しかし、昨日書きました「米ゼロックスコーポレーション(XC)の物言う株主」がまさにそうであったように、
物言う株主(アクティビスト)は所有株式の売却を究極の目的とする行動を取らねばならないわけです。
なぜならば、現在の会社制度では会社の清算は前提としていない以上(「expire」(満了=会社の清算)は期待できない以上)、
投資家が投資を回収し投資利益を得る手段は「exchange」(交換=売却)しかないからです。
そのことを鑑みますと、オアシスが投資せねばならない株式は出光興産株式ではなく昭和シェル石油株式であるべきなのです。
オアシスは、昭和シェル株式を取得した上で、出光興産側に公開買付の実施を呼びかけるという投資行動を取るべきなのです。
私は昨日、「投資先ではない(株式を保有しているわけでもない)会社」に物を言う株主は会社制度上はおかしいと書きましたが、
その後、株式の譲渡という文脈では、両者の構図が「会社対物言う株主」ではなく「投資家対投資家」になるため、
また、委任や受託や会社の業務の執行とは関係がない話になるため、実は証券投資上は何らおかしくない、と書き改めました。
投資家としては、株式の売却がより容易(売却可能性がより高い)な株式へ投資を行うようにするべきなのです。
特に経営統合絡みの銘柄の場合は投資家として株式投資上その点を決して忘れてはならないわけです。
話を一般化して言えば、経営統合絡みの銘柄に関しては、親会社や存続会社ではなく子会社や消滅会社の方に投資をするのです。
子会社や消滅会社の方に投資をしておけば、プレミアムや合併比率等を勘案すれば、通常は投資がより有利な投資に換わるのです。
非常に長期的な観点から言えば、親会社や存続会社の方に投資をしても問題はないわけですが、
特に実務上期日にファンドを清算し出資者にお金を返す必要がある機関投資家は、投資銘柄の売却可能性に重きを置くべきなのです。
例えば投資先企業が自社株買いを行うとなりますと、機関投資家としては、株式を買い増すのではなく、
自社株買いに応じる、という投資行動が実務上は求められる(投資家としては有利な条件で売れる時に売るべきだ)と思います。