2018年6月11日(月)



最近の84日間のコメントを踏まえた上で、記事を紹介しつつ、少しずつコメントを書きたいと思います。

 


2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

から

2018年6月10日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201806/20180610.html

までの一連のコメント

 


現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント

2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html

 


「オークション方式」に関する過去のコメント

2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html

2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html


 


昨日は、上場株式の約定から決済までの期間の短縮化(約定日の3営業日後が決済日)に関連する論点について書いたわけですが、
現在の証券取引制度のように、約定と同時に決済がなされるわけではないとなりますと、取引の安全性の確保のため、
「売買の成立と同時に、売買代金と売買株式は当事者の手許から分離させ別に管理するようにしなければならない。」
という証券取引に関する制度設計について考察を行いました。
昨日は私自身、この論点ついての勉強を兼ねていたと言いますか、自分でも理解を進めながらそして頭の整理をしながら、
「こう書けば分かるだろうか?」と思いながらコメントや図を書きました。
今日になって自分が昨日書きましたコメントを読み直してみたのですが、
私が言いたいことは何とか伝わるように書けているなと自分で思っているところです。
昨日のコメントに一言だけ追記をしたいと思います。
証券保管振替機構の解説ページを見ますと、株主名簿の議論がきれいに抜け落ちていることが分かるのですが、
株主名簿管理人は株主が変わったことをどのように把握するのだろうか、と思い、昨日は次のように書きました。

>証券保管振替機構が株主名簿管理人に株主名簿の書換の指図を適宜行う(約定日から3営業日経過したら書換の指図を行う等)、
>ということならまだ意味が分かるのだが、と思いました。

この点についてもう少し調べてみようと思い、証券保管振替機構のウェブサイト内の検索ボックスで「株主名簿」を検索したり、
インターネットのグーグルで「証券保管振替機構 株主名簿」というキーワードで検索したりしました。
すると、証券保管振替機構は株主名簿のことは度外視しているわけではないということが分かりました。
証券保管振替機構のウェブサイト内の検索ボックスで「株主名簿」というキーワードで検索した検索結果を見ても、
証券保管振替機構が株主名簿をどのように取り扱っているのかはよく分からなかったのですが、
表示された検索結果の中には次のようなページがヒットしました↓。

その他届出書類|証券保管振替機構
株主名簿管理人に関する届出書
発行者に関する届出書
ttp://www.jasdec.com/system/less/participation/register/index.html

参考までに、「所在不明株主通知書」と「名義書換完了等通知書」をダウンロードしてみたのですが、
どちらも自分が知りたいと思う資料とは異なっているなと思いました。
ただ、「名義書換完了等通知書」は、発行者から株式会社証券保管振替機構へ株主名簿の名義書換が完了した旨の通知を
行うための書式ということで、比較的自分が知りたい資料に近いと思いました。
ただ、株主名簿の名義書換に関しては、特に上場企業は株主名簿管理人の業務ではないかと思いますので、
株式会社証券保管振替機構へ「名義書換完了等通知書」を送付するべきなのは、
実務上は発行者ではなく株主名簿管理人になるはずだと思いました。
株主名簿の書換や保管は株主名簿管理人が行い、発行者は確定した株主名簿の閲覧のみを行う、ということだと思います。
また、「名義書換完了等通知書」を見る限り、昨日書き先ほど引用しましたように、「株式等振替制度」では、
証券保管振替機構が株主名簿管理人(もしくは発行者)に株主名簿の書換の指図を適宜行う、
という制度になっているのだろうと思いました。

 


また、証券保管振替機構のウェブサイト内の検索ボックスで「株主名簿」というキーワードで検索した結果、
次のようなページもヒットしました↓。


登録済加入者情報の開示請求-よくあるお問い合わせ-
ttps://www.jasdec.com/system/less/certificate/kaiji/qa/index.html

>Q1:機構が株式等の口座開設先の情報を持っているのはなぜですか。
>A1:弊社では、発行会社が株主名簿を作成するために、発行会社に対して株主の情報を通知しておりますが、
>そのための準備行為として、あらかじめ証券会社等から当該証券会社等に口座を開設している者の住所・氏名等の
>情報(以下「加入者情報」といいます。)を受領し、当該情報を加入者情報登録簿に登録しています。


この問答だけを見ても、証券保管振替機構が「株主名簿」をどのように捉えているのかははっきりしないのですが、
発行会社(もしくは株主名簿管理人)が株主名簿を作成するために、
発行会社(もしくは株主名簿管理人)に対して株主の情報(株式の取引情報)を証券保管振替機構が通知をする、
という制度になっているのだけは確かなようです。
私が思うに、証券保管振替機構は証券取引所の一機関(本来証券取引所が果たすべき役割を担っている)のような位置付けである、
と言いますか、現在の証券保管振替機構は本来的には証券取引所の一部局でなければならないのではないかと思いました。
証券取引所は、株主名簿管理人と証券会社に対し証券制度上横断的に取引情報を通知する役割を果たさねばならないわけですが、
そして、従前は実際にそうなっていたのではないかと思うのですが、
決済や名義書換に関しては、現在では日本証券クリアリング機構や証券保管振替機構という独立した機関がその役割を担っている、
ということのようだと思いました。
しかし、本来的には、市場(売り注文と買い注文を投資家が出す場)の提供(取引の約定の役割も含む)だけではなく、
決済や名義書換に関する業務をも証券取引所が一体的に投資家に提供をするべきだと思います。
決済や名義書換に関する業務が証券取引所から独立しているというのは、
証券取引制度のあるべき姿から言えば完全に間違っているのではないかと思いました。
昨日描きました図は、日本証券クリアリング機構と証券保管振替機構をどのように描き入れればよいか悩みながら描いたわけですが、
何のことはなく、日本証券クリアリング機構と証券保管振替機構が現在行っているとされる業務は、
証券取引所が一括して・一元的に行なう、と考えればきれいに整理ができると気付きました。
理論的には、名義書換のための「株主名簿管理人」への通知も証券取引所が行うというだけだ、と思いました。
現在ではなぜ決済や名義書換に関連する業務を証券取引所からは独立した機関が行っているのかは全く謎だと思いました。
これらは紛れもなく証券取引の根幹をなす業務だと思います(証券取引と分離不可能な証券取引と一体的な業務のはずです)。
昨日描きました図を次のように修正したいと思います。

「理論上の証券取引」

 



それから、証券保管振替機構のウェブサイト内の検索ボックスで「株主名簿」というキーワードで検索してもヒットしなかった
のですが、インターネットのグーグルで「証券保管振替機構 株主名簿」というキーワードで検索しますと、
証券保管振替機構が保管振替制度の運用を開始した時に作成したパンフレットがヒットしました。
株主名簿との関連性やリンクが解説されていましたので、そのパンフレットを紹介します↓。
また、「株主名簿」と関連のある問答をキャプチャーして紹介します↓。


2004年10月
証券保管振替機構
株主の皆様へ 株券の保管振替制度Q&A
ttp://www.jasdec.com/download/news/200411qa.pdf

(ウェブサイト上と同じファイル)

【PART 4】権利確定処理
Q19.【株主名簿と実質株主名簿】 実質株主名簿とは何ですか?株主名簿との違いは何でしょうか?
Q20.【株主の権利の取得】 <ほふり>に株券を預けると、どのような仕組みで権利が取得できるのでしょうか?
(12/21ページ)

【PART 1】 保管振替制度の概要
Q8.【株券の名義】 < ほふり> に預けられた株券の名義はどのようになるのでしょうか?
(8/21ページ)


問答を読んでみますと、証券保管振替機構からの通知に基づいて発行者が「実質株主名簿」を作成する、と解説されています。
証券保管振替機構は、株式の保有者に関する情報を独自に保有するようなのですが
その株式保有情報は発行者や株主名簿管理人が作成する株主名簿とは異なる名簿であるようです。
株式の保有者に関する情報が、@会社法上の「株主名簿」、A「株券等の保管及び振替に関する法律」上の「実質株主名簿」、
B証券保管振替機構が独自に保有する株主情報、の3つに分散してしまっています。
言わば株主名簿が3つもある状態であるわけです。
「『株主名簿の書換』を安全に・確実に行う」ということから考えますと、「株主名簿」は1つだけでなくてはならないわけです。
法務局に不動産登記簿が3つあるでしょうか。
市町村に固定資産税台帳がありますが、固定資産税台帳の元帳(情報元・参照元)は不動産登記簿です(情報は一元化されている)。
私は昨日のコメントの最後に次のように書きました。

>証券保管振替機構を会社法(株主名簿)の観点から見ると説明が付きづらい点があるなと思いましたので一言書きました。

昨日は頭の整理だけで精一杯だったのですが、昨日書きましたコメントの後半でも論じましたように、事の本質を一言で言いますと、
現在証券保管振替機構が運営している「株式等振替制度」の最大の問題点は、実は「株主名簿」の管理にあるのです。

 



証券保管振替機構には次のようなプレゼンテーション資料もありました↓。
「株式等振替制度」では、会社法上の「株主名簿」に記載される株主の名義は「株式会社証券保管振替機構」となるようです。
この点にもまた、先ほど指摘しました「株式等振替制度」の最大の問題点(「株主名簿」の管理)が端的に表れています。
やはり、証券取引所からの通知により会社法上の「株主名簿」を直接に・一元的に書き換える、という制度であるべきなのです。


総株主通知について
平成28年3月4日
株式会社証券保管振替機構
ttp://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kabunushisoukai_process/pdf/004_03_00.pdf

(ウェブサイト上と同じファイル)



また、次のような証券会社による顧客(個人投資家)向けの解説ページもありました↓。
ただ、「従来の『保振制度』」の説明も間違っていると言いますか、
いろいろと思い出してみると、実は以前は「保振制度」などなかった気がします。


加入者情報(ダイワのオンライントレード)
ttp://www.daiwa.jp/olt_help/support/h_07s_code0101-01.html

>1.加入者とは
>従来、「保振制度」では、株式を保有する者を株主と呼んでいましたが、
>平成21年1月の株券電子化以降は、これら株主のことを「加入者」と呼んでいます。

>2.加入者情報とは
>住所、氏名、生年月日など株主として特定を行うために必要な情報です。
>従来の「保振制度」では、株主の情報を、株主名簿管理人(信託銀行等)が取り纏めた「株主名簿」や「実質株主名簿」で
>管理していましたが現在の「振替制度」では、保管振替機構が取り纏めたうえで、株主名簿管理人が管理を行っています。

>3.加入者情報の通知
>従来の「保振制度」では、株主情報を株主名簿管理人に届ける為には、株主による名義書換手続または、
>証券会社を通じた実質株主票の提出を行なっていました。
>現在の「振替制度」では、加入者が口座を開設する口座管理機関(証券会社等)に届け出た名前、住所がそのまま機構を通じて
>株主名簿管理人に届けられています。
>発行会社(株主名簿管理人)では、こうして届けられた加入者(株主)情報をもとに、配当のお知らせ等の株主宛の通知や、
>株式分割等の権利処理を行っています。

 



A stock company has a unique shareholder register in it.

株式会社に株主名簿は唯一つしかありません。

 

A stock company prepares a nominal shareholder register only.
And that is necessary and sufficient for a stock company in practice and in theory.

株式会社は名目上の株主名簿しか作成しません。
そして、株式会社にとっては実務上も理論上もそれで必要十分なのです。

 

Jasdec has played a role as a "general shareholder."

証券保管振替機構は「総株主」としての役割を果たしているのです。

 

A notice of a calling of a meeting of shareholders is dispatched
on the basis of a shareholder register on the Companies Act.

株主総会招集通知は、会社法上の株主名簿に基づき発送されます。