2018年6月2日(土)
2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html
から
2018年6月1日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201805/20180601.html
までの一連のコメント
現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント
2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html
「オークション方式」に関する過去のコメント
2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html
2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html
毎週土曜日の日本経済新聞には見開き2面で書評が載っているのですが、今日の書評には株主総会関連のある書籍が載っていまして、
J.フロント
リテイリング株式会社の事例が紹介されており、「そう言えばそんなことがあったな。」と思い出しました。
その事例とは、2017年5月20日(土)
に書きました「議決権の代理行使」に関する事例なのですが、一言追記をしたいと思います。
2017年5月20日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201705/20170520.html
J.フロント
リテイリング株式会社の事例は、あくまで「株主総会に出席する株主」に関する部分の定款変更に関する事例です。
「書面による議決権行使」に関してはこの定款変更・この事例では論点にならないかと思います。
なぜならば、会社は書面に記載されている通りに賛成票と反対票の集計を行えばよいだけだからです。
書面に記載されている内容が指図や一種の代理による議決権行使を含むのか否かは会社には関係がない、と考えるわけです。
ここで論点になっているのは、「議決権行使権者が株主総会に出席する場合」に関してだけであるわけです。
会社法の条文で言えば、会社法第310条は、「議決権行使権者が株主総会に出席する場合」に関する規定であるわけです。
>(議決権の代理行使)第三百十条
株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。
>この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。
2017年5月20日(土) のJ.フロント
リテイリング株式会社や株式実務法規集(全国株懇連合会)が想定しているのは、
あくまで「議決権行使権者が株主総会に出席する場面」であるわけです。
J.フロント
リテイリング株式会社と定款の雛形を作成している全国株懇連合会がどこまで理解しているのかは分かりませんが、
会社法第310条が想定しているのは、「ある1人の株主の代理人の人数は1名だけである。」ということかと思います。
つまり、株主名簿上のある1人の株主が複数の代理人によって議決権を行使する、ということは想定はしていないと思います。
2017年5月20日(土)
のJ.フロント
リテイリング株式会社や株式実務法規集(全国株懇連合会)が目的としているのは、
株主名簿上のある1人の株主(信託銀行等)に対し複数の実質株主(個人や機関投資家等)が株主総会に出席できるようにする、
ということではないかと思います(実務上も理論上も、信託銀行には複数の実質株主がいるわけです)。
2017年5月20日(土)
に紹介してる記事にも書かれていますが、より多くの実質株主が株主総会に出席できるようにするために、
会社は雛形に沿った定款変更を行ったわけなのですが、より実務的なことを鑑みますと、代理人の人数が不明ですと、
一言で言えば、「株主総会に何人出席するのか会社には分からない。」という事態になるわけです。
株主総会招集通知には当然のことながら株主総会の開催会場も記載しなくてはならないわけですが、代理人が複数となりますと、
株主総会に出席する人数は事前には(例えば株主名簿では)分からない(推定もできない)、ということなります。
@「代理人の人数は1人だけ」もしくはA「代理人は会社の他の株主」という取り扱いであれば、
株主総会に出席する人数は株主名簿上の株主数と比較しプラスマイナスゼロ(@の場合)か減少する(Aの場合)だけなのですが、
代理人が複数となりますと、出席希望者が開催会場の収容人数を現実に超える場合が出てくるわけです。
会社はあくまで株主名簿に記載されている株主宛に(この文脈では信託銀行宛に)株主総会招集通知を発送するわけですが、
事前申出により、株主名簿に記載されている株主以外の株主(実質株主)に株主総会招集通知を発送することになるのでしょう。
言い出すとキリがありませんが、事前申出制にすれば、株主総会に出席をする株主数はある程度推定できる、と言えるとは思います。
ただ、2017年5月20日(土)
のコメントでも書きましたが、「議決権の行使」に関しては、
理論上は「議決権の代理行使」は認めるべきではなく、やはり「議決権の不統一行使」のみを認めるべきなのです。
ただ、実務(制度設計)上は、株主総会の開催日が集中する場合を想定し、現実に対する対応策として、書面による議決権行使や
代理人による議決権行使(ただし、株主総会に代わりに出席できる代理人は1人のみ)も認める、と整理をするべきだと思います。