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2018年5月29日(火)



最近の71日間のコメントを踏まえた上で、特にここ7日間のコメントに追記をする形で、
「会社の設立と公証人による資本金の確認」について一言だけ書きたいと思います。

 


2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

から

2018年5月28日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201805/20180528.html

までの一連のコメント

 


現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント

2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html

 


「オークション方式」に関する過去のコメント

2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html

2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html

 

 


今日は、「会社の設立と公証人による資本金の確認」について一言だけ書きたいと思うのですが、私まだまだ不勉強ですので、
「保管証明書」というキーワードで検索してヒットした解説記事を参考にしつつ、自分でも実務上の手続きについて学びながら、
「資本金の確認方法」について様々な解説記事をまとめる形でコメントを書いていきたいと思います。
旧商法と比較すると、現行の会社法では会社設立時の払込金保管証明書制度が一部廃止されているのですが、
特に募集設立に関しては旧商法と現行の会社法とで変更点はないようですので、
「募集設立の手続き」についてコメントを書いていると思って下さい。
会社を設立する際には、払込取扱銀行等の保管証明書が必要となります。
これは一般に「払込金保管証明書」と呼ばれる銀行が発行する証書であり、
「株式払込金保管証明書」や「出資払込金保管証明書」と呼ばれることもあります。
「払込金保管証明書」とは、会社設立の際に、「その出資金(資本金)が確かに払い込まれました。」ということを
銀行が証明する書類のことです。
会社設立の手続きの際には、銀行などの金融機関から「払込金保管証明書」を発行してもらい、
それを登記申請の際に添付書類として提出する必要があります。
「払込金保管証明書」は、設立登記の申請の際、法務局に提出することが義務づけられているわけですが、
「資本金は架空のものではなく、間違いなく当行の口座に保管されている」という旨を銀行が法務局に対して証明する書類です。
この際、出資金は銀行の「別段口座」という預金口座に保管されます。
つまり、会社設立に際して、発起人は銀行に別段預金と呼ばれる特別な預金口座を前もって用意(口座開設)しておく必要があり、
出資金はその別段預金で保管されることとなっています。
この出資金は、設立登記が完了して、会社が成立した後でなければ引き出すことができません。
発起人は、別段預金に出資金を払い込んだ後、公証人の認証を受けた定款を銀行に提出し、
無事に銀行の審査が通れば、証明書が発行される、という流れになっています。
創立総会で選任された取締役(設立時取締役)は、銀行から発行された「払込金保管証明書」を手に携え法務局に赴き、
設立の登記を行う、ということになるわけです。
2018年5月17日(木)のコメントに、会社法の教科書から会社の設立に関するフローチャートをスキャンして紹介していますので、
そのフローチャート「株式会社の設立手続き」を参考に見ていただければと思います。
また、特に「資本金の確認」(別段預金の開設・別段預金による保管)に関しては、次の解説記事が参考になりました↓。


資本金が入金されたときはどのように仕訳すればよいですか?
(弥生)
ttps://support.yayoi-kk.co.jp/business/faq_Subcontents.html?page_id=1083

>法人名義の口座は法人が設立されるまで開設することができません。
>しかし、法人設立のためには資本金が必要です。資本金を口座に預けて保管する必要があります。

>銀行には、通常の預金に該当しない資金を一時的に保管する「別段預金」があります。
>別段預金を使う場合の流れは、以下になります。
> ①資本金を別段預金に預け入れる
> ②会社設立後、法人名義の口座を作る
> ③別段預金から法人名義の口座に資金を振り替える

 


会社法では、資本金を口座に預け入れる方法は「発起人名義の口座を使う方法」と「銀行の別段預金を使う方法」の2つがある、
と書かれていますが、「募集設立」では従来通り「銀行の別段預金を使う方法」しか認められていません。
「発起人名義の口座を使う方法」は簡便な設立方法である「発起設立」の場合しか認められていません。
「募集設立」では、資本金を口座に預け入れる方法は「銀行の別段預金を使う方法」しかない、と考えなければなりません。
別段預金がある銀行と会社が口座を開設するとは別の銀行でも構いません(同じ銀行である必要は全くない)。
「会社の設立と公証人による資本金の確認」についての流れは、以下のようになると思います。


①まず、発起人がとある銀行甲に別段預金の口座を開設する(注:発起人名義の口座ではない)。
②次に、株式の引き受け手に出資金を別段預金の口座に払い込んでもらう。
③銀行甲は別段預金に預け入れられている預金を保管する。
④その後、発起人は、公証人の認証を受けた定款を銀行甲に提出し、銀行甲に「払込金保管証明書」を発行してもらう。
⑤その後、発起人は、公証人の認証を受けた定款と銀行甲に発行してもらった「払込金保管証明書」を
 創立総会で選任された会社の代表者である取締役(設立時取締役)に手渡す。
⑥そして、会社の代表者である取締役(設立時取締役)は、
 公証人の認証を受けた定款と銀行甲に発行してもらった「払込金保管証明書」と登記申請書を手に携え法務局に赴き、
 設立の登記を行う(注:法人名義の銀行口座の開設のため、登記完了と同時に会社の商業登記簿謄本を会社の代表者は取得する)。
⑦会社の代表者である取締役(設立時取締役)は、会社設立後(設立登記完了後)、
 業務執行上最も会社の利益を最大化させる(店舗が近隣にあり利便性が最も高い等)と判断するある銀行乙をメインバンクとし、
 銀行乙に法人名義の口座を開設する(注:結果的に、銀行乙と銀行甲は同じ銀行となっても差し支えはない)。
 その際、会社(法人)の商業登記簿謄本を銀行乙に提出する必要がある(会社の印鑑とその印鑑証明等も忘れずに提出する)。
⑧会社の代表者である取締役(設立時取締役)は、銀行甲にある別段預金から銀行乙にある法人名義の口座に預金を移し替える。
 銀行甲にある別段預金に預け入れられている預金は設立登記の完了までは一切引き出すことができず、
 設立登記完了後になって初めて会社の代表者である取締役(設立時取締役)のみに別段預金を引き出す資格が生じる。
 設立登記完了後になって初めて、銀行甲の別段預金に預け入れられている現金は、
 会社所有の現金となる(観念的には、会社名義の預金となる)。
 別段預金は、通常の預金とは異なり「一時預かり」のためだけの特殊な預金口座(決済やさらなる預け入れ等はできない)であり、
 会社設立後は速やかに法人名義の別の口座(普通預金や当座預金や定期預金等)に預金の全額を移し替える必要がある。
 銀行の別段預金口座が設立登記完了に伴いそのまま同じ銀行の普通預金口座に移行になる、というわけでは全くない。

 


別段預金については、次のような解説サイトがありました↓。


別段預金
(iFinance)
ttps://www.ifinance.ne.jp/glossary/savings/sav091.html

>別段預金は、「雑預金」とも呼ばれ、金融機関の諸取引に随伴して発生する、一時的な資金を処理するための預金科目をいいます。
>これは、銀行業務において、預金・融資・為替取引・代理事務等に付随して発生する未決済・未整理の一時的な資金や預り金など
>を保管するために設けられているもので、業務上、通常の預金科目では処理することができないため、
>便宜的に設けられている"金融機関の内部勘定科目"となっています。
>一般に別段預金は、通常の預金に該当しない資金を一時的に保管するものとして日々使われ、具体的には、
>営業日をまたいだ振込資金、株式申込証拠金、配当支払基金、自己宛小切手を振り出した時の支払資金、送金組戻分の
>一時預り金などが入金されます。なお、別段預金は、その性格上、本来の預金商品ではなく、
>金融機関が一時的な保管金や整理金などを保管(プール)しておくためのものであり、普通は利息が付きません。


別段預金というのは、銀行口座と聞いて一般にイメージする概念のものとは異なり、
「一時預かり」のための文字通り「金庫」のようなものだと思えばよいのだと思います。
記事には、別段預金のことを"金融機関の内部勘定科目"と表現されていますが、
銀行利用者の立場から見ると、銀行に「一時的に」現金を預かってもらうための「金庫」だと思えばよいと思います。
別段預金は、「夜間金庫」や「貸金庫」の一種だと思えばよいと思います。
銀行利用者が平時に・日常的に別段預金を利用する、ということは決してないのです。
その意味において、別段預金は本来の預金商品ではないのです。
別段預金は英語では一般に「separate deposit」と訳されるようですが、
「銀行・金庫などに現金を預ける」という意味では「deposit」という言葉でも間違いではないのですが、
別段預金は「銀行口座」や「銀行預金」と聞いて一般にイメージするものとは概念が全く異なっていると言えます。
別段預金には"escrow account"という英訳もあり、"escrow account"という英訳が別段預金の実態に即していると感じます。
"escrow"とは法律用語で「条件付捺印証書」という意味であり、
「第三者に預け一定条件が満たされた時に効力が生じるもの」という意味です。
つまり、発起人が銀行に現金を預け会社の設立登記の完了という条件が満たされた時に法人所有の現金としての効力が生じるもの、
という取り扱いになるのが別段預金であるわけです。
また、完全に個人的な私訳になりますが、別段預金を"custody account"(「保管勘定」)と訳すのはどうでしょうか。
いわゆる銀行預金とは異なり、「保管のためだけの勘定である」という意味を込めました。
銀行利用者の立場から見た場合は、所定の払い込みが完了した後に別段預金に現金が追加的に入金されたり一部が出金される、
ということは全くないのです(出入金をするための口座では全くない)。
別段預金は銀行預金の一種だと考えると本質を間違えてしまうと思います(端的に言えば、別段預金は預金ではないのです)。
別段預金は「一時預かり」のための「金庫」である、と捉えればよいと思います。
他の解説サイトには、別段預金とは銀行業務に該当しない資金を受け入れる際に一時的な管理を行うための金融機関の内部勘定、
と解説されており、まさに「銀行業務に該当しない資金の受け入れ」のために用いられる特殊な勘定が別段預金なのです。

 


以上の議論を踏まえた上で、「会社の設立と公証人による資本金の確認」について関係図を描いてみました。
「払込金保管証明書」の発行・当局への提出には、有価証券報告書の監査と当局への提出と全く同じ論点があると思いました。
一昨日に描き昨日に一部訂正をしました関係図「元来的・理論的な有価証券報告書の提出経路」と全く同じ構図が
「払込金保管証明書」の発行・当局への提出にはあるわけです。
理論上の「払込金保管証明書」の発行・当局への提出経路を図に描きましたので参考にして下さい。
実務上の取扱いにできる限り即するため、ここでは会社に払い込まれた資本(現金)を保管するのは「払込取扱銀行」とした
わけですが、より法理的には、会社に払い込まれた資本(現金)を保管するのは「公証人」となります。
「公証人」は、会社に払い込まれた資本(現金)の金額を確認・認証する役割を果たすわけですが、
法理的には「公証人」自身が会社に払い込まれた資本(現金)を保管するに越したことはないわけです。
今日の議論で本質的なことは、「払込金保管証明書」が発起人や設立時取締役の手を経て法務局に提出されるということは
決してはあってはならない、という点です。
「払込金保管証明書」は、払込取扱銀行(もしくは公証人)により法務局に提出されなければならないのです。
より実務的には、「会社の設立と公証人による資本金の確認」に関しては、
払込取扱銀行が公証人の役割を果たしているという関係にある、と言えるのです。


「元来的な・理論的な『払込金保管証明書』の提出経路」

より法理的には、
「会社の設立登記が完了するまで、株主により払い込まれた資本(現金)を公証人が保管する。」
という考え方になる。
公証人が法務局に資本金の証明をする、と考える。

 


In theory, it is not a director at incorporation but a payment handling bank
that submits a "certificate of a deposit of paid monies" to a Local Legal Affairs Bureau.

理論的には、「払込金保管証明書」を法務局に提出をするのは、設立時取締役ではなく、払込取扱銀行なのです。

 

A "certificate of a deposit of paid monies" should not be delivered to a Local Legal Affairs Bureau by way of any person.
A "certificate of a deposit of paid monies" should not be delivered to a Local Legal Affairs Bureau
by way of an incorporator nor a director at incorporation.

「払込金保管証明書」は、誰を経由することもなく法務局に届けられねばなりません。
「払込金保管証明書」は、発起人や設立時取締役を経由することなく法務局に届けられねばならないのです。