2018年5月28日(月)
2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html
から
2018年5月27日(日)
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までの一連のコメント
現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント
2018年3月12日(月)
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「オークション方式」に関する過去のコメント
2016年3月27日(日)
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2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html
昨日書きました「有価証券報告書の提出経路」について今日改めて自分で考察を行ったのですが、
理詰めで考えれば昨日書いた内容は少しだけ間違っている、と今日気付きました。
昨日の最後に書きましたコメントと昨日描きました「元来的・理論的な有価証券報告書の提出経路」を少しだけ訂正したいと思います。
「有価証券報告書は、発行者ではなく、会計監査人が当局に提出するものだ。」、
という理論上の結論に変更や訂正はないのですが、昨日は、次のようにも書いたかと思います。
>会計監査人が有価証券報告書(正確に言えば「監査報告書」)を発行者に提出するのもまた、
>矛盾とまでは言いませんが性善説に立った考え方なのです。
>理論的には、会計監査人は、
>有価証券報告書(厳密には「監査報告書」)を発行者にではなく当局に提出しなければならないのです。
訂正すべき点を一言で言いますと、上記の「正確に・厳密に言えば『監査報告書』のみを指す」という趣旨の言葉を削除する、
ということになります。
会計監査人は、監査報告書を当局に提出するのはもちろんなのですが、
有価証券報告書をも当局に提出する、という考え方が理論上は正しいのです。
この訂正に合わせ、昨日描きました関係図「元来的・理論的な有価証券報告書の提出経路」も次のように訂正したいと思います。
訂正版:「元来的・理論的な有価証券報告書の提出経路」
図のちょうど真ん中辺りになるのですが、「会計監査人が監査を行った有価証券報告書」という言葉の下に括弧書きで書きました>(厳密には「監査報告書」)
という文言を削除しました。
会計監査人は当局に対し監査を行った有価証券報告書を提出するのです。
会計監査人が発行者に監査報告書を提出するというのは理論的に間違いであるのは分かるが、
会計監査人が当局に提出するのは有価証券報告書ではなく監査報告書ではないのか、と思われるかもしれません。
しかし、性悪説に立って理詰めで考えると、会計監査人は監査報告書だけではなく、有価証券報告書をも当局に提出する、
という結論になります。
有価証券報告書という法定開示書類は、監査報告書が付された書類である(監査報告書が独立して存在するわけではない)わけですが、
有価証券報告書の証券制度上の定義(書類の捉え方)としては、
有価証券報告書は@発行者の開示情報の部分とA独立監査人による監査報告書の部分とに大きく分けることができるわけです。
そして、理論上は、会計監査人は、@発行者の開示情報の部分とA独立監査人による監査報告書の部分の両方の書類を
当局に提出する、ということになります。
すなわち、有価証券報告書を、
「@発行者の開示情報+A独立監査人による監査報告書」という一体的な1つの書類と定義する場合であろうが、
有価証券報告書はあくまで@発行者の開示情報の部分のみを指しA独立監査人による監査報告書は付随はするものの別の書類である
と定義する場合であろうが、会計監査人は、@発行者の開示情報の部分とA独立監査人による監査報告書の部分の両方の部分を
当局に提出する、ということになります。
一見しますと、有価証券報告書のうち、@発行者の開示情報の部分は発行者が当局に提出し、
A独立監査人による監査報告書の部分は会計監査人が当局に提出する、
ということでよいのではないか、と思ってしまいます。
実は私も、昨日はそのように考え、「正確に・厳密に言えば『監査報告書』のみを指す」という趣旨のことを書いてしまいました。
しかし、その考え方は間違いだと今日気付きました。
なぜその考え方は間違いなのかと言いますと、発行者が監査報告書を偽造する恐れが考えられるだけではなく、
発行者が監査後の財務諸表を偽造する恐れも考えられるからです。
簡単に言えば、発行者は、会計監査人に監査をしてもらう財務諸表とは異なる財務諸表を当局に提出する、
という恐れが考えられるわけです。
会計監査人は発行者から提出を受けた財務諸表を監査し適正意見を表明するわけですが、
それとは異なる財務諸表を発行者が当局に提出してしまっては意味がないわけです。
「私はこの財務諸表を監査しました。」、という保証が証券制度上求められるわけです。
有価証券報告書に記載されている財務諸表とは異なる財務諸表を監査し適正意見を表明されても、何の意味もないわけです。
ですので、有価証券報告書(@発行者の開示情報の部分)も会計監査人が当局に提出する必要があるわけです。
財務諸表の虚偽表示という場合、
会計監査人による監査自体を発行者がかいくぐる(監査の見落としを発行者が画策する)様を通常は思い浮かべてしまうわけですが、
有価証券報告書に記載する財務諸表そのものを監査を受けた財務諸表とは異なるものに変更する・財務諸表自体を差し替える、
という財務諸表の虚偽表示も全く考えられるわけです。
むしろ、現実には、後者の財務諸表の虚偽表示の方がはるかに簡単でしょう。
ですので、そうした事態を避けるため、財務諸表も含めて会計監査人が当局に対し所定の書類を提出する必要があるのです。
「私は他でもないこの財務諸表を監査しました。」、と。
「私が監査を行った財務諸表は有価証券報告書に記載されているあの財務諸表ではありません。」、
と会計監査人が後になって気付いても、投資家の利益は保護されないわけです。
「有価証券報告書に記載されている財務諸表は間違いなく会計監査人が監査を行った財務諸表である。」ということを
証券制度上担保するために、会計監査人は有価証券報告書をも当局に提出する必要があるのです。
話をまとめますと、有価証券報告書のうち、「@発行者の開示情報の部分」は発行者が作成し会計監査人に対し提出をする、
という流れになり、そして、「A独立監査人による監査報告書の部分」は会計監査人は会計監査実施後に作成し、
「@発行者の開示情報の部分」と共に当局に対し提出をする、という流れになります。
簡単に言えば、発行者による財務諸表自体の差し替えをできなくする仕組みが証券制度上求められるわけです。
昔、漫画か何かで、宝くじの当たり券を偽造するのではなく当選番号が記載されている新聞の切り抜きの方を偽装する、
というシーンを見たことがあるのですが、財務諸表自体の差し替えはその手口に近いわけです。
その発想はなかったわ(それには気が付かなかった)、と言いたくなる手口ですが、性悪説に立てば現実に十分考えられます。
「有価証券報告書の提出経路」についての考察・理論上の結論は以上なのですが、改めて考えてみますと、
「会計監査人は絶対に誤りを犯さない。」ということが証券制度上の前提になっているとも言えるわけです。
そうしますと、概念的には・法理上の位置付けとしては、会計監査人は公務員であるという位置付けになってくるわけです。
上場企業における会計監査人はいわゆる「公認会計士」であるわけですが、
「公認会計士」は国によってその呼び名が異なっています。
その中で、英国では、「勅許会計士」(Chartered
Accountant)と呼ばれています。
「勅許」とは、日本では「天皇の許可」という意味ですが、英国では「女王の許可」という意味になるようです。
これは単純に国の制度(政治体制)の相違なのかもしれませんが(例えば、米国には天皇も女王もいない、国家元首は大統領)、
皇室や王室があるという国(政治体制)では、「公務員は『天皇の許可』(英国では『女王の許可』)により任命される。」、
という考え方ではないだろうか(公務員は天皇や女王に命じられて公務員になる、という考え方)、とふと思いました。
ですので、証券制度上の位置付けは違っているのかもしれませんが、"Chartered"と呼称されている時点で、
概念的には・法理上の位置付けとしては、「勅許会計士」(Chartered
Accountant)は公務員である、
ということなるのではないかと思いました。
英国(や日本)では、「公務員は勅令により公務員になる。」、という考え方からすれば、
「勅許会計士」(Chartered
Accountant)は公務員のはずなのです。
ただ、日本では、「公認会計士」は"Chartered Accountant"ではなく"Certified
Public
Accountant"と訳されていまして、
日本の「公認会計士」は勅令により会計士になるという考え方はないようでして、
法理上も証券制度上も公認会計士は公務員ではない、という考え方になるのだと思います。
ただ、証券制度上は、概念的には「会計監査人は絶対に誤りを犯さない。」ということが
証券制度上の前提でなければなりませんので、
証券制度上は「公認会計士」は「みなし公務員」や「準公務員」でなければならない、という結論になります。
それから、「勅許」について検索していますと、「勅許会社」("Chartered
company")という言葉も英国にはあるようです。
ウィキペディアの「勅許会社」の項目を要約しますと、
勅許会社は特許会社とも呼ばれ、主にイギリス・オランダなどの西欧諸国で国王・女王の勅許または
国家行政の特別許可状をもらい設立された貿易を主とする会社のことである、とのことです。
会社を設立するのに国王・女王の勅許または国家行政の特別許可状をもらうこと意義・の背景について、次のように書かれています。
>特に植民地獲得への貿易、植民地の経済支配の目的で作られ、そうした経済活動はリスクが大きかったので、
>会社設立の見返りとして経済貿易に関する独占権を与えられたもの。イギリス東インド会社、オランダ東インド会社などがある。
この説明を読みますと、"Chartered"(勅許を受けた)だから公的な事務を意味するというわけではないようです。
ただ、基本的には、天皇や女王の許可・命令というのは公的な事柄に関してのみ下される、ということではないかと思います。
特に、「人が勅許により公的な業務に従事する」という文脈では、
概念的には、"Chartered"(勅許を受けた)な人物は公務員、ということにならないだろうかと思いました。
最古まで歴史を遡れば、公務員は法律に基づき公務員になったのではなく、天皇の許可・命令により公務員になったはずです。
天下り的に「天皇はいるのだ。」というところから話(日本の歴史)は始まっているのではないだろうかと思いました。
天皇が人に勅令を下し、その人物を公務員に任命し、法律の制定その他の公務を行わせた、という歴史があると思います。
勅令は法律以前の存在なのではないかと思いました(天照大御神が皇室典範で定義されていたでしょうか)。
「皇室典範を制定せよ。」と勅令を下したのはいつかの天皇だったはずです。
That's quite unnecessary to add.
That is like putting a fifth wheel on a
coach.
That's gilding the lily.
国語辞書には「蛇足」について、次のように載っています。
>〔昔、中国でヘビを描(カ)くのに足まで描いて失敗したことから〕 十分完成しているものの あとに付け加えるよけいなもの。
再度「有価証券報告書の提出経路」についての理論上の結論を書きますと、
会計監査人は、監査報告書を当局に提出するのはもちろんなのだが、有価証券報告書をも当局に提出する、
という結論になります。
「@発行者の開示情報の部分」は確かに発行者が作成するのですが、
「@発行者の開示情報の部分」を当局に提出するのは、発行者ではなく、会計監査人である、
という結論に理論上はなるのです。
In theory, an accounting auditor submits to the authorities
not only
an audit report itself but also a securities report in the aggregate.
理論的には、会計監査人は当局に対し、監査報告書そのものだけではなく、有価証券報告書全体を提出するのです。