2018年5月26日(土)
2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html
から
2018年5月25日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201805/20180525.html
までの一連のコメント
現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント
2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html
「オークション方式」に関する過去のコメント
2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html
2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html
第5章 M&Aと会社の設立・消滅
U 制度を理解する
1 会社を設立する
定款の作成
「452〜453ページ」
「454〜455ページ」
ここ4日間は「定款」についてコメントを書きました。
「定款」についての理論上の結論を再度書きますと、「登記ということから議論を進めると現行の定款そのものを廃止するべき。」、
という結論になるわけです。
一言で言いますと、「登記事項」が「会社の憲法」であり、
「ある事柄・事項について、登記をしていれば有効であり、登記をしていなければ無効である。」、
というふうに定めの根拠を整理するべきなのです。
「定款」は議事録や下書きに過ぎない、と考えるべきなのです。
会社法制度上、「定款」は全面的に廃止をするべきだ、という結論に理論上はなるわけです。
一言で言えば、登記一本で判断する、という考え方を行うべきなのです。
それから、「発行可能株式総数は会社法上は『絶対的記載事項』なのか否か?」について一言だけ書きたいと思います。
昨日は、「発行可能株式総数」の位置付けについて、2013年〜2015年の間に会社法が改正されたのは間違いないように思った、
と書いたわけですが、今日になってこの点について改めて考えてみたのですが、
この点については特段会社法は改正されていないのかもしれない、と思いました。
すなわち、会社法第二十七条には、始めから(2006年当時から)「発行可能株式総数」の定めはなかった、
ということなのだろうと思いました。
過去の法律は全く確認しないで書いているわけですが、「発行可能株式総数」の定めは始めから会社法第三十七条にあった、
ということなのだろうと思いました。
「発行可能株式総数」の定めは始めから会社法第三十七条にあったのだが、
始めから「発行可能株式総数」は定款の「絶対的記載事項」であると解されていた、ということなのだろうと思いました。
確かに、会社法第三十七条の条文を読みますと、「発行可能株式総数」は「絶対的記載事項」の1つであると解釈する方が自然だ、
と私も思うわけですが、しかしそれならば、その旨会社法第二十七条に記載をするべきだと思いました。
なぜ会社法第二十七条に「発行可能株式総数」の記載がないのだろうか、と思いました。
昨日は、
>現行条文上は、一応(消去法的に)、「発行可能株式総数」は「任意的記載事項」という位置付けに整理されるようです。
と書いたわけですが、昨日このように書いた理由は、会社法第二十七条に「発行可能株式総数」の記載がないからです。
会社法上の「発行可能株式総数」の位置付けについては、会社法の別の教科書には次のような注記がありました。
>発起人は、定款で株式会社が発行することができる株式の総数(発行可能株式総数)を定めなかった場合は、
>株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して定めなければならない(会社法37条1項、98条)。
>発行可能株式総数については、定款の作成時ではなく、設立手続完了時までに定款に定めればよいとすることで、
>手続が滞るのを防ぐ趣旨である。
「発行可能株式総数」は「絶対的記載事項」の1つであると解釈する方が自然だとは思いますが、
法律のあるべき姿として、「絶対的記載事項」は限定列挙されているべきだ、と私は思います。
すなわち、「発行可能株式総数」は「絶対的記載事項」の1つであると会社法第二十七条に明記すべきだと思います。
それから、現行の会社法上の「相対的記載事項」について、昨日は次のように書きました。
>簡単に言えば、旧商法の規定では、変態設立事項以外にも「相対的記載事項」があった、ということだと思います。
>条文上は、現行の会社法では、「相対的記載事項」は変態設立事項のみとなった(すなわち、限定列挙された4項目のみとなった)、
>と整理・解釈するべきだと思います(ただ、会社法の条文が整理し切れていない部分もやはりあるのだろうと思います)。
訂正というわけではありませんが、旧商法の規定では変態設立事項以外にも「相対的記載事項」があったわけですが、
現行の会社法でも変態設立事項以外にも「相対的記載事項」はある、という解釈をする方が自然だとは思います。
しかし、そうであるならば、その旨会社法第二十八条に記載をするべきだと思いました。
会社法上、変態設立事項以外にも「相対的記載事項」はある、という意味の文言は、実は会社法第二十九条に記載があるわけですが、
「相対的記載事項」に関する定めは会社法第二十八条に記載をするべきなのです。
少なくとも法律の利用者の立場から見ると、そう見えます。
会社法第二十九条には、「定款には『任意的記載事項』もある。」という意味のことを記載すればよいわけです。
要するところ、条文が整理されていないと感じるわけです。
乱暴に言えば、「分かりやすく書け。」(項目毎に条文を整理して書け)と言いたくなるわけです。
一言で言えば、第二十七条と第二十八条と第二十九条は、次のように条文を整理・分類するべきなのです。
>「定款の記載事項の種類」は第二十七条(絶対的記載事項)と第二十八条(相対的記載事項)と第二十九条(任意的記載事項)
>の3種類に分類
第二十七条には「絶対的記載事項はこれです。」と記載し、第二十八条には「相対的記載事項はこれです。」と記載し、
第二十九条には「任意的記載事項はこれです。」と記載(整理・分類)をするべきなのです。
これだけではどう整理・分類すればよいか分かりづらいと思いますので、実際に改正案を作成しました。
第二十七条と第二十八条と第二十九条の現行の条文と整理後の条文を書きましたので、参考にして下さい。
主な変更点は、第二十七条に「発行可能株式総数」を追記した点と、
第二十八条に変態設立事項以外にも「相対的記載事項」はあるという記載を追記した点と、
第二十九条は「任意的記載事項」のみの定めに整理をした、という点になります。
変態設立事項以外にも「相対的記載事項」はあるという記載を、第二十九条から第二十八条第2項へと移しました。
第二十八条には現在第1項しかないわけですが、第2項を新設しました。
現行の条文↓
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、
その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の
数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。
第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして
法務省令で定めるものを除く。)
第二十九条 第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により
定款の定めがなければその効力を生じない事項及び
その他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
条文は次のように整理するべき↓。
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
六 発行可能株式総数
第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、
その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の
数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。
第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして
法務省令で定めるものを除く。)
2 株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項を記載し、又は記録することができる。
第二十九条 第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、
その他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
整理箇所を赤字・下線で示しました↓。
「整理後の条文」(PDFファイル)
「整理後の条文」(キャプチャー画像)
>それから、これは厳密に言うと公文書ではないのでしょうが、例えば証券取引法(金融商品取引法)上の有価証券報告書は、
>財務局で(財務局でのみ)閲覧ができた(一応今でもできる)わけですが、当時、閲覧手数料はかかったのでしょうか。
また、商業登記簿謄本と有価証券報告書は制度上の位置付けについて、昨日は次のようなことを書きました。
>前者は主に債権者保護、後者は主に投資家保護という制度上の違いがあるだけで、
>公務員が役所で会社に関する間違いのない情報を利害関係者に提供する、という社会的役割に違いはないわけです。
これらの点について今日改めて考えていたのですが、有価証券報告書は実は官報販売所で購入できたわけです。
現在でも、有価証券報告書はバックナンバーも含め官報販売所で購入できるようです↓。
有価証券報告書の販売 -
全国官報販売協同組合
ttps://www.gov-book.or.jp/book/securities/about.php
そして、昨日は、「公文書」のあり方について、次のように書きました。
>私人から公文書を交付される、という考え方はないわけです。
言うまでもありませんが、官報は「公文書」であるわけです。
実務上は現実には何ら問題ないことであるわけですが、細かいことを言えば、官報を官報販売所で販売しているということは、
官報販売所の従業員は公務員ではありませんので、私人が公文書を交付している、という状態であるわけです。
その意味では、実は官報は役所(市役所や町役場等)で販売・交付しなければならない、という結論に法理的にはなるわけです。
官報(「公文書」)の偽造の罪は重いとは思います(わざわざ官報を偽造する人物は現実にはいません)が、
「この官報は間違いなく政府が作成した官報です。」、という絶対的保証を社会的に担保するためには、
官報は公務員が役所(市役所や町役場等)で販売・交付しなければならない、という結論に法理的にはなるわけです。
その意味では、有価証券報告書を官報販売所で販売することは、法理的には間違いなのだろうと思いました。
Just as a book has the chapter structure in it, a law has the provision
structure in it.
Provisions of a law should be arranged according to
items.
You can understand the provision as long as you read it once, that is
a good law.
本に章立てがあるように、法律には条文の構成というものがあるのです。
法律の条文は項目別に整理するべきなのです。
一度読みさえすればその条文の意味が分かる、それがいい法律です。