2018年5月20日(日)



最近の62日間のコメントを踏まえた上で、記事を紹介しつつ、記事について一言ずつコメントを書きたいと思います。

 


2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html

から

2018年5月19日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201805/20180519.html

までの一連のコメント

 


現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント

2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html

 


「オークション方式」に関する過去のコメント

2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html

2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html

 

 


2018年5月17日(木)日本経済新聞
新日鉄住金 社名を「日本製鉄」に 日新製鋼を完全子会社化
(記事)

2018年5月17日(木)日本経済新聞
新日鉄住金 体制を再編 アジア戦略、再成長のカギ 統合5年 中国勢に後れ
新社名は「先祖返り」
(記事)

2018年5月17日(木)日本経済新聞
トーク 八幡品質で競争力強化
(記事)

2018年5月18日(金)日本経済新聞
「再」誕生 日本製鉄 上
融和より攻め 世界が迫る ミタル復活に危機感
(記事)

2018年5月19日(土)日本経済新聞
「再」誕生 日本製鉄 下
インドなど新興国開拓 「ライバルと組んででも」
(記事)

 

2018年5月20日(日)日本経済新聞
社名変更 最多ペース 17年度237社 M&Aや国際化映す
(記事)


帰ってきた「日本製鉄」 複雑な社名の歴史

 日本を代表する重工業企業、新日鉄住金が2019年4月1日に「日本製鉄」に社名を変更すると発表した。
戦後、再編を繰り返してきた同社。社名を巡る歴史も複雑だ。
 1970年、八幡製鉄と富士製鉄の合併で誕生した新日本製鉄。八幡と富士はそれぞれ戦前の34年に発足した
国策会社「日本製鐵」が、戦後の財閥解体で50年に誕生した会社だ。新日鉄住金の社名は先祖返りをするようだが、
実は微妙に違う。戦前の会社が「にほん」の読みだったのに対して、新社名は「にっぽん」となる。
 16日の記者会見で新日鉄住金の進藤孝生社長は、戦前の「日本製鐵」については「意識せずに決めた」と語った。
 「鉄」の字は、戦前の会社はもちろん、新日本製鉄や2012年にできた新日鉄住金でも正式には旧字の「鐵」だったが、
新社名では新字になるのが目新しいところだ。
 日本語では日本製鉄が約70年の時を経て復活するように見えるが、海外から見ると印象は異なるだろう。
12年に旧住金と合併するまで新日鉄の英語社名は「Nippon Steel」。
新社名は後ろについていた「& Sumitomo Metal」が外れて再びNippon Steelになる。
 新日鉄住金は多くのグループ会社があり、今回の社名変更にあわせて新日鉄住金ソリューションズが「日鉄ソリューションズ」
に変えるなど、各社が商号を変える。一方、日鉄住金鋼板のように、もともと「新」がつかない日鉄を冠した会社も多い。
この違いは実は新日鉄時代の「序列」が関係している。それぞれ情報システム、化学、不動産など
事業分野を代表する会社には「新日鉄」、それ以外には「日鉄」を使っていた名残だ。
 「日鉄」がつくものの新日鉄住金の連結子会社や持ち分法適用会社ではない会社が、東証1部上場の日鉄鉱業だ。
国内各地に石灰石鉱山を持つなど、新日鉄住金向けを含めた鉄鋼原料などを手掛けるが、
戦前の日本製鉄から分離したという歴史的な経緯がある。
 変遷をたどってきた新日鉄住金の社名だが、今回の変更で12年から続いていた1つの悩みが解消されそうだ。
「住金」が旧住友金属工業であるとピンとくる人は、世間的にはそう多くない。
たびたび「しんにってつじゅうきん」と読み間違えられたり、
事情を知らない就活生などから「新日鉄の関連会社」と誤解されることがあった。
合併後しばらくして、印刷物や広告などには「しんにってつすみきん」と平仮名も表記するなど、悩みは深かった。(檀上誠)
(日本経済新聞 2018/5/16 16:16)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO3057976016052018000000/

 



捨てた「対等」の建前 「日本製鉄」69年ぶり復活
(日本経済新聞電子版 2018/5/17 6:30)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO30592910W8A510C1X11000/


 新日鉄住金は16日、2019年4月1日付で社名を「日本製鉄」に変更すると発表した。
日本製鉄は戦前に発足した国策製鉄会社と同じで、69年ぶりに復活する。旧新日本製鉄の源流となった企業だ。
新日鉄住金は12年10月に同社と旧住友金属工業が合併して発足したが、5年半で社名から「住金」が消える。
住金が実質的に新日鉄に飲み込まれた構図が鮮明になった。
 「(社名変更後も)住金のDNAは残る」。新日鉄住金の進藤孝生社長は16日の記者会見で、こう断言した。
住金の名前は英文表記からも消え、社名変更後は新日鉄時代と同じ「NIPPON STEEL」に戻る。
進藤社長は住金が実質的に吸収されるとの見解について「うがった見方」と否定したが、現実的には新日鉄主導が際立つ。

■「スローM&A」を締めくくり
 今回の社名変更は、見方を変えれば新日鉄の長期間にわたる「スローM&A(合併・買収)」の締めくくりともいえる。
 新日鉄と住金が提携したのが02年。実質的には長い「鉄冷え」で経営不振に陥った住金の救済策だった。
その後、新興国の経済成長を受け市況は急回復したが、両社トップは将来の合併を視野に提携強化を進めた。
07年には1000億円を相互に出資。当時の新日鉄首脳は「合併へ後戻りはない」と明かした。
 実はこのころ同時並行で検討していたのが、今回完全子会社化する日新製鋼の吸収だった。
独占禁止法などの問題で住金との合併が宙に浮いた場合の「第2の選択肢」だったのだ。
独禁法の緩和や世界市場での日本勢の低迷などを受け、住金と日新の「両取り」に成功した。
 それでも新・日本製鉄を取り巻く状況は厳しい。17年の粗鋼生産量は日新を足しても世界3位。
海外展開はまだ緒に就いたばかり。約20年に及ぶ国内再編の成果を示すのはこれからだ。

 



■「たすき掛けの時代じゃない」
 「もう、たすき掛けなんてやってる時代じゃない」。2012年に発足した新日鉄住金。
初代社長となった旧住友金属工業出身の友野宏氏はこんなことを語っていた。
 11年2月、新日鉄と住金が合併の検討を公表した際、両社トップは「対等の精神」を繰り返し強調したが、
その後の人事や今回の社名変更を見れば対等は幻影だったといわざるを得ない。
ただ、友野氏が言うように新会社にとって不可避な選択だったように思える。
 たすき掛け人事は旧新日本製鉄の長年の慣例だ。友野氏と合併を決めた宗岡正二・現会長は1970年入社の新日鉄1期生。
宗岡氏は69年に富士製鉄から内定を受けており富士派で通っていたが、三村明夫氏と2代続けての実質的な富士政権が初めて発足。
ようやくたすき掛けが破れた。
 そこまでの38年間、実力や成果に見合わない人事が延々と続けられた。
 新日鉄を筆頭に、鉄鋼5社で国内市場を分け合った時代はそれでも良かった。
だが2000年代に入り、鉄鋼大手は国際競争にさらされ始めた。

■「買収」完了宣言
 鮮烈なパンチを放ったのがインド出身のラクシュミ・ミタル氏だった。世界の鉄鋼会社を次々と買収し、
06年に欧州アルセロールを手に入れて世界最大手に。新日鉄も買収の脅威におびえた。ミタル氏に対抗し、
同時に海外に打って出るため再び規模を追い始めた。
 当時社長だった三村氏は「本当に大丈夫なのか、何度も自問自答するよ。僕は入社してから不況しか知らなかったからさ」
と漏らしたが、住金との超スローM&Aを逆行させることはなかった。
 新・日本製鉄は文字通り新日鉄による「買収」完了宣言だ。社内のあつれきもないとは言えまい。
ただ、世界と戦うためにはいまさら「対等」の建前にこだわっていられない。意外な新社名からは、そんな意志が伝わってくる。
[日経産業新聞5月17日付]


「69年ぶりに『日本製鉄』が復活する」

 


2018年5月16日
新日鐵住金株式会社
当社及び連結子会社の商号の変更並びに当社の定款の一部変更に関するお知らせ
ttp://www.nssmc.com/common/secure/news/20180516_200.pdf

(ウェブサイト上同じファイル)



2018年5月16日
新日鐵住金株式会社
新日鐵住金株式会社による日新製鋼株式会社の完全子会社化に係る株式交換契約の締結
並びに 新日鐵住金株式会社、 日新製鋼株式会社及び新日鐵住金ステンレス株式会社のステンレス鋼板事業の統合に係る
基本合意書の締結に関するお知らせ
ttp://www.nssmc.com/common/secure/news/20180516_100.pdf

(ウェブサイト上同じファイル)



2018年05月16日
日新製鋼株式会社
商号の変更に関するお知らせ
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1589314

(ウェブサイト上同じファイル)

 


2018年05月16日
日新製鋼株式会社
新日鐵住金による日新製鋼の完全子会社化及び、両社と新日鐵住金ステンレスのステンレス鋼板事業の統合について
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1589315

(ウェブサイト上同じファイル)



2018年05月18日
日新製鋼株式会社
株式交換による「新日鐵住金(株)による当社の完全子会社化」と
「当社と新日鐵住金(株)及び新日鐵住金ステンレス(株)とのステンレス鋼板事業統合」に関するご説明
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=announcement&sid=42156&code=5413

(ウェブサイト上同じファイル)

 



「新日鐵住金による日新製鋼の完全子会社化及び、両社と新日鐵住金ステンレスのステンレス鋼板事業の統合について」
株主総会招集通知は米国の株主にも発送される
(15/15ページ)

>本株式交換を承認するための議決権行使が行われる予定である株主総会の開催日前に、Form F-4の一部として提出された
>目論見書が、日新製鋼の米国株主に対し発送される予定です。

 


資本金・株式情報(新日鐵住金株式会社)
ttp://www.nssmc.com/ir/stock/overview.html

 

ADR Information (Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation)
ttp://www.nssmc.com/en/ir/stock/procedure.html

 


Form F-4登録支援サービス (EY Japan)
ttps://www.eyjapan.jp/services/assurance/faas/transaction/sec-advisory/index.html

「登録書類「Form F-4」の提出が必要となる場合」




米国証券法フォームF-4における組織再編取引の登録(参考和訳) (Davis Polk & Wardwell LLP)
ttps://www.davispolk.com/files/files/Publication/6194a86e-295c-495f-8985-0bbba7c496c3/Preview/PublicationAttachment/
4172a619-09e0-4343-b234-0de9b15e6c41/2010.02.Registration.FormF-4.jpn.pdf

(ウェブサイト上同じファイル)

 


新日鐵住金株式会社が商号変更をし「日本製鉄株式会社」という商号になる、とのことです。
1934年に誕生した「日本製鉄」は「にほんせいてつ」という読み方だったのですが、
新商号の「日本製鉄」は「にっぽんせいてつ」という読み方になる、とのことです。
英語表記も"Nihon Steel"から"Nippon Steel"に変更になる、とのことです。
商号変更を行うというだけでここまで話題になるというのも、「鉄は国家なり」と呼ばれた歴史の長い製鉄業だからこそでしょう。
この件に関しては興味深い記事がたくさんあるなと思ったのですが、商号変更や戦略面については特にコメントはありませんが、
一連のプレスリリースを読んでいて気になった点について、一言だけ書きたいと思います。
新日鐵住金株式会社は株式交換により日新製鋼株式会社を完全子会社化する計画であるわけですが、
株式交換に伴い、新日鐵住金は、米国1933 年証券法に基づき、株式交換を承認する日新製鋼の臨時株主総会に先立って、
Form F-4 による登録届出書を米国証券取引委員会(「SEC」)に提出する、と経営統合に関するプレスリリースには書かれています。
しかし、単純に考えまして、Form F-4をSECに提出しなければならないのは、
完全親会社となる新日鐵住金株式会社ではなく、完全子会社となる日新製鋼株式会社の方ではないかと思いました。
なぜならば、株式交換に伴い、新日鐵住金の出資者の保有銘柄に変動はない一方、日新製鋼のそれには変動が生じるからです。
この点について調べてみますと、日新製鋼株式会社は米国に自社ADRを上場させてもいない、ということが分かりました。
つまり、このたびの事例では、新日鐵住金株式会社も日新製鋼株式会社もForm F-4を提出する義務はない、となろうかと思います。
その理由は、一言で言うならば、組織再編取引(株式交換)により「米国株主に対し、株式の割当は行われない」からです。
確かに、日本国内企業同士の統合や再編であっても、当事会社がADRを米国に上場させている場合は、
当事会社の一方もしくは両方にForm F-4のSECへの提出が義務付けられる場合があるのですが、
このたびの事例では、米国株主に対し株式は割り当てられませんので、両当事会社にForm F-4のSECへの提出義務はないのです。
また、米国の証券当局は、情報開示に関してのみ当事会社(発行者)に証券規制上の義務(開示義務)を課しているだけであって、
実施される株式交換そのものについて審査を行ったり承認を行ったりということはしない、すなわち、
「投資家の利益を害するような組織再編取引か否か?」という点について審査を行ったり承認を行ったりということはしない、
という点には注意が必要です(その判断と承認(株主の利益に資するか否か)は、まさに「投資家の投資判断」の部分なのです)。

 

In fact, there are currently not any holders of an ADR of Nisshin Steel share in U.S.

実は、現在のところ、日新製鋼株式のADRの保有者は米国内に1人もいないのです。


The purpose of "registration with the SEC" is "disclosure" from the beginning to the end.
That is to say, in this case, the U.S. securities authorities place a foreign issuer under an obligation
to do disclosure on a foreign M&A in U.S., but they themselves don't judge nor approve the M&A.
It is investors who  judge and approve the M&A.

「SEC登録」の目的は、徹頭徹尾「情報開示」なのです。
すなわち、このたび事例で言えば、米国の証券当局は外国の発行に外国のM&Aに関して米国内で情報開示をする義務を負わせる
わけなのですが、米国の証券当局自体はそのM&Aについて審査や承認はしないのです。
そのM&Aについて判断をし承認をするのは、投資家なのです。

 


The trade name is to be changed to "Nippon Steel Corporation."
A trade name of the subsidiary is to be changed to "Nippon Steel Nisshin Co., LTD."

商号が「日本製鉄株式会社」に変更になります。
子会社の商号は「日鉄日新製鋼株式会社」に変更になります。

 

A holder living in U.S. of an ADR of a Nisshin Steel share will receive an ADR of a Nippon Steel share.

米国在住の日新製鋼株式のADRの保有者は、日本製鉄株式のADRを受け取ることになります。

 

The Japanese Companies Act is not applied to an ADR of a Nisshin Steel share.

日本の会社法は日新製鋼株式のADRには適用されません。

 

Concerning an ADR, the U.S. Securities Exchange Act is applied
not only to a foreign issuer with "registration with the SEC" but also a depositary bank in U.S.
That is to say, in relation to an ADR and "registration with the SEC,"
The U.S. securities authorities place a depositary bank in U.S. under an obligation
to disclose a register of holders of an ADR to a foreign issuer (i.e. an issuer of the original share).

ADRに関して言いますと、米国証券取引法は、「SEC登録」をしている外国の発行者だけではなく、
米国内の預託銀行にも適用されるのです。
どういうことかと言いますと、ADRや「SEC登録」に関しましては、
米国の証券当局は、米国内の預託銀行に、
米国預託証券保有者名簿を外国の発行者(すなわち、原株式の発行者)に対し開示をする義務を負わせる、ということなのです。

 

Concerning this M&A, Nisshin Steel should mainly submit the Form F-4 to the SEC.
For Nisshin Steel is scheduled to hold an extraordinary meeting of shareholders on this M&A, whereas Nippon Steel isn't.

今回のM&Aに関しては、主に日新製鋼がForm F-4をSECに提出すべきなのです。
というのは、日新製鋼は今回のM&Aに関する臨時株主総会を開催する予定である一方、日本製鉄はその予定ではないからです。