2018年5月13日(日)
2018年3月19日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180319.html
から
2018年5月12日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201805/20180512.html
までの一連のコメント
現物取引と先渡取引と先物取引の相違点について書いたコメント
2018年3月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180312.html
「オークション方式」に関する過去のコメント
2016年3月27日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201603/20160327.html
2016年7月13日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201607/20160713.html
鴻海が初の減資 20%、株価てこ入れ
【台北=伊原健作】台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は11日夜、20%の減資を実施すると発表した。初めての減資となる。
株主還元で株価のてこ入れを狙う。346億台湾ドル(約1270億円)の資金が必要で、巨額の投資計画への影響を懸念する向きもある。
6月22日の定時株主総会で提案を株主に諮る。資本金は1730億台湾ドルから1386億台湾ドルに減少。
台湾の制度に基づき株主の持ち株数は20%減る。同時に資本の減少分に相当する346億台湾ドルを現金で株主に還元する。
還元金は配当と異なり課税されず、台湾では「現金減資」と呼ばれ株価の上昇につながるケースが多い。
米アップルのスマートフォン(スマホ)の販売不振などが響き、鴻海の株は昨年8月の高値から約3割下落している。
(日本経済新聞 2018/5/11
21:41)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO30394070R10C18A5FFN000/
Hon Hai Precision Industry Co., Ltd. (Hon Hai/Foxconn Technology
Group)
ttp://www.foxconn.com/
Quarterly
Reports
ttp://www.foxconn.com/Investors_En/Financial_Information.html?index=1&target=QuarterRevenueReport.html
ロンドン証券取引所(London Stock Exchange)の鴻海精密工業の預託証券の公式ページ↓
HHPD HON HAI PRECISION INDUSTRY CO. LTD GDR (EACH REPR 2 SHS TWD10)(REG
S)
ttp://www.londonstockexchange.com/exchange/prices-and-markets/stocks/summary/company-summary/US4380902019USUSDIOBE.html?lang=en
Offical Filings (Hon Hai Precision Industry Co.,
Ltd.)
ttp://www.foxconn.com/Investors_En/Financial_Information.html?index=1&target=QuarterRevenueReport.html
Hon Hai Precision Ind. Co. Ltd. is a listed company in Taiwan which
publicly disclose
financial and related information on a regular basis in
accordance with the regulation.
Please link to MOPS (Market Observation Post
System) of Taiwan Stock Exchange
for the latest financial and reporting
information of the company:
1. Go to MOPS(http://mops.twse.com.tw/mops/web/index)
2. Choose "Listed
companie" by entering the company code "2317"
3. After the Company appears in
the data box on right hand side,
then choose from above menu
selections (Profile, Announcements, Financial Information…)
The Company listed its GDR (Global Depositary Receipts) in London Stock
Exchange with the company code “HHPD”,
you can access related information via
London Stock Exchange’s RSN(Regulatory News Service)platform.
【参謀訳】
法定開示書類(株式会社鴻海精密工業)
株式会社鴻海精密工業は、上場規定に従って規則正しく財務情報さらには関連する情報を公に開示を行っている台湾の上場企業です。
弊社に関する最新の財務情報と報告情報を入手するためには、台湾証券取引所のMOPS(縦覧に供するための書類提出システム)へ
アクセスして下さい。
1. MOPS(http://mops.twse.com.tw/mops/web/index)へアクセスして下さい。
2.
弊社の証券コード「2317」を入力し「上場企業」を選択して下さい。
3.
右手側のデータボックス内に弊社が表示されましたら、
そのリストの中から閲覧したい情報(プロフィール、公告、財務情報、等々)を選択して下さい。
弊社は、「HHPD」という証券コードでロンドン証券取引所に弊社株式のGDR(グローバル預託証券)を上場しています。
ロンドン証券取引所のRSN(上場規定上の情報開示サービス)閲覧システムを通じて関連する情報を入手することができます。
2018/05/11
Hon Hai Precision Industry Co., Ltd.
The Board of
Directors of the company resolves to conduct capital reduction
「MPOS上の提出書類のキャプチャー」
1.Date of the board of directors resolution:2018/05/11
2.Reason for the
capital reduction:
Reason for the capital reduction: In order to adjust
the capital structure and increase the return on equity,
it is proposed to
reduce capital and refund cash to shareholders.
3.Amount of the capital
reduction:NTD34,657,476,530
4.Cancelled shares:3,465,747,653
shares
5.Capital reduction ratio:20%
6.Share capital after the capital
reduction:NTD138,629,906,090
7.Scheduled date of the shareholders'
meeting:2018/06/22
8.Estimate listed common shares after the capital
reduction:13,862,990,609 shares
9.The estimate ratio of listed shares to the
company's issued common shares, after the capital
reduction:100%
10.Countermeasures of the lower circulation in shareholding,
if the aforesaid estimate listed common shares does not
reach 60
million shares and the ration does not reach 25% after the capital
reduction:NA
11.Any other matters that need to be specified:
(1)Based on
the total number of shares issued, approximately
200 shares (ie about 800
shares will be re-issued for each stock) will be reduced per 1,000
share.
(2)The new shares with cash replenishment were issued without
entities, their rights and obligations were the same as
those of the original
shares. After the approval of this capital reduction from the shareholders'
meeting and
the authorities, the Board of Directors will set schedule and
timeline for the record date of the capital reduction
and that of exchange of
shares. Before the record date, any changes to the capital reduction ration
and
the amount returned per share caused by adjustment in regulations or
request from the authorities,
or in response to any other factors, will be
brought up at the shareholders' meeting
in order to authorize the Chairman of
the Board to deal with the issue.
【参謀訳】
公表日時:2018年5月11日 20:06:37
株式会社鴻海精密工業
弊社取締役会は減資を実施することを決議いたしました。
公表内容
@取締役会決議日:2018年5月11日
A減資を実施する理由:
資本構成を調節し株主資本利益率を増加させるために、資本金を減少させ株主に現金を払い戻すことを提案いたしております。
B減少させる資本金の金額:34,657,476,530台湾ドル
C消却される株式数:3,465,747,653株式
D資本金の減少割合:20%
E減資を実施した後の資本金の金額:138,629,906,090台湾ドル
F減資を承認するための株主総会の開催予定日:2018年6月22日
G減資を実施した後、市場で流通すると見込まれる普通株式の株式数:13,862,990,609株式
H減資を実施した後、弊社の発行済みの普通株式の総数に対する市場で流通すると見込まれる普通株式の株式数の割合:100%
I減資を実施した後、前述の市場で流通すると見込まれる普通株式の株式数が6,000万株に届かず
前述の割合が25%に達さない場合、株式の保有に際し流通性が低下したことに対しどのような対策を講じるのか:ノーコメント
J明記すべき他の事柄:
(1)発行済み株式総数を基準にすると、1,000株式当たり約200株式が減少することになります。
すなわち、投資単位当たり約800株式が再発行されることになります。
(2)現金が再投資され新株式が実体がないまま発行されましたが、
その新株式の権利と義務は従前の株式の権利と義務と同じでした。
弊社の株主総会からそして証券当局から今般の減資について御承認をいただきました後は、
弊社取締役会は減資の基準日と株式の交換の基準日を設定するためのスケジュールと次第を取り決めることになります。
設定いたしました基準日が到来する前に、諸規定に従い調節をする結果、もしくは、証券当局からの要請の結果、もしくは、
他のあらゆる要素要因に反応をする結果、資本金の減少割合や1株当たりの払い戻し金額にわずかでも変更が生じた場合には、
弊社取締役会会長に問題を処理する権限を与えるために、その変更に関して株主総会で俎上に載せる予定となっております。
台湾の鴻海精密工業が減資を実施するということで、各国の法制度を比較すると新たなことに気付き理解が深まることが多いので、
台湾の会社法における資本金の額の減少について勉強してみようと思いました。
台湾の会社法における資本金の額の減少は、現金により資本金の一部を株主に払い戻すことを意味しているようです。
これは日本の会社法における自社株買い(自己株式の取得)とは全く異なる取り扱い方法・会計処理方法になります。
日本の会社法における自社株買い(自己株式の取得)は、利益剰余金をその原資とすることから、
株主に対する利益還元の一種であると分類することができるのですが、
台湾の会社法における資本金の額の減少は、資本金そのものをその原資とすることから、
株主に対する利益還元の側面は一切ありません(純粋に払い込まれた資本を株主に払い戻しているというだけなのです)。
また、台湾の会社法における資本金の額の減少は、日本では2005年以前の旧商法でも実施することができなかった原資だと思います。
2005年以前の旧商法の原資では、株主が保有する株式の数を一律に減少させ資本金の金額を同じ割合だけ減少させる、
ということはできましたが、会社から現金が流出する(つまり、資本を株主に払い戻す)ということはしませんでした。
2005年以前の旧商法の原資では、減少した資本金は基本的に利益剰余金に振り替えられる(「資本の部」合計は不変)だけでした。
逆に、現行の会社法では、2005年以前の旧商法の原資と同じ原資は、もはや実施できなくなったと言ってのだろうと思います。
資本金の額の減少を実施すると同時に株式併合を実施すれば、現在でも擬似的に2005年以前の旧商法の原資と同じ原資が実現する
とも言えるのですが、現行の会社法では、資本金と株式とのつながり(関連性)はない、という概念整理を行っているため、
資本金の減少と株式数の減少とは理論上は関係がないものとされているわけです。
難しい言葉を使えば、現行の会社法では、資本金と株式との間に牽連性はない(両者はつながっていない)、と整理されています。
理論上は、資本金と株式との間に牽連性はないからこそ、株式の無償発行ができたり(資本金とは無関係に株式数のみが増加する)
資本金の減少とは無関係に自己株式の有償での取得ができる(株式数のみが一方的に減少する)、ということになるわけです。
その意味では、自己株式の取得が解禁された2001年から2005年まで間の旧商法は、理論的には矛盾を抱えていたわけです。
なぜならば、資本金と株式との間に牽連性を保持したまま、資本金の減少とは無関係に自己株式の有償での取得ができたからです。
では、台湾の会社法における資本金の額の減少であれば問題はないのかと言いますと、やはり問題はいくつかあると思います。
例えば、資本金の減少額は簿価に基づく一方、株主は簿価で株式を取得したわけではない、という問題点があります。
会社設立時の株主であれば説明が付きますが、それ以外の株主に関しては明らかに差額が生じるわけです。
一言で言えば、会社側ではなく、株主の側の取り扱いに説明が付けられない(特に税務上の取り扱い・課税関係)と思います。
煎じ詰めれば、資本金の額の減少自体に理論的にはおかしなところがある、と言わねばならないと思います。
次に、このたびの事例を学んでいて、証券制度についても気が付くことがありました。
台湾の鴻海精密工業の減資は、言うまでもありませんが台湾の会社法における資本金の額の減少であるわけですが、
最初私は、基本的には会社制度上のことだけが論点になるのだろうと思っていたのですが、
鴻海精密工業のウェブサイトのIR情報(英文)と鴻海精密工業が提出している法定開示書類(英文)を日本語に翻訳する中で、
台湾の鴻海精密工業の減資には実は証券制度上の論点が隠れていると気付きました。
どういうことかと言いますと、原資を実施するに先立ち、鴻海精密工業は「原資実施後の流通株式数と流通株式比率」について
見込み株式数と見込み比率を算出し開示を行い、株主と当局に対し原資の是非について諮っている、ということです。
例えば、東京証券取引所の上場基準(有価証券上場規定)には「流通株式数(上場時見込み)」という項目があるのですが、
投資家が保有株式を売却する機会を提供する上で重要な項目だと証券制度が考えているかこそ、
「流通株式数(上場時見込み)」が上場基準として定められているわけです。
端的に言えば、株式の流動性の高さがそのまま株式の換金性の高さにつながるわけです。
また、同じく東京証券取引所の上場基準(有価証券上場規定)には、「合併等の実施の見込み」という項目もあります。
簡単に言えば、上場後短期間のうちに組織再編行為が実施され存続会社でなくなる見込みや予定がある場合は上場を認めない、
という上場基準であるわけです。
「合併等の実施の見込み」という上場基準もまた、株式の換金性を脅かす事態を未然に防ごうとする投資家保護策であるわけです。
このたび台湾の鴻海精密工業が実施する減資にまつわる利害関係者からの承認も、全く同じ趣旨であろうと思います。
台湾の証券制度は、原資の実施後も株式の換金性に問題は生じないことを事前に明確にした上でなければ、
上場企業が原資を実施することを認めていないのだと思います。
法定開示書類によりますと、原資実施後の鴻海精密工業の流通株式比率は、上場株券の「100%」と見込まれています。
原資実施後も、投資家による所有株式の換金には一切問題はない(換金性は一切低下しない)、と開示しているわけです。
例えば、上場企業に親会社や特定の大株主(創業者等)がいる場合は、流通株式比率が低い状態に留まり続けるのだと思います。
したがって、法定開示書類中の"the
authorities"は、会社制度上の当局ではなく、証券制度上の当局を指しているのだと思います。
それから、法定開示書類とロンドン証券取引所(London
Stock
Exchange)のサイトを見ていてあることを思いました。
これは全く自信がなく間違っているのかもしれませんが、英国では株式のことを"stock"ではなく"share"と表現することが
多いわけですが、ロンドン証券取引所は"London
Share Exchange"ではなく"London Stock
Exchange"という名称です。
株式1株1株を"share"と呼び、株式の投資単位1単位1単位を"stock"と呼ぶ、という相違点があったりするのだろうかと思いました。
"stock"には「仕入品」という意味がありますので、"share"と比較すると「購入単位」を意味したりしないだろうかと思いました。
自信はないのですが、日本で言えば、1株式が"1
share"、1単元が"1 stock"、という意味合いになるのかもしれないなと思いました。
Different places have different ways of capital reduction.
所変われば減資の方法も変わる。
Ultimately speaking, "capital reduction" can't be arranged as any type of
transaction.
For a juridical person doesn't fundamentally presuppose a
reduction in its capital.
究極的なことを言えば、「減資」というのはどのような種別の取引であるとも分類・整理できないものなのです。
というのは、法人というのは、資本金を減少させるということを本質的に前提としていないからです。