2017年12月30日(土)



ここ5日間のコメントを踏まえた上で、記事を3つ紹介し、一言だけ追記をします。

 

2017年11月17日(金)日本経済新聞
動き出す現金に熱視線 自社株買い、ROEで探る
(記事)

2017年3月29日(水)日本経済新聞
金持ち企業の配分注視 資本コストで選別進める
(記事)

2017年3月28日(火)日本経済新聞
相場変調、頼るはROE 惑いが招く 銘柄選別
(記事)



「工事進行基準」の問題点や「債権」についての考察

2017年12月25日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201712/20171225.html

2017年12月26日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201712/20171226.html

2017年12月27日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201712/20171227.html

2017年12月28日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201712/20171228.html

2017年12月29日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201712/20171229.html

 



昨日は「資金繰りが苦しくなる原因」についても書いたわけですが、昨日のコメントの最後に、次のように書きました。


>If it were not for monetary obligations in the world, there would also not exist the concept "financial aid."
>
>この世に金銭に関する債権債務関係がないならば、「金融支援」という概念もまた存在しないのです。


>Even though every trade is done by means of a cash transaction,
>the fact that a company holds assets itself demands another cash.
>
>たとえ全ての取引が現金取引により行われるとしても、
>会社が資産を保有するということそれ自体により新たな現金需要が生じてしまうのです。


まず1つ目の文について補足をしたいのですが、私が昨日言いたかったのは、
掛取引を行っているというだけですと会社の資金繰りは全く苦しくならないわけですが、
決済の条件を変更するということを考えますと、途端に会社の資金繰りに影響を与える、ということを言いたかったわけです。
昨日紹介した記事やプレスリリースは、決済条件の変更が原因で元請け業者(1次下請け)の資金繰りが苦しくなる、
という内容だったわけですが、会社が常日頃から現金取引を行っている場合は、
「決済の条件が変更になる」ということ自体がそもそも観念できない(引渡しと代金支払いの同時履行というだけ)
わけですから、在庫の滞留・販売不振等ということを除けば、理論上は会社の資金繰りが苦しくなることはないわけです。
「『決済条件の変更』が観念できるので、掛取引を行っている場合は会社に外部からの『金融支援』が必要となる場合がある。」、
ということを昨日は言いたかったわけです。
ただ、以上のようなことを考えた後で、現代の経営では全く考えられないことではありますが、
「会社は資産を保有しない」という状態が実は理論的には最も会社の資金繰りを圧迫しない、と言えると思いました。
それが2つ目の文です。
ある会社の資産勘定が現金勘定のみだとしましょう(ある会社の資産の全てが現金だとしましょう)。
その時、その会社が資金繰りに困ることなどあり得るでしょうか。
要するところ、会社設立時に会社にあった現金(払い込み資本)を何らかの用途に用いている(現金支出をした)からこそ、
「会社が資金繰りに困る(資金が不足する)」ということが起こり得る(観念できる)わけです。
流動資産であれ固定資産であれ、現金勘定以外の資産勘定は全て、早かれ遅かれ現金化していかなければならないわけです。
たとえ無借金経営(自己資本比率100%)だとしても、資産勘定の全てが現金勘定以外となってしまった会社は、
貸借対照表には計上されていない金銭債務(具体的には賃金債務等)を履行できないことを原因として、
現実には倒産してしまうわけです。
極端な話ではありますが、資産勘定は全て現金であるに越したことはないわけです。

 



会社が行う最も理想的な商取引は、資本金を元手にして、
仕入先から目的物を仕入れる(同時に代金を支払う)と同時に販売先へその目的物を販売する(同時に代金を受け取る)ことだ、
と言っていいわけです。
会社が資産を保有するということは、会社が自社の現金を他の用途に使用している(会社は現金支出をした)、という意味です。
たとえ会社が自社の現金を他の用途に使用しても(たとえ会社が現金支出をしたとしても)、
会社がその現金支出をすぐに回収できれば、会社が資金繰りに困ることはないのですが、
実際の経営では、固定資産の保有や棚卸資産の保有、さらには売掛金の保有という状態が会社では経常的に続きますので、
どのような種類の資産であれ会社が資産を保有する以上は、現実には「資金管理」が極めて重要になってくるわけです。
現金化を考えなくてよい資産は現金だけだ、と思いました。

The only asset about which a company doesn't have to take care of recovering its investment is cash.
(会社が投じた資金の回収を気にする必要がない資産というのは、現金だけなのです。)

「投じた資金の回収」という観点から言っても、

All that exists in this world is cash and the others.
(この世には、現金と現金以外しかありません。)

だと思いました。
以上のようなことが頭に浮かびましたので、昨日は上記2つ目の文を書いたわけです。