2017年12月26日(火)



記事やプレスリリースをいくつか紹介して、昨日2017年12月25日(月)のコメントに一言だけ追記をします。

2017年12月25日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201712/20171225.html

 

2017年8月22日(火)日本経済新聞
下請けに支払い早く ゼネコン、円滑工事へ人手確保 五洋建、手形やめ現金に
(記事)

2017年11月10日(金)日本経済新聞
ゼネコン、下請け支援 代金決済を早める 大成など人手確保後押し
自動車・小売りに広がる
(記事)


2017年12月26日
川崎重工業株式会社
オフショア作業船の造船契約の合意解除に伴う特別損失の計上について
ttp://www.khi.co.jp/ir/pdf/c3171226-1.pdf

(ウェブ上と同じPDFファイル)

1.特別損失計上に至る経緯
(1/1ページ)

>本船に係るたな卸資産(仕掛品)の評価損計上及ぶ売掛債権(進行基準売掛金)の損失処理

 


Internally generated receivables.

自己創設債権

 



昨日も書いた仕訳になるのですが、事の本質はこの仕訳に尽きると思いますので、再度書きますが、
工事進行基準を適用する場合は、「まだ完成していない工事」に関して、次のような仕訳を切ることになるわけです。

(完成工事未収入金) xxx / (完成工事高) xxx
(完成工事原価) xxx         (未成工事支出金) xxx

昨日紹介しました田中土建工業株式会社の貸借対照表も参考にしていただきたいのですが、
建設業会計では、工事が完了するまで長い時間がかかるため、建設業特有の勘定科目が用いられるのです。
昨日は、「未成工事支出金」勘定について書いたのですが、今日は他の勘定科目について一言だけ書きたいと思います。
一言で言えば、工事進行基準における「完成工事未収入金」勘定も会社の実態を表していない、となります。
なぜならば、工事を行うに際しては、発注者と施工者との間で工事契約を締結するわけですが、
工事進行基準を適用している場合に計上される「完成工事未収入金」勘定は、
工事契約に当事者間で定める「対価の定め」(実質的に合意された対価額・決済条件・決済方法に関する定め)
とは全く異なる要因に基づき計上される勘定科目となってしまうからです。
工事進行基準を適用している場合に貸借対照表に計上される「完成工事未収入金」勘定の金額というのは、
工事契約に書かれていないのです(会計上、会社が勝手に割り算して一定割合のみ計上(分割計上)しただけ)。
簡単に言いますと、「そのような対価の金額というのは、工事契約にはない。」、となるわけです。
他の言い方をすれば、法律上はまだ代金を受け取る権利はないにも関わらず、会社には相手方から代金を受け取る権利がある、
と会社は貸借対照表に表示していることになります(これは言わば”自己創設債権”とでも表現するべき架空の債権なのです)。
このことは、工事完成基準における「完成工事未収入金」勘定と対比させて考えてみると分かると思います。
工事完成基準における「完成工事未収入金」勘定は、工事契約における「対価の定め」に基づき計上されます。
他の言い方をすれば、工事契約と会計処理とが完全に合致している("comply"している)わけです。
工事契約と会計処理(計上や表示される勘定科目)との間に不整合がないのです。
英語で言えば、次のようになるでしょうか。

Accounting treatments on the "completion basis" are in compliance with a construction contract.
(「工事完成基準」上の会計処理は、工事契約に従っているのです。)

商取引というのは、言うまでもありませんが、当事者間で締結した契約に基づいて行っていくものです。
そして、商取引を行い、商取引を行った結果を仕訳により表現する(帳簿に記入する)わけです。
ですので、端的に言えば、当事者間で締結した契約内容とは異なる会計処理を勝手に行うのは間違いなのです。
一言で言えば、工事進行基準における「完成工事未収入金」勘定は、「代金を受け取る権利」を何ら表していないのです。
上の方に記事を2つ紹介していますが、工事進行基準における「完成工事未収入金」では代金を受け取れないのです。
これはもはや、「貸し倒れの発生」以前の問題であるわけです。
確かに、工事完成基準における「完成工事未収入金」には実務上は「貸し倒れ」が発生し得るわけですが、事進行中に関しては、
工事進行基準における「完成工事未収入金」には貸し倒れは起きないと言っていいのです(代金を受け取る権利自体がないから)。


To be honest, receivables on the basis of the "percentage of completion method" are merely imaginary.

率直に言って、「工事進行基準」に基づく債権は想像上のものに過ぎないです。