2016年12月28日(水)



2016年12月28日(水)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
株式会社光通信
(記事)




2016年12月27日
株式会社光通信
自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
ttp://www.hikari.co.jp/ir/press_release/file/20161227.pdf

 


過去の関連コメント

2016年12月23日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161223.html

 

旧証券取引法と現行の金融商品取引法における「買付予定数」の設定方法の違いに関する過去のコメント

2016年12月24日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161224.html

2016年12月25日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161225.html

2016年12月26日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161226.html

2016年12月27日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161227.html

 


【コメント】
「自己株式の公開買付け」は、金融商品取引法上は正確には「発行者による上場株券等の公開買付け」と呼ぶようです。
そして、通常の公開買付のことは、金融商品取引法上は「発行者以外の者による株券等の公開買付け」と呼ぶようです。
さて、今日の事例は、株式会社光通信による自己株式の公開買付です。
一時期大きな話題となった株式会社光通信ですが、
株式会社光通信だけにある興味深いことが私の頭の中で「ピカッ」とひらめきました。
それは、「自己株式の公開買付に、対象者が保有している自己株式を応募したらどうなるのか?」ということです。
株式会社光通信だけにあり得そうだなと思いました。
通常の公開買付には、対象者は所有している自己株式を公開買付に応募できます。
その場合は、自己株式の公開買付者による買付は、対象者にとっては資本取引(売却損益は認識されない)になります。
では、「自己株式の公開買付」に対象者が保有している自己株式を応募した場合はどうなるのかと言いますと、
おそらく損益取引になる気がします。
仕訳で書けば次のようになるでしょうか。

(現金) xxx       / (自己株式) xxx
                 (自己株式売却損益) xxx
(自己株式) xxx       (現金) xxx

自己株式勘定を簿価から買付価格に評価替えしたかのような取引になる(評価差額は損益取引)と思います。
もしくは、会社にとって自己株式の売却はあくまで資本取引だ、という見方に重点を置くならば、次の仕訳になるでしょう。

(現金) xxx     / (自己株式) xxx
               (自己株式処分差損益) xxx
(自己株式) xxx     (現金) xxx

「自己株式処分差損益」は資本取引の勘定科目(その他資本剰余金)です。
「自己株式処分差損益」は損益取引の勘定科目ではありません。
ただ、いずれにせよ、自己株式勘定を簿価から買付価格に評価替えしたかのような取引になる(評価差額は資本取引)と思います。

 



以上の議論にはいくつか説明が必要でしょう。
まず、そもそも自己株式の公開買付に対象者が保有している自己株式を応募することなどできるのか、という問題があります。
もちろん、一般的な取引では、自分が所有している物を自分自身に売却することなどできません。
ですので、単純に考えて、自己株式の公開買付に対象者が保有している自己株式を応募することなどできない、と考えられます。
会社法上も、会社が保有している自己株式を自社に売却する、という考え方はないでしょう。
ところが、「通常の公開買付には、対象者は所有している自己株式を公開買付に応募できる。」という点から
物事を発想していますと、「自己株式の公開買付に対象者が保有している自己株式を応募することができる。」
という考え方に行き着くように思ったわけです。
なぜならば、公開買付に応募された株式に区別はないからです。
公開買付代理人は、応募者を区別することなく、応募者に対し応募株式数に応じた決済代金を支払うのではないでしょうか。
公開買付という手続きでは、制度上、代金の決済者(代金を応募者に支払う人)は公開買付者とは別の人物です。
もちろん、第一義的に代金を支払うのは公開買付者であり、公開買付代理人は決済資金を預かり決済業務の代行を行っているだけ
であるわけですが、応募者は公開買付代理人から決済代金を受け取る(公開買付者からは決して決済代金を受け取らない)
ということだけは実務上・制度上間違いないことなのです。
したがって、応募者の1人である対象者(=公開買付者)が公開買付代理人から決済代金を受け取ることはあり得ると思ったのです。
応募株式に区別はない(全応募株式は1つに取りまとめられ、上限や下限といった買付条件に照らした上で平等な取り扱いを受ける)、
他の言い方をすれば、誰が応募したかは全く関係がない、
これが公開買付制度ではないかと思ったのです。
公開買付代理人は、淡々と全応募株式を平等に取り扱う(応募者の個性は問題としない)というだけだ、
というのが公開買付制度ではないだろうかと思ったのです。
買付期間中に公開買付者が倒産しても決済代金は確保される、
それくらい決済に関しては公開買付者と公開買付代理人は独立しているのです(決済資金は公開買付者から完全に分離している)。
「代金の決済」に着目すれば、以上書きましたような見方になるように思ったのです。
以上の考え方を応用すれば、「通常の公開買付に、公開買付者は所有している対象者株式を応募をすることができる。」
という考え方にも行き着きます。
株式の所有権の移転(株主の異動)という観点から見ると、自分が所有している株式を自分が買うことなどは当然できません。
「譲渡」という時には、目的物の所有権が移転することが本質的に重要でしょう。
目的物の所有権の移転の結果、目的物の所有権の移転の対価が譲受人から譲渡人に支払われることが重要であるわけです。
株式の所有権の移転(株主の異動)という観点から見ると、私が書きましたことは確かにおかしいわけです(所有権は移転してない)。
ところが、ここが公開買付特有の見方をしなければならない点なのだと思いますが、
「代金の決済」という観点から見ると、「誰から公開買付者に株式の所有権が移転するかは関係がない(応募者は皆平等だ)。」、
という見方に公開買付ではなるわけです(応募者が誰であろうと公開買付代理人は平等に決済代金を支払っていくだけ)。
端的に言えば、「代金の決済」の部分が公開買付者から分離・独立しているから、このような見方になるわけです。
それで、旧証券取引法や現行の金融商品取引法、そして旧商法や現行の会社法、さらには、過去そして現行の法人税法などの
規定は一切見ずに、理論的にはこのような考え方にならないだろうかと考え、自分の思うところを書いてみたわけです。
もちろん、法制度として、「公開買付者は所有株式を公開買付に応募できない。」と規定することは十分理に適っています。
旧証券取引法で、「公開買付者は所有株式を公開買付に応募できない。」と規定されていたかどうかはまだ確認していませんが、
「株式の買い方(応募株式の買付方法)」に着目すれば、「公開買付者は所有株式を公開買付に応募できる。」となる気がします。
その場合は、対象者株式勘定を簿価から買付価格に評価替えしたかのような取引になる(評価差額は損益取引)と思います。

 


Originally, "shares planned to be purchased" mean
that a tender offerer intends to purchase as many shares in a tender offer if shareholders accept the terms.

元来的には、「買付予定数」とは、
株主が条件を受け入れてくれるのなら公開買付者は公開買付においてそれだけの株式を買うつもりでいる、
ということを意味しているのです。

 

If the number of acceptances is lower than "shares planned to be purchased,"
then it means that shareholders didn't accept or they were not satisfied with the terms.
Therefore, in that case, a tender offer doesn't purchase any shares at all
because both parties didn't mutually consent to the transaction.

応募数が「買付予定数」よりも少ない場合は、
それは株主は買付条件を受け入れなかった、すなわち、株主は買付条件に満足しなかった、ということなのです。
したがって、その場合は、公開買付者は株式の全部の買付を行いません。
なぜなら、当事者双方はその取引に合意をしなかったからです。

 

Conceptually, in a tender offer, the number of tender offerers is one and the number of shareholders is also one.

概念的に言えば、公開買付においては、公開買付者の数は1人ですし、株主の数も1人なのです。

 

A tender offer agent pays a conderation for a settlement to respective accepting shareholders whoever they are.

公開買付代理人は、応募株主がどんな人であろうとめいめいに決済代金を支払うのです。

 

From my personal viewpoint, I view the tender offer system as such a transaction as is separated from a tender offerer.

私個人の見方になりますが、私からは公開買付制度が公開買付者からは分離・独立している取引のように見えるのです。