2016年12月26日(月)
過去の関連コメント
2016年12月23日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161223.html
旧証券取引法と現行の金融商品取引法における「買付予定数」の設定方法の違いに関する過去のコメント
2016年12月24日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161224.html
2016年12月25日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161225.html
【コメント】
2016年12月23日(金) のコメントに一言だけ追記をしたいと思います。
2016年12月23日(金)
のコメントのコメントでも書きましたように、本日2016年12月26日(月)が公開買付の開始日であり、
公開買付者にとっては公開買付開始公告の公告日であり公開買付届出書の提出日であるわけです。
本日本日2016年12月26日(月)付けで、EDINETに公開買付開始公告が公告されており、
そして、公開買付届出書が提出されています。
金融商品取引法では、公開買付開始公告の公告日に公開買付届出書を提出しなければならない、と定められています。
つまり、公開買付に関しては、金融商品取引法上は「公告日=提出日」でなければなりませんが、
公告日や提出日と開始日は同じでなくてもよい(ただし、同じ日でもよい)、と定められています。
個人的には、「公告日=提出日」でなければならないのは正しいと思うのですが、
公告日や提出日は開始日よりも以前の日の方が望ましいように思います。
現実的なことを言えば、新聞や官報の公開買付開始公告を見て、「今日から開始です。今日から届出書を閲覧できます。」
と言われても、実生活上その日のうちに投資家が対応を取る(財務局に赴くなど)のは難しいわけです。
では何日前までに公告や提出を行うべきかと言いますと、理論上の答えはなく現実的なことを踏まえて決めるしかありませんが、
少なくとも開始日の前日までに公告と提出を行うべきでしょう(開始日当日だけはやはり避けるべきでしょう)。
次に、旧証券取引法と現行の金融商品取引法における「買付予定数」の設定方法の違いについてです。
このたびの公開買付の事例でも「買付予定数」が設定されていますが、昨日も書きましたように、
理論的には「買付予定数」の設定は不要です(全ての公開買付において「買付予定数」は「-」(ハイフン)を記載すればよい)。
なぜなら、公開買付者が意図する買付条件(買付株式数)は「買付予定数の下限」と「買付予定数の上限」の設定だけで
必要十分だからです(現行の金融商品取引法においては、「買付予定数」が全く意味を持たないのです)。
現行の金融商品取引法の条文上は、「買付予定数」も公開買付開始公告と公開買付届出書に必ず記載しなければならない、
と定められているようなのですが、現行の制度(設定方法)では「買付予定数」を設定・記載することは全くナンセンスなのです。
それから、2016年12月23日(金) のコメントのコメントで、「法令により統一できる部分はできる限り統一すべき」という趣旨で、
>公開買付者が、この公開買付代理人を選んだ方が自分の公開買付には有利だ、と考えて、「オピニオン・ショッピング」ならぬ、
>「エージェント・ショッピング」を行うようなことができないようにしなければならないのです。
と公開買付代理人の選任について書きました。
この点について一言追記をしますと、結局のところ、
公開買付代理人は金融商品取引法が指定すればよい(公開買付者は選択できない)、という考え方はどうだろうかと思いました。
私と利害関係はもちろんありませんが、例えば、
「公開買付代理人は野村證券株式会社とする。」、と金融商品取引法で規定するわけです。
痛くもない腹を探られるのはいやですのでさらに書きますと、例えば、
「公開買付代理人は大和証券株式会社とする。」、と金融商品取引法で規定するわけです。
もしくは、最近であれば全ての投資家はインターネットを活用していますので、例えば、
「公開買付代理人は楽天証券株式会社とする。」、と金融商品取引法で規定するわけです。
要するに、公開買付者が公開買付代理人を選択できるから公平性の問題が生じるわけです。
全国の投資家の利便性を考えた上で、公開買付代理人については金融商品取引法で規定するようにすれば、
この問題は解決するわけです。
官民の一種の癒着が生じてもいけませんので、例えば金融商品取引法が規定する公開買付代理人は1年単位で交代する、
というような対処も必要でしょう。
この問題は、実は上場企業における会計監査(監査法人)にもそのまま当てはまる問題点だと思います。
簡単に言えば、監査法人については、金融商品取引法や上場規則により、
「各上場企業が監査を受けるべき監査法人を指定する。」(上場企業は監査法人を選択できない)という方法が一番よいと思います。
言わば、「国が各上場企業が監査を受けるべき監査法人を指定する。」と言っているに等しいわけなのですが、
結局、国が監査法人を指定すれば、監査法人は上場企業から独立していると言えますし、
会計監査も機能する(「オピニオン・ショッピング」など絶対に生じない)と言えるわけです。
一見すると「国が民間企業を指定する。」というようなことは概念的には(官と民の関係性などを鑑みれば)どうだろうか
と感じるかもしれませんが、例えば次のような記事があります↓。
2016年9月22日(木)日本経済新聞
米国での人民元決済銀行指定
(記事)
中国の中央銀行(事実上国と言っていいでしょう)である中国人民銀行が、
米国での人民元決済銀行に中国銀行ニューヨーク法人を指定した、という記事です。
人民元の決済業務の重要性(国や企業や国民全てにとっての重要性)を鑑み、国が業務を行う民間企業を指定しているわけです。
文脈はやや異なるかもしれませんが、結局のところ、「国が指定する。」(当事者は選択できない。)ということが、
公平であること(癒着していないこと、当事者から独立していること)の裏付け(担保となる)となることがあるのです。
公開買付代理人や監査法人そしてそれぞれに対し当事者が支払う報酬額については国が指定する、これが公平ということなのです。
In any tender offer, a tender offerer shall make a public notice of
(and
write in the legal document submitted to the Prime Minister)
the "Number of
Shares Planned to be Purchased" only in theory.
理論上は、どのような公開買付においても、
公開買付者は「買付予定数」だけを公告(そして内閣総理大臣に提出する法定書類に記載)すべきなのです。
In theory, the Government doesn't have any rights to direct a private
company to do a specific business.
The Government can say "Don't do this,"
but it can't say "Do this."
理論上、政府には民間企業に対しある特定の事業を行うよう指図する権利はないのです。
政府は、「これはするな。」とは言えるのですが、「これをしろ。」とは言えないのです。
Being inconvenient does not mean being unfair.
Being arbitrary or
being able to choose can sometimes mean being unfair.
不便であることは不公平であることを意味しないのです。
任意であることが、すなわち、選択できるということが、時に不公平であることを意味し得るのです。
The fact that a company pays an audit fee to an audit firm does not
mean
that the audit firm is not independent of the company or an accounting
audit does not perform a function,
The fact that a company can choose an
audit firm and can negotiate an audit fee with the firm means
that the audit
firm is not independent of the company or an accounting audit does not perform a
function,
会社が監査報酬を監査法人に支払うことは、
監査法人は会社から独立していないということや会計監査は機能しないということを意味しないのです。
会社が監査法人を選択することができ監査法人と監査報酬について交渉をすることができるということが、
監査法人は会社から独立していないということや会計監査は機能しないということを意味するのです。