2018年10月21日(日)
最高裁 相続分無償譲渡は「贈与」 遺留分請求認める
父親の死亡時に、母親が自身の相続する持ち分(相続分)を特定の子に全て無償譲渡したため、母の死亡時に母の遺産を
受け取れなかった他の子が最低限度認められる相続の「遺留分」を請求した2件の訴訟の上告審判決が19日、
最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)であった。小法廷は「相続分の無償譲渡は贈与に当たる」との初判断を示し、
他の子が遺留分を請求できると認めた。裁判官4人全員一致の判断。
具体的な財産ではない相続分の譲渡が贈与に当たるか否かは、これまで地高裁で司法判断が分かれており、
今回が最高裁の統一判断となった。親の一方が死去した際、残る親が同居する長男などに相続分を全て譲渡するケースは
少なくないとみられ、今後の相続実務に影響を与えそうだ。
民法は、遺族の生活を保障するため配偶者と子など直系親族に遺留分を認めている。小法廷は今回、無償の相続分譲渡について
譲渡分の財産全体の価値がマイナスになる場合を除き「経済的利益を合意によって移転するもの」と定義した。
生前に特定の子に相続分を譲渡した親に財産がなくても、
他の子が相続財産に当たる贈与額を基に遺留分を特定の子に請求できることになる。
今回の2件はいずれも母から遺産を受け取れなかった子らが、長兄を提訴したケース。
相続分の譲渡が贈与に当たるか判断が割れていた。
母の相続分を譲り受けた子は裁判で「相続分譲渡は暫定的な持ち分の移転に過ぎず、財産は遺産分割後に父親から直接相続した。
母親からの贈与ではない」と反論していた。【伊藤直孝】
(毎日新聞 毎日新聞2018年10月19日 21時46分(最終更新 10月19日
22時38分))
ttps://mainichi.jp/articles/20181020/k00/00m/040/109000c
2018年10月18日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181018.html
「民事裁判というのは実はない(民事にあるのは『公正証書』だけである)。」という点と、
「刑事裁判とは、捜査権を行使して入手した証拠を基に検察官がある事柄が事実であることを証明する過程である。」
という点について考察を行った一昨日のコメント↓。
2018年10月19日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181019.html
「法理論的・元来的には当局は『人対人』の関係には関与しない
(『人対人』のトラブル(損害賠償の請求等も含む)は当事者が解決しなけれればならないことである)のだが、
最近では当局が『人対人』の関係に関与する(被害者を救済する支援を公的に行う)ということが一部の分野では行われている。」、
という点について考察を行った昨日のコメント↓。
2018年10月20日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181021.html
「現行の民法の規定のように、被相続人(夫)の相続人に配偶者(妻)だけではなく子も含まれている時点で、
配偶者(妻)への財産の相続には妻の余生を考慮した妻の老後の生活保障という意味合いはないということではないだろうか。」、
という点について考察を行った時のコメント↓。
2018年10月13日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181013.html
【コメント】
昨日は、「ある人とある人の関係が民事であり、人と当局との関係が刑事である。」という点について理解を深めて頂きたいと思い、
記事を紹介しながら民事と刑事の違いについて概念図を描き、説明を試みてみました。
今日は、昨日書きました概念図の「所得税法・法人税法版」と「相続税法版」と「金融商品取引法版」を描きたいと思いまして、
参考までに相続に関する記事を紹介しているところです(「概念図」はコメントの最後にありますので参考にして下さい)。
紹介している記事に関してですが、被相続人(夫)から子への財産の相続にはそもそも老後の生活保障の意味合いは全くないわけです。
さらに、現行の規定では、被相続人(夫)から配偶者(妻)への財産の相続にも老後の生活保障の意味合いはもはやないと私は思います。
ですので、現行の「遺留分」という考え方は、「遺言」とも相容れませんし、各家庭の生活実態にもそぐわないと私は思います。
それから、昨日は「民事的救済制度」(公正取引委員会)の紹介をしましたが、先ほど消費者庁のウェブサイト見れてみましたら、
以下のような「被害回復に関する制度」(公正取引委員会による「民事的救済制度」の消費者庁版)が制定されていました。
行政機関が法令違反者に対し罰を科するのみならず、人が被った損害等について民事上救済を図ることを支援する、
という動きが近年では日本でも広がっているなと思いました。
刑事や行政は「人対人」の関係には関与しません(法概念上、行政は「民事不介入」が原理原則です)が、現実的な関係性を鑑みて、
取引上弱い立場にある当事者を公の立場から(民事上・民事的に)救済することを支援する法制度の構築が広がっているようです。
また、刑事や行政が民事に介入した方が現実には法令違反を未然に防ぐことに資するのであれば、むしろ、
刑事や行政は民事に介入するべきだ、という考え方も現実な観点からはあると思います(目的はあくまで法令違反を未然に防ぐこと)。
消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(消費者庁)
ttp://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_system/act_on_special_measures/
消費者団体訴訟制度(消費者庁)
ttp://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/
昨日は、「ある人とある人の関係が民事であり、人と当局との関係が刑事である。」という点から次のように書きました。
>本来的には、当局による人への罰は法令違反の被害者を救済するためのものでは決してないのです。
これは、当局による法令違反者に科する罰金や課徴金は被害者の被害救済・損害賠償に充てられるものではない、という意味です。
刑事上・行政上は、あくまで法令違反を未然に防ぐための一手段として罰金や課徴金や免許等の取消や懲役があるだけなのです。
「民事(人対人)と刑事(人対当局)は関係性が根本的に異なる。」(「所得税法・法人税法版」と「相続税法版」と「金融商品取引法版」)
注:
税法は純粋に「人対当局」の関係にあるため、他の納税者は損害賠償等を請求する立場にない。
注:
相続税法には相続した財産に関する課税関係について規定があるだけであり、
「相続人間でどのように相続財産を分けたのか?」については国税庁は関与しない。
その点については、当事者に任されており(民法に一定の規定はあるが)、
実務上は地方裁判所が関与することが一般に想定されている。