2018年8月13日(月)
2018年2月1日(木)日本経済新聞
株主提案の新時代 日本ペイント、問われる統治
(記事)
2018年8月8日(水)日本経済新聞 大機小機
株主提案 乱用を規制すべきか
(記事)
「極論すれば、株式移転における共同持株会社では、完全子会社の業務執行者が業務を行う必要がある。」、
という点について指摘をした時のコメント↓
2018年7月3日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180703.html
株式移転の問題点に気付かされた時のコメント↓
2018年8月8日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180808.html
「設立時株主は会社の株式を会社設立後5年間は譲渡できない、という結論になる。」、
という点について指摘をした昨日のコメント↓
2018年8月11日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180811.html
株式移転について考察を行った昨日のコメント
2018年8月12日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180812.html
【コメント】
昨日も書きましたように、株式移転の問題点について、主に、2018年7月3日(火)、2018年8月8日(水)、2018年8月11日(土)、
2018年8月12日(日)にコメントを書いたわけですが、今日は関連する論点として、
記事を2本紹介して株主提案権について一言だけコメントを書きたいと思います。
以前も少し書きましたが、個人的には、大量保有の目安である「5%」を基準にして、
会社法上は総議決権の「5%」以上を保有している株主にのみ株主提案権を認める、という規定にするべきだと思います。
株主提案権を行使できる条件を例えば総議決権の「5%」以上を保有していることにすれば、実務上権利乱用は防止できるはずです。
紹介している2018年2月1日(木)付けの日本経済新聞の記事は、株主提案権をコーポレート・ガバナンス(企業統治)の向上に
活用していくべきだ、という趣旨(主に取締役の選任に株主提案権を活用するべきであるとの内容です)であるわけですが、
今日ふと思いましたのは、株主提案権を行使することで合併や株式交換や株式移転を提案する、ということについてです。
株主が株主提案権により提案できる内容というのは、簡単に言えば「会社法上の株主総会決議事項」だけであるわけですが、
株主が株主提案権を行使することで合併や株式交換や株式移転を提案するということは会社法上全く問題なくできるわけです。
ところが、ここで1つだけ問題があります。
それは、合併や株式交換や株式移転については、それら組織再編行為の当事会社の両方で承認の株主総会決議を取らねばならない、
という点です。
例えば株式会社甲と株式会社乙が合併を行うという場合、株式会社甲と株式会社乙の両方の株主総会において、
それぞれ合併の承認決議を取らなければならないわけです。
そうしますと、例えば株式会社甲の大株主丙が株式会社乙との合併を提案するという場合、
大株主丙は株主提案権を行使することで株式会社甲に対して合併を提案することは会社法上当然にできるわけですが、
大株主丙は株式会社乙に対しても株主提案権を行使できるのか(株式会社乙に対して合併を提案することはできるのか)、
という問題が生じるわけです。
大株主丙が株式会社乙の大株主でもある場合は話は簡単なのですが(大株主丙は株式会社乙に対し当然に株主提案権を行使できる)、
大株主丙が株式会社乙の株式を保有していない(もしくは極少数しか保有していない)場合は、話は簡単ではないのです。
株式会社甲の大株主である丙が株式会社乙の株式は保有していない場合について少し考えてみましょう。
会社と議決権との関係から考えますと、大株主丙は株式会社乙に対し株主提案権を行使できない、という結論になるのですが、
合併を行うという場合は、株式会社甲だけではなく当然に株式会社乙においても合併の承認決議を株主総会で取る必要がある関係上、
株式会社甲の株主が合併を提案するという場合は、株式会社乙に対しても提案がなされるもの、という考え方にならないだろうか、
とふと思ったわけです(合併に際しては、株式会社甲の株主総会と株式会社乙の株主総会とは直接にリンクしているからです)。
すなわち、大株主丙が株主提案権を行使することで株式会社甲に対して株式会社乙との合併を提案する場合には、
株式会社乙に対しても株式会社甲との合併が提案されることとなる、という考え方があるように思ったわけです。
会社と議決権との関係から考えますと、通常は大株主丙は株式会社甲に対してのみ株主提案権を行使できるわけですが、
合併に関する議案を提案する場合は、結果的に、大株主丙は提案内容の相手方である株式会社乙に対しても株主提案権を行使できる、
という考え方があるように思ったわけです。
一言で言えば、株主提案権というのは、ある株主が自分の提案を「他の株主」に諮ることができる権利であるわけです。
そうしますと、合併に関する議案の場合は、その「他の株主」に合併の相手方の株主も含まれてくるはずだ、と思ったわけです。
合併を行うか否かは株主が決めることであるわけですが、この場合、合併の相手方の株主にも是非を問うことが求められるはずです。
株式会社甲の株主から株式会社甲に対し株式会社乙との合併を行う旨の株主提案がなされた場合は、
株式会社乙もその株主提案に応じなければならない(株式会社乙でも株主総会を招集する義務がある)、という考え方になるわけです。
会社の株主が、合併や株式交換や株式移転といった他社との組織再編行為について会社に対して株主提案権を行使する場合は、
その株主提案権はその「他社」(組織再編行為の相手方)にも及ぶ、という考え方があるなと思いました。
その理由は、提案内容の影響を受ける全ての株主(すなわち、相手方の株主をも含む)に提案の是非を問う必要があるからです。
株式会社甲の株主が株式会社乙の企業価値の向上を提案しているのを株式会社乙の経営陣が拒絶するのは、企業価値の毀損なのです。