2018年8月11日(土)



2018年8月10日(金)日本経済新聞
昭和シェル、今期大幅増配 出光との統合交渉にらみ 純利益は1000億円に上方修正
(記事)



 

株式移転の問題点に気付かされた時のコメント↓

2018年8月8日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180808.html

 

 

「極論すれば、株式移転における共同持株会社では、完全子会社の業務執行者が業務を行う必要がある。
なぜならば、株式移転における共同持株会社は完全子会社株式が元手(また、会社成立の拠り所でもある)だからである。」、
という点について指摘をした時のコメント↓

2018年7月3日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180703.html

 

 


【コメント】
株式移転の問題点に気付かされた2018年8月8日(水)のコメントに一言だけ追記をします。
事の要点は2018年8月8日(水)のコメントで書き尽くしているように思いますが、株式移転の問題点について改めて考えてみますと、
問題点を一言で言いますと、やはり「株式が株主から切り離されることにある。」だと思います。
株式が株主から切り離されるは合併や株式交換でも同じではないかと思われるかもしれませんが、それは違います。
合併の場合は、消滅会社株主は存続会社株式という「消滅会社株式と同じ株式」と見なせる株式を割り当て交付されるわけですが、
その結果、「消滅会社株式と同じ株式」を受け取ることで出資が消滅会社から存続会社へと承継される、と考えるわけです。
つまり、合併の場合は、株式は株主から切り離されてはいないわけです。
同様に、株式交換の場合は、完全子会社株主は完全親会社株式という「完全子会社株式と同じ株式」と見なせる株式を
割り当て交付されるわけですが、その結果、
「完全子会社株式と同じ株式」を受け取ることで出資が完全子会社から完全親会社へと承継される、と考えるわけです。
つまり、株式交換の場合は、株式は株主から切り離されてはいないわけです。
しかるに、株式移転の場合は、資産内容や財務体質や純資産の部(内部留保等々)という点において、
完全親会社株式は「完全子会社株式と同じ株式」とはとても見なせないわけです。
なぜならば、完全親会社は、まだ存在しませんし、また、完全子会社株式を根拠・元手に設立される会社に過ぎないからです。
議論の焦点を絞るために単独株式移転を題材にして考えてみますと、
株式移転前は完全子会社の所有資産は概念的には完全子会社の既存株主に帰属していたのに対し、
株式移転後は完全子会社の所有資産は概念的には完全親会社に帰属することになるわけです。
株式移転後は、完全子会社の所有資産は完全子会社の旧株主には一切帰属しなくなるわけです。
株式移転後は、完全子会社の旧株主に帰属するのは完全親会社の所有資産だけなのです。
株式交換の場合は、完全子会社株主が株式交換を承認するとは、
「完全親会社株式は完全子会社株式と同じ株式である。」と完全子会社株主が判断をする、という意味なのですが、
株式移転の場合は、完全子会社株主が株式移転を承認するとは、
「完全親会社株式は完全子会社株式と同じ株式である。」と完全子会社株主が判断をする、という意味にはならないと言いますか、
これから設立する完全親会社に関して「完全親会社株式は完全子会社株式と同じ株式である。」と判断すること自体が
論理的にあり得ないと感じるわけです。
人は、これから設立する会社の株式の本源的価値を算定することなどできるでしょうか。
投資家が会社の株式の本源的価値を算定するためには、会社の少なくとも過去5年分の計算書類が必要だ、と思うくらいです。
このことは逆から言えば、投資家保護(証券制度)の観点から言えば、
設立時株主は会社の株式を設立後5年間は譲渡できない(会社設立後少なくとも5年間が経過していなければ株式を上場できない等)、
という結論が導き出せるわけです(私的な契約ではなく、制度上のロックアップ(譲渡不可能)が必然的・自動的に生じるわけです)。
理論的には、一般に、設立時の会社の株式の本源的価値は算定できない、と考えるわけです。
2018年7月3日(火)のコメントでも考察を行いましたように、大きな視点から見ると、
完全子会社の所有資産は完全子会社の旧株主であった完全親会社株主に概念的には帰属しているように思えますが、
2018年8月8日(水)のコメントで紹介しましたウィキペディアの九州親和ホールディングスの記事(傘下の親和銀行株式の譲渡の事例)
を見ても分かりますように、株主の立場から見ますと、出資先企業が従来自分が所有していた株式を他者へ譲渡をする、
という極めて意味不明なことが株式移転では現に起こり得るわけです。
端的に言えば、株式移転において、完全子会社の業務執行者の委任者は一体誰になるのか不明である、と私は思います。
簡単に言えば、株式移転においては、完全子会社の委託者と受託者とが切り離されてしまうわけです。
一言で言えば、株式移転において、株主は出資の承継を表象するものを受け取っていない、と感じるわけです。
「株式が株主から切り離される」=「株主から見て、委託資産と受託者が会社から切り離される」、という状態だと私は思います。