2018年7月23日(月)



今日は、一昨日と昨日のコメントの続きを書きたいと思います。


2018年7月21日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180721.html

2018年7月22日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180722.html


2018年7月21日(土)のコメントで、清涼飲料の特需に関する記事を紹介しました。
関連するコメントが2018年7月4日(水)のコメントになります。


2018年7月4日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180704.html


理論上は「会社の株式の本源的価値は1社単独で算定可能である。」わけですが、
現実には規制の緩和などの影響で「特需」と呼ばれる「僥倖」が訪れることがあるわけです。
「僥倖」とは、「予想もしなかったような幸運」という意味ですが、ただの幸運ではなく「予想できない幸運」であるわけです。
株式の本源的価値を算定するに際して、株式の価値に「特需」を織り込むことは現実には不可能であるわけです。
そして、「特需」という「僥倖」の結果、会社の業績が拡大したのなら拡大したで、
「特需」という「僥倖」の影響度(業績の増加額)はいくらであったのかをできる限り正確に分析しなければ、
今後「特需」という「僥倖」がなくなった場合の株式の本源的価値を算定することができない、ということになります。
例えば、今年は猛烈に暑い日が続いていますが、来年は今年ほどは暑くはないと予想して株式の本源的価値を算定するに際しては、
「猛烈な暑さ」という「特需」(「僥倖」)による業績の増加額(売上高の増加金額等)を分析し把握できなければ、
来年以降の業績を予想することはできないわけであり、結果、株式の本源的価値を算定することもできないのです。
理論上は、「特需」(「僥倖」)による業績の増加額を投資家が分析し把握できるようにするための情報開示が
発行者に求められる、ということになります。

 


結局のところ、ある会社の業績を正確に分析するためには、その要因について深く考察を行わなければならないわけです。
業績の要因まで分析して初めて業績を分析できるのです。
この時、業績が増減した要因が複数ありますと正確な分析ができません。
「この要因があって業績はこうなり、また、別のこの要因があって業績はこうなった。」という因果関係が明確でなければ、
業績は分析できませんので、理論上は業績の変動要因が1つしかない状態で業績の開示を行っていく必要があります。
すなわち、理論上は、発行者による業績の開示は短い間隔であれば短い間隔であるほどよい、という結論になります。
なぜならば、業績に複数の要因が混じらないからです。
この点について、2018年7月21日(土)のコメントでは
"Each factor requires each analysis." (分析は要因毎にしなければなりません。)と書いたわけです。
関連する論点を2018年7月19日(木)に書きました。


2018年7月19日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180719.html


「複数の要因に基づく1つの業績」を開示されても、投資家は真の意味で業績を分析することはできないのです。
「1つの要因に基づく1つの業績」を開示するべく、発行者はできる限り短い間隔で業績を開示するべきなのです。
すなわち、通期(12ヶ月)の決算よりも四半期毎の決算の方が情報開示制度としては優れているのです。
例えば、季節要因による業績の変動が非常に大きいビール醸造会社は、
開示する業績に複数の季節が混在していますと投資家は業績の分析ができなくなりますので、
「1つの要因に基づく1つの業績」を開示するべく、「季節毎」の業績の開示が求められるわけです。
より具体的には、証券制度上「ビール醸造会社」(に分類される会社)は全て「2月期決算」とすることを制度上義務付け、
「3・4・5月」(春)「6・7・8月」(夏)、「9・10・11月」(秋)、「12・1・2月」(冬)、の計4回業績を開示することを
証券制度として義務付ける、ということが求められるわけです。
もっと話を一般化して言えば、季節要因による業績の変動が大きい業種業界は全て「2月期決算」とすることを制度上義務付け、
上記のような四半期決算制度に基づく業績の開示を義務付ける、ということが求められると思います。
さらに言えば、どのような業種業界であっても、大なり小なり季節要因により業績は変動するわけですから、
全ての上場企業は「2月期決算」とすることを証券制度上義務付け、
上記のような四半期決算制度に基づく業績の開示を義務付ける、ということが求められると思います。
簡単に言えば、開示される業績が季節をまたいでしまいますと、投資家は要因(季節)毎の業績の分析ができなくなるわけです。
理論上は、発行者は要因(季節)毎の業績を開示するようにしなければならないのです。
また、法人税法との関連についてですが、2018年7月19日(木)のコメントの最後にも書いたことですが、会社法上は3月期決算の場合
「3・4・5月」の法人税額を算定するに際しては、3月の法人税額と4〜5月の法人税額を合算して当該四半期の法人税額として
開示をすることになりますが、算定したその「3・4・5月」の法人税額は、法人税法の観点から言えば、
「納付」という意味では法律上は確定していない(そのような計算期間の税金額やそのような納付は法律上はない)だけであり、
「所得の金額」という意味では法人税法の計算規定に則った金額だ、と言えるわけです(金額・数字自体はやはり正しいのです)。
四半期財務諸表に記載される法人税額は、「納付」という意味では法人税法上は確定していない金額・数字ではありますが、
情報開示という点から言えば十分に正確な金額・数字であり、投資家による投資判断に十分に堪え得るに正確な金額・数字なのです。
なぜならば、発行者の当該四半期間の法人税の負担金額という点では、四半期財務諸表に記載される法人税額で正しいからです。
証券投資(情報開示・投資判断)という場面では、必要以上に法人税法上の厳密性(納付手続き)を求めるのは間違いなのです。