2018年7月22日(日)
2018年7月21日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180721.html
昨日は、理論上は「会社の株式の本源的価値は1社単独で算定可能である。」なのだが、
実際には業界に関連する規制の緩和や強化といったマクロ環境の変化や同業他社の動向が会社の株式の本源的価値に影響を与える、
というところから議論を始め、インサイダー取引や「フェア・ディスクロージャー・ルール」を題材や理解のヒントにして、
「投資家間の投資能力の相違」(投資家毎に投資能力は異なるのだがそれ自体はフェアのはずだ)について考察を行いました。
投資家毎に知識や実務経験(経験業界等)や人脈等に大きな差があるわけですが、投資家間のその能力差自体はフェアなのです。
したがって、市場の他の投資家は入手できない発行者に関連する情報を入手できるということもその人物の1つの投資能力であり、
その人物は、市場の他の投資家は入手できない発行者に関連する情報を基に、発行者の株式の本源的価値をより正確に算定したり、
市場の他の投資家よりも有利な条件で株式の取引を進めていくこともまたフェアな取引なのだ、という結論に辿り着きました。
発行者に関連する特定の業務に従事していたからこそ入手できた「役得」("perquisite")を利用して株式の取引を行うことは、
一般に考えられていることとは正反対に、理論的にはフェアであるという結論になるわけなのですが、
投資家が自分の「投資能力」を高める努力をすることは当然フェアである(さすがにこの点に異論はないと思いますが)わけですが、
自分の「投資能力」を高める一環・一手段として、ある業界に関する知識や理解を深めるために投資家がその業界に就業をする、
ということもまた証券投資上フェアなことであるわけですが、この点に関して昨日は次のように理論上の結論を書いたわけです。
>結局のところ、「その職務に従事していたからこそ入手できた情報」も含めてその人物の投資能力である、と考える他ないのです。
>理論上の答えは、(公開買付等も含めて)「株式市場にインサイダー取引と呼ばれる不公正な取引は存在しない。」なのです。
>その投資家は、有能だったからこそその役職に就きその職務に従事することができたのです。
昨日書きました理論上の結論「株式市場にインサイダー取引と呼ばれる不公正な取引は一切存在しない。」に関してですが、
今日になって、「そう言えばこの結論についても以前聞いたことがある気がするぞ。」と思い出しました。
昨日も少し言及したことですが、1988年の証券取引法改正以前はインサイダー取引を禁じる明文の規定はなかったわけですが、
正確には覚えていませんが、その理由として、インサイダーなどと言い出すと実際にはキリがないからだという理由や、
未公表の重要事実を事前に入手できるのも投資家としての投資能力の1つ(分析能力と同じ類の投資家固有の能力)だからだ
といった理由を以前に聞いたことを思い出しました。
私が昨日書きましたインサイダー取引(「投資能力の差異」)に関する考察は正しかったようだと今日になって自分で思いました。
2018年7月20日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180720.html
2018年7月20日(金)のコメントでは、
理論上は「日本に株式市場は1つだけでなければならない。」という考え方に行き着くわけであるが、
仮にステータスということを目的として株式市場を複数設けるのであれば、
事前に「上場市場の振り分け基準」を定め、上場市場はその「上場市場の振り分け基準」によって一意に・自動的に決める、
という方法が望ましいのではないか、と書きました。
2018年7月20日(金)のコメントでは、上場市場と発行者のステータスとが一致させるために、次のように書きました。
>発行者の上場市場は「上場市場の振り分け基準」によって証券取引所が指定する(発行者は市場を選択できない)
上記の「上場市場の振り分け」についですが、実はこの点についても以前話を聞いたことがあることを、
コメントを書き終わった後に思い出しました。
その趣旨は2018年7月20日(金)に私が書きましたコメントと同じであったかと思います。
以前は東京証券取引所には第一部市場と第二部市場とがあったわけですが、
発行者は東京証券取引所に対し株式の上場を申請するだけであり、株式の上場が承認された後の実際の上場市場が
第一部市場になるのか第二部市場になるのかは東京証券取引所が一定の基準に従い指定していただけだった、とのことでした。
発行者自身が第一部市場への上場を申請したり第二部市場への上場を申請したりということは以前はできなかったわけです。
2018年7月20日(金)のコメント自体は私は理詰めで推論して書いたわけですが、
上場市場が第一部か第二部かについて東京証券取引所が一定の基準に従い指定していた(発行者は上場市場を選択できなかった)、
という話を以前に実際に聞いたことを思い出しましたので、補足をしました。
私が2018年7月20日(金)に書きました「上場市場の振り分け」に関する考察は正しかったようだと執筆後に自分で思いました。
>株式交換比率の合意を最大限遅らせる(株式交換比率の決定・公表は最後の最後)、ということが実務上求められると思います。
>なぜなら、先に株式交換比率を決めてしまうと、市場における両社それぞれの株式の取引がその比率に束縛されてしまうからです。
>株式の本源的価値に基づいた株式の取引ではなく、株式交換比率に基づいた株式の取引が行われるようになってしまうからです。
2018年7月20日(金)のコメントでは、株式市場では株式の本源的価値に基づいた株式の取引が行われるようにするために、
株式交換比率の決定・公表は最後の最後まで可能な限り遅らせるべきだ、という趣旨のことを書いたわけですが、
昨日紹介しました2つ目の新聞記事(英スカイの買収・争奪戦)を比較の題材として参考にしてもらいたいのですが、
「買収者が公開買付を行う場合は、株式交換における株式交換比率とは正反対に、可能な限り早期に決定・公表をするべきだ。」、
という結論になるのではないかと思いました。
以下、議論の焦点を絞るために、経営統合計画の撤回はないものとし、比率や価格の変更はないとします。
また、株式交換は文字通り株式同士の交換(対価は株式)であり、公開買付は対価は全て現金だとします。
株式交換における株式交換比率の場合は、完全子会社への出資が完全親会社への出資に承継される関係上、
株式交換比率が先に決定・公表されてしまいますと、株式市場における完全子会社株式の取引も完全親会社株式の取引も、
株式交換比率に基づいた株式の取引が行われるようになってしまうわけです。
理論的には、完全子会社の株価と完全親会社の株価が株式交換比率に固定される(少なくとも影響を受ける)形になるわけです。
一方、公開買付の場合は、確かに対象会社の株価は買付価格に固定されてしまう(少なくとも影響を受ける)わけですが、
投資家にとっては完全子会社への出資は公開買付により終了するわけですから、
完全子会社の株主が考慮しなければならないのは、
「提示されている買付価格は完全子会社の株式の本源的価値よりも高いか否か?」だけであるわけです。
逆から言えば、株式交換の場合は、株式交換比率が先に決定・公表されてしまいますと、
完全子会社の株主は完全親会社の株式や株価のことを考慮しなければならない、ということになってしまうわけです。
「提示されている株式交換比率は完全子会社の株式の本源的価値よりも高いか否か?」、という問いがそこにはないわけです。
上手く説明し切れませんが、公開買付への応募は対象会社の株式の本源的価値のみに基づき判断をすればよいだけなのです。
それに比べ、株式交換の場合は、所有株式が完全親会社株式へと承継されてしまうため、
完全子会社の株価と完全親会社の株価の両方を勘案しながら株式の取引を行わざるを得ない、という状態になってしまうわけです。
公開買付が今後実施される場合は、対象会社の株主は対象会社の株価は相対的には気にならないわけです。
対象会社の株主が気になるのは、対象会社の株式の本源的価値(と比較の対象である買付価格)のみなのです。
すなわち、理論上は買付価格の公表は株式の取引に影響を与えないわけです。
一方、株式交換が今後実施されるという場合は、完全子会社の株主は完全親会社の株式の本源的価値を算定しなければならないわけです。
簡単に言えば、「株式交換の場合は『対価(の金額)』が変わる。」わけです。
簡単に言えば、両会社の株式の取引が決定・公表された株式交換比率に影響を受ける形になってしまうわけです。
ですので、両会社の株式の取引自体は投資家による全くの自由意思で行われるよう配慮をするべき(取引の効率性の問題)であり、
株式交換比率はただ単に直近の市場株価のみで決定するようにするべきなのです。
逆から言えば、株式交換比率が決定・公表された後は、両会社の株式の取引は禁止する(株価が変動しないようにする)べきなのです。
「株式市場では、株式の本源的価値のみに基づいて株式の取引が行われるべきである。」という一点から考えると、
私が何を言いたいか分かると思います(完全親会社の株価水準を勘案しながら完全子会社株式の取引を行うのは間違いなのです)。
したがって、「臨時株主総会の招集通知の送付日=株式交換比率の決定・公表日」以降は、両会社の株式の取引を一時的に停止する、
という一種のサーキット・ブレーカーが証券制度上求められるのです(株式の本源的価値に基づく取引が本質的に重要なのです)。
株式交換比率が決定・公表された後の取引は、株式の本源的価値に基づいた取引ではないのです。