2018年7月21日(土)



まず最初に記事を計4本紹介し、以前のコメントに少しずつ追記をしたいと思います。

 


2018年7月21日(土)日本経済新聞
広告代理店株 世界で軒並み安 仏大手の業績低迷で警戒感 電通は一時8%下落
(記事)



2018年7月21日(土)日本経済新聞
コムキャスト、フォックス買収断念 スカイ、次の争奪戦
貿易戦争で「鉄鋼特需」 東京製鉄 品不足感、輸出25%増
日産ゴーン会長 保護貿易「勝者なし」 関税恒久化なら現地生産
(記事)



2018年7月21日(土)日本経済新聞
出光・昭シェル統合に道筋 消えゆくスポット市場
(記事)



2018年7月20日(木)日本経済新聞
飲料4社 健康特需に沸く 今期、国内利益率が最高 コスト削減、猛暑追い風
(記事)

 



紹介している1つ目の記事は、2018年7月4日(水)のコメントと関連があります。

2018年7月4日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180704.html

2018年7月4日(水)のコメントの趣旨を一言で言えば、
「理論上は、株式の本源的価値に他社との関連性はない。会社の株式の本源的価値は1社単独で算定可能である。」、となります。
有名な非上場企業を例に出すと分かりやすいのではないかと思い、この時は理論上の結論として次のようなことを書きました。

「鹿島建設株式会社株式の本源的価値を算定するのに株式会社竹中工務店の開示情報は一切必要ない。」

鹿島建設株式会社も株式会社竹中工務店も同じ建設業界に属している企業であるわけですが、
鹿島建設株式会社は上場企業である一方、株式会社竹中工務店は非上場企業であるわけです。
一見すると、株式会社竹中工務店も他の上場企業と同じ質・量・内容の情報開示を行わなければ、
建設業界における株式会社竹中工務店の影響力が市場の投資家には分かりませんので、
株式会社竹中工務店が情報開示を行って初めて鹿島建設株式会社株式の本源的価値を市場の投資家は算定できる、
と思ってしまいますが、理論上の考え方はあくまでも、「会社の株式の本源的価値は1社単独で算定可能である。」なのです。
ただ、現実には、非常に様々な要素要因そして環境変化が会社の株式の本源的価値に影響を与えます。
それらを端的に示しているのが紹介している1つ目の記事や2つ目の記事です。
1つ目の記事の冒頭を引用したいと思います。

>19日から20日にかけ、世界の株式市場で広告代理店大手の株価が軒並み安となった。
>19日にフランスの大手ピュブリシスグループが発表した2018年4〜6月期の経営成績が振るわず、
>欧州を中心に広告市場悪化への警戒感が広がった。
>20日の世界市場では、欧州の売上高比率が高い電通の株価が一時8%下げた。

広告代理店の株価が世界中で軒並み下落した理由は、今年5月に欧州で「一般データ保護規則(GDPR)」が施行されたことである、
と記事には書かれてあります。
広告代理店が従来活用していた広告業のためのデータが今後は活用できなくなるとなりますと、広告の効果が低下しますので、
広告主が広告を出すのを控えるようになり、広告代理店の業績が長期的に低迷することが予想されます。
理論上は「会社の株式の本源的価値は1社単独で算定可能である。」なのですが、
実際には、業界に関連する規制の緩和や強化といったマクロ環境の変化や同業他社の動向が、
会社の株式の本源的価値に影響を与えるわけです。
マクロ環境の変化をどのように会社の株式の本源的価値の算定に織り込むのかは、
投資家の腕の見せ所(現実にはそれもまた投資家の役割・本分です)なのだと思います。

 



それから、マクロ環境の変化とは別に同業他社の動向に関してなのですが、先ほど
「鹿島建設株式会社株式の本源的価値を算定するのに株式会社竹中工務店の開示情報は一切必要ない。」と書きました。
マクロ環境の変化が会社の株式の本源的価値に影響を与えるのならば、
同業他社の動向も当然会社の株式の本源的価値に影響を与えるわけですが、
理論上はやはり「鹿島建設株式会社株式の本源的価値を算定するのに株式会社竹中工務店の開示情報は一切必要ない。」のです。
なぜならば、株式会社竹中工務店の財務情報が開示されていないのは市場の投資家にとっては皆同じことだからです。
会社の株式の本源的価値の算定の根拠は、市場の投資家で同じ(投資家は共通の判断根拠を元に算定や投資判断を行うだけ)です。
ただ、細かいことを言いますと、株式会社竹中工務店の役員や従業員や取引先が鹿島建設株式会社株式の取引を行うことは、
間接的なインサイダー取引だ(少なくとも「フェア・ディスクロージャー・ルール」に反する)、
という言い方はできると思います。
なぜならば、株式会社竹中工務店の役員や従業員や取引先は、市場の他の投資家が知らない株式会社竹中工務店の情報をも
投資判断の根拠にできるからです。
鹿島建設株式会社の役員や従業員や取引先が鹿島建設株式会社株式の取引を行うことは明らかなインサイダー取引ですが、
株式会社竹中工務店の役員や従業員や取引先が鹿島建設株式会社株式の取引を行うことも概念的にはインサイダー取引の一種だ、
という言い方ができるわけです(少なくとも「フェア・ディスクロージャー・ルール」に反するわけです)。
建設業界の会社に勤務をしていたりインサイダーという形で株式会社竹中工務店の情報を知っていたりしますと、
当然のことながら、市場の他の投資家に比べて鹿島建設株式会社株式の本源的価値をより正確に算定できるわけです。
このような状態はフェアではない(投資判断の根拠が共通ではない)という言い方はできると言えばできるわけです。
また、先ほどの広告業界の事例のように、例えば建設業界に新しい規制が施行されることになったという場合、
建設業界の会社に勤務をしているかそうでないかで、その新規制の影響度(各建設業者の業績の低下度)の把握力・理解力に
大きな違いが生じるわけです(建設業に従事していないと規制の意味や影響度が分からないということが現にある)が、
非常に大きな視点から見れば、その新規制に関して「建設業に従事している者」は概念的にはインサイダーであるわけです。
「建設業に従事している者」は建設会社の株式の取引は控えるべきだ(そうでないと投資判断が投資家間でフェアではなくなる)、
という考え方になるわけです。
「一般データ保護規則(GDPR)」が施行されると聞きますと、広告業界に勤務している人は「それは大変だ。」と分かるわけですが、
広告業界に勤務していない人は「何それ?」から話が始まるわけです(施行される新規則の意味・影響が全くわからない)。
「広告業界に勤務している者」が広告代理店の株式の取引を行うことはインサイダー取引に該当する、
という言い方はできると言えばできるわけです。
結局のところ、「誰がインサイダーに該当するのか?」は「線引き」の問題に過ぎない、という言い方ができると思います。
日本では、インサイダー取引を禁じる明文の規定は1988年の証券取引法改正で初めて設けられましたが、
当時はインサイダー取引による利益は一種の役得として見逃されていた、という見解が多いようです。
「役得」は英語で「perquisite」ですが、職務に付随する特典という意味になるわけですが、
「その職務に従事していたからこそ入手できた情報」を利用して株式の取引で利益を得ることは果たして不公正な取引なのか否か、
という問いに絶対的な答えはないわけです。
ある職務に従事しており、将来行われる公開買付の事実や買付価格を一般に公表される前に知ることができたとします。
その時、その「役得」(未公表の重要な事実)を利用して株式の取引で利益を得ることは本当に不公正・不平等なのでしょうか。
それを言うならば、投資家毎に知識や実務経験(経験業界等)や人脈等に大きな差があることはどう正当化されるというのでしょうか。
証券制度まで護送船団方式でやる(投資家間の能力差を認めない)というのなら、株式市場から有能な投資家は1人もいなくなるでしょう。
結局のところ、「その職務に従事していたからこそ入手できた情報」も含めてその人物の投資能力である、と考える他ないのです。
理論上の答えは、(公開買付等も含めて)「株式市場にインサイダー取引と呼ばれる不公正な取引は存在しない。」なのです。
その投資家は、有能だったからこそその役職に就きその職務に従事することができたのです。

 

 



Each factor requires each analysis.

分析は要因毎にしなければなりません。

 


What affects the intrinsic value of a share?

何が株式の本源的価値に影響を与えるのか?

 


In reality, financial results of rival companies affect the intrinsic value of a share of a company.

現実には、ライバル企業の業績は会社の株式の本源的価値に影響を与えます。

 


It's not that an insider began to trade his shares.
It is that an investor won that position and engaged in that business.

インサイダーが株式の取引を始めたのではない。
投資家がその役職に就きその職務に従事したのだ。

 


Is it really unfair
that an investor starts bookkeeping school and learns accounting and gets able to do a financial analysis?

投資家が簿記学校に通い始め会計学を学び財務分析ができるようになることは、本当に不公正なのでしょうか。