2018年4月23日(月)
2018年3月19日(月)
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2016年3月27日(日)
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2016年7月13日(水)
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>今日は、「米国預託証券」(American Depositary
Receipt)(の証券制度上の位置付け)を理解のヒントにして、
>「日本預託証券」(Japanese Depositary
Receipt)と「中国預託証券」(Chinese Depositary Receipt)について
>考察を行いたいと思います。
まず最初に、預託証券の議論の前に、「外国株式の自国証券取引所への上場」について整理をしたいと思います。
「外国株式の自国証券取引所への上場」(自国内における取り扱い)については、規制方法は次の2つしかないように思います。
@市場法(取引所法)による規制 → 外国の発行者に自国の証券取引法を直接に適用する。
A業法による規制
→ 自国の金融商品取引業者に自国の証券取引法をより厳しく適用する。
「@市場法(取引所法)による規制」は、「発行者」を規制する方法です。
「A業法による規制」は、「金融商品取引業者」を規制する方法です。
「@市場法(取引所法)による規制」では、
外国の発行者を自国の発行者と擬制することで外国の発行者に自国の証券取引法を直接に適用するのですが、
現在そのような規制方法を実効力を持った上で採用できるのは米国だけであり、
外国の発行者を自国の発行者と擬制するための手段が「SEC登録」です。
米国では、外国の発行者には「SEC登録」を行ってもらった上で、
原株式と同じ権利内容を持った「預託証券」を米国内で発行し、その「預託証券」に米国証券取引法を直接に適用した上で、
米国内におけるその「預託証券」の流通を認めている、という規制方法になっているわけです。
「A業法による規制」では、国内の有価証券の取引以上に投資家に対する注意喚起を強化する、という規制方法です。
自国の金融商品取引業者に対し、投資家へ十分な説明を施す大きな義務を課することで、投資家保護を図っているわけです。
「A業法による規制」では、証券当局は、外国株式を自国内においても外国株式として取り扱っています。
「投資家の皆さんは外国の有価証券であることを十分に認識した上で当該有価証券の購入を行うようにしてください。」、
といった具合に、窓口における「投資家への注意喚起」以上の投資家保護は図らない、というのが「A業法による規制」です。
「A業法による規制」では、外国株式を自国内においても外国株式として取り扱うことから、
元来的には「預託証券」という概念は証券市場に出てこないはずなのです。
外国株式を自国内においては自国の有価証券として取り扱うからこそ、「預託証券」という概念が出てくるはずなのです。
その意味において、自国内において「預託証券」の流通を証券当局が認めるという場合は、
その「預託証券」の裏付けである原株式の発行者に自国の証券取引法を適用できる法的仕組みがなければならないわけなのです。
少なくとも、実効性確保の観点から言えば、すなわち、法執行(エンフォースメント)という観点から言えば、そうなのです。
「預託証券」の裏付けである原株式の発行者に自国の証券取引法を適用できる法的仕組みがない場合は、
自国内における「預託証券」の流通を証券当局は認めてはならないのです。
したがって、「預託証券」の裏付けである原株式の発行者に自国の証券取引法を適用できる法的仕組みがない場合は、
外国株式の自国内における取り扱いに関しては、「A業法による規制」の方法によるしかないわけです。
ただ、今日は、預託証券の発行や流通を所与のことして、投資家保護のための制度設計について考えてみたいのですが、
先ほども書きましたように預託証券の発行や流通を所与のことしますと、
「A業法による規制」ではなく「@市場法(取引所法)による規制」を行っていくことになるわけです。
では、どのような方法を用いれば、日本や中国で「@市場法(取引所法)による規制」を行えるようになるのかと考えてみますと、
結局のところは、「SEC登録」の応用版、ということになります。
と言っても、日本でもただ単に表面上「金融庁登録」を行えばそれでよい、というわけではありません。
実効性確保の観点から言えば、すなわち、法執行(エンフォースメント)という観点から言えば、
各国政府の合意と条約に基づき、国際的な登録機関を新たに創設し(仮に、この国際機関を「国際証券連合」と呼びましょう)、
「国際証券連合」に登録をすれば、登録企業は加盟国の証券取引所に預託証券を上場させることができる、
という国際的な証券制度を構築する必要があると思います。
加盟国の証券当局は、外国の発行者である登録企業に対し、自国の証券取引法を適用できる、という制度を作り上げるわけです。
簡単に言えば、「SEC登録」の国際版や相互承認版だと思えばよいと思います。
観念的には、現在でも日本の証券当局が日本の金融商品取引法を外国の発行者に適用する様はイメージはできるのですが、
国際的な法執行(エンフォースメント)という観点から言えば、現実にはそのようなことはできないわけです。
そこで、国際的な法執行(エンフォースメント)の仕組みを新たに構築するわけです。
ルパン三世の銭形警部ではありませんが、インターポールの証券規制版を創設すると思えばよいと思います。
「国際証券規制機構」(英:
International Securities Regulation
Organization(略称:ISRO)、という名称はどうでしょうか。
相手方の国における預託証券の発行・流通のため、国境を越えた国際的な証券取引法の適用を相互に認めるようにするわけです。
有事の際には、外国の発行者に対し日本の金融商品取引法に基づく課徴金を徴収する(そして日本にその課徴金を送金する)よう、
日本の金融庁は現地の証券当局に協力を要請できる、という国際的な証券制度が求められるわけです。
金融商品取引法には刑事罰の規定もありますので、それこそインターポールに似た国際的な仕組みが求められると思います。
「世界の警察官」である米国以外の国で外国株式の「預託証券」の発行・流通を証券規制上認めるためには、
世界各国が協力して以上のような国際的な証券制度を構築する必要があると思います。