2017年7月19日(水)



2017年7月19日(水)日本経済新聞
出光、昭シェル統合へ一歩 地裁、増資認める判断 創業家と直接協議探る
司法「支配権目的は不当」
(記事)



 

即時抗告を行った日の次の日↓。

 

出光の公募増資、高裁も認める 創業家の抗告を棄却

 出光興産が発表した公募増資計画を巡り、同社の創業家が新株発行の差し止めを求めた仮処分申し立てで、
東京高裁(川神裕裁判長)は19日、「新株発行は著しく不公正な方法により行われたとはいえない」とし、
創業家側の即時抗告を棄却した。
 新株購入の払込期日は20日。
出光側の主張を認めた18日の東京地裁に続き、高裁が公募増資を認める判断を維持するかが注目されていた。
 決定理由で川神裁判長は、公募増資による新株発行では「出光側に反対する株主らの支配権を弱める確実性は低い」と指摘。
新株発行後、ただちに昭和シェル石油との合併承認議案を目的とした臨時株主総会を開く可能性が低いことも挙げた。
 出光は公募増資により発行済み株式数の約3割にあたる4800万株の新株を発行し、約1200億円を調達すると発表していた。
公募増資の実施後は、創業家の持ち株比率は現在の33.92%から約26%まで下がる見通しで、
昭シェルとの合併決議を単独で否決できる比率を下回る。
 会社法は、企業が「著しく不公正な方法」で株を発行した場合、株主が差し止めを請求できると定めている。
(日本経済新聞 2017/7/19 16:51)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19H5B_Z10C17A7000000/

 


出光興産、東京高裁から即時抗告の棄却決定を受けたと発表

 出光興産(5019)は19日、同社が発表した公募増資計画の差し止め請求を巡って
出光創業家が東京高裁に即時抗告したことについて、
東京高裁で即時抗告の棄却が決まったと発表した。出光興産は予定通り公募増資を実施する構えだ。
 出光創業家の代理人は「出光興産経営陣に対して強く抗議し、今後も昭和シェル石油(5002)との経営統合に
断固として反対し続ける」とコメントしている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
(日本経済新聞 2017/7/19 18:02)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASFL19HWD_Z10C17A7000000/

 

 

出光創業家代理人、東京高裁の即時抗告棄却「対応を検討中」

 出光興産(5019)が発表した公募増資計画を巡り、出光の創業家側の代理人は19日、
東京高裁が即時抗告を棄却したと伝わったことについて、今後の対応については「検討中」と語った。
創業家側は公募増資の差し止め請求を東京地裁が却下したことを不服として、東京高裁に即時抗告をしていた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
(日本経済新聞 2017/7/19 16:59)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASFL19HUF_Z10C17A7000000/

 

 



2017年7月18日
出光興産株式会社
発行新株式数の確定に関するお知らせ
ttp://www.idemitsu.co.jp/company/news/2017/170718_1.pdf
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1496590

 

2017年7月18日
出光興産株式会社
株主による新株式発行の差止め仮処分の申立ての却下決定に関するお知らせ
ttp://www.idemitsu.co.jp/company/news/2017/170718_2.pdf
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1496591

 

2017年7月18日
出光興産株式会社
新株式発行の差止め仮処分の申立ての却下決定に対する即時抗告に関するお知らせ
ttp://www.idemitsu.co.jp/company/news/2017/170718_3.pdf
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1496648

 

2017年7月19日
出光興産株式会社
株主による新株式発行の差止め仮処分の申立ての却下決定に対する即時抗告の棄却決定に関するお知らせ
ttp://www.idemitsu.co.jp/company/news/2017/170719.pdf
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1496989

 


過去の関連コメント

2017年7月4日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170704.html

2017年7月10日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170710.html

2017年7月11日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170711.html

2017年7月14日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170714.html

 

 



【コメント】
紹介している本日2017年7月19日(水)付けの日本経済新聞(朝刊)の記事は、
操業家が行った新株式発行の差し止めを求めた仮処分申し立てを東京地裁が却下した、という内容であり、
東京地裁の却下を受けて、創業家が即時抗告を行った、という内容であるわけですが、
なんと、即時抗告が行われた次の日である今日、東京高裁から即時抗告の棄却決定がなされています。
創業家が即時抗告を行った日の次の日に、東京高等裁判所が即時抗告の棄却決定を行った、ということで、
東京地裁に比べて東京高裁は判断が早いなあ、と思ったわけなのですが、
出光興産株式会社が発表しているプレスリリースを読んでいて、
これは正しいのだろうか、と思った記述がありましたので、その点について一言だけコメントします。
出光興産株式会社が発表しているプレスリリースの内容をまとめますと、以下のようになります。


出光興産株式会社が公募による新株式発行を公表した日                   → 2017年7月3日
創業家が東京地方裁判所に新株式発行の差止め仮処分の申立てを行った日     → 2017年7月4日
東京地方裁判所が新株式発行の差止め仮処分の申立てを却下する決定をした日  → 2017年7月18日
創業家が「東京地方裁判所に」新株式発行の差止め仮処分の申立ての
却下決定に対する即時抗告を行った日                                     → 2017年7月18日
「東京高等裁判所が」新株式発行の差止め仮処分の申立ての
却下決定に対する即時抗告の棄却決定を行った日                           → 2017年7月19日


抗告人はどの裁判所に抗告を行うのか、についての記述が目に止まりました。
抗告を受けて、「新株式発行に対する差止め仮処分の決定」を行うのはあくまで東京高等裁判所(高等裁判所)なのですが、
抗告人(創業家)はどの裁判所に抗告を行うのか、がプレスリリースを読んでいて気になりました。
「抗告」というのは、裁判所の決定・命令に対する上訴のうち、第二審への不服申立てのことを言います。
(そして、第三審への不服申立てを再抗告と言います。)
ですので、この事例では、抗告人は抗告を東京高等裁判所に行う、と考えるのが一番自然かと思います。
ところが、出光興産株式会社が発表しているプレスリリースを読む限り、
創業家は「東京地方裁判所に」抗告を行っているようなのです。
これはただの誤植なのかそれとも本当にそうなのか気になりました。
創業家は「東京地方裁判所に」抗告を行ったようだと私が判断した理由は、プレスリリースの次の記述です。


「新株式発行の差止め仮処分の申立ての却下決定に対する即時抗告に関するお知らせ」
”申立ての却下決定に対して、創業家が即時抗告を行った旨の通知を東京地方裁判所から受けた”
(1/3ページ)

>当社は、本日、東京地方裁判所から、本申立ての却下決定に対して、日章興産ら が即時抗告を行った旨の通知を受けました

 



抗告は地方裁判所に行うのかそれとも高等裁判所に行うのか、私には正確なところが分かりませんのでしたので、
抗告についてインターネットで検索してみました。
すると、日本の裁判所の公式ウェブサイトなのだと思いますが、即時抗告に関する次のページがヒットしました。
抗告の申立先について、次のように書かれています。

即時抗告(裁判所)
ttp://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_05_2/index.html

>3. 申立先
>再審理を行う裁判所は高等裁判所ですが,即時抗告の抗告状は原裁判所(審判をした家庭裁判所)に提出する必要があります。

この解説ページは、家事事件についての説明ですので家庭裁判所という言葉が出てきていますが、
家事以外の民事事件でも全く同じですので、ここでは家庭裁判所は地方裁判所と読み替えて構いません。
即時抗告において、再審理を行う裁判所は高等裁判所なのだが、
即時抗告の抗告状は原裁判所(審判をした地方裁判所)に提出する必要がある、という定めになっています。
このたびの事例に即して言えば、創業家は東京高等裁判所へ行っても即時抗告の申立てはできなかった、ということになります。
他にも、リンクが張ってあります即時抗告の抗告状(却下審判に対する不服)の書式の記入例を見ますと、
抗告を行うための「抗告状」は、「○○高等裁判所御中」となっています。
以上の議論はより一般化できると思います。
一般に、地方裁判所の審判に不服がある時は、不服の申立てをすることにより,高等裁判所に審理をしてもらうことができる、
という考え方(裁判所の構成)に日本ではなっている(いわゆる三審制)わけなのですが、
「上訴」全般に関して全く同じ考え方になっているのではないでしょうか。
すなわち、「控訴」は高等裁判所ではなく地方裁判所にて行い、「上告」も最高裁判所ではなく実は地方裁判所にて行う、
という考え方ではないかと思います。
「原裁判所」とは、いずれの事件・事例においても、地方裁判所を指すのではないでしょうか。
上訴を行う人物の上訴の申立先は実は常に「地方裁判所」ということになると思います。
ただし、上訴を行うに当たり地方裁判所に提出する書状の宛先は、控訴・抗告の場合は「○○高等裁判所御中」であり、
上告・再抗告の場合は「○○最高裁判所御中」である、ということになると思います。
一般に、「判決に対して上訴を行う」、という考え方になっているわけです。
ですので、判決に不服があるということですので、その判決を下した裁判所である原裁判所すなわち地方裁判所が、
上訴を行うための書状の提出先(上訴の申立先)となる、という考え方になっているのだと思います。
理論的には、「より上級の裁判所は、再審理を行うに際して、下級の裁判所でなされた全審理内容を知っておかなければならない。」
ということになりますから(原審における資料等が再審理に際して必要になる)、申立先は常に地方裁判所なのだと思います。
田舎に住んでいる人は近くの大都市や東京まで赴くのが大変なので申立先が地方裁判所になっているわけでは決してありません。
「上訴の申立先は次の裁判所のうちどれか?」、今年の司法試験の短答式試験で出題されるかもしれないなと思いました。


On this appeal, to which court do the founder family go, the High Court or the Local Court?

この抗告を行うに際して、創業家はどちらの裁判所に行くのですか? 東京高等裁判所ですかそれとも東京地方裁判所ですか?