2017年1月30日(月)



2017年1月30日(月)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
HKホールディングス株式会社
(記事)



2017年1月27日
日立工機株式会社
HKホールディングス株式会社による当社株券等に対する公開買付けの実施に関する意見表明
及び「HKホールディングス株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」の一部訂正に関するお知らせ
ttp://www.hitachi-koki.co.jp/ir/newsrelease/2017/pdf/201701271.pdf


2017年1月27日
日立工機株式会社(HKホールディングス株式会社)
HKホールディングス株式会社による日立工機株式会社株券等(証券コード6581)に対する公開買付けの実施
及び「日立工機株式会社株券等(証券コード6581)に対する公開買付けに関するお知らせ」の一部訂正に関するお知らせ
ttp://www.hitachi-koki.co.jp/ir/newsrelease/2017/pdf/201701272.pdf

 

H29.01.30 09:51
公開買付届出書  
HKホールディングス株式会社
(EDINETと同じPDFファイル)


H29.01.30 11:19
意見表明報告書  
日立工機株式会社
(EDINETと同じPDFファイル)


 H29.01.30
HKホールディングス株式会社
公開買付開始公告
(EDINETと同じhtmlファイル)


 



「日立工機株式会社株式の今日の値動き」


「日立工機株式会社株式のここ1週間の値動き」


「日立工機株式会社株式のここ1ヶ月間の値動き」

 

過去の関連コメント


2017年1月13日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201701/20170113.html

2017年1月15日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201701/20170115.html

2017年1月16日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201701/20170116.html

2017年1月17日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201701/20170117.html

 


【コメント】
公開買付者であるHKホールディングス株式会社と対象者である日立工機株式会社が、
訂正のプレスリリースを発表しているわけですが、訂正内容を読みますと、
買付価格の妥当性について必死になって後付けの弁明をしているのがうかがえます。
公開買付届出書の提出と公開買付開始公告の公告は本日2017年1月30日(月)ではあるのですが、
つまり、金融商品取引法上、最も厳密な意味での法定開示書類が提出され公告されたのは
あくまで本日2017年1月30日(月)ではあるのですが、
公開買付者であるHKホールディングス株式会社と対象者である日立工機株式会社は、
2017年1月13日(金)の時点で公開買付を開始する旨公表していますので、
もはや正しい買付価格の設定と株式の強制取得における正しい取得価格の設定はできなかった(もはや価格は変えようがなかった)、
ということなのだと思います。
日立工機株式会社株式の直近の値動きを見ますと、私が2017年1月15日(日)に描きました「推論株価」とはやや異なっているようです。
特に、株価が買付価格に張り付くのが「2017年1月25日(水)」となっており、これは全く意味不明かと思います。
株価が買付価格に張り付くのは、特別配当の基準日の次の日である「2017年1月30日(月)」(つまり本日)からになるわけですが、
なぜこのような値動きになっているのかは全く説明が付けられないと思います。
それから、「買付予定数」の設定方法についてです。
プレスリリース等を見ますと、「買付予定数」が設定されています。
しかし、この場合もやはり、「買付予定数」の設定は不要です。
「買付予定の株券等の数」の注記には、

>(注4) 本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておりませんので、買付予定数は本公開買付けにより
>公開買付者が取得する対象者株券等の最大数である対象者総株式数(101,429,921株)を記載しております。

と書かれてあるわけですが、「買付予定数の上限」を設定していないからと言って、
公開買付者が取得する対象者株券等の最大数を「買付予定数」として記載する必要はありません。
公開買付者が取得する対象者株券等の最大数は、
他の法定開示書類(対象者四半期報告書)により既に一意に明らかにされていますので、
わざわざ公開買付者が取得する対象者株券等の最大数を「買付予定数」として記載する必要はないのです。
さらに言えば、現行の金融商品取引法では、「買付予定数」自体に意味が全くなく、「買付予定数」の項目は削除するべきなのです。
正しい「買付予定の株券等の数の設定方法」を記載しておきましたので、参考にして下さい。

「『買付予定の株券等の数』の訂正」




それから、本日発表の訂正プレスリリースを見ていて気が付いたのですが、
プレスリリース等に記載のある「買付け等による株券等所有割合の異動」が妙だなと思いました。


「買付け等による株券等所有割合の異動」

買付け等後における公開買付者の所有株券等に係る議決権の数 → 1,014,299 個 (買付け等後における株券等所有割合 100%)
対象者の総株主の議決権の数                                       → 1,012,689 個


「対象者の総株主の議決権の数」よりも「買付け等後における公開買付者の所有株券等に係る議決権の数」の方が多い、
という状況になっています。
妙だとは書きましたが、この理由については、端的に言えば、
このたびの公開買付では新株予約権も買付の対象としているからである、とプレスリリース等には記載されています。
また、株主が所有する単元未満株式についても、公開買付者が買い付けたならば1単元そろえば1議決権が発生するため、
公開買付者が今後所有することになるであろう議決権の個数は、現在の対象者の議決権の個数よりも多くなる、
ということのようです。
新株予約権はあくまで潜在株式という位置付けであり、議決権の個数の計算に算入するのは間違いであろうとは思いますが、
それでも、これはこれで説明にはなっていると思います。
最初、私は「対象者が所有する自己株式」が原因で議決権の個数の計算がおかしくなっているのだろう、と思いました。
仮に、公開買付により「対象者が所有する自己株式」も買い付ける場合は、
公開買付者が取得・所有する議決権の個数は、公開買付開始時点の対象者の議決権の個数よりも多くなるわけです。
この現象は、「対象者が所有する自己株式」も買付の対象となる以上、避けられないことなのであろうと思います。

 


ただ、訂正プレスリリースを見て私がふと思いましたのは、
「自己株式と呼ばれる株式にはそもそも議決権がないのか、それとも、
自己株式自体には議決権はあるのだが会社(自己株式の所有者)にはその議決権を行使できないだけなのか?」という点です。
他の言い方をすると、自己株式には本源的に議決権がないのか、それとも、
自己株式には議決権はあるのだが会社(自己株式の所有者)にはその議決権を行使することが制限されているのか、となります。
端的に言えば、権利自体がないのか、それとも、権利はあるが権利行使が認めれていないのか、となります。
会社同士で株式の相互保有をしていると、議決権の行使が制限される、というのがありますが、これはその論点に近いと思います。
理論的には、株式そのものが議決権を表象しているわけであり、株式の所有者がその議決権を行使できる、ということかと思います。
つまり、「自己株式からは議決権が消える。」という考え方はおかしいように思ったわけです。
会社が発行している全株式は全て平等です。
一部の株式からだけは議決権が消えるという考え方はおかしいわけです。
そうであるならば、先ほどの問いには、
「自己株式と呼ばれる株式にはそもそも議決権がないというわけではなく、
自己株式自体には議決権はあるのだが会社(自己株式の所有者)にはその議決権を行使できない(制限される)というだけである。」
という結論になるように思います。
現行の会社法の第308条第2項を読みますと、なるほどそのような意味に取れるように思います。

>(議決権の数)
>第三百八条
>2  前項の規定にかかわらず、株式会社は、自己株式については、議決権を有しない。

自己株式には議決権がない(つまり、自己株式は議決権を表象しない)とは書かれていません。
自己株式については、会社は議決権を有しない、と書かれてあるだけです。
制限される、行使できない、認められていない、といったニュアンスかと思います。
ただ、元来的には、株式の所有者によって株式の権利内容に違いを設けるのは間違いであるわけです。
同じ株式であれば、その所有者は皆同じ権利内容を有するはずです。
この法理から言えば、旧商法では会社は自己株式について議決権を行使することができた、という結論になろうかと思います。
翻って、現行の会社法では、会社は自己株式について議決権を行使することはできない、と定めているわけです。
このことは、現行の会社法では、「自己株式自体が存在しない。」と考えていることを示しているように私は思うわけです。
もちろん、現行の会社法では、議決権の行使に制限をかけるという考え方をしていると捉えることもできますが、
それはそれで「株主平等の原則」に反しているわけです。
「会社は株式を所有している」というのなら、「会社の総株主」に会社自身は含まれるのではないでしょうか。
つまり、現行の会社法は、「自己株式自体が存在しない。」、すなわち、「会社は株式を所有していない。」、
という所有状態を観念しているように私には思えるわけです。
そのように考えると、その観念と自己株式の処分が資本取引であることとは理論的に整合するように私は思うわけです。
逆から言えば、いざ「会社は自己株式を所有する。」と定義するならば、会社は自己株式について議決権を行使することができる、
という理論的帰結になるでしょうし、また、自己株式の処分は損益取引であるという理論的帰結になるでしょう。
したがって、現行の会社法の観念を所与のこととするならば、自己株式は取得と同時に消却する、という取り扱いしかあり得ないのです。