2016年7月23日(土)
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2016年5月23日
株式会社東芝
(訂正・数値データ訂正)2016年3月期決算短信[米国基準](連結)の一部訂正について
ttp://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/er2015/q4/ter2015q4_ca.pdf
>An impairment loss itself has nothing to do with shareholders.
>減損損失そのものは、株主には関係ありません。
と書きました。
減損について一言だけコメントします。
株式会社東芝の事例では、連結上ののれんの減損が問題になっています。
株式会社東芝は米国会計基準を適用しています。
ですので、米国会計基準ので取り扱いについては分かりません。
ただ、理論上は、連結上ののれんを規則的に償却したり減損をしたりする時に、少数株主の持分を考慮する、
という会計処理方法はありません。
仮に、少数株主の持分に相当する分は連結上ののれんを償却もしくは減損しないと考えましても、
それはただ単に連結貸借対照表にのれんがその分多く計上される、ということしか意味しないわけです。
それはイコール、連結利益剰余金がその分多く計上される、ということです。
連結会計上、連結利益剰余金は親会社の株主に帰属している
(少数株主に帰属している連結上の利益剰余金は連結上少数株主持分勘定に既に振り替えられています)わけですから、
少数株主の持分に相当する分は連結上ののれんを償却もしくは減損しないとしても、
それは親会社の株主に帰属している利益剰余金を増加させる意味・効果しかない、ということになります。
より厳密に言うと、連結上ののれんを償却もしくは減損しなかった分(すなわち、各種調整前当期純利益の増加額)を、
親会社と少数株主とで持株比率に応じて分け合う(少数株主の取り分を少数株主持分に振り替える)形になりますので、
連結上ののれんを償却もしくは減損しなかったならば、本来の金額よりも、
親会社の株主に帰属する利益額も少数株主に帰属する利益額も増加する、というだけのことなのです。
つまり、少数株主の持分に相当する分は連結上ののれんを償却もしくは減損しないという会計処理方法は、
何ら少数株主に配慮をした会計処理でもなければ、持分1単位当たりの価値の相違を緩和・調整するような会計処理でもないわけです。
米国だけに、「これが連結会計版
affirmative action
だ。」とでも言いたいのかもしれませんが、
そのような会計処理方法は全く少数株主のことを鑑みた会計処理ではないのです。
より正確に言えば、株主は皆平等である(ことが会計における理論上の前提)わけですから、
一部の株主だけを優遇するような会計処理方法というのは、したくてもできない、というふうに理解をするべきでしょう。
連結会計版
affirmative
action(積極的優遇[差別撤廃]措置(少数株主に帰属する利益額を増す積極的な政策))は、
会計理論上行いたくても原理的に行えず、また、理論上株主は始めから皆平等であるわけですからその必要もないわけです。
持株比率を考えれば、少数株主に帰属する利益を増加させようとすると、それ以上に親会社の株主に帰属する利益が増加します。
支配株主も少数株主も、帰属する利益額は持株数のみで決まる、というだけであり、そこに不平等や差別は始めからないのです。
少数株主の持分に相当する分は連結上ののれんを償却もしくは減損しない、という会計処理には何の意味もありません。
連結上ののれんを償却もしくは減損した場合は、その損失額は、持株比率に応じて、支配株主と少数株主とで平等に分け合う、
というだけのことであり、損失額を少数株主には負担させない、というような会計処理方法は原理的に始めからないのです。