2018年11月8日(木)



手帳やカレンダー メーカー苦肉の策 元号や祝日決まらず


 来年の手帳、カレンダーが書店や文具店に並ぶ季節になったが、例年と違って利用者には注意が必要だ。
天皇陛下の退位に伴う皇太子さまの新天皇即位で来年に限って5月1日や10月22日が祝日となるかなどが
最終決定していないからだ。既に店頭に並ぶ手帳やカレンダーには新たに決まる見通しの祝日は反映されておらず、
メーカー各社は「利用者は自分で新たな祝日、休日に赤丸を書き込んで」などと呼びかけている。【山本泰久】
 天皇陛下は4月30日に退位され、皇太子さまは5月1日に新天皇に即位される。
10月22日には新天皇が国の内外に即位を宣言する儀式「即位礼正殿(せいでん)の議」がある。
このため、政府は5月1日と10月22日を祝日とする法案を先月24日に召集された臨時国会に提出する方針だ。
 法案が成立して5月1日が祝日になれば、祝日に挟まれた日を休日とする祝日法に基づき、昭和の日(4月29日)との間に
挟まれる4月30日と、憲法記念日(5月3日)との間に挟まれる5月2日は休日になる。
そうなると来年のゴールデンウイークは4月27日〜5月6日の10連休だ。
 しかし、臨時国会の会期末は12月10日。
法案成立を待つことなく来年の手帳、カレンダーは既に出来上がって店頭に並んでいる。

■苦肉の策で中間表記
 全国のカレンダーメーカー30社が加盟する全国カレンダー出版協同組合連合会は、来年4月30日と5月1日、
10月22日は祝休日を示す赤色にせず、日にちの下に赤字で国旗と「退位の日」「即位の日」「即位礼正殿の儀」の
表記を入れることに決めた。祝日と平日の「中間表記」とする苦肉の策と言えそうだ。
 また来年12月23日も平日表記としたが、退位後で「天皇誕生日」ではなくなるため赤字で「平成の天皇誕生日」と記した。
さらに年度途中の退位で新元号も不明なため「平成31年」の表記は外した。

■新たな製造なし
 手帳製造販売大手の日本能率協会マネジメントセンターは、5月1日と10月22日を「平日」として表記。
同社広報担当の矢野真弓さんは「対応を検討したが、これまで通り、
来年の祝日、休日が発表される毎年2月1日の官報に基づいて表記した」と説明する。
手帳製造販売大手の高橋書店も「祝日がどうなるのかずっと新聞などをチェックしてきたが、手帳製造を遅らせることはできない」
として5月1日と10月22日を「平日」表記した。両社とも、法案成立後に新たに手帳を製造することはないという。
 日本能率協会マネジメントセンターは「手帳購入者が混乱しないよう、新たな祝日、休日などが決まれば何らかの方法で
周知できるよう検討したい」と話す。来年の手帳、カレンダーを購入したら、新たな祝日、休日のチェックをお忘れなく。
(毎日新聞 2018年11月8日 11時14分(最終更新 11月8日 12時34分))
ttps://mainichi.jp/articles/20181108/k00/00e/040/308000c

 



【コメント】
来年2019年の祝日・休日がユーキャンから「今年の流行語」の候補が発表されるこの時期になってもまだ正確には決まっていない、
という事態が生じています。
2019年の日記帳やカレンダーや手帳は既に発売され書店や文房具店等の店頭に並んでいるわけですが、
11月も中旬に入ろうかという時期になっているのに、まだ祝日・休日が変更される可能性がある、という状況となっています。
「国民の祝日に関する法律」の改正が年内に予定されているからなのですが、この点について記事には次のように書かれています。

>政府は5月1日と10月22日を祝日とする法案を先月24日に召集された臨時国会に提出する方針だ。

この論点については、2018年11月1日(木)にコメントを書きました。

2018年11月1日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181101.html

「2019年になってから『国民の祝日に関する法律』を改正しようと思っても、2019年の祝日の変更は理論上は不可能である。」、
とこの時のコメントで書きました。
記事によると、日記帳やカレンダーや手帳の製作業者は毎年2月1日の官報に基づいて来年の祝日・休日を判断している、とのことです。

>「対応を検討したが、これまで通り、来年の祝日、休日が発表される毎年2月1日の官報に基づいて表記した」

記事のこの記述を読んで、実務上は一体いつまで「国民の祝日に関する法律」を改正することが可能なのだろうかと思いました。
また、そもそも毎年2月1日に来年の祝日・休日が官報に記載されるというのは本当なのだろうかと思いました。

 


次のページを読みますと、「国民の祝日に関する法律」の改正は、施行日の実に1年以上前に完了していることが分かります。
 
議案情報 平成30年6月20日現在 参議院
ttp://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/196/meisai/m196090196029.htm

>公布年月日  平成30年6月20日

>三、この法律は、平成三十二年一月一日から施行する。

「国民の祝日に関する法律」が改正された場合は、施行予定の改正後の「国民の祝日に関する法律」が官報に記載されることになる
わけです(それが「公布」)が、平成30年6月20日付けの官報に改正後の「国民の祝日に関する法律」が掲載されているはずです。
すなわち、この場合、平成30年6月20日付けの官報を見れば、「2020年」の祝日・休日が分かる、ということになります。
おそらく、「2019年」の祝日・休日は、今年どころか昨年の平成29年(2017年)中の官報に掲載されているはずです。
施行予定の「国民の祝日に関する法律」の規定を踏まえて、別途、毎年2月1日に来年の祝日・休日を政府が官報に掲載している、
ということかもしれませんが、基本的には官報には改正後の「国民の祝日に関する法律」が掲載されることになっています。
国民の祝日と休日に変動がない場合は、官報に「国民の祝日に関する法律」が掲載されることがありませんので、
その場合に備えて政府は毎年2月1日に来年の祝日・休日を官報に掲載しているようにしているのかもしれません。
そうだとすると、「2019年」の祝日・休日は、今年平成30年(2018年)の2月1日付けの官報に掲載されていることになります。
いずれにせよ、ある年の祝日・休日はその11ヶ月前には確定をしている、というのが例年の取り扱いであったわけです。
理屈では、年内に「国民の祝日に関する法律」を改正し、すぐに改正後の「国民の祝日に関する法律」を官報に掲載する(公布)、
ということをすれば今からでも「2019年」の祝日・休日を変更することは可能なのでしょうが、
11月にもなって来年の祝日・休日が変更になるというのは、実生活上の混乱を生じさせるだけだと思います。
理論的には、法律には「施行」しかないわけですから、
2018年12月31日までに「国民の祝日に関する法律」を改正すれば2019年の祝日・休日を変更することは可能だとは思いますが、
わざわざ毎年2月1日に政府が来年の祝日・休日を官報に掲載しているくらいですから、
祝日・休日の周知(他の言い方をすれば「公布」)は実生活上極めて重要であることを鑑みますと、
11月にもなった今となってはやはり2019年の祝日・休日の変更は行うべきではない、という結論になると思います。
実務上は、ある年の祝日・休日の変更は、その前年の2月1日までに完了させておかなければならない、ということになると思います。

 

 



2018年11月8日(木)日本経済新聞
年度内に制度設計 規制改革会議 総合取引所創設で
(記事)





「『総合取引所』という概念は投資家の利益を害さない。」、という点について考察を行った時のコメント↓。

2018年10月28日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181028.html

 

「現物の価格と現物の価格を比較するのが先物取引である。」、という点について考察を行った昨日のコメント↓。

2018年11月7日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181107.html

 

 


【コメント】
昨日のコメントでは、
「東京商品取引所(TOCOM)には『先物市場』しかないのだが、決済のための『差金』(差額)を算出するのに
『現物市場』における価格が必要なのだから、『現物市場』がなければ『先物市場』は成り立たない。」、
という点について考察を行いました。
「現物の価格と現物の価格を比較するのが先物取引である。」、という理解が大切だと思います。
ただ、昨日の少し書きましたように、東京商品取引所(TOCOM)のサイトを見てみますと、
目的物(貴金属・ゴム・アルミニウム・石油・農産物・砂糖などの商品)の現物の取引を行っているようにも思えます。
現物の受渡日についての記載(例えば、「1月受渡し」といった具合に)があるわけです。
東京商品取引所(TOCOM)のサイトの記述や解説だけを読んでも現物の受渡しが行われているのかいないのかはっきりしない
のですが、現実にはやはり現物の受渡しは行われていないのだと思います。
昨日のコメントを書き終わった後に思い出したのですが、東京商品取引所(TOCOM)では、
株式と同じように、目的物(貴金属・ゴム・アルミニウム・石油・農産物・砂糖などの商品)の取引をすることができるのだが
株式とは異なり、現物の受渡しはしていない(現物を入手することはできない)、という話を以前聞いたことを思い出しました。
東京商品取引所(TOCOM)のサイトを読みますと、現物の受渡しはしている(現物を入手することができる)かのように
思えるのですが、実際には受渡日になっても現物が受け渡されることはなく、
口座開設の時などに現物の受渡は実際にはない旨担当者から注意がある、という話を以前に聞きました。
現物の受渡そのものはしない(電子データで管理するだけだ)がとにかくその目的物(商品)を市場で売買することができる、
というような取引を各上場商品について東京商品取引所(TOCOM)では行うことができる、ということのようです。
東京商品取引所(TOCOM)が開設・運営している商品市場は、
「先物市場ではなく現物市場なのだが現物の受渡しは行われない現物市場」というふうに捉えるべきなのだと思います。
東京商品取引所(TOCOM)の設立根拠法は商品先物取引法であるわけですが、
そもそも商品先物取引法という名称がおかしいのだろうと思います。
商品先物取引法では、そもそも先物取引ではない取引を先物取引と呼んでいる(定義している)のだと思います。

 



それから、現物の取引では、本人が納得をするある価額というのが目的物にはあるわけです。
「本人が納得をするある価額」とは、株式の場合は自分が算定をした株式の本源的価値(理論的には会社の清算価値)であり、
株式以外の商品の場合は自分が対価として支払ってもよい・受け取ってもよいと考える金額のことです。
株式以外の商品の場合は、自分がその商品を(転売ではなく)「消費」するということが前提のようなところがあります。
その商品を自分が「消費」するのにこれだけの対価を支払ってもよい、と本人が考える金額というのが商品にはあるわけです。
しかし、現物の受渡は行われないとなりますと、当然のことながら商品を自分が「消費」するということがあり得なくなりますので、
何を根拠に商品の対価の金額を決めたらよいか分からなくなるわけです(つまり、自分が納得をする金額自体がそもそもない)。
そのような取引の場合は、何の根拠もなく、「この商品の価格は将来上がるだろう。」と考えて取引をするしかないのです。
株式(有価証券)であろうが自分が「消費」をすることができる商品(有体物)であろうが、現物の受渡しが行われないというのは
架空の目的物を取引していることと同じ(何を買っているのか分からない状態、判断根拠自体がない)なのです。
株式の場合は、「自分が算定した本源的価値(=残余財産)が手に入ればそれでいい。」と考えて投資家は株式の取引を行うわけですし、
商品の場合は、「自分が算定した本源的価値(=目的物そのもの)が手に入ればそれでいい。」
と考えて投資家は商品の取引を行うわけです。
しかし、現物の受渡しが行われない場合は、
株式を購入した投資家は「自分が算定した本源的価値(=残余財産)」が手に入りませんし、
商品を購入した投資家は「自分が算定した本源的価値(=目的物そのもの)」が手に入らないわけです。
現物の受渡しが行われないというのは、もはや何を目的に目的物を購入するのかすら不明にさせるのです。
市場で目的物は購入できるかもしれませんが、現物の受渡しは行われない以上、
その目的物には本源的価値はない(すなわち、目的としているものは手に入らない)わけですから。
東京証券取引所では投資の判断根拠(有価証券報告書等)があり現物の受渡しも行われていますが、
東京商品取引所(TOCOM)ではそもそも現物の受渡しが行われていないわけです。
東京商品取引所(TOCOM)は判断根拠も目的物の本源的価値もないままに商品の取引を行うだけのカジノだ、
と言われても言い過ぎではない(it is not "TOO MuCh" to say)と個人的には思います。
東京商品取引所(TOCOM)では東京証券取引所にマッチ("match")しない(対の一方としてふさわしい相手ではない)、
とまでは言いませんが。
ラスベガスはネバダ州にありますが、東京商品取引所(TOCOM)ではいくらねばっても現物は手に入らないのです。
マカオもカジノで有名ですが、東京商品取引所(TOCOM)では現物は手に入らないと知って「マジかよ。」と言っても遅いのです。
東京・お台場もかつてはカジノ構想があったのですが、
現物が手に入らないのならば「お代は払いたくない。」と投資家は言いたくなると思います。
「お後がよろしいようで。」と書いて今日は締めようかと思ったのですが、ジョーカーだと思われては困るので追記しますと、
株式であれ商品であれ、現物の受渡しが行われさえすれば、投資家は後のことは一切気にならないわけです。
なぜならば、現物の受渡しが行われさえすれば、投資家は取引により目的物の本源的価値を手に入れるからです。



The fact that spot goods are not transferred means that the object doesn't have its intrinsic value in in.
That is to say, it means that invetors in the market have no grounds for their investment judgement.

現物の受渡はしないということは、目的物には本源的価値はないという意味です。
すなわち、市場の投資家には投資判断の根拠がない、という意味です。