2018年11月7日(水)



2018年11月7日(水)日本経済新聞
■「総合取引所」創設 日本取引所と協議 統合へ 東商取の翻意 電力先物の上場失敗 契機
(記事)




上場商品一覧(東京商品取引所)
ttps://www.tocom.or.jp/jp/products/index.html

 

東京商品取引所の解説(コトバンク)
ttps://kotobank.jp/word/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%95%86%E5%93%81%E5%8F%96%E5%BC%95%E6%89%80-679127

商品先物取引法に基づいて、貴金属・ゴム・アルミニウム・石油・農産物・砂糖などの商品の先物取引を行うために必要な市場を
開設・運営する株式会社。東京都中央区日本橋に所在。昭和59年(1984)に東京繊維商品取引所・東京ゴム取引所・東京金取引所が統合し、
東京工業品取引所として設立。平成20年(2008)株式会社化。平成25年(2013)商号を現名称に変更し、
農産物・砂糖市場を開設。東商取。TOCOM(Tokyo Commodity Exchange)。
(デジタル大辞泉の解説)

商品先物取引法に基づく取引所運営会社。前身は東京工業品取引所(1984年に東京繊維商品取引所、東京ゴム取引所、
東京金取引所の3取引所が統合して発足)。2013年(平成25)2月、従来扱っていた貴金属、ゴム、アルミニウム、石油に加え、
経営不振により解散する東京穀物取引所から移管された4銘柄(一般大豆、小豆(あずき)、トウモロコシ、粗糖)
を取り扱うようになったことで、社名を変更した。英語名称はTokyo Commodity Exchange, Inc.で略称TOCOM。
個人投資家による売買に対する規制強化などにより、先物取引は低迷しており、統合後も厳しい経営状態が続くことが予想される。
そのため、安倍晋三(あべしんぞう)内閣は2007年に証券、金融派生商品(デリバティブ)、商品先物を一括して取り扱う
総合取引所構想を閣議決定した。将来は、東京証券取引所と大阪取引所などを傘下にもつ
日本取引所グループ(JPX)との経営統合による「日本総合取引所」の設立を目ざす。
所在地は東京都中央区日本橋堀留(ほりどめ)町、2015年6月時点の資本金は19億8900万円、従業員数は63人。
(日本大百科全書(ニッポニカ)の解説)

 


「『総合取引所』という概念は投資家の利益を害さない。」、という点について考察を行った時のコメント↓。

2018年10月28日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181028.html

 

 



【コメント】
2018年10月28日(日)のコメントでは、1つの取引所の中に複数の市場が存在することの問題点について考察を行い、
「『総合取引所』という概念は投資家の利益を害さない。」という結論に行き着きました。
たとえ1つの取引所内に複数の市場が存在しようとも、市場そのものは分かれている(互いに影響を与えない)わけですから、
「『総合取引所』という概念は投資家の利益を害さない。」という結論になるわけです。
考えてみますと、そもそも取引所が複数あること自体がおかしいのだと思います。
市場は目的物毎に分かれているわけですので、市場の運営主体である取引所は1つであっても何ら問題はないわけです。
日本取引所(JPX)と東京商品取引所(TOCOM)が1つの取引所となることは、何ら問題はなく(投資家の利益は一切害されない)、
それどころか、理論的には取引所自体は1つだけで必要十分であるわけです。
株式や他の商品を1つの取引所で売買できる「総合取引所」は、
例えて言うならば多種多様な小売店が多数集積している「ショッピング・モール」のようなものだと思えばよいわけです。
取引所は英語で"exchange"ですが、消費者は小売店で自分の現金と棚に並んでいる商品とを"文字通りexchange"するわけです。
「総合取引所」のことは「ショッピング・モール」だと思えばよいと思います。
2018年10月28日(日)のコメントでは、「総合取引所」のことを「シネマコンプレックス」に例えましたが、
消費者にとっては小売店もマーケットと表現できるかと思いますので、
「総合取引所」のことは、「ショッピング・モール」や「大型ショッピングセンター」や「商店街」に例えられると思います。
それから、2018年10月28日(日)のコメントでは、
投資家にとっての利便性の向上や関連する法令・法律の改正や所管省庁の整理といった実務上の議論は一切度外視したわけですが、
今日は少しだけ実務よりの話と言いますか、「市場」に関して今日気付いた点について一言だけ書きたいと思います。
何度も書いていますように、株式や他の商品を1つの取引所で売買できる「総合取引所」を設立すること自体には賛成であり、
日本取引所(JPX)と東京商品取引所(TOCOM)の統合にも賛成なのですが、
「市場」という観点から見ると、東京商品取引所(TOCOM)で取り扱われている上場商品そのものについて気付くことがありました。
東京商品取引所(TOCOM)は商品先物取引法に基づき設立・運営されているわけですが、
まさに根拠法の通り、設立の経緯からして東京商品取引所(TOCOM)は「先物取引」を専門に行うための取引所であるわけです。
東京商品取引所(TOCOM)が開設・運営している市場は極一部の例外を除き全て「商品先物市場」であるわけですが、
そのことはイコール、東京商品取引所(TOCOM)には「商品先物市場」しかない、という意味であるわけです。
しかし、そのことは実は根本的におかしいわけです。
なぜならば、「現物市場」があってこそ「先物市場」は成立するからです。
「先物市場」がなくても「現物市場」は成り立ちますが、「現物市場」がなければ「先物市場」は成り立たないわけです。
ある目的物(貴金属・ゴム・アルミニウム・石油・農産物・砂糖などの商品)に「現物市場」において価格が付かなければ、
そもそも先物取引にならないわけです。
「現物市場」における価格がないのに一体どうやって先物取引を行うのでしょうか。
先物取引は現物の受渡を伴わない「差金決済」なものですから、現物を取り扱う市場は一見すると不要であるかのように
錯覚してしまいますが、そもそもその「差金」(差額)を算出するのに現物市場における価格が必要なのです。
現物の価格と現物の価格を比較するのが先物取引です。
したがって、現物市場なしには先物市場は存在し得ないのです。
東京商品取引所(TOCOM)のサイトを見ていますと、現物の取引も行われている(現物の受渡も行われている)ようにも思えますので、
それならそれでもちろん何の問題もないのですが、そうしますと今度は先物取引ではない取引を先物取引と呼んでいることになります。
現物の受渡そのものはしない(電子データで管理するだけだ)がとにかくその目的物(商品)を市場で売買することができる、
というような取引を各上場商品について東京商品取引所(TOCOM)では行うことができる、ということのように私には思えます。
しかしそのような取引は、現物取引でもなければ先物取引でもなければ先渡取引でもないのです。