2018年8月3日(金)


2018年7月30日(月)日本経済新聞
出光・昭シェル 薄氷の統合 @
「何も残らなくなる」
(記事)



2018年7月31日(火)日本経済新聞
出光・昭シェル 薄氷の統合 A
「家族よりも会ってる」
(記事)




2018年8月1日(水)日本経済新聞
出光・昭シェル 薄氷の統合 B
「ただの買収じゃないか」
(記事)



2018年8月2日(木)日本経済新聞
出光・昭シェル 薄氷の統合 C
「油の時代は終わった」
(記事)

 

 



「理論上は、合併に際し『従来から所有していた株式と同じ株式を受け取る』からこそ対等合併だ、という考え方になる。
法人税法上も、消滅会社株主は『従来から所有していた株式と同じ株式を受け取る』からこそ存続会社に出資が承継される、
という考え方になる。
したがって、理論上は法人税法上も合併比率は『1対1』でなければ合併(出資の承継)とは見なせない。」、
という点について考察を行った時のコメント↓

2018年7月24日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201807/20180724.html

 


「現在の証券制度では、株式の取得者は、支配株主になることを目的に、さらには、対象会社を完全子会社化することを目的に、
対象会社に対し公開買付を実施することは理論上は間違いである、」、という点について指摘をした一昨日のコメント↓。

2018年8月1日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180801.html

 


「全ての株式を取得する手法が用意されている法制度においては、
『成立後も対象会社の上場は維持するものの支配の獲得を目的とする』公開買付を証券制度上は認めるべきではない。」、
という点について指摘をした昨日のコメント↓。


2018年8月2日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180802.html

 

 



【コメント】
出光興産株式会社と昭和シェル石油株式会社の経営統合を題材にして、一言だけコメントを書きたいと思います。
出光興産株式会社と昭和シェル石油株式会社は、今後、2019年4月を目途に「株式交換」という手法を用いて
経営統合方法を行う予定であるわけですが、株主から「株式交換」を承認してもらうための臨時株主総会を招集する前に
出光興産株式会社は昭和シェル石油株式会社株式に対して公開買付を実施する予定はないわけです。
現時点では、出光興産株式会社は昭和シェル石油株式会社株式の31.25%しか所有していません(3分の2に遠く及ばない)が、
出光興産株式会社、昭和シェル石油株式会社双方において、株主から承認を得られる十分な見通しがあるのだと思います。
また、証券制度における理論上の結論としては、「出光興産株式会社は昭和シェル石油株式会社株式に対して
公開買付を実施してはならない。」、という結論になります。
その理由は、全ての株式を取得する手法が用意されている法制度においては、上場企業(発行者)に支配株主が誕生した時点で、
株式市場の投資家が株式の売却可能性や投資判断という点において不安定な立ち位置に立たされるからです。
端的に言えば、全ての株式を取得する手法が用意されている法制度においては、上場企業(発行者)に支配株主が誕生した時点で、
市場の投資家は、発行者の株式の本源的価値ではなく、支配株主の意向に基づき投資判断(株式の取引)を行うようになるのです。
この論点に関しては、「全ての株式を取得する手法が法制度に用意されているか否か?」が決定的・本質的に結論を左右するのです。
「全ての株式を取得する手法が法制度に用意されていない場合」は、公開買付者は全く自由に公開買付を行うことが認められます。
逆に、「全ての株式を取得する手法が法制度に用意されている場合」は、理論上は公開買付は著しく制限されることになります。
現行の規定ではなく理論上の考え方になりますが、この点について対照表を作成してみましたので参考にして下さい。


"Theoretically legitimate tender offer (takeover bid)."
「理論上正当な公開買付」

「PDFファイル」

「キャプチャー画像」



With a controlling shareholder in the stock market, investors in the market trade shares
on the basis of not the intrinsic value of the share but expectations of a potential of the controlling shareholder.
In other words, with a controlling shareholder in the stock market,
grounds for an investment judgement made by investors in the market are
not the intrinsic value of a share (i.e. expectations of future financial results of an issuer)
but a speculation on potential M&As
(i.e. expectations of future group management strategies of the controlling shareholder).

株式市場に支配株主がいる場合は、市場の投資家は、
株式の本源的価値ではなく支配株主の将来の可能性の予想に基づき株式の取引を行うようになるのです。
他の言い方をすれば、株式市場に支配株主がいる場合は、市場の投資家が行う投資判断の根拠が、
株式の本源的価値(すなわち、発行者の将来の業績の予想)ではなく、
将来のM&Aの憶測(すなわち、支配株主の将来のグループ経営戦略の予想)になってしまうのです。