2017年8月21日(月)
2017年8月21日(月)日本経済新聞
人口減 地方が映す近未来
元総務相 増田
寛也氏
所有者不明土地、全国の2割 賃借、地主許可不要に
(記事)
固定資産課税台帳(ウィキペディア)
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BA%E5%AE%9A%E8%B3%87%E7%94%A3%E8%AA%B2%E7%A8%8E%E5%8F%B0%E5%B8%B3
>固定資産課税台帳
>固定資産課税台帳(こていしさんかぜいだいちょう)は、地方税法第380条第1項の規定により、
>市町村が、固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の評価を明らかにするために
>備えなければならない重要な台帳である。
>なお、固定資産課税台帳は、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳
>の5つの台帳の総称である。
過去の関連コメント
2017年7月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170725.html
2017年7月27日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170727.html
から
2017年8月20日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201708/20170820.html
までの一連のコメント。
今日は、「固定資産課税台帳」について一言だけ書きたいと思います。
所有者が不明となっている土地が全国的に現在大きな問題となっているようなのですが、
@不動産の所有権者は登記のみにより一意に明らかにすることになっている。
A不動産は所有しているだけで固定資産税が課税されるため、所有者が不明ということは固定資産税の滞納が必然的に生じる。
という2つの理由により、所有者が不明という状況は原理的に生じ得ないのではないか、と思ったからです。
表面上は(条文上は)不動産登記を行うこと自体は義務ではないという言い方もできますが、
登記をしないと所有権を有していることにならないわけですから
(対価の支払いや取得状況とは無関係に登記のみで所有権(の帰属先)が決まる)、
不動産を取得した際に登記を行うことは義務どころかもはや「不動産の取得そのもの」である、と考えなければなりません。
簡単に言えば、登記を行わないならば、不動産を取得したことにならない(不動産の所有権を有していないことになる)のです。
そして、記事では、登記と固定資産課税台帳などの連携により、所有者不明の土地をなくしていくことが検討されています。
ウィキペディアの「固定資産課税台帳」の解説記事は、簡潔に要点がまとまっているのではないかと思いました。
ウィキペディアを読みますと、「固定資産課税台帳」はやはり「不動産登記簿」がベースになっていると言いますか、
台帳における固定資産の所有権者(固定資産税の納税義務者)は「不動産登記簿」上の所有権者となっているようです。
「固定資産課税台帳」と「不動産登記簿」が分かれているとなりますと、
台帳における固定資産の所有権者と「不動産登記簿」上の所有権者が異なる、ということも現実には考えられるわけですが、
「固定資産課税台帳」はあくまで「不動産登記簿」の記載内容(登記内容)から書き起こされたものであるわけです。
簡単に言うと、「不動産登記簿」に固定資産税の課税標準となる「基準年度の価格」を追記し別冊の形で整理したものが
「固定資産課税台帳」であるわけです(i.e.
「固定資産課税台帳」=「不動産登記簿」+固定資産税評価額)。
「不動産登記簿」と「固定資産課税台帳」は別の帳簿である、というわけでは決してないわけです。
むしろ、「不動産登記簿」と「固定資産課税台帳」は固定資産税評価額の部分を除けば記載内容は実は同じ、であるわけです。
「固定資産課税台帳」の作成過程を考えれば、台帳における固定資産の所有権者と「不動産登記簿」上の所有権者が異なる、
ということは原理的にあり得ない、ということになります。
固定資産税の課税主体である市町村は、固定資産税を課税するに際して「不動産登記簿」を参照している、
という言い方をしてもよいと思います。
すなわち、不動産の所有権者は、第一次的に「不動産登記簿」によって明らかにされる、と考えるわけです。
「固定資産課税台帳」によって不動産の所有権者が明らかになる、というわけではないわけです。
「固定資産課税台帳」にも「不動産登記簿」と同じ内容が登載されていますので、
結果的に「固定資産課税台帳」を見ても不動産の所有権者は分かる、というだけなのです。
現実には起こり得ない極端な話をしますと、台帳における固定資産の所有権者と「不動産登記簿」上の所有権者が異なる場合は、
「不動産登記簿」上の所有権者が法律上の真の所有権者、という考え方になります。
台帳の作成原理から言って両者が食い違うことは発生しないと言ってよいのですが、
現実には、実は判断が難しい場面が生じ得ます。
例えば、「1月1日」(いわゆる「賦課期日」)に不動産を譲渡した場合、その不動産の納税義務者はどちらになるのか、
という問題は実務上生じ得るかと思います。
さらには、「12月31日」に譲渡した場合は納税義務者はどちらになるのか、という問題は実務上生じ得るかと思います。
また、所得税の収益認識に関しても、
12月31日に譲渡をしたのか翌1月1日に譲渡をしたのかでは、その年の所得額そのものが違ってくるわけです。
不動産の譲渡日(所有権の移転の実現日)は法律上も税務上も明確でなければならないわけです。
いつ不動産の譲渡を行ったのか(いつ不動産の所有権の移転は実現したのか)はまさに登記により明らかになるはずです。
本来的・元来的には、法務局(さらには行政機関全てがですが)は365日24時間執務が行われていなければならないのです。
行政機関の休日の存在を鑑みますと、不動産登記の申請は後日(実際の譲渡日後、実際の移転実現日後)でもよい、
という取り扱いになっているわけですが、それはまさに「不動産登記簿」の更新が実際の譲渡日の後になる、
ということを意味しているわけです。
これでは、「不動産登記簿」が真の所有者を表していることにならないわけです。
不動産登記の申請が後日になっても(登記の申請日と実際の譲渡日とが異なっていても)、
第三者が勝手に登記内容を変更することなど実際には不可能ですから、実際には問題はほとんど生じないとは言えますが、
理論的には、登記の申請日と実際の譲渡日は同じでなければならないと言いますか、
不動産に関しては、登記を行うことが譲渡を行うことだ、というくらいの気持ちを持つべきなのだと思います。
「賦課期日」と行政機関の休日の存在を鑑みますと、例えば実際には12月31日に譲渡を行ったのだが、法務局が閉まっていたため、
不動産登記の申請・完了が年明けの1月4日になってしまった場合、
市町村は1月1日時点の(すなわち更新前の)「不動産登記簿」を参照する結果、
不動産は12月31日で既に譲渡済みであったにも関わらず、固定資産税の納税義務者と認識されてしまう、という事態が生じます。
したがって、理論的には、
行政機関は365日24時間開いていなければならず、
「固定資産課税台帳」は12月31日24時時点(=1月1日0時時点)の「不動産登記簿」を参照しなければならない、
という結論になるのです。
不動産は登記が絶対だ、という考え方が基本にあります。
動産であれば、当事者が「私達は何月何日に動産の譲渡を行いました。」と言えばそれで済むところもあると言えますが、
不動産の場合は、当事者が「私達は何月何日に不動産の譲渡を行いました。」と言ってもそれでは済まないと言いますか、
「何月何日に不動産の譲渡を行ったのか」を登記で明らかにする、という側面(基本的役割)があると思います。
もちろん、現実には当事者が登記を申請しないといけないわけですが(つまり、当事者の申請により登記が行われる)、
「不動産は登記が絶対である」という基礎概念があるため、取引を登記を中心に見ないといけない、と私は思うわけです。
最近、所得税における「賦課課税制度」について言及していますが、不動産登記に関しても同種の考え方ができるように思えます。
理論的には、あたかも「不動産の取引を行うと自動的に登記が行われる」かのように
(まさに、「賦課課税制度」では取引を行うと自動的に所得税の納付書が送付されてくるように)、
不動産の取引というものを捉えなければならないと私は思うわけです。
理論的には、不動産というのは当事者がわざわざ申請しなくても当局により自動的に登記されるのです。
もちろん、現実には法務局の登記官は不動産の取引が行われたこと自体を知らないわけですから、
当事者に登記の申請を行ってもらうしかないわけですが、
理論的には、不動産の全取引を知っている「神の眼」を持った登記官を理論的前提として置いているのです。
不動産の登記方法を新旧の所得税の納付方法になぞらえて言うならば、
不動産登記の申請を当事者が行う=「申告納税制度」、
不動産の登記は取引を受けて当局により自動的に行われる=「賦課課税制度」、
という関係になるわけです。
そのような理論的前提を置かなければ、「不動産は登記内容が絶対である。」という基礎概念・前提が理論的に成り立たない、
ということになると私は思うわけです(どうすれば「不動産は登記内容が絶対である。」という考え方になるか考えました)。
現実には、「神の眼」もなく、行政機関の休日や当事者による申請が原因で、理論通りにはならないのですが、
理論的には、不動産の登記は、取引を受けて当局により自動的に行われるものだ、と考えるべきなのだと思います。
The fixed asset tax should be levied on the basis of the real property
register.
And, it actually is.
固定資産税は、不動産登記簿に基づいて課税を行うべきなのです。
そして、実際に固定資産税は不動産登記簿に基づいて課税が行われています。