2017年8月13日(日)



昨日までの一連のコメントに一言だけ追記をします。
今日のコメントは特にいつのコメントの続きというわけではなく、
どちらかと言うと最近の一連のコメント全てに関連のあるコメントになりますが、
敢えて言うならば昨日2017年8月12日(土)のコメントの続きと思ってもらっても構わないかと思います。
今日は、次の記事を題材として、一言だけコメントを書きたいと思います。


2017年6月24日(土)日本経済新聞
「物言う企業」の逆襲 市場と対峙、総会勝ち抜く
(記事)



過去の関連コメント

2017年7月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170725.html

2017年7月27日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201707/20170727.html

から

2017年8月12日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201708/20170812.html

までの一連のコメント。

 



ここでのキーワードは、「フィデューシャリー・デューティー」と「支配株主による株主提案権行使」です。
昨日の書きましたが、「理論的には、会社法の『株主提案権』は実は少数株主の利益を害する。」という結論になります。
仮に支配株主が議案を提案したならば、その議案はどんな内容であろうとも必然的に原案通り可決・承認されてしまうからです。
「株主提案権」は、一般に言われていることとは正反対に、実は少数株主の利益保護に資するということは一切ないのです。
そこで昨日は、法務省への提案として、
「『本人と共同保有者による株券等の所有状況の合計』が、過半数を超えている場合は、
本人も共同保有者も株主提案権を行使できない。」というふうに改正してみてはいかがか、と会社法の改正について提案しました。
簡単に言えば、(共同保有分も含めた)支配株主は株主提案権を行使できない、と定めれば少数株主の利益は保護されるわけです。
それで、今日紹介している記事についてですが、今年の株主総会では、「物言う株主」ではなく反対に「物言う企業」(会社側)が、
株主総会の開催前に機関投資家等に現状を説明して回るなど、自ら情報・意向を発信するという事例が多い、という内容になります。
「物言う株主」と言いますと、一般的には概ね5%以上、極端な場合は過半数を保有する機関投資家を指すのではないかと思いますが、
「フィデューシャリー・デューティー」の概念でも、「株主はあくまで委任者なのだ。」という位置付けに株主はいるわけです。
真の意味で(少数株主も当然含む)全株主の利益になる助言や提案等を会社に対して行うというのは問題はないとも言えますが、
基本的には、「業務執行については、取締役のことを信じて任せる。」というのが株式会社における委任の基本概念であるわけです。
株主が会社に対し物を言うのは、取締役が「フィデューシャリー・デューティー」を果たせなくなる原因になると言えます。
株主には、委任を行った以上、「会社に対して決して物を言わない。」という「truster duty」(委託者責任)があると思います。
現実には、今年の株主総会では、会社側が事前に「物言う株主」にカウンターをくらわせた、という格好になったようです。
しかし、理論的には、市場の健全性と委任の法理の両面から言っても、株主と会社は議論をしないものだ、という結論になります。

 

A "talking company" hit activists a counter with its good accountability,
accusing them of not acknowledging themselves as an actual truster.

「物言う企業」が十分に説明責任を果たすことで「物言う株主」にカウンターをくらわせ、
あなた方は自分達が実は委任者であることを分かっていないと言って非難した。

 

Under the conditions that a "fiduciary duty" is functioning properly,
interests of a controlling shareholder are miximized automatically
as long as he casts a vote for a proposal prepared by a director.
At the same time, a director functions as brakes on a controlling shareholdr's unreasonable behavior.
In theory, a director stands neutral between interests of a controlling shareholder and those of minor shareholders.

「フィデューシャリー・デューティー」が正常に機能している状況下では、
取締役が作成した議案に賛成票を投じさえすれば支配株主の利益は自動的に最大化されるのです。
同時に、取締役は支配株主の横暴にブレーキをかけるという職責も果たすのです。
理論上は、取締役は、支配株主の利益にも少数株主の利益にも中立な立場に立っているのです。