2017年3月18日(土)



2017年3月18日(土)日本経済新聞
公証人に相談も有益 「争族」回避へ遺言の力 最低限の相続分に注意
(記事)




過去の関連コメント


2017年2月19日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201702/20170219.html

2017年3月2日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201703/20170302.html

2017年3月12日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201703/20170312.html

2017年3月14日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201703/20170314.html

2017年3月15日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201703/20170315.html

2017年3月16日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201703/20170316.html

 


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【コメント】
紹介している本日2017年3月18日(土)付けの日本経済新聞の記事を題材に、
遺書と遺留分の関係について一言だけコメントを書きたいと思います。
遺留分については、2017年3月12日(日)のコメントで少しだけ書きました。
その時のコメントを引用します。

>遺留分とは、相続人の生活安定のため、
>相続財産の一定割合を一定の範囲の相続人に最低限相続することが保障されている部分のことであり、
>例えば被相続人が生前に財産の全てを他人に譲渡する旨の遺言をしていた場合などに利用される制度です。

遺留分に関しては、「遺留分減殺請求権」が大きな論点になるようです。
「遺留分減殺請求権」とは、遺留分を有する者が、遺贈および相続開始前の1年間になされた贈与の効力を、
遺留分を保全するのに必要な範囲で否定する権利を言います。

本日2017年3月18日(土)付けの日本経済新聞の記事には、遺留分について、次のように書かれています。

>覚えておきたいのが民法の「遺留分」という考え方だ。
>最低限の権利として遺族が相続すべき割合を定めており法定相続分の2分の1がほとんど(図C)。
>遺言でこの権利を無視して偏った遺産の配分にすると、自分の亡き後、深刻なもめ事になりかねない。
>権利を侵害された遺族が、その分を渡すよう他の遺族に求めることがあるからだ。

以上の記述をまとめますと、例えば遺言書に法定相続人以外の誰かに遺産の全てを与える(遺贈する)と書き残しても、
結局、民法上は遺留分が考慮されてしまう(民法上は法定相続人に遺産が一定割合相続される)、ということになると思います。
このことは、「遺言書は、相続において民法の法定相続分に優先する。」との規定と矛盾するところがあるように思います。
他の言い方をすると、「遺言書は、相続において、民法の法定相続分には優先するが、遺留分には優先しない。」
という解釈になりはしないだろうか、と思うわけです。
つまり、遺留分を有する者が、自分の権利を主張する結果、遺言書に記載(遺言内容)通りの遺産の遺贈・相続が行えない、
ということになるのではないかと思うわけです。
遺留分の趣旨を考えると、法定相続人による遺留分(権利)の行使により、遺言内容を一部無効にできなければならないわけです。
端的に言えば、「遺言書は、相続において民法の法定相続分に優先する。」というの規定と
遺留分の規定(「遺留分減殺請求権」の規定)とが矛盾しているわけです。
「遺言書は、相続において民法の法定相続分に優先する。」という規定は、結局のところ、
遺言書によって法定相続は無視される(つまり、遺言内容通りの遺贈と相続とする)、ということを意味していると思うのですが、
結局のところ、遺留分の規定は(「遺留分減殺請求権」を行使すれば)「法定相続を(一部)強制する」ということであるわけです。
一言で言えば、これは矛盾(両立し得ない規定となっている)であると思います。


How is a legally reserved portion treated
when the deceased had already gifted all of his property with somebody just before he deceased?

死亡する直前に死亡者が所有財産の全てを既に誰かに寄附をしてしまっていた場合は、
遺留分はどのように取り扱われるのですか?