2016年11月13日(日)



2016年11月12日(土)日本経済新聞
「ゴルフ税」廃止攻防激化
総務省 自治体財政へ影響懸念
自民 五輪競技入りで圧力増
(記事)





ゴルフクラブの会計処理に関する過去のコメント

2016年10月4日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201610/20161004.html

2016年10月16日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201610/20161016.html

2016年10月18日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201610/20161018.html

 


ゴルフ場利用税
東京都主税局<都税Q&A><都税:ゴルフ場利用税>
ゴルフクラブに関連する会計処理についての過去のコメント
ttp://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/index_h.htm

 

ゴルフ場利用税(ウィキペディア)
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%95%E5%A0%B4%E5%88%A9%E7%94%A8%E7%A8%8E


娯楽施設利用税(ウィキペディア)
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A8%AF%E6%A5%BD%E6%96%BD%E8%A8%AD%E5%88%A9%E7%94%A8%E7%A8%8E

 



【コメント】
ゴルフ場利用税が税制改正で論点となっているようです。
ゴルフ場利用税の会計処理については、2016年10月18日(火) のコメントの中で教科書をスキャンして紹介しています。
「第8章 経費の支払いに関する取引 第2節 接待交際に関する取引」の「ゴルフプレイ費用等の支払い」を見て下さい。
ゴルフ場利用税について、少しだけ見ておきましょう。
ウィキペディアのゴルフ場利用税の解説には次のように書かれています。

>ゴルフ場利用税の課税の理由は、一般的に次のように説明されている。
>1.応益税 - ゴルフ場に係る開発許可、道路整備などの行政サービスは専らゴルフ場の利用者に帰属することから、
>利用者にこれらの費用を負担させようとする考え方。
>2.贅沢税 - ゴルフ場の利用は、日本においては、他のレジャーに比べて費用が高い。
>ということは、利用者にはより高い担税力があるとする考え方。

また、「ゴルフ場利用税」はかつては「娯楽施設利用税」という名称の税目であったですが、
ウィキペディアの娯楽施設利用税の解説には次のように書かれています。

>娯楽施設利用税は消費税法施行に伴って廃止されたが、ゴルフ場利用に関してはゴルフ場利用税として残っており、

「ゴルフ場利用税」や「娯楽施設利用税」と聞きますと、やはり「物品税」が頭に思い浮かびます。
「ゴルフ場利用税」や「娯楽施設利用税」は、表面上の名称は異なっていても、
概念的には「物品税」と同じ発想から生まれた税目であろうと思います。
「ゴルフ場利用税」や「娯楽施設利用税」は「物品税」の一類型、と表現しても間違いではないと思います。
まず、ウィキペディアの解説を見てみましょう。
ウィキペディアの物品税の解説には、

>基本的には蔵出し課税であり、一部を除いてサービスなどには課税されない。

と書かれています。
また、他のサイトには、物品税の解説として、”メーカーの出荷時に課税される税金”と書かれています。
しかし、これらはどちらも間違いです。
確かに、”蔵出し課税”=”メーカーの出荷時に課税される税金”であるわけですが、
物品税はそのような税ではありません。
物品税は、小売段階(小売店、飲食店)で課税される税目です。
ぜいたくなものと分類されるサービスには、物品税が課税されます。
ウィキペディアの物品税の解説は、全体的に不正確な点が多いように思いました。

 



個人のサイトだと思いますが、物品税については次のような解説がありました↓。

消費税の複数税率−物品税との比較−
ttp://blog.livedoor.jp/blog_de_blog/archives/51792792.html

この解説には、ずばり、

>逆進性緩和のために、複数税率を導入することも考えられるが、
>それならば消費税を廃止して物品税を導入してはどうかという議論も考えられる。

と書かれていますが、私もまさにその通りだと思います。
また、このページの最後には、読者からのコメントなのだと思いますが、
”この記事へのコメント”が書かれてありまして、そこには、

>物品税に戻すというのに大賛成です。

と書かれています。
他にも、グーグルで検索してみますと、「物品税に戻すべきだ。」という主張が非常にたくさんあります。
誰もが考えていることは同じなのだろうと思います。

 



ウィキペディアの物品税の解説には、物品税の問題点として、次のように書かれています。

>物品税は課税対象の品目をあらかじめリストアップしておく必要があるが、
>商品の多様化により生活必需品か贅沢品かの判定自体が困難なものもあり、奢侈度で税率が異なっていたため、
>物品税そのものが執行困難性を内包する税制であった。

しかし、私が思うに、実務上は、生活必需品か贅沢品かの判定は最後は国が決めてしまえばよい、というだけだと思います。
先ほど紹介したサイト「消費税の複数税率−物品税との比較−」には、「昭和59年度の物品税税率の一部」が記載されていますが、
各物品の物品税税率を見ますと、税率は概ね「生活上の必需度」と比例しているように私は思います。
「なぜこっちの物品の税率の方が高いんだ?」と思うような物品はないように思います。
同じ電気洗濯機でも、「全自動以外の電気洗濯機」は10%、「全自動の電気洗濯機」は(記事には書かれていませんが例えば)15%、
といった具合に、同じ類の商品でも、商品毎に「贅沢度」を判定し税率を決めていくことは実務上簡単にできることだと思います。
率直に言って、物品税は執行困難性を内包する税制であった、などということは全くなかったと思います。
むしろ、消費税こそが、執行困難性を内包する税制なのです。
正確に言えば、消費税が前提としている付加価値(価値の連鎖)という考え方は、現実には理論通りには生じ得ないことだ、
と言わねばならないのです。
事業者が仕入れた商品を廃棄したり値引販売した時点で、価値が付加されていないことになるわけですから。
廃棄した分や値引販売した分(差額)については、消費税は事業者の自己負担(仮払消費税は還付されない)、
ということになります。
「理論上厳密な消費税」というのは、実は実務上は実施は不可能である、という点については今までに何回か書いたと思います。
まして、消費税率を商品毎に買えることは、実務上だけでなく理論上も絶対に不可能なことなのです。
流通段階の最上流(資源・原材料メーカー)から最下流(小売店)までの全段階で、消費税率は同じであることが理論上の前提です。
小売段階だけ、「生活上の必需度」に応じて税率を変えることは消費税理論上できないこと(理論の前提が崩れてしまう)なのです。
端的に言えば、昨今の議論では、「小売段階での販売に関して消費に関する税率を変えていきたい。」ということかと思います。
それならば、まさに小売段階でのみの課税を前提としている「物品税」を導入することが、一番理論に沿うわけです。
「物品税」を事業者が支払うことは一切ないのですから。
一見、消費税は消費者のみが負担するのだから、小売段階で消費税率を商品毎に変えることは簡単にできるのではないか、
と思われるかもしれませんが、実はそれは全くの間違いなのです。
消費税では、「事業者が仮払いしそして仮受けする税率」と「消費者が負担する税率」とは
完全に一致していなければならないのです。

 



要するに、難しいことは考えずに、現行の消費税は廃止し物品税に戻せば、それで万事解決することなのです。
なぜわざわざ「消費税理論」という難しくかつ現実には実施不可能な税制を導入することにしたのか。
消費税導入時の首相の答弁は「言語明瞭意味不明瞭」だと言われたものですが、
「消費税」と聞きますと、スーパーなどで物を買う時に税金を払わないといけないんだろう、と子供でも明瞭に分かるのですが、
その背景にある理論というのは、意味不明とまでは言いませんが、そのような形でドミノ倒しのようなイメージで
事業者も含めて次々に消費税を課していく(川上から川下まで全事業者が消費税を仮払し仮受けしなければならない(制度))、
というのは、理論としては確かに面白いとは思いますが、現実には実施不可能な課税制度である、と言わねばならないと思います。
仮払消費税と仮受消費税は、単品単位で管理・納付しなければなりません。
他の商品との相殺は理論上はできないのです。
実務上、事業者において一定度の商品の廃棄や値引販売は営業活動上不可避的に発生する以上、
理論上はその分については事業者が仮払消費税をそのまま自己負担することになります。
理論上は商品は仕入価格よりも高い価格で販売することが前提となります。
仮に、廃棄した分の仮払消費税を税務当局が事業者に還付することを考えますと、
理論上は、今度は消費者に対しても支払った消費税を還付しなければならなくなります。
なぜならば、消費税理論上は事業者と消費者との間に区分はないからです。
こうであれば事業者、こうであれば消費者、などという定義は消費税にはないのです。
ある人が、商品を税込で仕入れ(仮払消費税)、その商品をさらに高い価格で税込で販売した(仮受消費税)場合、
その差額(仮受消費税−仮払消費税)を税務当局に納付して下さい、と消費税では言っているだけです。
仮に、商品を税込で仕入れ(仮払消費税)たのだが販売はしなかった(例えば廃棄した)のならば、
それは税務当局から見れば「仕入れた人」は一消費者(だからその支払った消費税は当然に自己負担となる)である、
という見方になるわけです。
以上のように、消費税理論というのは、本当に精密な商取引が行われることが前提となっているのです。
ここでいう「精密な商取引が行われることが前提となっている」とは、
「事業者が商品を仕入れる段階からその後さらに高い価格で商品を販売することが確定していることが前提となっている」、
という意味です。
しかし、実務上そんなことはあり得ないでしょう。
卸売業よりも川上の事業者であればそのような商慣習もあり得るかもしれませんが、
小売業だけだけは消費者が店に任意の時に来店する、という商取引になるわけですから、
実務上は、消費税理論が前提としている商取引は絶対に不可能だ、と言っていいでしょう。
要するところ、消費税は消費者のみが支払えばよいわけです。
何も事業者が消費税を仮払したり仮受けする必要は全くないのですから、やはりかつての「物品税」に戻すべきであろうと思います。